外務本省

サイバー空間に関するロンドン会議について

平成23年11月2日

  • (写真)サイバー空間に関するロンドン会議について
  • (写真)山根外務副大臣とヘーグ英外務大臣
    山根外務副大臣とヘーグ英外務大臣

1.概要

(1)11月1日~2日,英国のロンドンにおいて,サイバー空間に関するロンドン会議が開催された。本件会議は,ヘーグ英外相が主催し,60カ国の政府機関他,国際機関,民間セクター,NGO代表など約700名が参加した。また,英国のキャメロン首相もスピーチを行った。

(2)我が国からは,山根外務副大臣を代表として,内閣官房(安全保障・危機管理担当及び情報セキュリティセンター),総務省,外務省,経済産業省,防衛省及び警察庁から構成される代表団が参加した。また,イルヴェス・エストニア大統領,ビルト・スウェーデン外相,ローゼンタール蘭外相,パイロット印通信相などの政府代表のほか,クラーク国連開発計画(UNDP)総裁,トゥーレ国際電気通信連合(ITU)事務総局長やウィキペディアの共同設立者ジミー・ウェルズ氏などが会議に参加した。また,インターネット中継によりバイデン米副大統領がスピーチを行った。

(3)会議は,全体会議及び5つのテーマからなる分科会等から構成され,インターネットの経済的・社会的恩恵を維持し,また,サイバー空間における犯罪的・安全保障上の脅威からいかに身を護るべきかという問題等について活発な議論が行われた。

2.会議における各国政府主要者の発言

(1)山根外務副大臣は,全体会議セッション1の締め括りとして,サイバー空間の安定的利用に対するリスクが新たな安全保障上の課題となったことや,サイバー空間の安全性,開放性,透明性,信頼性及び相互運用性などを高めるための国際社会の協力や官民間での継続した話し合いの必要性,官民協力の下で国際的な規範(法的拘束力のない規範)を醸成していくことの重要性に言及しつつ我が国も積極的に協議へ取り組んでいくことなどについて発言した。

(2)会議冒頭,ヘーグ英外相は,サイバー空間の安定を図るにあたり,基本的人権,特に表現の自由が守られることが重要であり,検閲といった国家による過度な規制は不適切である。また,サイバー空間の発展,安定に向けた取組は,政府,企業,国際機関等が一体となって取り組む必要がある旨を述べた。

(3)キャメロン英首相は,サイバー空間の発展があらゆる地域の人々に対して経済発展の機会を提供することや,サイバー犯罪への対応が世界中の国々にとっての喫緊の課題であること,そして,サイバー脅威への安全保障上の対策の必要性の3点が特に重要である旨を発言した。

(4)バイデン米副大統領は,サイバー空間における政府の排他的な権限行使は,サイバー空間の発展を停滞させるとともに各国との信頼関係を破壊するものであること,既存の国際法の原理・原則は,サイバー空間にも適用されるべきものであること,サイバー空間の安全の確保は各国政府のみの取組だけでは困難であり,時間をかけてグローバルな基準や合意を形成することが重要と発言。また,サイバー犯罪条約の促進やサイバー空間での信頼醸成措置の重要性について言及した。

3.議長声明/記者会見等(抜粋)

(1)議長声明では,サイバー空間での活動における5つの側面,すなわち,(1)経済成長と発展(2)社会的便益(3)安全かつ信頼できるアクセス(4)国際安全保障,(5)サイバー犯罪について,それぞれ議論された内容が発表されるとともに,サイバー空間における政府機関,民間セクター及び個人の行動に関する提唱が行われた。

(2)また,本会議の開催を通じて明らかになったサイバー空間を巡る諸課題について,官民一体となって議論を深めたことにより,将来のサイバー空間に関する国際的なコンセンサス獲得や行動規範の作成に向けて,重要な一歩を踏み出すことができたことなどを確認した。

(3)本会議は,そのような国際的な対話の場の第一歩となったと評価できるとともに,2012年にハンガリー,2013年に韓国でそれぞれフォローアップ会議が開催予定であることが発表された。

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