
外務人事審議会議事概要(第446回及び第447回)
(在勤手当関連部分)
幹事から、現在の我が国の在勤手当の現状、平成19年度予算概算要求における在勤基本手当の新しい決定方法等について報告した上で委員によって審議が行われ、委員より概要以下の発言が行われた(カッコ内は幹事等からの回答又は補足説明)。
- 外交活動のための経費は増えないのか。外交活動を行うために在外公館で勤務しているのに外交活動のための経費を減らすというのが、なんとなく容易には理解できない。(経費をよく精査したものを積み増すということと、ランクが上がるにつれてより多くの外交活動のための経費が積算されるような方式を考えている。特に外交活動を活発にやらなければいけない大使などにはより多くの経費を手当てする。また、経費の内訳については、民間調査機関のデータを用いて合理化した。)
- 民間方式を参考にすることに異論はないが、民間には外交活動のための経費に相当するものがないなど、民と官では異なる部分もある。また、民間と比較する場合、商社、銀行のほか、製造業等海外で活動している中小企業もあり、どこと比較するかという問題もある。OECD加盟国外交官との給与・手当比較において日本は24カ国中17番目ということであるが、国際水準との比較で予算要求を行った方がわかりやすい。そのためには計算が透明である必要がある。他国の外交官の給与が高いのは、昔から外交官のステータスが高いからなのか、何か一つの計算基準があってやっているのではないか。
- 購買力補償方式を民間企業が採用しているのであれば、一定のスタンダードができていると思うので、この方式を導入することは良いと思う。
- 以前、日本企業と米国の主要企業の給与体系とを比較したところ、米国と比べ、日本は手当のカーブが非常に「横に寝ている」ことが判明した。カーブが「横に寝ている」ということは、新入社員でも比較的高い給料をもらうが、いつまで経っても上がらないということである。米国ではそういう方式ではどんどん人が逃げていくため、縦にしているわけである。ところが、外交官というのはそういうわけにはいかない。また、どこの年代をとるのが一番良いのかという問題も出てくる。したがって、商社と比較してどうと言うよりは、他国の外交官がどのような給与体系になっているのかを調査した方が良いであろう。(OECD諸国でも制度がまちまちであり、一つの国際スタンダードというのはなかなかない。また、給与水準をどのように決めているかというところについては、なかなか教えてくれない国もある。それから財政状況の観点からは、OECDの中で財政状況が日本よりも悪い国は少数であるというような議論もあり、なかなか他国との比較だけでは引き上げる必要性について理解が得られない。)
- 今回の要求の中で光熱水費がプラスされているが、光熱水費は、生計費購買力補償に既に含まれているのではないか。(国内のシェアを8割程度持っている民間の調査機関の分類に従うと、光熱費は生計費の枠外となっている。民間企業においては、海外で余計にかかる光熱費については補助があるので、今回我々も導入した。)
- ポイントは、在勤基本手当の内容についての説明を民間方式を参考として整理したということであろう。本来比較という意味から見れば、本当は終身給与、要するに年金も含めた給与で比較をしないと比較にならないわけだし、ある一点だけ、例えば35歳だけをとって議論をしても、これも余り意味がない。そういう意味からすれば、給与体系全体をどうするかというのは、公務員の給与体系をどう決めるかという話までいってしまうので、ちょっと話が大きくなりすぎてしまう。先ずは、在外勤務手当についてどのように説明するかが重要であろう。
- 民間方式を参考とした説明の仕方の方がわかりやすいと思う。もっとも、民間にはない外交活動のための経費なども十分に確保できるようきちんと説明しないといけない。
- 諸外国との関係でも民間との関係においても、先ず日本の手当は低い。議論して、比較方法を研究していくという感じになるのではないか。
- 来年度の特定勤務地等の在勤基本手当額改定が要求増になるのは、危険地域が増えていくわけだから妥当である。その場合、人数が同じでも人件費などの海外での経費は増えると思われるが、全体の外務省の予算との関係はどうなっていくのか。
- 世界中が不安定になってくれば、勤務環境が厳しくなる国が増えるのは当然であり、今の国際情勢から見れば、人件費は別枠にしてくれというぐらいのことは準備しておいた方がいいと思う。
- 経営的な立場からすると、増額は増額ということで、やはり経営の効率化をどこでどうやるかという部分が入ってこないと、なかなか説得力がない。やはり企業でもコストは下げなければならない。増える方は、なるほど定員もそうだ、経費もそうだということになるが、やはり別の経費をどう減らすかという部分をあわせて説明がなされるとわかりやすい。
- 為替レートによって給与が調整されるというルールを明確にすることが重要。(在勤基本手当については、円建になっているため調整されないという問題がある。現在、為替の変動が上下7%を超えた場合に、既存の外務省予算の枠内という狭い範囲で調整しているが、柔軟性がない。)
- 世論を外務省にぶつけることが勧告の趣旨であり、世間で言われている歳出削減に応える形で、削減すべきところは削減するという内容にすべきである。
- 勧告骨子案については、日本外交が色々な意味で危機的状況にあるということをきちんと記すべき。例えば、中国は一生懸命やっているのに日本はだんだん萎んでいくような現状を受けて、我々は強い危機感を持っていることを全面に出す。外交力を高め、世界における日本の役割を高めていくためには在外公館も抜本的に見直さないといけない。
- 特に数字については、透明性及び正当性をきちんと証明していくことが重要である。恣意的な数字の調整は困るわけで、要するにどことどこを比較してどうなのかという部分ははっきりしなければいけない。また、誰と比較するのかという話においても透明性が高くなければならない。