山中政務官は、5月2日~7日に、テッサロニキ(ギリシャ)、ベオグラード(セルビア・モンテネグロ)及びプリシュティナ(コソボ)を訪問したところ、その概要以下の通り。テッサロニキにおいては南東欧協力プロセス(SEECP)外相会合に出席し、スピーチを行った。
日付 | 予定 |
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5月3日 (テッサロニキ) |
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5月4日 (ベオグラード) |
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5月5日 (プリシュティナ) |
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5月6日 (プリシュティナ) |
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(イ)南東欧諸国自身の努力による地域の安定、安全及び善隣関係の拡大を図るため設立されたSEECPが開催した外相会議に、ゲスト国として招待された我が国から山中政務官が出席した。
(ロ)右会議において山中政務官はスピーチを行い、1)南東欧諸国のEUへの統合を支持していること、2)欧州の統合プロセスにおいて南東欧諸国の自助努力に基づく地域協力が重要であること、3)南東欧地域の自助努力を促進させるためにはSEECPの制度的強化が不可欠であること、4)我が国として地域の安定と地域協力の促進のために支援を継続すること等のメッセージを発出した。これに対して議長国ギリシャ他、各国外相等から高い評価を受け、日本の南東欧地域に対するこれまでの貢献とともに、SEECPの活動への一層の協力について高い期待が寄せられた。
(ハ)今次外相会議には、SEECP加盟10か国(アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、ギリシャ、マケドニア・旧ユーゴスラビア共和国、モルドバ、ルーマニア、セルビア・モンテネグロ、トルコ)からの各外相に加え、UNMIK、EU等の国際機関が参加した(アジア地域からの参加は我が国のみ。)。域外国の参加者(米、ロシア)のうち政治レベルで構成されたのは我が国のみであり、このことは我が国が南東欧の安定と発展に高い関心を有していることを関係地域の国及び国際機関に対して強く印象づけるものであった。
SEECP会合に出席する山中政務官
カラマンリス首相と挨拶を交わす山中政務官
(イ)テッサロニキ
(i)セルビア・モンテネグロ(ドラシュコビッチ外相)
山中政務官より、セルビアにおける洪水被害に対するお見舞いを述べた。また、旧ユーゴ国際戦犯法廷への協力を求めると共に、コソボ地位問題についてコソボのセルビア系少数民族がコソボの統治機構に参加するよう働きかけた。さらに、国連人権理事会等に関する意見交換を行った。
(ii)マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(ミトレバ外相)
山中政務官より、マケドニアがEU加盟に向けて着実に進んでいることを歓迎するとともに、我が国の支援の継続を伝えた。また、コソボ問題を含む南東欧の地域情勢及び国連人権理事会等に関する意見交換を行った。
(iii)アルバニア(ムスタファイ外相)
山中政務官より、5月中旬に予定されている外相の訪日を歓迎する旨述べた。また、コソボ問題を含む南東欧の地域情勢及び国連人権理事会等に関する意見交換を行った。
(iv)ペーターセンUNMIK事務総長特別代表
山中政務官より、コソボ問題の解決のために日本が当事者双方に働きかけを行う等の貢献を継続していく旨伝えた。
(v)ギリシャ(バコヤニ外相)
山中政務官より、カラマンリス首相への小泉総理からの挨拶のメッセージを伝えた他、来る外相の訪日について協議を行った。また、コソボ問題を含む南東欧の地域情勢及び国連人権理事会等に関する意見交換を行った。
(vi)ブルガリア(カルフィン外相)
コソボ問題を含む地域情勢、国連人権理事会等に関する意見交換を行った。
(vii)クロアチア(キタロビッチ外相)
コソボ問題を含む地域情勢、国連人権理事会等に関する意見交換を行った。
(ロ)セルビア・モンテネグロ、セルビア
(i)タディッチ大統領(セルビア)
山中政務官より、セルビアにおける洪水被害に対するお見舞いを述べるとともに、同大統領の訪日希望を歓迎する旨述べた。また、旧ユーゴ国際戦犯法廷への協力を求めると共に、コソボ地位問題についてコソボのセルビア系少数民族がコソボの統治機構に参加するよう働きかけた。
(ii)コシュトゥーニツァ首相(セルビア)
山中政務官より、セルビアにおける洪水被害に対するお見舞いを述べるとともに我が国がセルビアの民主化と発展に支援を継続する旨伝えた。また、旧ユーゴ国際戦犯法廷への協力を求めると共に、コソボ地位問題についてコソボのセルビア系少数民族がコソボの統治機構に参加するよう働きかけた。
(iii)ブキチェビッチ外務省二国間担当次官(セルビア・モンテネグロ)
良好な二国間関係を確認した他、コソボ問題、コソボの歴史遺産・文化財保護、タディッチ大統領の訪日、日本からの投資の可能性等に関する意見交換を行った。また、山中政務官より、旧ユーゴ国際戦犯法廷への協力を求めると共に、技術協力協定の批准を促した。
(ハ)コソボ(国連暫定自治下)
(i)セイディユPISG大統領
山中政務官より、我が国のコソボ支援を継続すると共に、コソボ地位問題について、セルビア系等少数民族の安全、文化・宗教遺産の保護等を実現させるべくコソボ当局が民主的な多民族社会を構築するための「水準」の履行を進めていくことの重要性を伝えた。
(ii)シュックUNMIK筆頭副代表
山中政務官よりセルビア及びコソボ双方の指導者に対してコソボ問題の解決のための働きかけを行った旨伝えたことに対して、シュック副代表より、繰り返し謝意の表明があった。
(イ)プリシュティナ大学病院救急センター開所式
山中政務官は、我が国人間の安全保障基金による対コソボ支援の一つである、プリシュティナ大学病院救急センター開所式に出席し、ドナー国の代表として挨拶を行った。同式典にはチェク・コソボ首相、シュックUNMIK筆頭副代表、モーリンUNDP事務所長等が出席し、それぞれ我が国の支援について謝意の表明があった。
(ロ)ラジオ・テレビジョン・コソボ視察
山中政務官は、コソボの独立メディアであるラジオ・テレビジョン・コソボ(RTK)本部を訪問し、我が国が復興援助として供与した放送機材の利用状況を視察するとともに、我が国技術協力で訪日研修した技術者等と懇談した。
コソボにおいて山中政務官は、州都プリシュティナ近郊のセルビア人居住地区を訪れ、コソボの代表的文化遺産の一つであるグラチャニツァ修道院を視察し、セルビア正教の僧侶と会談した。