
第436回 外務人事審議会議事要旨
1.開催日時:
平成17年10月21日(金曜日)17時~18時35分
2.開催場所:
霞ヶ関庁舎(北庁舎幹部会室)
3.出席者:
高垣佑委員(会長)
有馬真喜子委員
武政和夫委員
高坂節三委員
下村満子委員
林貞行委員
塩尻幹事(官房長)
片上副幹事(人事課長)
上月副幹事(会計課長)
能化副幹事(在外公館課長)
4.議題:
- 在勤手当について
- 外務省の人員体制に関する提言について
- 名誉総領事の任免について
5.議事要旨:
前回の審議会における審議を踏まえて作成された「外務省の人員体制に関する提言(案)」について、委員から種々の意見が出された。この意見を踏まえ、今後、同提言を修正の上、各委員の了承を得ることとなった。
在サンディエゴ(米国カリフォルニア州)名誉総領事の交替、在ジブチ(ジブチ共和国)名誉総領事及び在チッタゴン(バングラデシュ)名誉総領事の再任並びに在ノーマン(米国オクラホマ州)名誉総領事の退在につき、了承された。
在勤手当については、別紙のとおり。
(別紙)
第436回外務人事審議会議事概要
(在勤手当関連部分)
前回までの審議を踏まえた勧告案に関し、審議が行われ、委員より概要以下の発言が行われた。(カッコ内は副幹事からの回答ないし補足説明)。
- (現在メディア等が取り上げていることを勘案し、今回行う勧告では、住居手当について敢えて取り上げないこととしてはどうか等の意見があったのに対し)タイミングが悪いという印象を持っているが、むしろ、だからこそ、審議会として発言すべき事は明確に発言すべきではないか。
- 勧告案の一言一句についてのコメントではないが、外交を取り巻く新たな状況に限られた資源で応えていくために、外務省の仕事の方法を抜本的に変えていく必要があり、そのためにも大臣を含めた責任者が声を大にして骨太の発言をしていくことが必要と考える。
- 一部の勤務地では、急激な住宅事情変化などが原因で、職員の多くが住居手当限度額を大幅に上回る住居費を支出せざるを得ないというような記述は意味が分かりにくい。きちんと説明できるなら、一般的ないい方でなく、もっとはっきり言っておいた方がいいと思う。(複数の委員から同趣旨の発言あり)。
(住居手当については、既に財務省との折衝において外務省としては、館員の過半数が多額の自己負担をしている公館や、為替相場の高騰、住居事情の逼迫等に伴い、館員が物件を確保することが困難な公館、更にはインフラが整っていないため、そもそも物件が少なく、手当を上げざるを得ない公館などについて手当引き上げを求めている。他方、財政当局の引き下げを求める姿勢は固く、17年度も結果的に多くの公館について住居手当が引き下げられており、職員の住居事情は厳しさを増している。)
- 住居手当が注目を集めている状況なので、具体的に引き上げを求める国名・地名を勧告案に入れた方がいいのではないか。(複数の委員から同趣旨の発言あり)
- 引き上げを求める国名・地名を勧告案に入れることに加え、全体として住居手当の改善が必要と主張する必要があると思う。(住居費が高くなりがちな理由は、(イ)在外職員が自宅に政府、外交団や内外の関係者などを招いたり、(ロ)職員とその家族の安全を確保し、(ハ)緊急時に大使館に駆けつけることが可能といった条件を確保することが求められるからである。しかしながら、なかなかこのような条件を満たすところがないということで、実際に現地で館員が苦労して探し、それでも限度額調整が必要な場合は財務省と折衝することが必要になる。)
- 国民の目から見れば、金額だけ見るとやはり高いという印象を与えると思う。やはり全体を精査すべきであり、多いところは削減すべきである。
- 外交官の住居の場合、日本の普通の平均的サラリーマン(2LDK)の家賃と比較することは無理がある。世間は何をスタンダードにして多い、少ないと言っているのか不明な点がある。
- 「手当」という用語だけでは、現金をもらって自由に使えるような誤解を与える。「実費支給」という言葉を入れた方がよい。(複数の委員が賛同。)国名・地名の例示については、「今回引き上げを求めるのはこういう地域」というような言葉で表現する方がよいのではないか。
- 「一部の勤務地では、」という文言については、今はむしろ世界的な危機管理が必要で、全体として安全な住居の確保が世界各地で難しくなっているということを言った方がよい。また、場所によっては多数の外国人がどんどん進出して次々と住居を借りてしまい、物件がなくなったり、高くなるというような競争もある。全体的に住居手当を引き上げてほしいが、少なくとも来年度においては実費をオーバーしているところを引き上げて欲しい、という書きぶりにしたら良いのではないか。
- 勧告案は中長期的な課題と今回要求する喫緊の課題に分かれると理解しているが、前者の中にも住居手当に関する記述を入れるべきである。
- 危険な地域というのが以前に比べて多くなっていると思うので、それは住居を探す時にも関わってくるということだろう。我々一般人が分かるのはテロとか、イラクとかそういうところである。皆が納得出来る例を出した方がよい。
- アフガニスタンなどは、家賃が高騰しているようである。国連関係者が入ったりすると、急激に上がると聞く。今までの常識から考えると信じられないような値段になるそうだ。そういう事情もあるだろう。
- 今回の議論を踏まえ、意見を本文に加える、あるいは別紙にするという形で再度勧告案を作成する。多少詳しく書いていく方が良いであろう。
- 普通の国民的感覚からすれば、重要なのは透明性という点である。住居手当が何の目的でどのように使われているかを明確にすることが大事であると思う。
- (関連政令別表に掲げられている住居手当の限度額の欄に「公使」とあるが、この公使というのは特命全権公使のことで、現在全世界で4名、実際には在米大は不在なので、韓国、中国、ロシアの3名のみである。普通の公使、いわゆる名称公使に対してはこの「公使」号の額が適用されているわけではない。)これを見ても「公使」は「特命全権公使」だとは誰も分からない。工夫して書き直す必要があると思う。また、限度額についても、分かり易くカッコで書くとか、「限度額」というのも実際には実費支給なのであれば「実費支給」であり、差額のプールなどあり得ないと書いた方がよい。