
第16回外務省独立行政法人評価委員会議事概要
1.日時
平成19年8月31日(金曜日)16時30分から17時30分
2.出席者
(委員)
南直哉委員長、東田親司国際交流基金分科会長、井口武雄国際協力機構分科会長、縣公一郎、伊藤るり、上野田鶴子、浦田秀次郎、川上照男、建畠晢、手納美枝、西尾隆、榛木恵子、渡邉紹裕の各委員及び入江容子臨時委員
(外務省)
別所国際協力局長、廣木国際協力局審議官、上村国際協力局政策課長、石兼国際協力局長補佐、藤原考査・政策評価官、中井文化交流課長他
(国際交流基金)
久枝基金統括役、柳澤企画評価部長、田口経理部長
(国際協力機構)
黒木理事、佐渡島総務部長、大部企画・調整部長
3.議題
(1)国際交流基金
(イ)平成18年度業務実績評価
(ロ)第1期中期目標期間に係る業務実績に係る業務実績評価
(2)国際協力機構
(イ)平成18年度業務実績評価
(ロ)第1期中期目標期間に係る業務実績に係る業務実績評価
(3)事務局からの連絡事項
4.議事概要
(1)冒頭、南委員長から、今次会合では、平成18年度の業務実績評価及び第1期中期目標期間中の評価についての各分科会での審議結果について、国際交流基金及び国際協力機構の順番で検討することとしたい旨発言し、上記議題に基づく議事進行につき委員各位の了承を得た。
(2)議題に入り、東田国際交流基金分科会長から、(イ)平成18年度の国際交流基金の業務実績評価案及び(ロ)第1期中期目標期間の評価案について、席上配付の評価案をもとに概要次のとおりの報告がなされ、業務実績評価及び第1期中期目標期間の評価の双方について、分科会の取りまとめどおり決定された。
(イ)平成18年度の国際交流基金の業務実績評価案
○31項目の小項目の評定結果は、Sが1項目、Aが26項目、Bが1項目、対象外が3項目であった。20項目の中項目の評定結果は、Aが16項目、Bが1項目、対象外が3項目であった。
○総合評価の主なポイント(6項目)
- 中期計画期間における業務運営効率化などに関する数値目標を達成するとともに、事業内容についても外部専門家、裨益者、在外公館等から良好な評価を得ており、総じて中期計画の実施状況は順調であったといえる。
- 特に、組織設立以来はじめての人事制度改革を実施し、人事評価制度と連動した人事・給与システムへの移行により、職員の意識改革、組織の活性化を図るとともに、今後の人件費の削減も目指している。
- 事業面においては、日本語事業において、日本語能力試験の受験者数が前年比24%増加するとともに、受験料の国内還元額も大幅に増額し、自己収入の増加にも貢献した。さらに、米国のAP制度(大学入学資格コース)への日本語導入、若者向け新映像教材の開発、民間資金導入など成果が見られた。
- 今後は、次期中期計画を達成するために、更なる業務の合理化、効率化に取り組むとともに、事業の不断の見直しを継続する必要がある。
- また、新人事制度のもとで、人事評価制度の定着と効果を評価していく必要があり、人件費は引き続きラスパイレス指数の国家公務員との差への対応の必要がある。
- 附属機関の施設稼働率向上と運営効率化については、さらなる努力が求められる。
(ロ)第1期中期目標期間の評価案
○20項目の中項目の評定結果は、Aが17項目、対象外が3項目であった。
○なお、8月14日付読売新聞記事において、国際交流基金の海外事務所の一部が内規で定められたとおりの定期報告を怠っていたとの報道に関し、本評価案において海外事務所を取り上げた「その他」の項目の「評定の決定理由及び指摘事項等」において、本件が評価には影響しないことが認められるとともに、報告の負担軽減を図るため関連する内規改正もすでになされている旨言及することとなった。
○総合評価の主なポイント(6項目)
- 総じて、第1期中期目標期間における業務実績は、組織機構、事業内容編成及び人事給与制度について順次改革を行い、特殊法人期からの組織と業務のあり方の見直しを進めた他、中期目標・中期計画の達成に向けた取り組みを着実に行い、事業の重点化ならびに業務の効率化を行ったことから、全体として順調に達成したと評価される。
- 特に、平成16年に機構改革を実施し、事業部門を3グループに再編するとともに、新たに情報提供サービス部門を設置した。また、18年度に組織設立以来はじめての人事制度改革を実施し、人事評価制度と連動した人事・給与システムへの移行により、職員の意識改革、組織の活性化を図った。
- また、業務運営の効率化について、一般管理費及び運営費交付金にかかる業務経費の削減に関し、中期目標で定められた節減の諸目標は達成された。
- また、業務の質の向上について、特にプログラム数の削減については、中期目標期間中に、当初目標を大幅に超える事業プログラム数の徹底した削減が行われ(平成14年度:223⇒平成18年度:82)、事業の重点化が積極的に進められた。
- さらに、外交上の必要性に即した事業実施という基本方針を、各年度の事業計画策定や事後評価等において定着させ、事業の重点化を図る等中期計画で定めた目標は達成された。
- 他方、組織機構、事業編成及び人事評価制度の改革等が、どのような具体的成果をもたらすかは、今後の評価を待たなければならない部分がある。そのため、基金がさらに自らの組織や業務の見直しと向上、効率化を進め、今後さらに社会の期待に応えていくことを期待する。
○なお、この総合評価の最後の部分に、当委員会として、文化交流の重要性の一層の増大とその中での今後の基金のあり方や政策についての意見の案を、特に『III.追記』として付することとしたいと考えている。
(3)南委員長からの求めに応じ、国際交流基金出席者より概略次の通り発言した。
○平成18年度業務実績評価及び第1期中期目標期間の評価に関し、各評価委員から積極的かつ有意義な議論を頂いたことに対し謝意を表明したい。
○頂戴した意見を今後の業務にフィードバックしていくとともに、第1期中期期間同様、今後も様々な改革に取り組んでいきたい。
○独法の整理合理化計画をはじめ、独法を巡る情勢は厳しいが、国際交流基金やJICAは我が国の長期的国益にとって重要な役割を担っている。効率化には努力しつつ、また、業務にあたり役職員は一層身を引き締めつつも、基金のミッションの本質的な重要性は訴えていきたい。
(4)次に、井口国際協力機構分科会長から、(イ)平成18年度の国際協力機構の業務実績評価案及び(ロ)第1期中期目標期間の評価案について、席上配付の評価案をもとに概要次のとおりの報告がなされ、業務実績評価については、分科会の取りまとめどおりに、また、第1期中期目標期間の評価についても、「III.追記」の内容を分科会長及び委員長に一任することとした点を含め、分科会の取りまとめどおり決定された。
(イ)平成18年度の国際協力機構の業務実績評価案
○34の小項目の評定についての分科会の結論は、Sが4項目、Aが27項目、対象外が3項目であった。18の中項目の評定については、Sが3項目、Aが13項目、対象外が2項目であった。中項目No.2は、小項目の評定でAが2項目、Sが1項目となっており、中項目の評定はAとした。
○総合評価の主なポイント(6項目)
- 全般的評価に関し、平成18年度は平成16年度までに打ち出した「JICA改革プラン」に沿って引き続き改革に精力的に取り組み、またこれまでの評価で指摘された諸点に関して改善に向けた取組を実施し、実績も上がっているといえる。特に、中期計画において数値目標が設定されている項目について、中期目標期間終了を待たずして目標値を達成している。
- 「JICA改革プラン」については、「現場主義」の視点に基づき、当初計画どおり、約200人の在外シフトを実施した。さらに、「改革の総仕上げ」として自ら改革の点検を行い、改善に向けた具体的な方策を取りまとめた。また、改革プラン第2弾として、国内事業改革や国内機関の再編も進め、特に市民参加協力事業の拠点となる「JICA地球ひろば」(所在地:広尾)を開設し、18年度の利用者数は、約66,500人となった。
- 「業務の質の向上」においては、中期計画に基づく取組を着実に進めたと言える。とりわけ、ジャワ中部地震災害においては、地震発生後に速やかに医療チームを派遣し、1,200名に対する診療サービスを行った。更なる迅速性の向上のためにチャーター便を利用可能にするなど、緊急時以外の取組も特筆に値すると言える。
- 今後対応が必要な点として、例示的にあげれば、現場主義については、在外強化の効果を確実に発現することが重要。そのため、その効果について、本評価委員会をはじめ、外部に対してわかりやすい説明をする必要がある。
- 関連公益法人への随意契約については、競争性のある契約にするとの方針を着実に実行し、その移行計画や実施状況を第三者が客観的に検証できるようにする必要がある。
- 開発教育支援については、取組の結果としてもたらされる教育効果を明らかにし、国際協力に関わる人材育成や国民の関心の向上などの面からも、本評価委員をはじめ、外部にわかりやすく説明することが重要。
(ロ)第1期中期目標期間の評価案
○18の中項目の評定につき、Sが4項目、A項目が12項目、対象外が2項目であった。
○総合評価の主なポイント(8項目)
- 総じて、第1期中期目標期間における業務実績は、緒方理事長のリーダーシップにより打ち出された「JICA改革プラン」に沿って、中期目標・中期計画の達成に向けた取組を着実に行なうとともに、更なる自己改革を進めるとの方針の下、精力的に進められた。この結果、中期計画で定めた目標は、数値目標が設定されている項目を含めすべて達成されたほか、早期に目標を達成したものについても、さらに努力が継続されたことは高く評価できる。
- JICAは、組織・業務全般にわたる改革を進めたが、特に開発途上国からの多様化するニーズに的確かつ迅速に対応するために不可欠と位置づけた「現場主義」を具現化する手段として、在外体制強化の大胆な取組を敢行した。
- この改革の進展により、事業面では、戦略性の強化、プログラム化による開発課題への総合的なアプローチの強化が進んだほか、現場での案件形成機能の強化が業務に反映されている。また、案件形成までの所要時間の短縮や組織運営、事務手続き面での見直し、改善も進められた。
- 更に、国内機関の再編についても機能と配置の見直しを行い、改組によりJICA地球ひろばを開所し、JICA八王子は閉鎖するなどの再編を行なった。
- これらに加え、事業運営の効率化については、主要な投入単位あたり経費の効率化及び本部管理費の効率化について全ての項目において数値目標を達成するとともに、目標期間中に目標を達成した項目については、努力継続して維持・向上に繋げた。
- 一方、業務の質の向上についても、研修員受入事業などの充実について、中期計画で定めた目標を上回る取組を進めるなど実績を上げている。
- JICAは、来年10月に技術協力、有償資金協力、無償資金協力を一元的に担う実施機関となる。新JICA発足に向けて、既に各種作業が行われていると聞いているが、新JICAへの移行をスムーズに行うためにも、各種取組については今後一層の成果を期待したい。
- 国際交流基金同様、総合評価において、「III.追記」を設け、その内容について集中的に議論を行った。即ち、JICAのこれまでの経費節減、合理化に向けた努力を高く評価し、今後ともこのような努力を継続していくことを前提に、JICAを取り巻く環境をも考慮しつつ、独法一律の効率化が、JICAがその役割を十分に果たすことにつながるのかどうかについて種々議論し、出された意見を踏まえ、委員長とともに、「III.追記」の内容、構成、表現ぶりについて然るべく修文することとなった。
(5)南委員長からの求めに応じ、国際協力機構出席者より概略次の通り発言した。
○平成18年度業務実績評価及び第1期中期目標期間の評価に関し、各評価委員から適切かつ詳細な評価を頂いたこと、特にJICA改革の実施に努めた点に高い評価をいただいたことに対し謝意を表明したい。
○第1期中期目標期間の評価の総合評価「III.追記」において、単なる効率化や経費節減の推進のみならず、JICAの担う外交上の重要な役割にも配慮すべきであるとの言及をして頂き、励ましとともにより一層の努力を期待されたが、今回の評価結果については、JICA内部で情報を共有し、今後もフォローしていきたい。
○来年10月、新JICAとなり、その際には中期計画を見直すこととなるが、引き続き独法としては活動していくので、これまでの努力は継続する所存。
(6)今次評価作業の締め括りにあたり、南委員長から、平成18年度業務実績評価及び第1期中期目標期間の評価に関し、「委員長所見」(席上配付資料)という形でとりまとめ、発表する旨発言があった。
(委員から出された一部修辞上の修正要請については、これを反映した)
(7)別所国際協力局長から、両独法を所管する国際協力局及び広報文化交流部を代表して、評価委員からの有意義な指摘事項や激励に謝意を表明したいとした上で、独法が本委員会の報告を真摯に受け止めたいとしていることは正にその通りである、同時に外交の一環を担っている両独法の所管官庁(パートナー)として両独法がその役割を十分果たすために、外務省としてもパートナーシップを発揮する必要があるので、頂いた意見は我が身のこととして受け止めていきたい旨発言した。
(8)最後に、南委員長から、多岐に及ぶ議論における各委員の積極的な参加に謝意を表明するとともに、本日付で委員を退任される東田委員及び西尾委員に対し改めて感謝の意を表した。その後、藤原考査・政策評価官から連絡事項の説明があり、委員長が閉会を宣言した。