6月25日から26日,高橋外務副大臣は,第19回アフリカ連合(AU)閣僚執行理事会が開催されているマラボ(赤道ギニア)を訪問したところ,概要は以下のとおりです。
<ポイント>
- AU閣僚執行理事会には,AU53ヶ国の外相及び域外国より閣僚等が参加。
- 日本は開会式において域外国としては例外的に発言の機会が認められ,高橋副大臣は震災後のアフリカ外交についてスピーチを行った。
- AU委員会委員長との会談,赤道ギニア首相・外相を含め,11ヵ国・機関の閣僚級との二国間会談を行った。
- 日・赤道ギニア二国間会談 (25日夕刻)
25日夕刻,高橋副大臣は,ミチャ・オンド・ビレ赤道ギニア外相と会談を行いました。
冒頭,先方より,先の震災に関してお見舞いと我が国国民との連帯の意の表明があり,高橋副大臣より,これらのお見舞いや寄せられた義援金に対し謝意を表明しました。
高橋副大臣より,液化天然ガス(LNG)事業における我が国民間企業の参加に言及しつつ,赤道ギニアにおける投資拡大に関する協力について述べました。また,安保理改革,気候変動等,国際場裡における協力および各種国際選挙に関する協力に対する働きかけを行いました。
先方からは,今回の赤道ギニア訪問を歓迎する旨発言があったほか,水産分野や中小企業分野における協力等について発言がありました。
双方は,技術協力分野,特に人材育成に関する協力を進めていくことなどを通じて,良好な二国間関係を強化していくことで一致しました。 - ジャン・ピンAU委員会(AUC)委員長との会談 (25日夜)
25日夜,AUCのジャン・ピン委員長と会談を行いました。
高橋副大臣より,東日本大震災に際してAU及びアフリカ諸国から表明された連帯の意に対して謝意を伝達しました。また,昨年8月にピン委員長が訪日した際に発出した「日・AU協力強化に関する共同コミュニケ」に基づき,日AU関係は着実に進展していることを確認の上,AUCがTICAD共催者となってから初めて本年5月にセネガルで開催されたTICAD閣僚級フォローアップ会合への協力に感謝しつつ,今後一層連携を深めていきたい旨を述べました。さらに,我が国としてTICADⅣの公約を引き続き誠実に実現していく決意を改めて伝達しました。
AUC側からは,TICADプロセスをはじめとする日本の長年のアフリカ支援に対する感謝が述べられました。今後ともアフリカのインフラ,農業等の様々な分野において協力を強化したい旨発言がありました。
また,双方は,リビア,スーダン等をはじめとするアフリカ情勢や,安保理改革,気候変動等のグローバルな課題に関する意見交換を行いました。 - AU閣僚執行理事会開会式 (26日昼)
26日,高橋副大臣はAU閣僚執行理事会開会式に出席しました。開会式冒頭,ピンAUC委員長,ジャネUNECA事務局長より,日本の地震及び津波について言及がなされるとともに,AUおよび議長国の赤道ギニアの特別な配慮により,高橋副大臣よりアフリカ諸国に対する謝意表明等のためのスピーチを行うとの案内がありました。
スピーチでは,高橋副大臣より,まず,特別に発言の機会が認められたことに対する感謝を述べた上で,震災後のアフリカ諸国からの支援に対する謝意を表明し,TICADⅣの公約を引き続き誠実に実現していく決意である旨を述べました。さらに国連安保理の現状を改善すべきである旨述べ,安保理改革についてアフリカ諸国の協力を求めました。また,日AU関係を着実に進展させ,AUをパートナーとして今後のTICADプロセスを推進させていく考えを示した上で,大震災を契機に再確認されたアフリカとの連帯を深めながら,アフリカとともに歩みを進めていく方針について述べました。
また,AU事務局を通じて,高橋副大臣からのメッセージ(英文および仏文)を配布いたしました(メッセージ和文(PDF),英文(PDF)
,仏文(PDF)
)。
同メッセージでは,スピーチで述べた内容に加え,我が国の対アフリカ外交の3本柱に沿って,(1)「平和と安定への貢献」については,コートジボワール,スーダン,リビア等の地域問題に触れつつ,民主主義の定着への貢献を行う決意を述べ,(2)「開発支援と貿易支援の拡大」については,TICADⅣの公約やMDGsとの関連で「菅コミットメント」に言及し,保健教育分野の支援等の開発支援を着実に実施していく旨表明したほか,(3)気候変動等の「グローバルな課題への対応」についてアフリカ諸国と協力していく考えについて述べています。
開会式終了後,高橋副大臣は,ミラム・タング赤道ギニア首相と懇談し,あらためて議長国である赤道ギニアの配慮に感謝するとともに二国間関係の進展に向け協力していくことを確認しました。 - 二国間会談 (26日)
(1)メサヘル・アルジェリア外相付マグレブ・アフリカ特命大臣,トゥンギ・ガボン外務・国際協力・仏語圏大臣,ハイレマリアム・エチオピア副首相兼外務大臣, マッキントッシュ・リベリア外務大臣,ブーレル・モーリシャス外務・地域統合・国際貿易大臣,オマール・ソマリア外務大臣,ラマ・ギニア外務大臣,ダウダ・シエラレオネ外務・国際協力大臣,ユスフ・ジブチ外務・国際協力大臣の計9ヵ国と二国間会談を実施。
(2)また,ミラム・タング赤道ギニア首相,オスマン・エリトリア外務大臣,ボルジェス・カーボヴェルデ対外関係大臣,ムシキワボ・ルワンダ外務・協力大臣,ゴマ中部アフリカ経済共同体(ECCAS)事務局長,タンガラ・ガンビア外務・国際協力・在外ガンビア人大臣,ワナシー・スーダン外務担当国務長官,ダンカン・コートジボワール外務大臣,ムムニ・ガーナ外務・地域統合大臣,ガンビ・中央アフリカ外務・地域統合・仏語圏大臣,ラッド・オーストラリア外務大臣,ベリンガム英国アフリカ担当大臣やニュージーランド,パレスチナ,インドの各国代表他と短時間話を交わしました。
(3) 各会談における,高橋副大臣からの発言の主な内容は主なとおりです。
(ア)震災へのお見舞いや義援金等の表明に対し,改めて謝意を表明。
(イ)我が国が今次災害を乗り越え,アフリカ支援の公約を実現させるとの決意を確認。
(ウ)経済協力等の分野をはじめとする二国間関係を強化する意図の伝達。
(エ)安保理改革,気候変動等に関する協力を要請。
(オ)各種国際選挙における支持を要請。
(4)各国外相等からは,日本のアフリカ重視の姿勢や我が国からのTICADをはじめとする協力に対する高い評価が表明されるとともに,更なる協力強化に向け,各国の重視する分野や喫緊の課題にかかる協力につき要請や期待の表明がありました。安保理改革をはじめとする国際場裡における協力に関しては,目標実現のための協力や連携を強化していく必要性について一致しました。