
中野外務大臣政務官の「幸福に関するハイレベル会合」出席(概要)
平成24年4月5日

幸福に関するハイレベル会合でのステートメント

ティンレイ・ブータン首相との会談

ミギロ国連副事務総長との会談
1.概要
- (1) 4月2日(月曜日),米国ニューヨークの国連本部にて「幸福に関するハイレベル会合」が行われ,我が国からは中野譲外務大臣政務官が出席しました。同会合はブータン政府の提唱によって開催されたもので,我が国を含む60を超える多数の国が共同提案国となりコンセンサスで採択された第65回国連総会「幸福」決議に基づくものです。
- (2) 会議冒頭,我が国を含む10カ国(ブータン,コスタリカ,豪州,フィンランド,インド,イスラエル,モロッコ,タイ,英国)及び潘基文(パン・ギムン)国連事務総長,クラークUNDP総裁,ナスル第66回国連総会議長,コテレッツ国連経済社会理事会議長,デュランOECD統計局長がステートメントを行い,それぞれの立場から「幸福」という概念の持つ重要性について強調しました。
- (3) その後,「新経済」の4側面とされる幸福(Wellbeing and Happiness),環境の持続可能性(Ecological Sustainability),資源の効率的活用(Efficient Use of Happiness),公正な分配(Fair Distribution)に関し,ジェフリー・サックス・コロンビア大学教授,ジョナサン・パッツ・ウィスコンシン大学教授,ジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授,カルマ・ツィテーム・ブータンGNH委員会次官,ワケナゲル・エコロジカル・フットプリント指標開発者及びグローバル・フットフリント・ネットワーク代表(コーネル大学教授)等によるパネル・ディスカッションが行われました。
- (4) 最後に,ティンレイ・ブータン首相より,本会合の報告書をこれから作成し国連加盟国へ配布するために事務総長宛書簡を送付すること,今後,同首相の下に委員会を立ち上げ対話を続けていくこと,3日(火曜日)及び4日(水曜日)と続く専門家レベルのタスクフォース会合で政策勧告を作成すること,6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)でも引き続き今回会合をフォローアップする対話を行っていく旨を述べました。
幸福に関するハイレベル会合で中野大臣政務官が行ったステートメントの概要は次のとおりです。
- (1) 東日本大震災に際しての国際社会からの強固な連帯と温かい支援に改めて謝意。特に,昨年11月の国王王妃両陛下訪日の際には,多くの日本人が国王陛下の国会演説やブータンが提唱する国民総幸福量(GNH)に深い感銘を受けた。
- (2) 日本政府は,政府の研究会による家族,地域,自然等とのつながりや絆を重視した幸福度指標の提案や「幸福度に関するアジア太平洋コンファレンス」の共催等を通じて,人々の幸福を促進するための国内外の努力を行っている。
- (3) 幸福のアジェンダは,2015年以降の新しい国際開発目標に関する議論において重要性を増しつつあり,国連持続可能な開発会議(リオ+20)に向けて,日本政府はGDPとは異なる視点を提供するために,幸福を新しい基準として検討することを提案している。また,日本は国際開発戦略の指導理念として「人間の安全保障」を積極的に推進しており,人間の安全保障は人々やコミュニティの保護と能力向上を通じ,個人レベルでの人々の幸福を促進する。
- (4) 国連持続可能な開発会議(リオ+20)では,世界の指導者たちが持続可能な開発に向けた進捗を測る指標を策定することに合意することが期待されており,国民総幸福量の知恵は,これまで主にGDPによって定義されてきた経済活動及び政府の政策を導く最良のパートナーとなる。我々は,本会合での有意義な議論に基づき,より幸福な,よりグリーンな世界を実現するために,ブータン政府,他の加盟国及び関係者とともに取り組んでいく。
3.バイ会談
中野大臣政務官は今回の会合出席の機会を利用して,ティンレイ・ブータン首相,ミギロ国連副事務総長,バチェレUN Women事務局長,ラドゥース国連PKO局長,ナタラジャン・インド環境森林大臣とそれぞれ次のとおり会談を行った他,5月の第6回太平洋・島サミットに向けた太平洋島嶼国国連常駐代表との意見交換を行いました。
(1) ティンレイ・ブータン首相(3日午前)
ティンレイ首相から,中野大臣政務官の幸福に関するハイレベル会合出席への謝意が述べられるとともに,日本のプレゼンスは会合での議論に大きな刺激をもたらした旨述べました。また,これまでの日本の支援に改めて謝意が表され,日本が国際社会において指導力を発揮することに対する期待感,特に日本の安保理常任理事国入りへの支持が表明されました。
(2) ミギロ国連副事務総長(2日午後)
開発,経済社会分野での連携,ポストMDGs,人間の安全保障,リオ+20に向けての協力に関し意見交換を行いました。
(3) バチェレUN Women事務局長(2日午後)
女性の権利向上,我が国とUN Womenとの協力に関し意見交換を行いました。
(4) ラドゥース国連PKO局長(2日午後)
先方より,日本のPKO派遣に対する謝意が述べられ,中野大臣政務官より,特に南スーダンにおける我が国施設部隊のジュバでの活動について,また,我が国要員をゴラン高原に派遣している関係もあり,現下のシリア情勢について意見交換を行いました。
(5) ナタラジャン・インド環境森林大臣(2日午後)
気候変動,リオ+20,生物多様性条約等について意見交換を行い,幅広い分野で協力を強化していくことで一致しました。
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