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第27回外務省独立行政法人評価委員会議事概要

1.日時

 平成23年8月24日(水曜日)16時20分から17時30分

2.出席者

(委員)
南直哉委員長,井口武雄委員長代理兼国際協力機構分科会長,建畠晢国際交流基金分科会長,青山伸一,縣公一郎,上子秋生,手納美枝,都丸潤子,榛木恵子,吉田和浩,吉本光宏(以上,委員),出雲明子(専門委員)
(外務省)
木寺官房長,金杉大臣官房総務課長 兼 考査・政策評価官,村田広報文化交流部長,米谷文化交流課長,佐渡島国際協力局長,植野国際協力局政策課長他
(国際交流基金)
櫻井理事,柳澤総務部長,土井経理部長,平野総務部次長,下山経理部次長他
(国際協力機構)
粗理事,渡邉総務部長,岡村企画部長,乾総務部次長,岩谷人事部次長,木野本財務部次長他

3.議題

  1. (1)国際交流基金の平成22年度財務諸表に関する意見について
  2. (2)国際交流基金の平成22年度業務実績評価
  3. (3)国際交流基金の第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価
  4. (4)国際協力機構の平成22年度業務実績評価
  5. (5)国際協力機構の第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価
  6. (6)外務省独立行政法人評価委員会の役員改選

4.議事概要

(1)冒頭,南委員長から,開会の辞に続き,委員の出席が定足数を満たし会議が成立していることを確認した。続いて,木寺外務省官房長から挨拶があった後,南委員長が議題について確認を行い,委員各位の了承を得た。

(2)【国際交流基金】平成22年度財務諸表に関する意見について,金杉考査・政策評価官(大臣官房総務課長,以下同じ)より,国際交流基金分科会での決定に従い,評価委員会から外務大臣に対し,財務諸表の承認に異存なしとの意見書を提出する案を説明し,了承を得た。(なお,国際協力機構の財務諸表については,7月14日付で評価委員会から「承認に異存なし」との意見書を外務大臣に提出済み。)

(3)【国際交流基金】平成22年度業務実績評価及び第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価について,建畠国際交流基金分科会長から,以下アのとおり分科会での議論の結果について報告がなされた後,米谷外務省文化交流課長より,分科会における議論を踏まえた暫定評価案の修正点について説明があった。平成22年度業務実績評価,第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価のいずれも,分科会での取りまとめどおり決定された。また,これに対し国際交流基金から,以下イのとおり発言があった。

ア 建畠分科会長による分科会報告

  1. (ア)平成22年度業務実績評価について
    • 26の小項目の評定について,分科会の結論は,ロ評価が「一般管理費の平成18年度比15%削減」,「業務経費の毎事業年度1.2%以上削減」,「文化芸術交流事業の重点化」,「日本語事業の重点化」,「日本語能力試験」,「海外日本語教師に対する施策」,「海外日本研究の促進」,「海外事務所・京都支部の運営状況」の8項目,ハ評価が15項目,3項目は基金に該当しなかった。中項目については,ロ評価が「業務の合理化と経費節減」及び「海外における日本語教育,学習への支援」の2項目,ハ評価が11項目,3項目は基金に該当しなかった。
    • 総合評価案の主なポイントは,次に述べるとおり。
      • 主要な中期的数値目標の達成に向けた効率化・経費節減,中期計画に沿った各事業分野の事業実施等,総じて順調な取り組みが行われたと評価できる。
      • 行政刷新会議による事業仕分け結果については適切に対応できており,昨年12月に閣議決定された「事務・事業の見直しの基本方針」に対しても,年度末までに適切に対応・検討したことも評価できる。
      • 基金の活動の3本の柱である文化芸術交流,日本語教育,日本研究・知的交流の各分野において,外交政策上必要な事業を精査し,重点化した上で着実に実施している。
      • 特に,海外日本語教育事業については,従来の支援型からより能動的な日本語普及事業の展開に重点をシフトする方針を打ち出し,着実に事業を実施していることを高く評価している。
      • 事業の効率化は当然考慮されるべきであるが,人件費を含む予算の削減が事業にマイナスの影響を与えることがないよう,今後注視する必要がある。
  2. (イ)第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価について
    • 第2期中期目標期間の業務実績について,暫定的に評価・分析し,その評価をふまえ,次期中期目標期間に向けた課題についてもとりまとめた。暫定評価案の主なポイントは次に述べるとおり。
      • 中期目標・計画において設定された業務運営の効率化に係る数値目標は,目標を上回って削減を達成できる見込みであり,また機動的かつ効率的な組織運営についても相当の成果が挙げられていると評価することができる。
      • また,外交政策をふまえた事業の実施についても,良好な結果が得られていると評価することができる。
      • 次期中期目標期間における目標設定に際しては,効率的な組織運営への努力を継続しつつ,外交政策上の必要性に基づき,当該国・地域の重点及び政策的課題,その時代の要請に合致する施策やあらたな文化交流事業のニーズへの対応も含めて検討すべきである。また,国際文化交流機関としての役割をそこなわないよう,事業の量・質や事業効果への影響を十分考慮しつつ,各国の同種の機関における実施体制も参考に検討すべきである。
      • また,次期の課題として,長期的な成果を含め事業の成果をより包括的な評価や,総合的な文化紹介事業の強化,海外事務所の強化,ITメディアを活用した広報や情報提供,民間セクターとの一層の連携を挙げた。
      • さらに,人事面では,外交政策上の必要性やその時代の要請により業務量が増加している状況を踏まえ,適切に事業を実施するために欠くことのできない,体制作りに留意すべきである。

イ 国際交流基金からのコメント

  • 大変貴重かつ適切なご意見,評価を頂き感謝申し上げる。役員はじめ,現場の管理職にも今回の評価結果を伝え,具体的な今後の改善策を検討したい。
  • 今年度評価プロセスにおいては,年度評価に留まらず,次期中期目標期間を見据えた積極的なご議論を頂いた。基金事業の意義について,特に国内からの理解を得られるよう,更に努力していく所存である。

(4)【国際協力機構(以下,JICA)】平成22年度業務実績評価及び第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価について,井口国際協力機構分科会長から以下アのとおり分科会での議論の結果について報告がなされ,分科会でのとりまとめのとおり決定された。また,これに対しJICAから,以下イのとおり発言があった。

ア 井口分科会長による分科会報告

  1. (ア)平成22年度業務実績評価について
    • 32の小項目の評定につき,分科会の結論は,「ロが6項目」,「ハが24項目」,「対象外が2項目」となった。23の中項目の評定につき,分科会の結論は,「ロが3項目」,「ハが19項目」,「対象外が1項目」となった。
    • 総合評価の主なポイントは,次に述べるとおり。

      (全般的評価)

      • JICAの平成22年度業務実績については,20年10月1日の旧国際協力銀行(海外経済協力業務)との統合効果を一層発揮し,より質の高い事業を推進すべく,開発途上地域等の需要に的確かつ迅速に対応するための国別の分析を強化するとともに,技術協力,有償資金協力,無償資金協力の3つの援助手法を有機的に運用するプログラムの戦略性強化に取り組んでいること等から,総じて順調と評価できる。
      • 「国民の期待に応える組織業務運営に向けた取組」として,開発効果の最大化を実現すべく,国別分析ペーパーの策定に着手し,また,外務省との間で試行的にプログラムを形成する等の事業の戦略性強化に取り組んでいることを確認した。また,東日本大震災にあたっては,国内拠点を活用した被災地支援を展開したのみならず,災害緊急援助の実施機関としての経験を活かした海外からの支援の受入調整やボランティア派遣等を通じて震災対応を行った点を評価している。
      • 「業務運営の効率化」については,海外拠点の配置適正化や体制の包括的な見直し,国内拠点のあり方について検討を行っている点,契約監視委員会を通じた随意契約の見直しに取り組んでいる点,経費の効率化目標の達成に向け着実に取り組んでいる点を確認した。
      • 「業務の質の向上」については,効果的な事業の実施,広報,環境社会配慮,NGO等との連携,国民参加支援,災害援助等協力において取組が進展し,優れた実績を挙げたと評価する。また,ボランティア事業については,政府方針を踏まえ,見直しを進めている点,地球ひろばについては,NGO等のサポートを充実させ,利用者も増加している点を評価している。

      (今後対応が必要な点)

      • 今後の業務において考慮すべき事項は次のとおり。
      • 統合効果を発揮し,3つの援助手法を有機的に運用する観点から,海外拠点や国内拠点を含む中期的な組織体制の見直しについて,一層戦略的に検討を進めていくことを期待する。
      • 国別・地域別のアプローチの強化として,国別分析ペーパーの策定の推進とそれに基づく選択と集中の取組を進めるとともに,プログラム化による3つの援助手法の一体的運用をより強化することが求められる。
      • 効果的な事業の実施のため,引き続き政府の方針に沿った案件の形成・実施に取り組むとともに,研究所の知見も活用した援助協調の推進や,官民連携の深化に取り組むことが期待される。
      • 「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」等の指摘への着実な対応を継続し,組織業務運営の適正化及び効率化を引き続き推進することが求められる。
      • 東日本大震災の復興に関し,JICAの海外における災害援助や復興支援の経験や国内外に培ったネットワークを活用した取組に期待する。
  2. (イ)第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価について
    • 全体として,各項目とも,これまでの業務実績に鑑みると,おおむね現行中期計画を達成できる見込みであると言える。特にJICAについては,平成20年に組織統合という大きな転換期があり,その後2年強で技術協力,有償資金協力,無償資金協力の3つの援助手法の一体的な運用に着手したなど大きな改善が図られているという意見があった。今後は開発途上地域等の需要に的確かつ迅速に対応するための国別の分析を強化するとともに,協力プログラムの戦略性強化や,これらの成果の定着が期待される。
    • 次期中期目標期間に向けた個別課題に関する分科会の主な見解は以下のとおり。
      • 業務運営の効率化については,1)現地事務所の権限や機能強化,現地職員の活用等により,海外の現場機能の強化に取り組み,これらを通じ被援助国政府関係者や他ドナーとの対話,案件形成能力の強化に努めること,2)国内拠点について国際協力に対する国民の支持と参加を得るべく機能強化に努めること,特に残念ながら政府方針により機能移転する広尾センター,大阪・兵庫国際センターの統合については,それぞれの拠点のこれまでの役割や実績を踏まえること,3)業務運営全体の合理化に継続的に取り組むこと,4)調達・契約制度について,引き続き組織的な改善に取り組むこと,の4点に整理した。
      • 業務の質の向上については,特に横断的事項として,1)国ごとの開発課題の把握・分析を行い,事業の選択と集中を図ること,また,分析に基づき,技術協力,有償資金協力,無償資金協力の3つの援助手法を構成要素として,協力プログラム単位での協力を推進すること,2)プログラムや案件の形成・実施に当たっては,人間の安全保障の視点を重視し,政府の政策や援助方針を踏まえた取組を積極的に行うこと,3)JICA自身の知見や研究成果の共有により,国際社会に対し知的貢献を行うとともに,国際機関や新興ドナーを含めた援助協調を推進すること,4)民間企業,NGO,大学,地方自治体等の多様な関係者との連携を引き続き強化すること,などを課題として整理した。
      • 財務内容の改善と施設・設備に関する計画については,それぞれ,不要とされた保有資産について着実に処分を行うこと,JICA業務に対する理解促進のために財務諸表におけるセグメント情報を充実させることと,施設・設備の整備改修を計画的に行うことが必要と思っている。
      • 人事に関する計画については,統合後の人事制度改革の定着とともに,組織運営の戦略を踏まえた適材適所の人事配置,職員の理解度向上を通じた適正な運用がなされることが必要と捉えている。

イ JICAによるコメント

  • 長い時間を割いてご議論を頂いたことに改めて感謝申し上げる。次期中期目標へのご指摘も含め,貴重なご示唆を頂いた。着実に反映し,事業を実施していきたい。
  • 国際協力機構では,中期目標に基づいた各部署別の年間計画の業績を人事評価に反映させる仕組みを取り入れているところ,頂いた評価が次期中期計画も含めて事業また職員個々人の仕事に収斂していくよう活かしていきたい。
  • 途上国情勢また世界情勢が非常に早く変化している中,我々の事業もそれに対応し変化する必要がある。引き続き,努力していく所存。

(5)平成22年度業務実績評価作業の締めくくりにあたり,南委員長から,「委員長所見」をとりまとめた旨説明があった。委員長所見案については,特段の意見はなく原案どおり了承された。また,平成22年度業務実績評価の結果については,独立行政法人通則法第32条に従い,政策評価・独立行政法人評価委員会(以下,政独委)に通知すると共に外務省のホームページで公表する旨,第2期中期目標期間に係る業務の実績に関する暫定評価についても政独委に通知すると共に外務省ホームページで公表する旨,説明があった。

(6)続いて,外務省独立行政法人評価委員会の役員改選について,金杉考査・政策評価官より,南委員長が平成23年8月31日の現任期満了をもって退任予定である旨報告した。次期委員長(任期:平成23年9月1日から2年間)について,外務省独立行政法人評価委員会令第4条に従い,委員による互選を行った結果,井口委員長代理が次期委員長に選出された。各出席者から,この間の南委員長のリーダーシップについて謝意が表明され,南委員長からは概要以下のとおり退任の挨拶があった。

  • 委員長として在任した8年間,国際交流基金,JICAの活動を通じ,日本国として何をすべきかをじっくり考え,学ぶ機会を得たことに感謝したい。現場視察の機会を通じてJICAの青年海外協力隊員をはじめとする現場のスタッフと接し,日本人として実に誇りに思う活動をしていたことが印象深い。個人的に,安全保障の要諦は日本に対し攻撃を加えることが自らの損失であると思わせることにあると考えているが,国際交流基金・JICAの事業は正にこれを担うものであると実感した。なお,JICA地球ひろばにも数回訪問したが,市民の理解や在京各国大使館との連携を深める場として高くその機能を評価していたので,閉鎖は残念である。
  • 在任中に課題として認識された点についても,具体的な改善策がとられており,独立行政法人として自発的な業務改善が行われていることを心強く思う。
  • 事業仕分けの手法等を用いた政府全体による効率化の取り組みについても,適切に対応していると考える。継続的な効率化への取り組みは,絶対的に必要不可欠なものである。その一方で,最も重要なことは,法人に求められる成果を上げることである点を改めて指摘したい。また今後の課題として,国際交流基金・JICAが担っている役割について国民の理解を得るための一層の広報活動に期待したい。

(7) 最後に,南委員長より閉会を宣言した。


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