
外務人事審議会議事概要(第448回及び第449回)
1.在勤諸手当の改定に関する勧告について(第448回(平成18年11月27日))
19年度予算における在勤諸手当の改定に関する外務人事審議会勧告(案)について審議が行われ、委員から、概要以下の発言があった。(カッコ内は幹事等からの回答又は補足説明。)
- 人脈形成に必要な経費については、例えば新聞記者の場合でも、その目的のために給料が一般水準より若干高くなっており、ランクによって多い少ないの差があるが、それと同じことが在外職員の給与についてもいえるのではないか。
- 勧告に資料を添付するようコメントしたが、可視的にわかりやすいようにグラフ化したものを添付した方が比較しやすい。(いろいろと統計は整備されているので、添付を検討させて頂く)。
- 勧告の中で、在勤手当が必要経費を賄うのに不十分で、在外職員の勤務・生活に相当な支障が生じていることを示すために、できれば一般の人にわかりやすい資料があれば良い。調査結果の数字のような資料を勧告に付すれば良いのではないか。(例えば国別の為替の動向と海外のインフレ率であれば比較的網羅的に添付することは可能だと思う。)
- 中近東を含めた危険地域に対する手当の額を上げて、OECDの一部諸国は下げるといった形でバランスをとる方法は現実に採ることがあるのか。予算全体として微増であっても、増やすところと減らすところができるということであれば、メリハリというところを強調するという意味で、減らすところもあり得るということは明記すべきではないか。(生計費購買力補償方式を導入することによって、現地の生計費をより正確に反映するような試算を検討している。それを行うと、手当額が減額となる公館もかなりある。更に、円安、海外インフレを考えると名目では増額でも実質では下がるというところが相当ある。)
- 勧告の中に、在勤手当に任地に応じたメリハリをつけるということを書く場合に、具体的に減額公館があるということを書いておかないと、多く増額となる公館とより少ない額ではあるが増額となる公館とのメリハリであると誤解される。削減公館数が多いのであれば、むしろその辺を強調すべきではないだろうか。
- 物価、為替の目減り分まで手当を削減されるのは、問題であろう。物価、為替というのは客観的な指標で、その見方について評価が分かれるであれば別だが、外務省としても外人審としてもおかしいのではないかと言うべきではないか。法律の趣旨からしても、逆にそこまで切り込むというのなら、これに対して堂々と物価、為替の変動にはちゃんと対応すべきだということを勧告の中に書くべきだと思う。その他のプラスアルファについては、いろいろ議論はあるであろうと思う。
2.平成19年度予算について(第449回(平成18年12月22日))
副幹事より、平成19年度在勤手当予算折衝の結果について、在米大一等書記官の手当額の例をとれば為替・物価の半分のみ反映させる形で決着したこと、各国の事情をきめ細かく反映し、各公館の手当水準にメリハリをつけたことなどを説明した。委員からは、概要以下の発言があった。(カッコ内は幹事等からの回答又は補足説明。)
- 在勤諸手当に関し、トータルで外務省が使う総予算の額如何。(在勤手当の総額は278.6億円になる。昨年との比較では、名目で11.2億円増、4.2%増となるが、為替・物価の調整をすると、実質では0.8%の減となる。)
- 会食経費の一部が実費として外にでるのは大変結構であるが、他方、今まで個々の職員が行っていた手続上の負担が会計係や総務係の業務増となり、業務の合理化に反することにはならないか。(会食の経費につしては、経理業務を行っている会計担当官に領収書の処理を委ねる必要があり、行政コスト増になる側面もある。)
- 「為替・物価の変動を半分ずつ反映し」というのは従来から行われているのか。論理的根拠がないまま、前例になってしまうことになりかねない。(昨年も、基準となる在米大一等書記官の手当については、為替・物価のそれぞれ半分を反映した額を予算化するとされた経緯があり、今回も昨年と同様の査定があったということである。)
- 会食経費につき、2点指摘したい。第1点は、その一部を領収書ベースにして人件費の外に出すのは仕方ないが、これでは恐らく結局高くつく可能性があるということである。つまり、自宅で接宴する場合も、領収書をとりやすいケータリングを利用するようになり、コスト高となる。更には、それも面倒であるということになれば、結局、よりコスト高のレストラン等の利用の頻度が高まることになる。第2点は、領収書入手を含めた関連事務が繁雑になると、徐々に業務遂行に萎縮してしまうことが懸念される。事務手続の改善も含めて検討していく必要がある。(コスト増の側面は否めないが、省員に対しては、今回の変更により外交活動への萎縮効果が生じないよう配慮していく必要があると考える。)