
第439回 外務人事審議会議事要旨
1.開催日時:
平成18年1月13日(金曜日) 17時~18時30分
2.開催場所:
霞ヶ関庁舎(北庁舎幹部会室)
3.出席者:
岡村正委員(会長)
高垣佑委員
有馬真喜子委員
武政和夫委員
高坂節三委員
下村満子委員
林貞行委員
塩尻幹事(官房長)
片上副幹事(人事課長)
上月副幹事(会計課長)
能化副幹事(在外公館課長)
齋木アジア大洋州局審議官(報告者)
4.議題:
- 会長の選挙
- 日朝国交正常化交渉について
- 名誉総領事の任命について
- 定員及び在勤手当について
5.議事要旨:
高垣会長の退任を受け、委員のうちから会長の選挙を行い、岡村委員が会長に選出された。
報告者から、最近の日朝国交正常化交渉及び六者協議の状況に関し、報告が行われた。
在セント・ジョンズ(カナダ)名誉総領事の再任につき、了承された。
副幹事から、定員について、審議会から提出された提言も踏まえ要求を行った結果、平成18年度の定員要求の査定結果として全体で19人の増を確保することができた旨、また、在勤手当については、審議会から提出された勧告を踏まえ要求を行った結果、18年度予算では、為替・物価変動の影響が一部考慮されたが、実質では削減になった旨報告した(在勤手当関連部分別紙のとおり)。
(別紙)
第439回 外務人事審議会議事概要
(在勤手当関連部分)
1.副幹事等から、以下の報告が行われた。
- 在勤手当については、昨年、審議会において何度も御議論され、11月8日に、高垣前会長から麻生外務大臣に勧告が提出された。勧告の中では、日本外交の課題が山積する中、限られた人員の中で外務省は従来以上に活発な外交を推進していく必要がある、他方、在外勤務に必要な経費に充てるための在勤手当は大きく削減され外交活動に支障が及びかねないとの点が指摘され、少なくとも物価及び為替相場の変動を考慮して、手当の実質的な購買力を維持すべきとされた。また、厳しい環境にある勤務地について在勤基本手当を改善するべきという内容等も勧告された。
- これらの点を踏まえて行われた予算要求に対しては、公務員の総人件費削減という方針に基づき、大変厳しい反応が示されたが、外務省からは、勧告にもあるとおり、在勤手当は既に大幅に削減されているのであるから、他の公務員の総人件費の議論と同様に扱うことはできない、増額は難しいにしても、物価及び為替相場の変動で目減りした分についてはきちんと対応するべきであると説明した。大臣レベルでも申し入れた。結局、海外のインフレや円安のために手当が減少している公館については、一部について見直しがなされた一方、実質では引き続き削減となり、厳しい状況が続いている。
- この他、厳しい勤務地であるイラクやアフガニスタンの公館で働く職員は、正に命がけで勤務しているのみならず、家族と離れ離れの二重生活を強いられているという観点から、これらの地域については手当の増額が認められた。
- 住居手当については、財務省より一律削減すべきとの考え方も示されたが、各在勤地の実情に応じて検討することとなり、実際の家賃や主要国外交官の住居レベルを踏まえ、削減できるところは削減することとなった。他方、例えば、アフガニスタンについては1つの住居に2,3人が共同生活している状況であり、このような特別の事情がある在勤地については増額が認められた。
- 勧告の中で、他国との比較についての指摘もあり、実際にEU主要国や米国の外交官と比べると日本の外交官の給与・手当はおしなべて低いようであるが、対応につき検討していく。
2.委員からは、以下のコメントがなされた(括弧内は副幹事等からの回答)。
- (人件費について言えば)仕事の中身を変えていくことが重要だと考える。特に会計・経理事務に人手をかけすぎているのではないか。(今まさにIT化と仕事のやり方の見直しを通じて合理化を検討中である。他方、189の在外公館のうち75%は会計担当官が1名であり、これをゼロにするのは難しい。しかも、経理事務をより厳格にすべきとの主張や予算執行を厳密にするためますます詳細なデータ作成が必要との点もあり、そのために逆に仕事が増えているという状況が生じている。)
- 国全体として、ここまでは任せてくれという範囲を大きな枠として作る必要があると思う。そうでなければ「いたちごっこ」になってしまって適当ではない。一々調べよというのは無理であり、理論構成して反論すべきであろう。
- 外務省は、国民に対して言うべきことは堂々と発信していくべきではないか。同時に、仮に何か悪いことがあった場合には、きちんと認めて自己反省し、具体的に内部改革をすべきである。そうすれば国民の信頼も得られるのではないか。また、これからは省員もどんどんプレスに出て発信していくべきではないか。(御指摘のとおりであり、最も重要なことは良い外交を行っていくということであり、外に出るべきところは出てきちんと対応すべきであると思う。)
- 勧告において、諸手当については諸外国と比較し改善に努めるとなっているが、比較の基準を公表した上でその結果も公表すべきと考えるが如何。(そういう問題意識で検討を行っているところであるが、調査に協力してくれた関係国や企業への配慮も必要になる。)