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第14回外務省独立行政法人評価委員会議事概要

1.日時

平成19年3月5日(月曜日) 13時04分から14時59分

2.出席者

(委員)
南直哉委員長、井口武雄国際協力機構分科会長、建畠晢国際交流基金分科会長代理、縣公一郎、伊奈久喜、上野田鶴子、川上照男、西尾隆、榛木恵子、渡邉紹裕の各委員

(外務省)
深田国際協力局審議官、谷口広報文化交流部参事官、藤原考査・政策評価官、中井文化交流課長、和田無償資金・技術協力課長他

(国際交流基金)
久枝統括役、柳澤企画評価部長、田口経理部長

(国際協力機構)
黒木理事、粗総務部長

3.議題

(1)国際交流基金の退職役員1名の業績勘案率

(2)次期中期目標について(報告)
  (イ)国際交流基金
  (ロ)国際協力機構

(3)次期中期計画(案)について
  (イ)国際交流基金
  (ロ)国際協力機構

(4)ベトナム及びインドネシアの視察報告

4.議事概要

(1)冒頭、南委員長による開会の挨拶に引き続き、上記議題に基づく議事進行につき委員各位の了承を得た。

(2)議題に入り、国際交流基金(以下「基金」)より、平成18年12月に退職した役員(1名)の業績について説明が行われ、藤原考査・政策評価官から、「外務省所管独立行政法人の役員の退職に係る業績勘案率の決定方法について」を含む業績勘案率の決定方法に基づき各年度の独立行政法人評価の結果から機械的に算出した場合の同理事の業績勘案率は1.2となるが、総務省の「審議会」が決定した「役員退職金に関わる業績勘案率の方針」及び基金が改革の途次にあること等を踏まえて検討した結果、標準の業績勘案率である1.0を提示したとの説明があった。これを受けて審議が行われ、同理事の業績勘案率(案)を1.0とすることが最終的に了承された。
(本件は、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会(以下「政独委」)に通知し、政独委から意見が出た場合には改めて本評価委員会に諮るが、特段の意見がなかった場合には、当委員会の最終決定として取り扱う旨確認し、了承を得た。)

(3)次いで議題2として、藤原評価官より、前回会合(1月19日)以降これまでの動きについて概要以下の通り説明した。

1)前回(1月19日)会合において、外務省が提示した当初案に対する委員各位の意見を踏まえ、次期中期目標の取りまとめを南委員長及び国際交流基金分科会の東田分科会長及び国際協力機構分科会の井口分科会長の3名に一任することで委員各位の了承を得たこと。

2)その後、国際交流基金、国際協力機構(以下「機構」)双方とも関係省庁との協議等を経て、2月26日、総務省政独委(独法分科会)において審議。外務省の2法人に対しては特段の意見は出なかったこと。

3)右経緯を踏まえ、委員長及び両分科会長の了承を得、評価委員会として、主務大臣(外務大臣)に対し、両法人の中期目標について適当である旨の意見書を提出したこと。

 その後、担当部局より、各中期目標のポイント(修正点)等の報告があり、質疑応答がなされた。

 主なやりとりは以下のとおり(○は委員から出された質問・意見、●は事務局側回答)。

○機構は国内機関と随意契約について、第三者の参画を得て検証するとあるが、具体的にどのような人を想定しているのか。

●機構内に設置済の業績評価委員会に外部有識者が参加しており、その活用も含め、屋上屋でない形の第三者のチェックを考えたい。
(なお、南委員長より、検証と評価というのは同じ委員会がやれないのか、独法制度では政独委による二次評価の仕組みも確立しているため、できるだけ屋上屋を重ねない方向で検討すべき旨コメントがあった。)

(4)続いて議題3として、次期中期目標に基づいて作成された国際交流基金及び国際協力機構の次期中期計画(案)について、各法人より説明がなされた。

(イ)基金
 本計画策定に当たっての基金の考え方は、まず昨年12月の政府の見直し案を始め、行革推進法、総人件費改革等一連の独法の見直しの枠組みを反映すること(特に義務的削減の部分)。次に、中期目標の新たな政策的要請や期待に対し、基金の体力や行革関連の様々な制約の下でどのように答えていくか等の点に配慮したこと。また、政府の大きな見直し、政策的な期待を反映する各論を受けとめつつ、なおかつ基金に投入される交付金という財源は必ず減るという状況の中、例えば稼働率のような成果を引き続き向上させなければならないという至難の目標に取り組むため、内部の創意工夫や改革努力をより引き出せるような中期計画を目指した。
 内容的には、目標と対応する形で一般管理費の5年間での15%削減、総人件費改革、18年度から5年間で5%以上、業務経費は毎事業年度1.2%以上の削減、随意契約の見直し案に沿った形の直し案等、及び各項目毎の外務省見直し案を踏まえた重点化を図ったこと等。

(ロ)機構
 次期中期計画案として特徴的なものを中心に説明(組織運営における機動性の向上、在外の強化、予算の執行管理の強化、随意契約の見直し等)。

 主なやりとりは以下のとおり(○は委員から出された質問・意見、●は事務局及び独法の回答)

○基金の「市場化テストの実施を含め」とあるのは一般論か、あるいは現段階で何か具体的な対象を想定しているのか。

●日本語事業の一部について内閣府の議論を受けて必要に応じ、適切な形で取り組んでいくとの趣旨で記載。 文化芸術の分野では、国内における外国映画祭を想定。

○基金及び機構両法人の文章ともに、官僚的言い回しが多いが、独法においては、官僚表現・カルチャーを意識的に排除することが必要かつ期待されているのではないか。

●ご指摘を踏まえ対応を検討したい。

○機構について、行革推進法に基づく人件費の削減は、職員数は据え置き総人件費を5%削減するということか。

●ここで言う人件費は、常勤職員の人件費を指す。行革推進法により、18年度から5年間を通じた削減を行うこととなるが、20年度に有償資金協力及び無償資金協力という新たな業務が付け加わり、それに伴う新たな要員が加わることになる。但し、その要員についても効率化の対象とするという整理であり、業務が付け加わった時には、それに必要な要員も来ることを前提とするものと理解。

○両法人とも予算、収支、資金計画について、別表が付されていないが、評価委員会では審議しないのか。

●別表については、財務省と協議中であり、確定していないため含めていないが、今後修正があり得るものとして提示することは可能。

○機構の「案件の形成に積極的に努める」から「案件の形成を積極的に支援する」に変えた理由は何か。

●各省協議で、案件の形成の主体は相手国政府であり、機構はこれを支援する、との意見が出された。その限りにおいて機構としても立場は変わらないため修正した。

 南委員長より、追加の質問意見は別途事務局宛に提出するよう依頼するとともに、そのとりまとめについては、南委員長と両分科会の東田分科会長及び井口分科会長に一任頂く(結果は、次回会合において御報告)ことで委員各位の了承を得た。

(5)議題4、ベトナム、インドネシアへの視察報告

 南委員長より、委員長を含めた4名の委員が2月4日から11日、ベトナム及びインドネシアを訪問し、国際交流基金及び国際協力機構の事業を視察するとともに、関係者との意見交換を実施した旨報告。
 その後、参加した各委員より、概要以下の通り報告があった。

(イ)上野委員:違った国情、日本との交流の歴史も背景も異なる国での日本語普及や機構の医療・交通に関する技術協力、円借款、無償資金協力等の現場を見たが、日本が行っている支援を一律に評価することは難しいという実感を持った。それでも、改めて「百聞は一見にしかず」の言葉どおり良い経験であった。
 更に、国際交流基金と機構の両方の現場を見て、最終的に、オールジャパンの姿勢が非常に重要であると思った。

(ロ)伊奈委員:機構の活動、特に青年海外協力隊の活動について、よく「顔の見える援助」と言うが、確かに現地に対して顔が見えているが、日本国内には必ずしも見えていない。国内に顔が見えるよういろいろと知恵を絞る必要があるという印象を抱いた。

(ハ)西尾委員:ハノイのみであったが、有意義な視察であった。現場を全く見ずに評価委員会を東京の会議室で数字や文字のみを見ながら行うということは、やはり問題があるのではないか。総合的な判断をするためにもこういう機会は必要だと感じた。機構については、緒方理事長の下進められている「現場主義」の実態を確認・検証するという観点からの視察ができた。
 また、ハードについては評価しやすいが、ソフト面をどう評価するかというのが大きな課題。ベトナムの医療分野に関しては、ハードとソフトが非常に有機的に連携し合いながら、技術協力の成果が定着していると感じた。
 更に、評価の視点で言えば、どれだけお金を投入したか、人を投入したかではなくて、やはりアウトカムの観点で評価されるのが一つの流れであろう。その意味で、ベトナム全体の経済成長等も見ることが必要かつ有効だろうと思った。
 同時に、今の日本政府の財政事情等を勘案すると、(私は必ずしも賛成しないけれど、)経済性を求め、どれだけコスト削減できるかの視点はこれからも続くのではないか。

(ニ)南委員長:報告書には書き切れなかった点を補足すると、現場で働いている様々な人達の一生懸命さ、或いは情熱という日本の優れているところが今でも脈々と息づいていて、国内に比べて大分違うという感じがした。同時に、一緒に仕事をしている現地の方々達の貧しいなりにも非常に綺麗な笑顔とか白い歯というのが非常に印象的であった。とりわけ次世代を担う子供を大切にするというのが、特にインドネシアあたりではひしひしと感じられた。また、東南アジア地域においては、韓国、中国等が大変な勢いで力を入れており、外交戦略、特に日本語教育等において、戦後数十年の累積と歴史を持つ日本にとって替わる程である。政府開発援助(以下「ODA」)の問題を超えて、外交戦略として、日本はこのままでいいのかという感を強めた。その点、現在現地におられる人達は日本のアイデンティティーというものを現地に対して示しているが、これを今後どう持続し、更に発展させるかということが問題であろう。
 更に、例えば様々なODAの手法、無償資金協力、技術協力、協力隊も含めたボランティア、その他、連携がそれなりにうまくかみ合ってフォローアップされて、30~40年続いているプロジェクトもあるが、効率性を更に追求するという点では、やはりまだまだではないかという感じ。形式主義とは言わないまでも、外交面での日本の存在感を示すために、個人的にはODAにもっと重点的に(むしろ他の予算をシフトするぐらい)予算を増やすべきと考えている。そのためにも、もう一段も二段も効率性を追求する努力が必要ではないか。
 最後に、日本は、現場の最前線では非常に良い仕事をしていることを、関係者はよく知っているが、一般国民、市民には十分に伝わっていない。広報の重要性を改めて感じた。

(6)最後に、次回会合を3月26日に予定している等の連絡事項があり、南委員長からは、今後とも評価委員会として、両独立行政法人が更なる発展を遂げて成果を上げるため、委員各位の変わらぬ御協力をお願いしたい旨言及するとともに、長時間にわたる審議及び貴重な指摘や発言を頂いたことへの謝意を表明して、閉会を宣言した。

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