省庁共通公開情報

第26回外務省独立行政法人評価委員会議事概要

1.日時

 平成23年2月7日(月曜日) 14時から17時

2.出席者

(委員)
南直哉委員長,井口武雄委員長代理兼国際協力機構分科会長,建畠晢国際交流基金  分科会長,青山伸一,上野田鶴子,上子秋生,新海尚子,柘植あづみ,榛木恵子(以上,委員),出雲明子,猪鼻聡,勝間靖,吉本光宏(以上,専門委員)
(外務省)
木寺官房長,麻妻考査・政策評価官,村田広報文化交流部長,赤堀文化交流課長,佐渡島国際協力局長,植野国際協力局政策課長,牛尾開発協力総括課長他
(国際交流基金)
坂戸理事,柳澤総務部長,土井経理部長,平野総務部次長他
(国際協力機構)
粗理事,渡邉総務部長,乾総務部次長,岩谷人事部次長,三浦財務部次長,中村企画部次長他

3.議題

 <審議事項>

  1. (1)評価プロセスにおける部会の運用について
  2. (2)国際交流基金の役員給与規程の改正について
  3. (3)国際協力機構の役員給与規程の改正について
  4. (4)国際協力機構の中期目標・中期計画・業務方法書の変更について
    • 海外投融資の再開に伴う変更(報告のみ)
    • 改正通則法の施行に伴う不要財産の処分に関する計画の記載
    • JICE委託業務の直営化に伴う常勤職員数,人件費等の変更
  5. (5)国際協力機構役員の退職に係る業績勘案率について

 <報告事項>

  1. (6)政策評価・独立行政法人評価委員会(政独委)による2次評価結果について
  2. (7)中期目標期間の終了に伴う作業プロセスについて
  3. (8)平成21年度決算検査等会計検査院検査結果について
  4. (9)行政刷新会議事業仕分け(平成22年11月)について
  5. (10)「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)について
  6. (11)平成23年度予算(政府案)および平成22年度補正予算について
  7. (12)国際交流基金による不要財産に係る国庫納付について

4.議事概要

(1)冒頭,南委員長から,開会の辞に続き,独法評価委員の出席が定数に達し会議が成立していることを確認した。続いて,議題について説明を行い,委員各位の了承を得た。

(2)評価プロセスにおける部会の運用について,麻妻考査・政策評価官より,以下アのとおり事務局(案)を説明し,以下イのとおりの議論を経て,来年度プロセスは基本的にこの運用方針案に沿って進めることが了承された。

ア 事務局(案)について

  1. (ア)昨年3月の会合で設置された部会(事業効果部会,コンプライアンス部会)の運用については,今年度の評価プロセスを終え,委員・専門委員に対してアンケートを実施した。同アンケート結果を踏まえ,更なる評価の質の向上へ繋げるべく,事務局にて改定案を作成した。
  2. (イ)主なポイントは,事業効果部会の分科会への統合,及び評価委員会委員による分科会及び部会における「評価のポイント」の決定。
  3. (ウ)前者については,多くの委員が関心を有する事業効果,即ち独法の設置目的に沿った事業が効果的に実施されているかなどについて,分科会においてより深く議論・評価を行って評価書へ反映することを目的としている。なおこれに伴い,事業効果部会所属の専門委員を評価委員に任命替えし,専門的知見をもって分科会及び評価委員会における議論・評価により一層ご貢献頂くこととしている。
  4. (エ)後者については,全委員の間でより明確に問題意識を共有し,分科会・部会の評価結果を委員会で一層活用頂くため,重点的に検討するポイントを年度当初の評価委員会で決定し,分科会,部会でこの点に特に留意しつつ評価を進めることとしたい。なお,同ポイントに関する委員からの質問聴取を早い段階で行い,可能な限り回答を業務実績報告書へ反映することで,業務実績説明会や分科会の場でもより深い質疑応答や議論を行える仕組みを整えたい。

イ 委員からのコメント・質疑応答

  • これまで評価委員会,分科会を通じて評価を行ってきたが,昨年の部会設置,また今般の委員の意見を踏まえての新たな運用体制の整備によって,評価のための評価となっていないか,この評価プロセスによって事務局や独法側の負担が増えていないか懸念している。外務省独法評価委員会による評価プロセスの成果などについて率直に伺いたい。

    (回答)

    • 文化交流事業の成果の測定・把握について,より組織的な取組みを行うようになった。また,その際に事業対象者等からの協力も得やすくなった。また,効率性に対する意識向上にも繋がった。(国際交流基金)
    • 独法制度発足後,中期目標・中期計画に基づいて部署ごとの年間業務計画を作成し,個々人の人事評価とも連動して運用している。(国際協力機構)
  • 外部評価の有効性に対する客観的評価を把握したい。即ち,我々の評価は,可能な限り定量的データも参考に行っているが,我々の評価の有効性,成果については直感的な把握しか行えていない。我々の評価の有効性について判りやすく具体的な形で示して頂けるとありがたい。

(3)国際交流基金及び国際協力機構の役員給与規程の改正について,国際交流基金及び国際協力機構からそれぞれ,平成22年12月1日より平成22年人事院勧告における国家公務員指定職棒給表の改定に準じた改正を行い,以降の役員本給を減額改定すると共に,同12月の特別手当において同改定を同4月から適用した場合の11月までの支給額と実支給額との差額分-0.28%を調整する説明した。これに対し委員より,以下のとおりコメントがあったが,評価委員会としては特段の意見はない旨決定した。

  • 役員本給の減額改定率は(特別手当における調整係数である)0.28%より大きくなっており,調整額は実際に遡った場合の減額分より小さくなると思うが,何故この手法をとるのか,またこの係数の根拠如何。

    (回答)

    • 「不利益遡及不可」の原則から,減額された給与を遡及適用することは出来ないため,各自個別的に差額を正確に算出して調整するのではなく,一律にある一定の係数を用いてあくまでも差額相当分の「調整」を行うもの。0.28という数字は,国家公務員全体(平均)の減額率(すなわち国家公務員で利用している調整率)を利用した。(国際交流基金・国際協力機構)
  • 非常勤役員の報酬が国際交流基金は月額支給で国際協力機構は日額支給だが,異なる理由如何。

    (回答)

    • JICAでは,日額ベースで実際の勤務実態に合わせて支給している。(国際協力機構)
    • 既定の固有の業務を依頼していることもあり月額報酬としている。(国際交流基金)
  • 最近,特に地方公共団体において,公安委員や収用委員といった自治体委託の非常勤委員について,月額報酬規定を問題視し,勤務実態のない日の分まで税金で報酬を支払うのは不当だとする住民訴訟が相次いでいる。勝訴,敗訴,色々な判断が示されているが,会議などの出勤日分だけの支払いに変更している例もある。そもそもこのような公安委員,収用委員といった自治体の例と独立行政法人の非常勤役員を同列に論じるのが適当であるかは疑問もあるが,このような動きがあることも勘案し,非常勤役員を月額報酬とする根拠について対外的に説明できるよう整理しておく必要があるのではないか。
  • (非常勤役員の月額報酬規定について)民間企業の顧問弁護士などでは,定額報酬プラス実態に沿った報酬支払いという場合がある。
  • 非常勤役員は,法人から必要とされた時にはいつでもその経験や知見をもって貢献するというのが業務の本質であり,時間給や日額という報酬体系に馴染むものではないと思うので,このようなこともよく考えて頂きたい。

(4)国際協力機構の中期目標・中期計画・業務方法書の変更について,外務省国際協力局及び国際協力機構より以下ア~ウのとおり説明した後,以下エの質疑応答を経て,海外投融資の再開に伴う中期目標・計画・業務方法書の変更については,本評価委員会として最終的な文言を確認した上で異存なしとすることとし,改正通則法の施行に伴う不要財産の処分及び日本国際協力センター(JICE)委託業務のJICAによる直営化に伴う中期計画の変更については,本評価委員会として変更案に異存なしとの結論とするものの,議論を踏まえ,委員会としての意見を付言する(意見内容については委員長に一任)ことを検討することとなった。

ア 海外投融資の再開に伴う中期目標他の変更について(国際協力局)

  1. (ア)「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月閣議決定)において,「廃止することとし,14年度以降は,13年度末までに承諾済の案件又はそれらと継続的な性格を有する案件に限り出融資を行う。」とされた国際協力機構の海外投融資業務については,昨年6月に閣議決定された新成長戦略において,「既存の金融機関では対応できない,開発効果の高い案件に対応するため,過去の実施案件の成功例・失敗例等を十分研究・評価し,リスク審査・管理体制を構築した上で,再開を図る」とされた。背景としては,近年,開発途上国の経済発展には,公的部門のみならず民間部門の果たす役割が極めて重要であり,民間活動の促進等によりもたらされる経済成長が貧困削減にとって重要であるとの認識が高まっていることがある。
  2. (イ)また,昨年12月のパッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合で「具体的案件の実施を通じて 1)新実施体制の検証・改善と 2)案件選択ルールの詰めを行う『パイロットアプローチ』を年内に開始し,年度内に再開を実現する。」ことが決定され,それを受けて本年1月に閣議決定された新成長戦略実現2011において,「『パイロットアプローチ』の下で,年度内に再開を実現。」とされた。海外投融資委員会NGO委員の公募を2月~3月にかけて行い,年度末までに委員会を設立,第一回委員会を開催することで正式な再開を実現したい。
  3. (ウ)中期目標・計画・業務方法書の変更については,今月下旬に予定されているNGO,経済界等外部関係者との意見交換会の結果を踏まえ最終的な文言をセットし,改めて本委員会の了承を得たい。

イ 独立行政法人通則法の改正及びJICE業務の直営化に伴う中期計画の変更について(国際協力局)

  1. (ア)「独立行政法人通則法の一部を改正する法律」の施行(昨年11月)に伴い,中期計画に「不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には,当該財産の処分に関する計画」を追加する必要がある(第30条第2項(4)の2)。具体的には,今まで「5.重要な財産を譲渡し,又は担保に供しようとするときは,その計画」に挙げられていた財産のうち,「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(昨年12月閣議決定)で「不要資産の国庫納付」及び「事務所等の見直し」にて指摘されたもののうち,本中期計画期間中に処分予定の財産を中期計画の「5.不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産がある場合には,当該財産の処分に関する計画」に記載することとしたい。なお,同じく「事務所等の見直し」で指摘のあった麻布分室(研修所)は,旧国際協力銀行(JBIC)からの承継資産であり,有償資金協力勘定帰属の固定資産であるため,その売却利益は国際協力機構(JICA)法第31条第5項に則り,準備金として積み立てるべく決算処理を行い,売却収入は国庫に納付されないので,「6.前号に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し,又は担保に供しようとするときは,その計画」として整理している。
  2. (イ)行政刷新会議事業仕分け第2弾(平成22年5月)における議論及び「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(昨年12月閣議決定)を踏まえ,従来JICAからJICEに外部委託してきた研修員受入事業実施のための研修監理業務及び技術協力等に必要な専門家等派遣支援業務並びに図書資料等整備提供業務について,業務内容をスリム化した上で直営化することで間接コストの最小化を図ることとなった。直営化に必要となる人数として163名が認められ,本中期計画期間中の常勤職員数及び人件費が変更になる。なお,民間の競争により受注者を決めることが適当な業務については,引き続き民間の中で受注者を決定し,経費を最小化していく方針。

ウ 国際協力機構による補足説明

  1. (ア)(JICAが行う海外投融資事業の概要について)海外投融資事業は,独立行政法人国際協力機構法第13条第1項第2号ロの規定に基づき実施するものであり,途上国の経済・社会発展に資する事業について,円借款が途上国政府へ行うものであるのに対し,政府以外の民間企業等へ行うものである。例えば,官民連携(PPP)インフラ整備事業において,当該事業のために設立される特別目的会社に対し,海外投融資による出融資を行う。技術協力支援を併せて行うこともできる。
  2. (イ)(改正通則法の施行に伴う不要財産の処分計画の追加について)具体的な処分スケジュールとしては,東京国際センター八王子別館の土地・建物,保養所,箱根研修所,については,今年度に売却手続きを進めている。職員住宅については,「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」にて「区分所有の保有宿舎」をすべて売却するとされており,今年度すでに売却手続きを進めている物件に加えて,来年度以降順次売却を進めていく予定。また,不要財産ではないが,旧タイ事務所の土地・建物は今年度に売却手続きを進めており,麻布分室は23年度中に売却を行う予定。なお,「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」を踏まえ,平成24年度以降の次期中期計画にて,大阪国際センター及び広尾センターの国庫納付を検討している。
  3. (ウ)(JICE業務の直営化に伴う常勤職員数,人件費の記載の変更について)JICE委託業務の直営化により,委託経費に含まれていた間接経費の節約効果があることを検証している。なお,今回の直営化に伴い必要として新たに認められた人件費については,中期計画に定めた人件費の削減対象から除くことと整理されている。具体的なスケジュールとしては,専門家等派遣支援業務については本年4月から,研修監理業務,図書資料等整備提供業務については来年1月から,それぞれ直営化を行なう予定。

エ 質疑応答

  • 海外投融資業務の再開について,事業の持続性についての見解を伺いたい。また,リスク審査管理体制を構築した上で再開を図るとあるが,リスクのモニタリングはどの様に行うのか。

    (回答)

    • JICAが行う海外投融資事業は民間参入の触媒的機能を意識している。民間企業と同時に入っていき,ある程度事業が軌道に乗ることで経験が蓄積され,また制度が整っているという判断の下に更に民間が参入して,JICAが投資した事業そのものではなくとも,民間企業によって同様の事業が継続していくのが成功例であると考える。リスクモニタリングについては,外部有識者からなる海外投融資委員会に産業界,法務,金融関係他からも入って頂き,リスク管理について助言を頂く予定。なお,事業の成果についても指標を設けて内部でモニタリングしていく。(国際協力機構)
  • JICAによる海外投融資事業が,民間ではリスクが取れないところに入っていく事業だとすると,リスク管理の専門家が検討したところで,経済的観点のみで見れば(海外投融資事業も)リスクが高いという判断になってしまわないか。

    (回答)

    • 80年代以降,官民連携(PPP)手法の導入が進んでいる。長期貸付であることなどから民間企業による投資は難しい事業でも,例えば,電話網整備などにおいて政府開発援助(ODA)で整備したものを民が引き継ぐように,官が基盤となる港湾整備を実施した上で,民間企業が行う施設整備事業へ海外投融資を行うなど,投資リスクの軽減が官民連携により行われる流れになっている。(国際協力機構)
  • 改正通則法の施行に伴い処分計画が追加される「不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産」と既存の「重要な財産」の違いは何か。

    (回答)

    • 閣議決定(「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」)において処分の方針が確定しているものを「不要財産又は不要財産となることが見込まれる財産」として整理している。(国際協力局)
  • JICE委託業務の直営化による経費削減の詳細如何。また,直営化に伴う職員増による人件費の関係如何。

    (回答)

    • これまで委託経費に含めていた管理費相当分として,来年度予算における節減見込みは3億円程度。採用職員の人件費等待遇については,JICEの現行の給与体系や業務内容等を踏まえ検討中。(国際協力機構)
  • 人材育成支援無償(JDS)においては,留学生支援等の業務についてJICEと相手国政府が直接契約を締結していると思うが,今次直営化により変更はあるのか。

    (回答)

    • これまでと同様に無償資金協力事業の主体者である相手国政府がその実施に関する契約をJICEと締結する可能性はあると認識。(国際協力機構)

(5)国際協力機構役員の退職に係わる業績勘案率については,退職監事の業績について審議を行い,業績勘案率を1.0とすることが決定された。なお委員より,「外務省所管独立行政法人の役員の退職に係る業績勘案率の決定方法について」(平成17年3月7日決定)において,監事の基準業績勘案率は在籍期間の業務実績評価に係わらず1.0とするとされていることについて,内部統制などの観点から監事の役割が重視されている現在の流れに鑑みれば,監事についても在籍中の業務実績評価と切り離して考えるのは不適切ではないかとの指摘があり,事務局にてこの点について総務省に確認の上,改訂を検討し評価委員会へ提案することとなった。

(6)続いて報告事項へ移り,政策評価・独立行政法人評価委員会(政独委)による2次評価結果(PDF)(総務省ホームページへ)(他のサイトヘ)について,麻妻考査・政策評価官より概要を説明すると共に,国際協力機構から在外事務所の定員について補足説明を行った後,南委員長より,平成22年度業務実績評価においてはこれを踏まえた評価を行うこととする,両法人においてもこれを踏まえた報告をお願いしたい旨発言があった。

(7)中期目標期間の終了に伴う作業プロセスについて,麻妻考査・政策評価官より,平成23年度が両法人の第2期中期目標期間の最終年であることに伴い,全体の作業スケジュールが前倒しとなると共に,例年の年度評価プロセスに加え暫定評価などの追加作業が生じる旨説明した。

(8)平成21年度決算検査等会計検査院検査結果特定検査対象に関する検査状況(PDF)(会計検査院ホームページへ)(他のサイトヘ)平成21年度決算検査報告 省庁別の検査結果 外務省(会計検査院ホームページへ)(他のサイトヘ))について,麻妻考査・政策評価官,広報文化交流部,国際協力局より概要及び対応について説明した。

(9)行政刷新会議事業仕分け(平成22年11月)について,国際協力局より,国際協力機構運営費交付金に係わる事業仕分け評決結果の概要を説明しつつ,以下アのとおり現在の対応状況等について説明し,意見を真摯に受け止め外務省,JICA一丸となり改善に取り組んでいる旨述べたところ,委員からのコメント,質疑応答は以下イのとおり。

ア 現在の取組状況など(国際協力局)

  1. (ア)青年海外協力隊については,派遣規模・体制の抜本的見直し等も指摘されたことを踏まえ,我が国の外交政策,開発協力政策の観点も踏まえつつ,当省政務と共に改めてボランティア事業に係る政策を議論している。同時に,ミスマッチ解消の方策や関連公益法人との契約関係の見直し,ボランティア手当ての位置づけの検討といった個別の指摘をフォローしているところ。
  2. (イ)取引契約関係については,契約監視委員会を中心に改善に取り組んできており,方向性について大きな指摘はなかったが,引き続き一般競争入札への移行,契約単位の細分化,情報公開の推進等に取り組んでいく。

イ 委員からのコメント,質疑応答

  • 「青年海外協力隊」の見直しについて,現在政策論議を行っているとの説明だが,それは誰が行っているのか。

    (回答)

    • 現時点では省内において議論中であるが,協力隊員の帰国後の進路や現地におけるNGOとの連携といった様々な論点について,今後,外務省にて原案を作成の上,関係者(企業やNGOなど)からも意見を伺う予定であり,来年度予算要求までにはこうした意見を踏まえた案を纏めたいと考えている。(国際協力局)
  • 事業仕分けにおける議論や評決結果について,その場で反論を行っているものもあるだろうが,率直な感想を伺いたい。青年海外協力隊については,成果を上げているとの印象を個人的には有していたが,仕分けで言われたような実態があるのか。

    (回答)

    • ミスマッチについては,受け入れ先のニーズの変化や,協力隊員のスキルが足りない場合等の様々なケースがあるが,十分に説明できなかった面もある。(国際協力機構)

(10)「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)について,麻妻考査・政策評価官より経緯などについて概要を説明した。

(11)平成23年度予算(政府案)及び平成22年度補正予算について,広報文化交流部,国際協力局よりそれぞれ以下ア~イのとおり概要を説明した。それに続く質疑応答の概要は以下ウのとおり。

ア 国際交流基金関連予算について(広報文化交流部)

  1. (ア)国際交流基金運営費交付金については,概算要求時に,第2回事業仕分けの指摘事項の反映(-1億円),財務省予算執行調査の反映(-0.3億円),その他,事業の効率化等により,対前年8.2億円(-6.4%)の削減を行った。その後,政策コンテストのプロセスを経て,約10億円の元気な日本復活特別枠が認められ,最終的に,平成13年度以降継続して前年比減だったものが10年ぶりに反転し(昨年度交付金の増加は運用資金売却の見返り分によるもので実質減),政府予算案としては,対前年比で1.8億円の増(+1.4%)となっている。
  2. (イ)元気な日本復活特別枠の内容は資料(PDF)のとおりであり,現在,実施方針等について精査している。

イ 国際協力機構関連予算について(国際協力局)

  1. (ア)外務省所管のODA予算は前年度比+1%となった。国際機関への任意拠出金の大幅増(+39%)によるもので,外務省当初予算におけるODAが増になったのは平成12年度以来11年ぶり。
  2. (イ)無償資金協力及び技術協力の減額(それぞれ-1.5%,-1.6%)は,事業仕分けでの指摘等も踏まえ,効率化を進めた結果。独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針,事業仕分け及び行政事業レビュー・公開プロセスを踏まえ,23年度予算案において約30億円を削減した。他方,今後も効率化の努力を継続しつつ,インフラ海外展開等経済外交の推進や,アフガニスタンやアフリカ支援,保健・教育分野でのミレニアム開発目標(MDGs)の推進等に係る達成への貢献等に向け,質の高い事業を実施していくため,「元気な日本復活特別枠」事業に係る予算が措置されたこと等により,最終的には技術協力経費として1.6%(23億円)の減となった。
  3. (ウ)またODAに関しては,平成22年度補正予算(総額2,071億円(ODA 1,483億円))が措置され,その中でJICAは,「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」のうち,新成長戦略への取組に対応する37.4億円を執行していくことになる。

ウ 質疑応答

  • 国際交流基金運営費交付金について,平成22年度予算の運用資金見返り分の7億余円は,今後恒常的にこの額を受け取ることになるのか。平成22年度の額が運用資金の売却を開始した以降の分であり1年分ではないとすると,平成23年度の運用資金見返り分はより大きい数字となり,来年度予算案では10年ぶりに増加に転じたとの説明だったが,実際はそれを差し引くと前年度より減となるのではないか。

    (回答)

    • 平成22年度の7億余円は,1年分の運用益分として計上されたものである。平成23年度は,ここから効率化による減少分を差し引いた額が計上されている。(広報文化交流部,国際交流基金)
  • ODA関連予算について,大幅増となった拠出金の拠出先はどのような機関か。

    (回答)

    • 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)への拠出金が大きい。菅総理大臣が昨年9月の国連ミレニアムサミットにおいて保健分野における50億ドルの支援を表明した中に,世界基金宛の8億ドルの拠出が含まれており,これが世界基金宛拠出金の主なものとなる。(国際協力局)

(12)国際交流基金による不要財産に係わる国庫納付について,広報文化交流部より,現状,及び今後の予定について以下のとおり説明した。なお,本件については,平成23年1月に評価委員会として「異議なし」の意見書を外務大臣に提出済み。

  • 独立行政法人通則法第67条三の二に基づく財務省協議も終了し,現在,国際交流基金への認可の通知準備中。
  • 今後,財務省から納入告知書の発行を受け次第,職員宿舎の売却収入(0.3億円),敷金・保証金の返戻金収入(7.4億円)及び,既に売却した運用資金の一部(242億円)の合計約250億円を国庫納付する。また,2月中に運用資金の一部約100億円を売却し,3月半ばの国庫納付を予定しており,平成22年度中に約350億円の国庫納付を完了するよう手続きを進める。

(13)続いて,南委員長から出席者に対し,本日の議題その他について自由な発言を求めたところ以下のコメントがあった。

  • (国際交流基金)評価委員会からのご指摘や事務・事業の見直しの基本方針などの政府方針に則り,今後も事業を実施して参りたい。来年度予算において運営費交付金が増額となったことは,非常に心強い支援である。これは特に,従来取り組んできた日本語教育支援について,「支援」を受け身にとらえることなく,ニーズのあるところに積極的に打って出て世界に展開していくべきであるとの趣旨と理解しており,今後,積極的,意欲的に事業を実施して参りたい。
  • (国際協力機構)JICA運営費交付金について新成長戦略などを踏まえた要望枠として予算を頂いていることも踏まえ,改めて,政策目的に沿った有効な開発支援をしっかり行って参りたい。
  • (委員)事業仕分けでの指摘は,個人的に有する印象と大分異なる部分があった。他方,実際の現場を見ていないと自信を持って評価できないので,今後は現場を直接知る機会をアレンジ頂きたい。特にJICAの事業は非常に多岐に亘っているので,事業に携わる専門家と意見交換を行う機会が欲しい。
  • (委員)事業仕分けについて,平均点が合格だから全てが合格というものではなく,実際に指摘されたような例,改善すべき点があればしっかり改善して頂きたい。
  • (委員)青年海外協力隊について,仕分けで大変厳しい意見があったことに驚いている。現場を見たり協力隊員と接した経験からは異なる印象を有している。隊員の送り方についても,協力プログラムの中で様々な事業との連携を行っている例もあり,積極的に広報して頂きたい。
  • (委員)日本語教育事業について,中国語や韓国語といった強力なライバルとの競争の時代に入っている。日本語習得後の就職の選択肢など,日本語学習のメリットをもっと情報発信していって欲しい。

(14)最後に,事務局より連絡事項を伝え,南委員長が閉会を宣言した。


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