平成20年4月1日(火曜日) 14時00分から16時30分
(委員)
南直哉委員長、井口武雄委員長代理・国際協力機構分科会長、建畠晢国際交流基金分科会長、縣公一郎、伊奈久喜、入江容子、川上照男、城山英明、新海尚子、手納美枝、榛木恵子の各委員
(外務省)
林官房長、八重樫考査・政策評価官、山本広報文化交流部長、松永広報文化交流部長代理、渡辺文化交流課首席事務官、別所国際協力局長、廣木国際協力局参事官、伊藤国際協力局政策課長、日下部国際協力局無償資金・技術協力課企画官
(国際交流基金)
雨宮理事、柳澤企画評価部長、茶野経理部長
(国際協力機構)
佐渡島機構総務部長、植嶋企画部次長
(1)平成18年度独立行政法人業務実績評価を終えての今後の対応
(イ)平成18年度独立行政法人業務実績評価に関する評価の結果についての総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の意見
(ロ)平成18年度評価における評価委員会の指摘事項に対するフォローアップについて
(2)第二期中期計画における業務実績評価を行うための評価項目、評価指標について
(イ)国際交流基金案
(ロ)国際協力機構案
(3)独立行政法人整理合理化計画のその後の経過について
(4)国際協力機構役員の退職に係る業績勘案率の補足説明
(5)今後のスケジュール
(1)南委員長より、本委員会の開会が告げられるとともに、本日の会合の成立が確認された。
(2)議題1に関し、八重樫考査・政策評価官より、平成18年度独立行政法人業務実績評価に関する評価の結果についての総務省政策評価・独立行政法人評価委員会(以下「政独委」)の意見等につき、両独法共通指摘事項(評価の基準の明確化、新たに評価すべき事項として、目的積立金、資産の有効活用、官民競争入札等の活用、内部統制)及び各独法についての指摘事項(国際交流基金:利益剰余金、随意契約の適正化、関連法人等への業務委託の妥当性、国際協力機構:利益剰余金)について説明した。さらに、南委員長からの照会を踏まえ、評価の基準の明確化として求められている目標の数値化について、対外要因を抱える両独法の業務においては、必ずしも実現できない困難さがある旨発言した。
続いて、国際交流基金(以下「基金」)より、後刻議論する予定の第二期中期計画の評価項目、評価指標において、政独委等の指摘を取り込む形で説明したい旨、また、国際協力機構(以下「機構」)より、行政全体が明確な指標を作る方向にある中で機構としても進んでいきたいが、開発をどのようにとらえるかについては常に課題であること、また国際協力銀行(JBIC)との統合を目指す中、政府とともに新しい援助のあり方を求めてきており、現在取り組んでいる種々の工夫について説明したい旨発言した。
以下、委員との間で行われた主なやり取り(○委員から出された質問・意見、●は事務局・独法からの回答・コメント)。
○内部統制にかかる指摘は、整理合理化計画以前に策定された中期計画や同計画に基づく評価が不十分という指摘ではなく、今後の評価を行うにあたって留意すべきものとして理解するがよいか。
●ご理解のとおり。内部統制は、整理合理化計画で強く打ち出された考えである。
○評価基準の明確化について、一見すると妥当に見えるが、一般的に数値化できないものも存在する。政独委の指摘は、評価の根拠の精度を高めるよう要請されているのであって、5段階の評価区分についてではないと理解する。
○我が国における評価は自己評価が出発点となっており、評価の十分な体系化が必要である。両独法とも、困難を抱えながらも十分に対応していると思う。次元の高い要請であるが、中長期的に両独法の業務実績をどのように説明していくかで対応していくべきである。
最後に、南委員長より、議題2においても更に議論していきたいと述べた。
(3)平成18年度評価における評価委員会の指摘事項に対するフォローアップについて、基金及び機構から説明が行われた。
(イ)基金
配付資料に記した各内容の詳細は、平成19年度の業務実績の報告においても説明する旨述べた上で、現時点での取組の方向性につき紹介した。具体的に、人件費の削減(ラスパイレス指数)、平成21年度契約からの日本語国際センターの施設管理契約の一般競争入札への移行、プログラム事後評価の際の複数の外部専門家による評価の実施、他団体との連携、交付金以外の収入増加努力、附属機関の稼働率の向上、各種アンケート調査の改善、日本語能力試験の過去問題の蓄積・再利用、国内のライブラリーのあり方(京都支部におけるライブラリー機能の廃止も含む)について発言した。
(ロ)機構
詳細は、平成19年度の業務実績の報告において説明することとした上で、次の2点につき発言した。第1に、本委員会及び政独委の指摘について、第二期中期計画の指標として設定されているものが多く、また、既に昨年度から取り組んでいる目標もある。
第2に、本年10月のJICAとJBIC(海外経済協力部門)の統合を控え、指摘事項のうちの幾つかについては、統合後に取り組むべく現在準備中である。
以下、委員との間で行われた主なやり取り(○委員から出された質問・意見、●は事務局・独法からの回答・コメント)。
○基金において、複数の外部専門家によるプログラム評価を実施することは望ましい手法である反面、評価のコストや同業務に携わる職員が増加することになるのではないか。評価に伴う人的、時間的効率性についてどのように考えているのか。
●外部専門家に対する謝礼は倍近く必要になる可能性がある。内部でも議論したが、この部分はコストが増えても客観的な評価のためには実施すべきとの結論になった。外部専門家に対する資料は、基金の各部署が自己評価を行う際に使用したのと同じ資料を提供するので仕事量が倍増することはない。評価に割く時間数については今後も検討していく。基金のプログラム数については、選択と集中により減少させてきている。
○評価目標の数値化は重要であるが、評価はそれだけではカバーできない。独法の使命に即した目標、業務の質・量とプログラムの質・量とのバランスを図る中、運営に係る面については数値化するという2段構えにするとよいのではないか。色々な側面を持った多様な評価体系を考えることはできないか。
南委員長より、最後の委員コメントは議題2とも深く関与していると発言した。
(4)議題2に関し、第二期中期計画における業務実績評価を行うための評価項目、評価指標について 基金及び機構よりそれぞれが作成した案について説明が行われ、委員との間でやりとりが行われた(○委員から出された質問・意見、●は事務局・独法からの回答・コメント)。
(イ)基金案
3つの柱( 1)中期計画の変更に伴う中・小項目の変更、評定指標の変更等、2)評価委指摘、政独委指摘、整理合理化計画等に対する対応、3)評価の合理化・効率化のための変更・修正等)に沿って説明した。また、作成に際し委員よりの意見を反映させるようにしたが、委員から意見のあった事項のうち「中長期的に効果が現れた具体的エピソード」については、評価対象の直前年度の事業の成果ではなくとも、直前年度の事案の有効性も予測する手がかりとして、有効性評価指標の一つとして扱いたい旨述べた。
○そのようなエピソードが趨勢的なものかどうかも含めて情報を提供してもらえると評価の際の参考になる。
(ロ)機構案
次の3点につき説明した。第1に、指標の立て方として、定量化できるものはなるべく定量化させた。評価指標として、機構が自己評価を行う際に、定量的に評価を行えるものは「実績」という表現で示し、定性的な内容となるものは「状況」という表現で示した。第2に、「開発」という中長期的な成果を追求し、かつ外的変化の影響を受けやすい事業を実施する法人として、単に実施したのみでは十分でないことは理解しつつも、アウトカムの評価については、外務省が行う政策評価との関係の整理も必要。(ベトナムにおける援助の事例を説明しつつ)援助のプログラム化を推進しており、プログラム全体の成果についても、できる限り報告していく。第3に、前中期計画の下で指摘を受けた、数値目標が超過達成した場合、計画期間の途中で目標を見直すことについて、今期はその方向で対応していく。
○効果的な事業の実施という項目において、アウトカムにかかる指標を設定できないか。政策評価とは別に、独法評価固有のアウトカムについても考える必要がある。定量化が困難なことは理解するが、政独委は定量化された評価を求めており、この点にも対応する必要がある。
○政策レベルの評価との重複は避けつつ、長期的な戦略として機構の中期計画にアウトカム目標を取り入れられないか。JBICとの統合にあたっては、援助手法の一体的な運用の効果の面もあるが、個々の手法の良さもあり、統合に際しての中期計画の改定ではその点も考慮されるべき。人員にかかる指標について、機構の業務の質・内容にも関係する観点から、専門家等の人材についても検討できないか。
○プロジェクト評価と組織評価の関係については高い関心があり、今後の機構の取組についても当委員会への情報提供をしてほしい。環境配慮ガイドラインについては、JBICとの統合後もさらによいガイドラインに発展させて欲しい。統合関連の取組についても、一般市民からも理解が得られるような分かりやすい評価指標を設定していただきたい。
●JBICとの統合後の中期計画について、外務省、JBICとの間で検討を開始したところ。環境配慮ガイドラインについても、JBICとともに作業を進めている。
●プログラム化によるアウトカムの評価について、全ての被援助国一律に評価し、情報提供することは難しいが、何らかのイメージを掴んでいただけるよう工夫したい。人員にかかる指標については、予算削減の中で、案件の小規模化が進んでいる一方で、人件費等間接コストの配分をどうするか、総量規制等を行えるかといった問題意識を有している。
○個別の事業評価も重要だが、独法の評価としては、内部体制、指揮命令系統の適切さなどを評価すべきではないか。
最後に、南委員長より、基金案については、原案通りに決定することとし、機構案については、本日の委員コメントも踏まえ、機構にて再検討し、業務実績説明会までに各委員に改訂案を示すよう求めた。
(5)議題3に関し、独立行政法人整理合理化計画のその後の経過について、八重樫考査・政策評価官より、昨年12月の独立行政法人整理合理化計画の閣議決定後の通則法他の改正作業の進捗状況を概略説明した。
(6)議題4に関し、八重樫考査・政策評価官及び機構より、前回委員会(昨年12月25日)で審議された国際協力機構役員の退職金に係る業績勘案率(1.0で算定し、政独委に通知済み)につき、総務省政独委の方から、当委員会が退職役員の業績を決定するに当たり、会計検査院から指摘を受けていた国際協力機構の事業をめぐるPCI社関連不正経理問題を勘案したのかとの照会があったので、本委員会で本案件を補足説明させて頂きたいと述べた。これを受け、佐渡島機構総務部長より説明があった。
その後委員との間で行われた主なやり取りは以下のとおり(○委員から出された質問・意見、●は事務局・独法からの回答・コメント)。
○3名は、当時JICAにおいて何らかの処分を受けているのか。
○会計検査院による検査を受けたPCI社の事案を考慮して検討したかどうかについて、昨年12月の本委員会で3名の業績勘案率を決定する際の機構からの説明には含まれておらず、特に考慮に入れて検討したものではない。機構の監査報告の中でも3名の監督責任を問うべきとは書かれていなかった。PCI社の不正請求にだまされて機構は支払ったということか。
●機構の監督責任は問われていない。PCI社の請求額は、契約金額の範囲内にあった。また、当時の制度で現地での再委託契約について書類審査を行っていたが、手続き上瑕疵はなかった。
○PCI社の事案について説明を受けてもなお、業績勘案率を1.0とするためには、政独委を説得するに足る積極的な理由が必要だと考える。
○会計検査院の指摘ではなく、内部監査により事案が発覚したのであれば、監督責任を果したと言えるのではないか。
○業績勘案率にPCI社の事案を反映させるためには、より詳細な情報が必要である。今の情報に基づき、この場で判断することは困難である。また、業績勘案率を上げることについては議論せず、下げることのみ考慮するのは不公平でもある。総合的に判断することが必要である。
○詳細につきもっと調査しなければ判断できないということを前提としつつも、これまで得た情報の限りで結論を出すのであれば、前回と同じ1.0でよいと考える。なぜなら、当時の機構において、外部による不正を防ぐための制度的欠陥があったとは言えないこと、また相当注意したにしても看破することはできなかったと考えられること、また機構側には不正はなかったからである。もし、3名の業績勘案率を修正するのであれば、問題が発覚した当時、機構において役職員の処分がなされていないことをどのように考えるか。
以上を受け、委員長より、外務省にて本日の議論を踏まえた対応案を策定し、各委員に諮るよう指示した。その後、事務局より更なる補足説明を委員長、分科会長に行い、その了解・指示の下、上記委員会出席委員に対し個別に説明した結果、PCI社関連の不正経理問題があったとしても下記の理由により昨年12月25日の決定どおり当該役員の業績勘案率を1.0とする結論となった。
(イ)現地再委託の手続きにおいて、PCI社以外には不正事案は発生しておらず、その限りにおいては、当時の契約制度に欠陥があったとは考えにくいこと。
(ロ)本件は、参議院決算委員会による平成15年度決算審査措置要求決議にあるとおり、「開発コンサルタント会社(=PCI社)の不祥事」であり、機構役職員が不正行為を行ったものではないこと。
(ハ)最初の不祥事発覚の後、JICAはPCI社に対する措置及び同種事案の再発防止策のための対策の検討・実施を迅速に行ったこと。
(7)最後に、八重樫考査・政策評価官及び国際協力局出席者より、今後のスケジュールについて説明を行った後、南委員長が閉会を宣言した。