
第11回外務省独立行政法人評価委員会議事概要
1.日時
平成18年8月11日(金曜日) 16時03分から16時52分
2.出席者
(委員)
南直哉委員長、東田親司国際交流基金分科会長、井口武雄国際協力機構分科会長、縣公一郎、伊奈久喜、浦田秀次郎、川上照男、建畠晢、山崎唯司、渡邉紹裕の各委員
(外務省)
塩尻官房長、山本広報文化交流部長、深田国際協力局審議官、上月官房総務課長、藤原考査・政策評価官、中井文化交流課長、上村国際協力局政策課長他
(国際交流基金)
吉野理事、吉川企画評価部長
(国際協力機構)
黒木理事、粗総務部長、大部企画調整部長
3.議題
(1)国際交流基金及び国際協力機構の平成17年度財務諸表に関する意見について
(2)国際交流基金
(イ)平成17年度業務実績評価
(ロ)中期目標期間に係る業務実績の暫定評価
(3)国際協力機構
(イ)平成17年度業務実績評価
(ロ)中期目標期間に係る業務実績の暫定評価
(4)国際交流基金及び国際協力機構の中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しの当初案について
(5)事務局からの連絡事項
4.議事概要
(1)冒頭、南委員長からの紹介を受け、塩尻官房長から、本年度は両法人にとり中期目標期間の最後の年にあたっており、今回は多くの議題につき審議頂くこととなっていること、会合終了後も、来年度にかけて新たな中期目標・中期計画の設定等が予定されており、委員各位の審議をお願いしたいこと、両法人発足後2年半に及ぶ試行錯誤の中、本評価委員会を通じ外務省も様々な意味で学習させて頂きながら、外務省としての取組について貴重な提言を頂いており、引き続き協力をお願いしたいこと、を発言した。
(2)南委員長から、上記議題に基づく議事進行につき委員各位の了承を得た。
(3)議題に入り、藤原考査・政策評価官から、国際交流基金及び国際協力機構の平成17年度の財務諸表に関するそれぞれの分科会にて取りまとめられた意見書案について、両法人ともに、財務諸表を承認することについては異存ない、との結論である旨説明した。南委員長から、この意見書案に対し委員の意見を求めたところ、委員からは異議は出されず、財務諸表に関する委員会としての意見書が決定された。
(4)次いで、東田国際交流基金分科会長から、平成17年度の国際交流基金の業務実績評価に関する分科会の審議の結果を踏まえ、席上配付の評価案をもとに概要次のとおりの報告がなされ、業務実績評価は、分科会の取りまとめどおり決定された。
- 31項目の小項目の評定結果は、Sが1項目、Aが27項目、対象外が3項目。20項目の中項目の評定結果は、Aが17項目、対象外が3項目。小項目No.19、No.20、No.21はA評定、No.22はS評定となっているが、これらを対象とする中項目の評定はAとした。
- 総合評価として、業務運営の効率化や業務の質の向上において引き続き多くの点で成果が見られ、また外交上必要の高い事業への「選択と集中」が図られており、中期計画の達成に向け順調な状況にあると言える。特に、機構改革後の運営及び効率化に関し、昨年評価委員会が指摘した点については適切な措置がとられている。また、各事業分野において、各国・地域の実情に沿った重点事業に関連づけた事業展開を行った結果を見ると事業における中長期的基本方針に沿った形で実施されている。
- 他方、今後の課題として、機構改革の成果を事業の効果的実施及び効率化の両面で更に継続して把握することが必要である。また、アウトカム指向の評価(政策効果に着目した目標を設定し、目標の達成度合いにつき評価する方式)の導入に向けた取組を今後とも推進していくことが望まれる。
(5)引き続き、東田国際交流基金分科会長から、中期目標期間に係る暫定評価に関する分科会の審議の結果を踏まえ、席上配付の評価案をもとに概要次のとおりの報告がなされ、中期目標期間に係る暫定評価は、分科会の取りまとめどおり決定された。
- 業務実績について、業務運営の効率化の面で効果的・効率的な組織運営の面と共に大きな成果が挙げられていると評価することができ、特に平成16年度の大規模な機構改革の結果、業務の効率化に向けた効果が現れている。また、国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上の面においても、「外交上の必要性」への対応、地域的要素の配慮、他団体との連携、海外事務所の運営、国民に対するサービスの強化及び広報の各点において概ね良好な効果が得られている。
- その他、財務内容の状況の改善、施設・設備に関する計画、人事に関する計画について記述している。他方、次期中期目標に向けた課題として、業務運営の効率化の面で一般管理費の削減及び業務運営経費の効率化に向けた努力を継続しつつ、新たな文化交流事業のニーズへの対応も含め効果的に政策目標を達成し得るよう努めること、国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上の面では、外交上の必要性の判断及び伝達のメカニズムの継続的実施、日本語について平成20年度までに現在開発中の日本語教育スタンダードの構築を図るとともに、各国・地域における日本語教育の現地化・自立化を目的とした従来の「支援型」事業に加え、「推進型」事業についても導入を検討する点、基金の海外事務所が果たすべき機能及び役割の明確化等が挙げられている。
- また、財務内容の改善について、自己収入を含む収入の拡大・多様化や人事に関する計画における人件費削減に向けた取組の実施、ラスパイレス指数を低くしていくための継続的・計画的な対応が課題として挙げられている。
(6)次に、井口国際協力機構分科会長から、平成17年度における国際協力機構の業務実績評価に関する分科会の審議を踏まえ、席上配布の評価案をもとに概要次のとおりの報告がなされ、業務実績評価は、分科会の取りまとめどおり決定された。
- 34の小項目の評定についての分科会の結論は、Sが2項目、Aが29項目、対象外が3項目。18の中項目の評定については、Sが1項目、Aが15項目、対象外が2項目。中項目No.7は、小項目の評定でAが3項目、Sが1項目となっており、中項目の評定はAとした。
- 総合評価として、平成17年度は「JICA改革プラン」に沿って引き続き改革に精力的に取り組むとともに、これまでの評価で指摘された諸点に関して改善に向けた取組を実施し、実績も上がっている。特に、中期計画において数値目標が設定されている項目の殆どについて中期目標期間終了を待たずして目標値を達成している。
- 「JICA改革プラン」については、「現場主義」の視点に基づき引き続き在外強化のための体制面の整備を推進するとともに、これまでの取組のレビューを実施した。「効果・効率性と迅速性」については、特に「ファスト・トラック」制度を導入し、迅速性が求められる案件に実際に適用した。また、国内事業改革や国内機関の再編も進め、特にJICA八王子の閉鎖、市民参加協力事業の全国的拠点となるJICA地球ひろばの開設といった首都圏における再編実施のための準備を着実に進めた。「業務運営の効率化」では、主要な投入単位当たり経費の効率化についてコンサルタント調達経費の削減目標を除くすべての目標値を既に超過達成しており、本部管理経費の効率化や施設、設備の利用者数増加についても目標値を達成している。「業務の質の向上」においても、中期計画に基づく取組を着実に進めた。また、パキスタン北西部地震大規模災害においては、山岳僻地の困難な環境での活動を他国援助機関に先駆けて開始し、2千名を超える被災者の診療を行ったことは特筆に値する。
- 他方、今後の業務における課題としては、平成20年度から発足する新JICAへのスムーズな移行のためにも各種取組が一層成果をあげること、在外強化の取組レビューを継続的に行い、課題とその克服のための取組指針をより明確な形で示すこと、関連公益法人との随意契約については、積極的な情報開示による透明性の向上、国の随意契約適正化に向けた取組に準じた随意契約条件の限定化、「業務の効率化」の経費削減目標として、引き続き効率化に努力するとともに、未だ達成されていないコンサルタント一案件当たりの調達経費の削減に努力すること(その際、業務の質の低下を招かないようなモニタリングの実施)、「業務の質の向上」に関し、実績面とともに目的とする成果が上がっているかどうかを的確に把握し自己評価を行い、状況に応じて取組内容を見直す等の柔軟な対応が求められていること、がある。
(7)引き続き、井口国際協力機構分科会長から、平成20年度の新JICA発足に併せて次期中期目標を開始することが業務運営の目標を明確にする上で重要であり、このため現行中期目標期間を延長する方向で調整が行われているものと承知と発言の上、中期目標期間に係る暫定評価に関する分科会の審議の結果を踏まえ、席上配付の評価案をもとに概要次のとおりの報告がなされ、中期目標期間に係る暫定評価は、分科会の取りまとめどおり決定された。
- 全体として各項目ともこれまでの業務実績はいずれも現行中期計画を達成できる見込みである。次期中期目標期間に向けた課題に関し、業務運営の効率化については、1)在外強化の成果を新JICA発足後も活かすべきであること、2)厳しい財政事情の下、必要なODA事業量を確保するために一般管理費及び業務経費の効率化を引き続き推進すべきであること、3)関連公益法人との随意契約については、国の随意契約適正化の取組に準じた取組を実施すべきであること、4)施設、設備については各施設ごとに利用者の増加に努めるべきであること、を課題として整理した。
- 業務の質の向上については、1)新JICAにおける、技術協力、無償資金協力、有償資金協力のシナジー効果(相乗効果)の発現に必要な体制を確立すべきであること、2)予算の審査・チェック機能の強化、事業費積算・計画の精度向上を図り、予算の執行状況につき外務省と緊密に情報共有すべきであること、3)コスト効率性に関する定量的事後評価の手法の開発に取り組むべきであること、4)成果(アウトカム)に係る目標を設定し、達成度を評価すべきであること、などを課題として整理した。
- 財務内容の改善については、本来業務と両立する範囲で自己収入の一層の増加に向けた方策を検討することが課題である。施設・設備に関する計画については、国内機関が有効活用されているかどうか、不断かつ綿密にチェックすることが必要である。
- 人事に関する計画については、総人件費の削減を着実に進めるための削減計画を示すべきであること、またラスパイレス指数の更なる低下に向けた取組の継続が必要であること、新人事制度の導入についてはプラス・マイナス両面において慎重にレビューする必要があることが課題である。
(8)南委員長から、評価の基本的考え方と委員長所見をまとめた「平成17年度における外務省所管独立行政法人の業務実績評価について」(席上配付資料)を委員長所見として発表することにつき了承を求め、委員会として合意が得られた。なお、中期目標期間に係る暫定評価については、法律上の義務ではないが、その後審議される見直し当初案とともに総務省に併せて送付するとともに、外務省ホームページで公表することが合意された。
(9)最後の議題として、独立行政法人通則法第35条に基づく中期目標期間終了時の見直しに関し、各法人を主管する中井文化交流課長及び上村政策課長より、各分科会での議論を踏まえて「見直し当初案」につき改めて説明した。両課長とも、中期目標期間に係る暫定評価で今後の課題とされた諸点を中心に取りまとめることとしたい旨発言した。
(10)続いて南委員長から、「見直し当初案」は8月末までに主務大臣が総務省に提出することになっているので、各分科会でも確認したが、同「当初案」の内容については、会合で説明された諸点を踏まえ、今後事務局でとりまとめることとされた。なお、取りまとめに当たっては、委員からの要請に配慮し、整理されたものとなるよう工夫することとされた。
(11)最後に、塩尻官房長から、多岐に及ぶ議論に関し、各委員より、貴重な指摘や発言を頂いたことへの謝意を表明した。その後、藤原考査・政策評価官から連絡事項の説明があり、委員長が閉会を宣言した。