
第435回 外務人事審議会議事要旨
1.開催日時:
平成17年9月16日(金曜日)17時~18時20分
2.開催場所:
霞ヶ関庁舎(北庁舎幹部会室)
3.出席者:
高垣佑委員(会長)
有馬真喜子委員
高坂節三委員
林貞行委員
塩尻幹事(官房長)
片上副幹事(人事課長)
上月副幹事(会計課長)
能化副幹事(在外公館課長)
越川経済局政策課長(報告者)
4.議題:
- 日本企業支援について
- 在外職員の手当について
- 名誉総領事の任免について
5.議事要旨:
報告者(越川経済局政策課長)より、日本企業支援の現状及び今後の方向性について先般の大使会議での議論等を中心に説明したところ、委員よりは、FTA/EPA交渉等につきコメント及び質問があった。
在外職員の手当については、別紙のとおり。
在サルヴァドール(ブラジル)名誉総領事の交替につき、了承された。
(別紙)
第435回外務人事審議会議事概要
1.副幹事より、前回会合まで委員の間で審議された論点を順次列挙し、18年度予算における在勤諸手当の改定に関する勧告について審議を求めた。
- 前回までの審議で議論された内容を、現状と課題及び主なご意見に分けて列挙する。まず、現状と課題として、外交及び在外職員の役割が年々増大してきているということ、在外勤務環境が悪化しているという現状があること、近年在勤基本手当が5年間に3割から4割と大幅に削減されてきたことが職員の外交活動にも影響を及ぼしていること、その一方で、国の財政事情、公務員の総人件費抑制を巡る厳しい状況が挙げられる。
- 次に主なご意見として、短期的には18年度予算を議論する際に、物価及び為替変動の影響を完全に反映する形で在勤基本手当を改定し、実質購買力を確保すること、環境悪化が顕著な勤務地における在勤基本手当の引き上げの再検討、イラク、アフガニスタン等の生命の危険が特に大きい任地での勤務を命ぜられ、家族が国内に残留せざるを得ない場合に、海外と日本という二重生活による負担増の軽減措置を図ること、外交活動が実施できる住居を確保するための住居手当を引き上げること、が挙げられた。
- 中長期的な課題として、5年間の間に3割から4割削減された在勤基本手当について元の水準を回復するにはどうすべきか、主要先進国や国際機関の在外職員及び世界に展開する日本企業駐在員との比較を強化し、より説得力のある形で示すこと、最近の経費増要因である安全対策や在外職員の能力強化のための語学学習や任地事情精通のための経費を考慮すること、物価・為替の変動が毎年あるにもかかわらずそれが手当に必ずしも反映されていない現状にかんがみ、毎年度繰り返し議論するのではなく、その変動を自動的に反映するための一貫性のあるルールを確立すること、能力主義、実績主義の下で給与・手当制度における職員の能力及び業務実績の反映、並びに人材確保の視点を配慮することを指摘いただいた。
2.委員から概要以下の意見があった(カッコ内は副幹事からの回答ないし補足説明)。なお、次回会合において具体的な勧告案文を議論することとし、事務局に対し、今次会合における議論を踏まえ、次回会合までに勧告案文を作成し事前に各委員に送付するよう指示があった。
- 中長期的な課題の1番目に、「外交力、情報力を強化し、レベルアップするに足るような手当」ということを加えたらよい。
- 財務省は全省庁に対して人件費をマイナス査定にすると言っているのか。(各種の手当を様々な視点から例外なく見ていくとのことである。)それは、在勤手当も特殊勤務手当や寒冷地手当等と同様に一律に見直されると言うことか。(特殊勤務手当は注目を浴びているので特に慎重に検討がなされている。在勤手当はそれとは別で、全ての手当を一律何%カットということではないが、厳しく査定されるものと思われる。)
- 在勤手当の関係なので、生活的視点が出てくるのは分かるが、根本的には、外交力をどうするかが重要であると思う。そうでなければ、何のために在勤手当を上げるのかということになる。
- 残念ながら昨年の勧告がほとんど実現していない。特にこの1年で変わったことは何か。外務省として昨年と比較してどんな印象か。(昨年の勧告は第一に在勤基本手当の購買力の維持に力を入れるべしと言っており、前年度水準とほぼ同じとなった。今年はそれを更に一歩進め、実質的購買力を完全に取り戻すこととしたい。また、イラク、アフガニスタン等生命の危険が大きい地で、配偶者を同伴できない等職員が苦労している問題に対処していきたい。)
- 中長期的な問題の解決は容易でなく、もどかしいが、在勤基本手当の大幅削減、在外における残業の恒常化等も引き合いに出し、その必要性につき常に言い続けることが大切である。昨年度の勧告のトーンをもう一つ強め、例えば、「一年検討したが大きな問題がまだ残っている。」等のラインで状況改善の必要性を各論にかぶせる「網」の形で強調した方がよい。
- 一般国民は外務省と言うと日常生活とは関係ないというイメージを持っているが、日本外交の重要性を分かりやすい言葉で説明することが重要である。講演の場等で、自分がよく例として出すのが、日本の物流は世界の物流(年間60億トン)の15%を占めている(日本の年間の輸入量が8億トン、輸出量が1億トン)ということである。日本の人口は世界人口の2%であるから、たった2%の国民が全世界の15%の物流を行っていることになる。これは、4人家族が毎月2トントラック分の物資を輸出入している計算になる。(予算要求においても、まず「国民に役立つ外交」ということを強調している。その次にODA、その次に足腰経費等としており、何故日本の外交の予算が増えることが国民にとって必要かということを、会計的観点から説明していきたい。)
- 勧告はあまり長くならず、昨年程度の長さが良いであろう。在外職員の能力向上も大切であるが、長くなる場合にはこの点は短くし、むしろ厳しい勤務状況を強調すると良いのではないか。個別内容は昨年のままでよいが、総論部分はもっと遠慮せず言った方がよい。住居手当等についても状況がどんどん変わっているので、常に言い続ける必要がある。
- 短期的措置については予算案に沿った内容でよいが、中長期的措置については、将来もっと大きなことを考えているというトーンで書くと良い。