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第10回外務省独立行政法人評価委員会議事概要

1.日時

平成18年3月14日(火曜日) 14時00分から15時57分

2.出席者

(委員)
南直哉委員長、井口武雄委員長代理・国際協力機構分科会長、東田親司国際交流基金分科会長、伊奈久喜、上野田鶴子、川上照男、城山英明、山崎唯司の各委員

(外務省)
塩尻官房長、山内考査・政策評価官事務代理、岡田広報文化交流部長、片山文化交流課長、上村経済協力局政策課長、植澤技術協力課長他

(国際交流基金)
吉野理事、吉川企画評価部長

(国際協力機構)
小島理事、粗総務部長

3.議題

(1)報告事項

 ODA実施機関の再編を含む今後のODA改革について

(2)議題

(イ)中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直し等について(今後の予定など)

(ロ)国際交流基金及び国際協力機構の中期目標・中期計画の変更について(「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)に基づく、人件費の削減

(ハ)国際交流基金及び国際協力機構の平成15年10月1日から平成17年度までの実績と成果について(報告)

4.議事概要

(1)冒頭、報告事項では、上村経済協力局政策課長より、「海外経済協力会議」(仮称)の設置、国際協力機構(JICA)による政府開発援助(ODA)の一元的実施など、実施機関の再編を含むODA改革の現状について説明した。

(2)主な議論(○は委員より出された質問・意見)

○ODA改革に関する一連の議論は、NGOにおいても関心が高い。今回の議論の過程において、援助に関わるNGOの意見が十分に吸い上げられたかどうかという点については疑問がある。

(3)その後、議題に入り、山内考査・政策評価官事務代理より、中期目標期間終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直しを含む、今後想定されるスケジュールについて説明した。

 その上で、同事務代理より、6月末から、平成17年度業務実績評価(以下「年度評価」)のプロセスが始まるが、概算要求時までに作成される「中期目標終了時における独立行政法人の組織・業務全般の見直し当初案」(「見直し当初案」)、及び、平成18年度末までに作成される新「中期目標」などの策定の時点では、現中期目標期間の評価が行われていない状況にあることから、平成17年度の年度評価の作業と平行して、簡便な方式で、現行の中期目標期間全体に係る暫定的な評価を行うことを検討したいとの説明がなされた。

 また、植澤技術協力課長より、ODA改革の柱の一つとして、国際協力機構(JICA)は新しい体制に移行する予定であり、今後の日程を検討していく過程では、現行中期目標期間等の扱いを含む諸事情に留意する必要があり、これを踏まえて関係者と協議の予定であるとの説明があった。

(4)続いて、山内考査・政策評価官事務代理より、昨年12月24日の「行政改革の重要方針」(閣議決定)において、独立行政法人も「中期目標に従い、今後5年間で5%の人件費削減の取組を行う」こととされ、その内容を含む「中期計画を出来る限り早期に策定」することが求められている、具体的な案文は現時点では協議中であり、この場ではお示しすることは出来ないが、その内容については、概ね配布した参考資料の内容が盛り込まれる予定であり、案文が確定し次第、独立行政法人通則法第29条及び第30条の規定に沿って、各委員の皆様に書面にてご意見をお諮りすることとしたい旨説明した。

 その後、南委員長より、時間の都合もあり、各委員の意見を踏まえた外務大臣宛の意見書のとりまとめについては、委員長に一任願いたい旨発言があり了承された。

(5)主な議論(○は委員より出された質問・意見、●は説明者の回答)

○ 配付資料によると平成18年度人件費削減目標が、国際交流基金が1%であるのに対して、国際協力機構が0.7%と違いがある理由はなぜか。国際交流基金の1%削減は、職員ひとりあたりの人件費か人数かいずれを削減するのか。

● 国際交流基金は、ひとりあたりの人件費を下げることによって5年間で5%の人件費削減を実現したいと考えている。

● 国際協力機構は、平成16年度に給与制度改革を行い、平成17年度にすでに0.5%の削減を行っていることから、平成18年度は0.7%削減となっている。ただし、トータルとして国際協力機構も平成22年度までの5年間に5%以上の人件費削減を実現したいと考えている。

○ なぜ、国際交流基金は「新たな給与体系への移行」とし、国際協力機構は「給与制度改革」と称しているのか。

● 国際協力機構の給与体系については平成16年度に職階級制度改革を含む人事制度改革と人事評価制度の改革を併せて行っており、今回の行革の重要方針を先取りした形となっている。機構では今後、公務員の給与制度改革に合わせて必要なものを導入する予定であることから、「役職員の給与について見直しを進める給与制度改革を行う」との表現振りとなっている。

● 国際交流基金は、有識者から成る人事制度改革委員会の答申を受けて、機構改革に伴って課の数を削減したが、平成18年度には管理職ポストの削減、細分化した給与体系に移行等の改革を進める予定である。

(6)引き続き、国際交流基金及び国際協力機構の平成15年10月1日から平成17年度までの実績と成果について、国際交流基金及び国際協力機構より報告があった。

(イ)国際交流基金の報告の概要は以下のとおり。

 平成17年度予算において平成14年度と比較して8%以上の削減を達成したが、平成18年度までには約1割の削減を行う予定である。運営費交付金も毎年度1%以上削減されているが、業務の運営管理に影響が出ないように努めている。このように支出を削減する一方、外貨建債券購入、日本語能力試験による自己収入の拡大にも努めている。組織を機動的にするために平成16年に機構改革を実施して、8部制から3グループ制及び情報センターに再編した。また、事業が硬直化しないように優先度をつけて事業の見直しや統廃合を行って、約220あった事業プログラムを大幅に削減した。

 文化芸術交流では中東の交流の強化、南西アジア諸国との演劇の共同制作等を実施した。日本語教育は約1万2千の機関で行われ約235万人の学習者が確認され、海外日本語能力試験の受験者数が増加している。日本研究・知的交流では海外の研究者にフェローシップや情報提供を行った。国際交流情報の収集・提供では、「JFサポーターズクラブ」という会員制度を発足させ平成17年度に1000名を越えた。また、主要国・地域の事業としては、中国では日中21世紀交流事業が平成18年度から開始され、韓国では「日本研究所」が立ち上がった。米国では高校で受験すると大学の単位を認められるAPテストが平成19年度から本格稼働する予定。平成17年度は日韓友情年、日・EU市民交流年関連事業につき企画・協力した。

(ロ)国際協力機構の報告の概要は以下のとおり。

 国際協力機構は、平成16年度より 1)在外の強化、2)人間の安全保障の視点、3)効果、効率性と迅速性を三本柱とする改革、平成17年度より国内事業、国内機関の改革を進めている。在外強化のため、在外への大幅な権限委譲、在外での主体的な企画、実施を支援するための在外サポートの強化を行うとともに、事務所体制強化のため、平成18年度末までに在外へ200名の人員シフトを行っている。これまでに事業のスピードアップ、在外事務所のオーナーシップの向上、戦略的な事業運営、在外事務所と先方政府等とのコミュニケーション向上という成果が確認されたが、どのように本部のリソースを活かしながら事業の質を維持するか、案件のプログラム化による更なる戦略性向上という課題が残されている。また、在外への業務移管によって業務過多になっていることから業務軽量化を一層進めていきたい。

 56ある在外事務所は、スクラップ・アンド・ビルドにより限られた人材を効果的に再配分する方針のもと、海外拠点の見直しを進めている。

 また、75カ国でJICA国別事業実施計画を策定しており、戦略的なアプローチを強化し、包括的な事業実施へシフトしている。また、南部スーダン支援等の平和構築支援事業において迅速性向上を図る観点から、新たにファスト・トラック制度を導入した。

 更に平成18年4月より首都圏の国内機関を再編する予定であり、JICA広尾を広尾センター(JICA地球ひろば)として市民参加協力の全国拠点とする予定である。

 経費削減については、長期専門家を短期専門家にシフトする等により投入の単位当り経費を平均10%削減することを目標としており、達成する見込みである。平成17年度の本部一般管理費は10%削減という目標に近づいており、平成18年度には達成する見込みである。また、組織体制をフラット化し、各種手続を迅速化する等して事務合理化を図っている。

(ハ)主な議論(○は委員より出された質問・意見、●は説明者の回答)

○ 国際交流基金の人件費は国家公務員の水準を上回っているが、その原因について国家公務員と基金の学歴構成が異なる等の説明があったが、例えば、学歴構成を公務員と同じにして給与水準を比較することを検討してはどうか。

● ラスパイレス指数が128程度あるが、国際交流基金の場合、100%近くが大卒で、その内3分の1は大学院卒以上であり、ほとんどが東京勤務であるので、内容を見ないと一概に公務員と比較できない。

○ 国際交流基金の収入の多様化・拡大の中に受託事業の拡大があるが、具体的にどのような事業があるのか。

● 国際交流基金の研修施設を使って、JETプログラムで来日した研修員への日本語・日本文化研修等がある。数はまだそれほど多くないが、さらなる受託に向け、努力していきたい。

○ 国際協力機構がスーダンにおいて平和構築のための案件を行っていることは、広く知られていない。国際協力に関心を持っている人は多いことから、国際協力機構のサポーターがいてもおかしくない。国際協力機構の広報誌が衣替えしたが、まだわかりやすいとは言えない。更にわかりやすくして、国際協力機構の応援団を増やしてはどうか。

● 国際協力機構の広報誌である「Monthly JICA」は、昨年、刷新し、わかりやすくなるよう心がけたつもりであるが、御意見を編集委員会に伝えて更に工夫していきたい。また、抜本的に広報事業の見直しの議論を行っている。

● 国際協力機構の12の国内センターが「国際協力推進員」等と協力して小中学校への出前講座等を行い、ODAの理解促進に努めているが、更に活動の強化を図っていく。

○ 在外強化がなされたとのことであるが、国内はどうなるのか心配が生じる。また、国際協力機構の理解者を増やすために、国内広報活動も充実させるべきであり、新しくなる広尾センターに期待している。多くの人が活用できるように活動を組み立てて欲しい。

○ 事業のスピードアップの可能性は何によるものか。ITを使ったおかげなのか。また、専門家の滞在を短期化することは多くの人にチャンスが与えられることになる反面、支援の継続性という観点からはどうか。ODAはいわゆる「箱物」を作ることが多いと思われるが、フォローアップへの取組が重要である。

● 開発援助はゆっくり進むものだが、平和構築や災害復興支援では迅速性が求められる。国連難民高等弁務官であった緒方国際協力機構理事長は、このギャップをどのように埋めるべきか明確な問題意識がある。公平性、透明性の維持のため、調達手続には一定のルールがあり、これを合理的な範囲で、短縮できることは整理しなければいけないという問題意識からファスト・トラック制度を導入した。加えて、現地において早期に目に見える成果を出すため、経験の蓄積にもとづき、様々な工夫を行っている。専門家の短期化と継続性の問題は悩ましいが、基本的には程度の問題であり、スキームを上手に組み合わせていく必要があると考えている。また、戦略性を強化して、被援助国に必要な援助を分析して、その分析に基づく戦略の継続性を高めている。「箱物」については、技術協力ではなく無償資金協力で作ることが多いが、新たな国際協力機構が無償資金協力の実施事務を担う場合にはシステムとしてフォローすることが可能になる。最初から援助撤退後に被援助国が自立できるような撤退戦略も意識した計画を行う実力のある実施機関を目指したい。

● 国際交流基金も継続性の確保については課題のひとつである。外交上必要な事業を行うことになっているが、催し物といった短期事業と日本語教育のように中長期的な事業の二つに分け、地域・国別で組み合わせて考えている。7,8年かけて大学に日本講座を設置するような中長期的に効果が発現する事業をどのように評価で表すか、また文化をどのように評価するかについて苦心している。ゲーテインスティトュートやブリティッシュカウンシル等と情報交換を行っているが、いずれの国も試行錯誤しながら評価を取り入れている。文化は評価になじみにくい面もあるが、評価基準を検討中である。

○ 国際協力機構では、人員の在外シフトの中で、現場の事務量が増えているとの説明があったが、具体的にはどのような業務が増えて、現場が困っているのか。また、国際協力機構の管理費の削減努力について説明があったが、その管理費の内容如何。

● 本部でこれまで行われてきた業務が在外主管として在外にそのまま移管され業務量が増えた一方で、人員減となった本部の業務内容はそれほど変わらないことが業務過多の原因。そのため、本部でこれまでやってきた手続きをそのまま在外にさせるのではなく、手続き自体を洗い直して削減する取り組みをしている。また、一般管理費については、独法化に際し、関係府省との間で狭い意味での本部の管理費を指し、在外のオペレーションコストは事業費と整理する旨の了解がなされた。

○ 国際協力機構の管理業務については徹底的に削減しないといずれ行き詰まるのではないか。また、「管理費」が狭義なのであれば、事業費の中に一部管理費的な経費が含まれることになり、それについてもチェックを行う必要がある。

●ご指摘の通り、一般管理費以外についても、直接的経費と間接的経費について仕分けて見ていく必要があると考えている。

(7)その後、山内考査・政策評価官事務代理から連絡事項の説明があり、委員長が閉会を宣言した。

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