カストロ・コスタリカ環境・エネルギー・通信大臣閣下を始めとするパネリストの皆様,
御列席の皆様,
御来場の皆様,
1.冒頭
本日より二日間,FEALAC(アジア中南米協力フォーラム)環境ビジネス会合が開催されますことを,心より歓迎いたします。FEALAC各国から日本にお越し頂いたパネリストの方々を始め,本会合の開催にあたり御支援・御尽力頂いた関係者の皆様に感謝の意を表します。
FEALAC環境ビジネス会合は,2010年に東京で開催されたFEALAC第4回外相会合において,当時の岡田外相が発表した環境と防災分野の協力のための「FEALAC岡田グリーン・イニシアチブ(FROG)」の一環として開催されます。本会合の主要なテーマは「環境問題の克服と経済成長を両立させることを目的とした環境ビジネスの推進」です。この問題は,先行きが不透明な世界経済の中で顕著且つ確実な成長を遂げ,今や世界経済の主要な成長センターとなったアジアと中南米地域が今後「持続可能な社会」を実現するために克服しなくてはならない共通課題を真正面から捉えたものであり,誠に重要且つ時宜を得たテーマであると認識しています。
2.FEALAC環境ビジネス会合開催の意義:世界的な環境意識の高まり
FEALACを構成するアジア・中南米36カ国は,今や世界のGDP総額の約30%,世界貿易総額の約42%を占めており,両地域間の貿易は,ここ10年余りで約4倍に増加するなど,世界経済における存在感を益々高めております。
しかしながら,FEALAC参加国の多くは,経済成長に伴う急速な人口増加や都市化が進んだ結果,公害問題やインフラ整備といった課題に直面しております。こうした中で,省エネ対策の推進や再生可能エネルギーの活用,安定的な水システムの運営や効率的かつ環境負荷の少ない交通システムの確立といった各種環境インフラを整備し,環境配慮と経済成長を両立させた「持続可能な社会」を実現することが両地域共通の喫緊の課題となっています。
日本は,高度経済成長の過程における深刻な公害問題やオイルショックを始めとする様々な課題を乗り越え,現在,積極的にグリーン経済への移行に取り組んでいます。一例として,明14日のセッションで発表頂く北九州市は,深刻な公害問題を克服し,今や我が国が進める「環境未来都市」やアジア初の経済協力開発機構(OECD)の“グリーン都市(Green Cities)”に選定されており,その経験を広く海外に共有しています。このように我々は,日本に根付く「自然との共生」の精神に培われた経験と技術を広く国際社会と共有して来ており,今後とも国際社会に対し積極的に発信していく所存です。
政府においては,今年6月に開催されたリオ+20で発表した,1)環境未来都市構想の普及,2)グリーン経済への移行,3)災害に強い強靭な社会づくりを3本柱とする「緑の未来」イニシアティブなどを通じ,国際場裏において,持続可能な社会の実現に向けた具体的な対策を提案し,実行に移しています。また,自然災害や水不足といった形で市民生活に直結する気候変動への対策においても,2012年までの途上国への支援として表明した官民合計約150億ドルの支援の内,既に約132億ドル以上の支援を実施しており,前述のリオ+20においては,我が国の優れた再生可能エネルギー技術を活用し,各国のグリーン経済移行に関する途上国支援として再生可能エネルギー分野等で今後3年間で30億ドルの支援を表明しました。
さらに,官民協力の下,在外公館インフラ専門官の活用強化や公的ファンナンス支援強化等を内容とする「パッケージ型インフラ海外展開促進プログラム」を推進しており,水,発電,交通など日本の優れたインフラの海外展開を積極的に支援しております。
FEALAC加盟国の多くは,人口増加や生活レベルの向上に伴う,クリーン・エネルギーや生活インフラに対する需要拡大に対し,高度な環境技術を活用した省エネ技術や水,交通等の社会インフラ整備を積極的に進めているものと承知しております。今般の会合においては,経団連,世界省エネルギー等ビジネス推進協議会(JASE-World)や海外水循環システム協議会(GWRA)といった企業・産業団体より,高度な環境技術を誇る日本企業の取組についても紹介が行われると承知しております。需要と供給のマッチング及び今後の協力に向け,活発な意見交換が行われることを期待しております。
3.環境ビジネス会合の概要紹介
本日から二日間に亘り開催される本会合においては,環境ビジネスの中でも特に地熱発電,省エネと交通,水と衛生の各分野に焦点を当て,FEALAC各国から政府幹部,民間企業幹部,地方自治体から専門家をお招きし,発表及びパネル・ディスカッションを行って頂きます。
第1セッションにおいては,我が国の環境ビジネス推進支援の取組を紹介し,第2セッション以降においては,日本国内及び各国からお越し頂いたパネリストの方々より,特に今後環境ビジネス需要の高まりが期待される各地におけるビジネス推進の取組の現状や投資奨励措置・予算並びに成功例等につき,現場の声を御紹介頂く予定です。
本会合においては,パネル・ディスカッションのみならず,御来場の皆様との活発な意見交換及び交流を通じ,アジア・中南米の両地域における環境ビジネスの活性化,ひいては各地の「持続可能な社会の実現」に貢献することを期待しております。特に諸外国の環境ビジネス推進の取組を是非我が国民間企業の方々にも聞いて頂き,この会合がビジネス・チャンスを見出す一助となれば幸いです。また,本会合を通じてFEALAC各国そしてアジア・中南米地域の人的交流が促進され,両地域の友好及び協力関係がより強化なものとなることを期待しております。
日本は,持続可能な社会の実現という地球規模課題に対し,今後とも国際社会と協力していく所存です。また,FEALAC等の各種フォーラムを活用し,今後とも両地域との友好・協力関係の強化を推進していく考えであることを申し上げつつ,本会合の御成功を祈念し,私の挨拶とさせて頂きます。