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第15回外務省独立行政法人評価委員会議事概要

1.日時

平成19年3月26日(月曜日) 14時01分から15時14分

2.出席者

(委員)
南直哉委員長、井口武雄国際協力機構分科会長、東田親司国際交流基金分科会長、縣公一郎、建畠晢、西尾隆、榛木恵子、渡邉紹裕の各委員

(外務省)
別所国際協力局長、深田国際協力局審議官、山本広報文化交流部長、藤原考査・政策評価官、中井文化交流課長、上村国際協力局政策課長、和田無償資金・技術協力課長他

(国際交流基金)
久枝統括役、柳澤企画評価部長、田口経理部長

(国際協力機構)
黒木理事、粗総務部長、大部企画・調整部長

3.議題

(1)「中期目標」事業評価および平成19年度日程について
  (イ)「中期目標」事業評価の具体的方法について
  (ロ)平成19年度評価委員会日程について

(2)報告事項(「次期中期計画」等について)
  (イ)国際交流基金(以下、「基金」)
  (ロ)国際協力機構(以下、「機構」または「JICA」)

(3)経済協力を巡る動き
  国際協力に関する有識者会議について

(4)ラオス・タイの視察報告

4.議事概要

(1)冒頭、南委員長による開会の挨拶に引き続き、上記議題に基づく議事進行につき委員各位の了承を得た。

(2)議題1に入り、藤原考査・政策評価官より「中期目標評価」の具体的方法について、次のとおり発言した。

1)これまでの「事業年度評価」の方法及び「中期目標評価」の項目別評定や総合評価の方法等基本的考え方(中期目標に定められた項目ごとに評定項目を設定し、5段階評定を行う等)について説明。

2)「中期目標評価」の具体的方法について、委員会において決定する必要があるが、原則「事業年度評価」方式と同様の方式に基づいて行うこととしたい。

3)具体的な日程等については、8月上旬に各分科会と全体会合を開催して評価を確定することを目指し、右に向けて、5月上旬に意見交換会、6月上旬に各法人による業務実績説明会、7月に第1回目の分科会を開催する方向で検討したい。
 これを受けて、南委員長より、日程等詳細については、各法人の作業状況も踏まえつつ、委員長及び分科会長に一任いただき、事務局側と協議して決定することとしたい旨発言し、委員各位の承認を得た。

 質疑応答、主なやりとりは以下のとおり(○は委員から出された質問・意見、●は事務局側回答)。

○これまで実施してきた事業年度評価の結果を中期目標評価においてどのように扱う方針か。過去およそ4年を項目別に何らかの評価をして、最終年度評価をつけて中期目標評価として扱うのか、あるいは全部を通して再度評価するという過去の評価とは別個の考え方をとるのか。

●18年度は18年度としてこれまでどおりの事業評価を行う。同時に、中期目標については別個に、第一期の中期目標期間にその中期目標に照らしてどうであったかという判定で、中期目標評価を行う。各事業年度評価を積み重ねてゆくと相当の分量となるがそのような分厚いものをつくるのではなく、通しで見た場合の独自の概要的なものを評価して頂くことになると考える。

○その場合には、各年度で行った評価を全体評価でどうやって担保するかということが問題となろう。15年度の評価が16年度にきちんとフィードバックされていて、その結果、16年度の評価が出されたというような体系性があるか。

●技術的な点も含め、総務省等の見解をも参考にしつつ決めたい。
(南委員長よりも、「各年度におけるPDCAプロセスを如何に捉えるかという問題。最終的にはひとつのものに集約してゆくかもしれないが、いずれにせよ、総務省の見解等をも参考にし、詳細については今後詰めてゆきたい」旨発言。)

(3)議題2の「次期中期計画」について、南委員長より概要次のとおり報告があった。

1)前回(3月5日)会合における議論等を踏まえ、その後、関係省庁との協議を経て財務省を含む各省との最終協議が終了。右協議の結果、両法人とも大きな変更点はなく、合意がなされた。

2)右報告を踏まえ、(前回会合にて一任を受けていた)委員長及び両分科会長の了承の下、委員会として外務大臣に対し、「両法人の中期計画について適当である」とする意見書を提出した。

3)その後、外務大臣より両法人に対し、通則法第30条第1項に基づく「認可」が行われた。

 質疑応答、主なやりとりは以下のとおり(○は委員から出された質問・意見、●は事務局及び独法側回答)

○基金の予算別表中における、交付金の算定ルールとしてある、政策係数及び特定業務経費の根拠を示して欲しい。

●平成19年度・交付金の算定については、既に昨年の秋から財務省と協議して内示・決定頂いた結果を記載。特殊業務経費というのは、1年限りの予算として、また、政策係数の方は、継続的に必要な予算として認められたもの。具体的な事業として認められたのは、モスクワの新しい事務所・日本文化センター関連予算及び日本語強化予算等。

○毎年この算定ルールが認められてきたのか。あるいは、19年度予算で初めてこの算定方式が作られたものか。

●算定ルールそのものは第1期のものを踏襲。また、右に基づいて、毎年度財政当局と交付金予算が決定され、この時点では平成19年度予算がこのように認められたということ。また、これが20年度以降の予算に反映されていくということでここに記載。

○15年度からの毎年度の経年的数値を把握することは可能か。

●可能であり、追って、お知らせしたい。

(4)議題3として、3月5日に麻生外務大臣の諮問機関として新設された「国際協力に関する有識者会議」について、第1回会議の議事・要旨(右有識者会議に議論していただく事項、委員の顔ぶれ、議事運営方法、開催頻度、議事の情報公開等)を中心に、別所国際協力局長より説明を行った。

(5)議題4として、ラオス及びタイへの視察・報告

 南委員長より、井口分科会長を含む4名の委員が今般3月15日から21日、ラオス及びタイを訪問し、基金及び機構の現地業務を視察、関係者との意見交換等を実施した旨報告。
 次いで、藤原評価官より事務局作成の報告書に基づき、視察の概要を説明した。
 続いて、出席している視察参加委員2名より所感の報告があったところ、概要次のとおり。

(イ)井口分科会長:全体的感想はこれからまとめる予定であるが、感覚的な印象を述べると、

1)ラオスは3点、人がいない、車が少ない、金がない、との印象。ラオスは国家予算の半分が各国からの援助であり、日本からの援助であることを表す「日の丸」も豊富に見かけた。人材開発センターでは日本語コース、ビジネスコースの他、ラオス舞踊、日本の華道といった文化交流活動も行われ、日本の技術、経験等を一括して統合的に提供しており、ラオスのような開発の進んでいない国に対する協力としては有効。また、キッズスマイルプロジェクトや協力隊の活動の視察を通じて、国民生活の基礎となる保健衛生の重要性を再認識した。また、青年海外協力隊の情熱とパワーに感心した。

2)タイは、(ラオスとは対照的に)人があふれ、車も渋滞、経済的にも豊かとの印象。印象的だったものとしては、日本語教育・指導者の育成について、中等学校の教員を対象とするトレーナーズ・トレーニングの重要性を認識した。ただ、基金とJICAによる日本語教育の違いについては、専門家からみれば目的、方法、対象が異なることは理解できても、国民の目から見て分かりにくいのではないか。国家計量標準機関への支援は、長さ、重さ等の計量標準を持つかどうかでその国の企業の競争力に決定的な差がつくが、そうした分野に日本が協力を行っていることに感心した。また、有償資金協力と技術協力をうまく組合わせてやっており、新JICAではこのような連携がさらに推進されることを期待したい。

3)現地で一生懸命やっている関係者の達成感や相手国民の感謝の気持ちに感銘を受けたが、国内にもそのことが伝わるようにすることが重要。

(ロ)榛木委員:全体的所感を何点か述べたい。先ず、目的等について関係者との間で事前に十分に話合う機会がなかったことが気がかりではあったが、短い期間に多くの案件を他の委員と一緒に視察でき、途上国の国づくり、人づくりに関し、何が変わりどのようなインパクトがあったのかを評価したいという各委員の意向を理解することができた。また、JICA、基金の現場を見て、報告書、HP等々では分からなかった本当の姿を間近に見られ、現場のリアリティーをもって理解できたことは、委員として、今後の評価のために活かせる大きなものを得られた。
 JICAの人材育成に関しても、ラオス、タイともに、現地スタッフのエンパワーメントに配慮しており、また、机を並べて一体感を持って執務する等の工夫を行っていた。
 また、JICA、基金のプログラムはそれぞれ異なるものであるが、双方ともに協調して二国間の国際協力を推進している。国の政策に影響を与えているプログラムもあり、業務運営の効率化だけを見るのではなくて、本当にその中で活かされているものをより良く評価してゆく方法が必要ではないか。
 青年海外協力隊や専門家は、40年以上の歴史の中で、本当に沢山の方々が途上国で悩みながら、異なる文化や価値観に戸惑いながら活動した経験を財産として積み上げてきており、これらの財産を今後どのように活かしていくのか、また、国際協力に従事したいという若い人々が増えている現在の日本社会にどういう影響を与えてゆくべきかということも、JICAには求められている。これらのことがより良い国際協力を推進していく上でのポイントとなるのではないか。
 ナムグム水力発電所というODAならではのインフラ支援の例を視察し、さすがに国の国際協力でないとできないプログラムとの印象であった。また、技術者との意見交換の中でも、現地の人々と協力し、長い年月の間事故なく運営してきた点等、援助に携わる技術者の方々の意気込みというものが感じられた。こうしたこともインフラ整備の中では重要な点ではないか。
 なお、多少残念だった点を2点あげれば、ひとつは、国連、政府機関、NGO及びJICA、基金の方々が一緒になって意見交換する場があれば、JICAに求められるものや役割というものが聞けて、さらに良かったのではないか。もう一つは、(時間の問題もあったが)農村部の貧困の問題をこの目で間近に体験する機会がもてなかったことが多少心残りであった。いずれにせよ、これらの経験を今後の評価に活かしていきたい。

 質疑応答、主なやりとりは以下のとおり(○は委員から出された質問・意見、●は事務局側回答)

○今後これらの委員の報告・リポートや経験がどのように活かされてゆくのか。お考えがあれば伺いたい。

○委員と幅広い関係者の間での意見交換の場がもてれば良いのではないか。

●5月の会合等でフリー・ディスカッションの機会やいろいろと率直な意見交換の場等を設けていきたい。

 最後に、南委員長より、「評価委員会としてはその本来の役割である独立行政法人評価のプロセスの中で、今のようなご意見・お考えを評価の中に織り込んでゆくことが必要である、また、現地の達成感や感謝の気持ちが日本国内に十分伝わっていない点について、ベトナム・インドネシア視察の所感で触れたとおり、全く同感であり、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会も含め国内で共有する方策を検討してほしい。基金及びJICAは国民の理解を得ながら、より効果的に事業を進めてほしい」旨述べた。

(6)最後に、今後の日程等についての説明及び連絡事項があり、南委員長からは、新年度は更に忙しくなるが、今後とも評価委員会として、両独立行政法人が更なる発展を遂げて成果を上げるために、委員各位の変わらぬ御協力をお願いしたい旨言及し、また、長時間にわたる審議及び貴重な指摘や発言を頂いたことへの謝意を表明して、閉会を宣言した。

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