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第12回外務省独立行政法人評価委員会議事概要

1.日時

平成18年12月8日(金曜日)14時11分から16時02分

2.出席者

(委員)
南直哉委員長、東田親司国際交流基金分科会長、井口武雄国際協力機構分科会長、縣公一郎、伊藤るり、伊奈久喜、上野田鶴子、川上照男、城山英明、西尾隆、榛木恵子の各委員

(外務省)
別所国際協力局長、山本広報文化交流部長、藤原考査・政策評価官、中井文化交流課長、上村国際協力局政策課長、和田無償資金・技術協力課長、彦田政策課首席事務官他

(国際交流基金)
久枝統括役、吉川企画評価部長

(国際協力機構)
黒木理事、粗総務部長

3.議題

(1)国際協力機構・北海道施設の視察報告

(2)改正JICA法の説明

(3)国際交流基金が保有する重要な財産の処分

(4)平成17年度独立行政法人業務実績評価に関する評価の結果についての総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の意見

(5)中期目標期間終了時における組織・業務の見直しに係る勧告の方向性に基づく見直し(素案)に対する意見

(イ)国際交流基金

(ロ)国際協力機構

(6)国際協力機構の中期目標期間の終了

4.議事概要

(1)冒頭、南委員長からの紹介を受け、別所国際協力局長から、国会における改正JICA法の議論の中で独立行政法人の効率性について議論がなされた、委員各位のご指導を得つつ効率的かつ効果的なODA実施のために努力したいと発言した。また、南委員長から、山崎唯司委員の後任として11月1日付けで委員に就任した榛木恵子委員を紹介し、榛木委員より挨拶があった。

(2)南委員長から、上記議題に基づく議事進行につき委員各位の了承を得た。

(3)議題に入り、南委員長から、11月6日から7日に行われた国際協力機構(JICA)・北海道施設の視察報告があった。96年に開設された帯広と札幌のJICAセンターは、綺麗に使われており、環境も良く、講師、受講生の双方が熱心に研修に取り組んでいたことに感銘を受けた。帯広では、研修員全員がホームステイを行うなど地域と施設が密度の濃い関係にあり、研修員受入を通じて日本との国際的な相互理解が進んでいることを実感した。受入機関である帯広畜産大学での研修員受入や大学を通じての共同研究の形で、それぞれの国とグローバルなネットワークを形成する良い機会となっているとの説明を受けた。また、札幌では、北海道大学が総合大学であることと農場等を所有する同大学の特徴を活かして、熱心な対応がなされており、研修員受入事業と協力機関との密度の濃い関係を理解できた。宿泊施設の利用率は各施設の評価の一つとして使用しているが、利用率はJICA本部で定める日本全体の研修計画の割当による面もあると思われ、この点などは制度の仕組みを更に勉強をさせていただきつつ評価する必要があろうと発言した。

(4)続いて、井口分科会長から、次のように発言した。JICAセンターは地域の特色を出そうと努力しており、職員も非常に熱心であったことに感銘を受けた。JICAのノウハウや経験が地元の協力機関にも役立ち、地域への貢献の点でも効果を発揮していると感じた。一方で、特色を出しにくい地域や広域担当のセンターは特色を出せるのか、各研修員が研修で学んだことがどのように本国で活かされているのか、さらに札幌では個別研修において複数の講師が一人の研修員を教育するといった例があったが、それが効率的かとの課題が見受けられた。

 その他の委員からの発言は以下のとおり。

(5)次いで、別所国際協力局長から、JICA法改正のポイントについて説明があった。昨年来のODA改革の流れを受け、本年4月、官邸に海外経済協力会議、外務省に国際協力企画立案本部を立ち上げ、8月には二国間協力及び多国間・国際機関を通じた協力を一体化させた国際協力局を発足させるなど、戦略策定或いは企画立案部門での改革が実施され、今回のJICA法改正によって実施部門においてもODA改革を実現する。具体的には、国際協力銀行(JBIC)の有償資金協力業務と外務省から無償資金協力(一部を除く)を新JICAが承継し、円借款、無償資金協力、技術協力の実施を一元化させ、国や地域の需要及び必要性に一元的に対応するために実施機関を一本化する。ただし、円借款業務は他の業務と資金の流れや規模が異なることから勘定を区分すること、また無償資金協力の中でも草の根・人間の安全保障無償や緊急無償等は、機動的な実施等外交政策の遂行上の必要に基づき外務省が引き続き実施すること、新JICA全体の主務大臣は外務大臣であるが、円借款の財務・会計事項については、外務大臣と財務大臣が主務大臣となることが説明された。

(6)引き続き、国際交流基金から、独立行政法人通則法第48条に基づき、国際交流基金が保有する重要な財産の処分について説明があった。今回、所有する職員宿舎の41室のうち計6室(千葉県船橋市のマンション5室及び大阪府三島郡島本町のマンション1室)の売却を決意した。いずれも1970年代に建設されたマンションで老朽化が進んでいる。船橋は工業地域で環境悪化が進んでおり、駅から遠いこともあってここ数年間入居者がなく、今後も入居者が見込まれない。また、大阪のマンションは京都支部長の宿舎としていたが、京都支部の移転に伴い通勤に不便になったことから、京都市内に宿舎を借り上げている。計6室を売却しても基金の業務運営に支障はないと判断した。入札を行った上で売却する業者を決定し、船橋については5室まとめて売却したいと考えているとの説明があった。これに対し、南委員長より委員に対し、職員宿舎の処分を主務大臣が許可することで本委員会として異議なしとの対応としたいと述べ、了承された。

(7)次に、藤原考査・政策評価官から、平成17年度独立行政法人実績評価に関する評価の結果についての総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の意見について説明がなされた。国際交流基金及び国際協力機構は平成18年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人であり、主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性の指摘に重点が置かれていることから、ここでは所管法人共通の意見が出された。外務省については4点指摘されており、人件費削減や給与水準の適正化の取組状況等について評価を行うこと、随意契約の見直しについては一般競争入札の範囲の拡大、契約の見直し、契約に係る情報公開等についての評価を行うこと、コスト削減等を図る観点から市場化テストの導入を視野に入れた評価を行うこと、資産の活用状況については法人が当該施設を保有する必要性等について評価を行うことが指摘された。これに対し、南委員長から、4点の指摘事項については、来年の業務実績評価で対応できるよう本委員会として配慮していきたいと述べた。

(8)引き続き、藤原考査・政策評価官から、中期目標期間終了時における組織・業務の見直しに係る勧告の方向性の議論のこれまでの経緯について説明がなされた。8月11日、第11回外務省独立行政評価委員会において見直し当初案について議論され、外務省の考え方について了解を得た。同案を総務省に提出し、9月12日に総務省の政策評価・独立行政法人委員会において同案についてのヒアリングが行われた。その後、11月に首相官邸における行政減量・効率化有識者会議においても国際協力機構に対するヒアリングが行われた。11月27日に政策評価・独立行政法人評価委員会の了承を得た「平成18年度に見直しの結論を得ることとされた独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性」が主務大臣に対して通知された。本委員会での議論を踏まえて成案を総務省に提出することとなっており、12月19日の政策評価・独立行政法人評価委員会において議論される予定であるとの説明がなされた。

 続いて、中井文化交流課長から、国際交流基金の見直し(素案)にかかる主要ポイントについて説明がなされた。1.文化芸術交流事業については、外交政策上必要かつ重要な事業に重点化し、市場化テストに関する検討を踏まえること、国際交流基金フォーラムの廃止、大規模な文化芸術事業を含めて民間団体との連携を図る。2.海外における日本語教育事業については、従来は日本語教師の養成を行っていたが、日本語教育基盤の発展段階に応じて対応を行うこと、日本語教育スタンダードの構築、一般市民や初学者向けの日本語教育施設の展開、日本語能力試験の受益者負担の適正化を図る。3.日本研究では活動対象、対象機関を絞り込んで中核となる機関を重点的に支援する。4.国内機関・海外事務所の運営の見直しについては、本部の早期移転、外交上必要性の高い事業への重点化を図りつつ研修のあり方を見直す。その他の業務全般についても、中期目標等で業務の重点化や効率化、一般管理費・事業費に関わる効率化目標の設定、総人件費改革、随意契約の見直し、資産の有効活用等に係る見直しを促進する。

 さらに、彦田国際協力局政策課首席事務官から、国際協力機構の見直し(素案)にかかる主要ポイントについて説明がなされた。1.経費の削減、業務運営の効率化については、これまで単位コスト削減で効率化を実現してきたが、今後は事業費について包括的な効率化目標を設定する。一般管理費は、本部のみならず、在外事務所や国内機関も含めて効率化していく。2.青年招へいは、技術協力の一環として実施する必要性の乏しい交流性の強いプログラムを廃止し、技術研修に絞り込むことにより、従来以上に専門的知見の習得を重視する。3.研修員受入事業は、外務省が策定する中期的な事業計画の枠内で研修員受入事業の各コースについて、その効果等を第三者の参加を得て検証し、コースの改廃に反映するシステムの確立について、次期中期目標に明記する。また、研修は国内のみならず海外でも行われているところ、海外、国内別に研修の実施基準を策定し、効果的・効率的な取組を促進する。4.海外移住事業の国内で実施している日本語研修事業は、JICAで実施する必要性を検証し、廃止を含めた抜本的見直す。調査統計、営農普及を段階的に廃止する。5.案件形成支援事業については、政策的重要性を踏まえた重点化を促進し、現地リソースの活用拡大、企画調査員の配置見直し等を進め、効果的実施を図る。6.JICAとJBICの統合に当たっての効果の発揮については、本部及び在外事務所の速やかな統合、要員の合理化、部局間の連携強化等通じた援助効果の向上等により、統合メリットを最大限に発揮する。7.海外拠点・国内拠点の見直しについては、ODA卒業国の海外拠点は、実施中の事業終了のタイミングや外交的配慮も念頭に置きつつ原則廃止する。国内拠点の役割、利用状況等を第三者により検証し、統廃合を含め必要な見直しを促進する。8.在外強化については、すでに要員の在外シフトの成果が上がっているが、さらに進める。9.契約の競争性の確保については、事業の性質上、随意契約が多いとの指摘を受けていることから契約の見直し等業務の効率化を進める。その他、情報の開示等も引き続き進める。

 上述の説明後行われた委員とのやりとりは以下のとおり。(○は委員からの質問。●は事務局側回答)

○国際協力機構の2.青年招へいの見直しについて、開発教育の効果にも配慮する必要があるのではないか。
●技術研修でも地元の交流団体に依頼してホームステイ等を実施するなど、その地方の国際化や一種の開発教育の副次的な効果もあると考える。
●今回の見直しの過程では、他の団体にはできないJICAらしい事業を行うべきというのが有識者の問題意識であった。

○国際協力機構の7.海外拠点の見直しの中にあるODA卒業国とはいずれの国か。
●ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアである。

○国際交流基金の4.国内機関・海外事務所の運営の見直しにある国際交流基金の本部移転はいつか。
●実際の運営の実態等を考えると、直ちにというのは難しいが、移転を進める努力を続ける。

○国際協力機構の6.JICAとJBICの統合による効果は何か。
●相乗効果が上がるよう制度設計を具体化していきたい。例えば、本部や海外事務所の統合による施設や人員削減の効果があり得る。円借款、無償資金協力、技術協力が異なる組織で連携されていたものについて連絡・調整のコストが削減され、一人の管理職の下で3援助手法が計画から実行、管理されていくようになる。どのような制度設計が効果をもたらすのか、今後十分な検討と説明に努めていきたい。
○国民に分かりやすい説明には、具体例が必要になると考える。

 南委員長から、本日の議論を踏まえ、事務局が修正案を作成し、委員長及び両分科会長に諮った上で成案とすることについて委員の了承を求め、これが了承された。

(9)最後の議題として、彦田国際協力局政策課首席事務官から、JICAの中期目標期間の終了時期について説明がなされた。これまでの本委員会において、平成20年10月の新JICA発足まで現中期目標期間を延長する方向で考えるとの説明を行ってきた。改正JICA法の施行期日の決定が、次期通常国会となり、平成19年3月末までに新JICAの発足日が決まらないこととなった。また統合準備を進めるために積立金を活用することも必要となった。以上の状況を踏まえ、平成19年3月に現行中期目標期間を終了し、平成19年4月以降は新しい中期目標期間に入ることとする。そして、新JICA発足に合わせて、その時点で改めて次期中期目標を改正することとしたいとの説明がなされた。これに対し、委員より異議は提起されず。

(10)最後に、藤原考査・政策評価官から連絡事項の説明があり、南委員長から、多岐に及ぶ議論に関し、各委員より、貴重な指摘や発言を頂いたことへの謝意を表明し、閉会を宣言した。

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