
開発資金国際会議フォローアップ会合(2008年11月29日-12月2日、ドーハ)
成果文書の主要なポイント
平成20年12月
1. 導入:モンテレー合意の再確認
- モンテレー合意を実施するために具体的な行動をとる決意を強調。貧困撲滅、持続的経済成長、持続可能な開発への取組に改めてコミット(パラ1)。
- モンテレー合意全体を、一体性ある包括的なものとして再確認。ミレニアム開発目標(MDGs)等の達成にとっての開発資金動員及びその効果的活用の重要性を認識。また、自由、平和と安全、人権の尊重、法の支配、ジェンダー平等、公正で民主的な社会へのコミットメントの重要性を再確認。各国は自らの経済社会開発に一義的責任を負う(パラ2)。
- 人間中心の開発を通じて今日の地球規模の諸課題を克服し、モンテレー合意を完全、効果的、かつ迅速に実施することを決意(パラ3)。
2. 国内資金の動員
- 公的・民間資金の動員や投資拡大にとって良好な環境整備・維持のための取組強化が必要。開発戦略における途上国のオーナーシップとリーダーシップ、良い統治が重要であることを再確認(パラ8-9)。
- 人材への投資に引き続き取り組む。地場産業及びコミュニティの強化の重要性を強調(パラ12)。
- 近代的な税制、効率的な徴税、課税基盤の拡大、租税回避への効果的対処により税収拡大に取り組む。租税分野の国際協力の推進の必要性を認識し、国際租税委員会を含む制度強化の検討を経社理に要請(パラ16)。
- 経済成長の恩恵がすべての人に行き渡るよう、個人及びコミュニティの強化や金融・与信サービスへのアクセス向上を確保(パラ18)。
3. 海外直接投資及び他の民間資金フロー
- 国際的な資金フロー(特にFDI)が開発への取組に不可欠の要素であることを認識し、その拡大を追求。ODAや保険等の枠組が、投資を呼び込む触媒の役割を果たす。投資協定は法的安定性及び予測可能性を高めることにより投資を促進する。予見可能な投資環境醸成のため引き続き取組が必要であり、国内・国際的に透明かつ適切な規制を実施(パラ23-25)。
- 移民の送金は送出国にとって重要な民間資金源。送金費用を減らし、開発志向の投資機会を創出するため既存の措置を強化(パラ29)。
4. 国際貿易
- 国際貿易は開発・持続的な成長を推進。ルールに則った、開放的、非差別的、衡平かつ普遍的な多国間貿易体制や意味ある貿易自由化も開発を促進(パラ30)。
- WTOドーハ開発アジェンダの早期妥結に向け、年内にモダリティ合意に至るよう努力(パラ32)。
- 途上国が国際貿易体制の恩恵を蒙ることが出来るよう支援する上で、「貿易のための援助」は重要(パラ36)。
5. 資金・技術協力(ODA)
- 他の開発資金源を補完するODAの重要性を再確認(パラ41)。
- ODAに関するコミットメントの履行に取り組むとの北海道洞爺湖サミットにおける宣言を歓迎。多くの先進国がコミットしているODAのGNP比0.7%目標の2015年までの達成等を含むODAに関する全てのコミットメントの履行が重要。ドナー国は既存のコミットメントを達成するため全ての必要かつ適切な手段をとるべき。未履行の先進国に対して、彼等のコミットメントに従い0.7%目標等に向けた更なる具体的努力を求める。また、民主的ガバナンスや、透明性及び説明責任の改善の重要性を強調(パラ42-43)。
- ODAの質・効果向上のための取組強化を歓迎し、今後も継続。効果的な援助に「お仕着せ」はなく、各国の事情を十分に考慮すべき(パラ46)。
- 今日、新たなドナーや連携手法が出現。資金が最大の効果を発揮するよう開発に携わる全てのアクターが緊密に連携すべき(パラ47)。
- 南南協力、三角協力による追加資金の供給を改めて支持(パラ49)。
- 革新的資金調達メカニズムの自発的・補完的性質を踏まえつつ、既存の取組の強化や新たな提案の模索を検討するよう国際社会に呼びかけ、国連事務総長に進捗報告を要請(パラ51)。
6. 対外債務
- 持続不可能な債務の再発生を回避することが必要。債務者・債権者の共同責任の原則、透明性と説明責任の強化、債務管理の改善といった原則に基づき、債務問題解決に努力。債務救済による恩恵を完全なものとするためには、すべての債権者が国際的な債務救済へ関与することが必要(パラ57、61)。
- 債務管理や債務削減交渉のための能力強化に必要な途上国への技術協力を継続(パラ64)。
- 対外債務問題に関するあらゆる課題への継続的な取り組み(国連を通じたものを含む)の必要性を認識。既存の枠組・指針に基づいて、債権者、債務者双方の広範な参加及び債権者間の公平な負担の共有を確保した上で、公的債務再編メカニズムの拡大アプローチの模索を検討(パラ67)。
7. システム上の課題
- 国際金融体制の改革においては、透明性を拡大し、意思決定や規範設定への途上国・新興国の参加の拡大に焦点を当てることが必要。国際金融機関は引き続き危機対応及び国際金融の安定に努める。金融市場の規制・監督を強化。世界経済における各国の存在感を反映したものへとブレトンウッズ体制を包括的に改革することが必要(パラ68-77)。
- 国連は、世界的な金融・経済危機及びその開発への影響について、最高レベルで総会議長主催の会議を開催する。具体的な形態は2009年3月までに決定(パラ79)。
8. その他の新たな課題
- 金融危機、気候変動、主要産品の価格変動、紛争後の復興・開発等の新たな課題に一致団結して取り組む決意を確認(パラ80)。
- 金融危機に関わるドナーがODAのコミットメントを維持することを求める(パラ81)。
- 切れ目のない平和構築支援の重要性を確認し、平和構築委員会の活動を歓迎する(パラ86)。
9.継続的な関与
- モンテレー合意の適切で効果的な実施に改めてコミット(パラ87)。
- フォローアップのための包括的なプロセスの必要性を認識し、経社理に対し、春期会合及び2009年の実質会期中に本件を検討するよう要請。2013年までにフォローアップ会合を開催する必要性について検討(パラ89-90)。