金田勝年外務副大臣は、9月5日から9日にかけ、第59回国連広報局・NGO年次会合出席及び米政府要人との意見交換のため、ニューヨーク及びワシントンを訪問した。
ニューヨークにおいては年次会合オープニングセッションで、日本政府を代表し、スペシャルメッセージとしてスピーチを行い、エリアソン総会議長、アナン事務総長夫人、NGOの代表等と意見交換を行った。
ワシントンDCにおいては、クラウチ国家安全保障問題担当次席補佐官、イングランド国防副長官、ドブリアンスキー国務副長官代行、バティアUSTR次席代表等と会談した。
本件会合は、多様な分野における国際社会の課題に対し、NGO、国連、政府がいかなる形で連携して取り組んでいくかを探ることが趣旨であり、金田副大臣は、「人間の安全保障」がテーマの一つであることを捉え、「人間の安全保障」が日本の年来の主張であり、また実践でもあることを指摘し、NGOが国連や各国政府と統合された対応をとることの重要性を訴えて、参加者の賛同と支持を得た。
(国連広報局・NGO年次会合での演説)
(エリアソン総会議長と)
(イ)「人々」の目線で安全を考え直す
緒方貞子氏が指摘したように、伝統的な国家安全保障の枠組みだけでは、極端な貧困、紛争、感染症、環境破壊、国境を越える組織犯罪及びテロといった新たな脅威から市民を守ることはできない。国際社会は安全保障という概念について新たなパラダイムを見いだすことが求められており、それは個々の市民レベルの視線から捉え直されたものでなければならない。
(ロ)統合された行動が必要
様々な危機に対処する政府、国際機関そして官民の組織の方法は、常に人間中心であったとは限らず、ともすればバラバラになりがちであった。現場の真のニーズに基づいて統合された対応をとることこそが重要である。日本が主導して国連に設けられた「人間の安全保障基金」は、人間の安全保障の促進に資するプロジェクトの実施を支援している。
(アナン事務総長夫人主催昼食会)
(NGO委員会主催レセプションでの挨拶)
(1)一連の会談における金田副大臣からのメッセージの主要点は次のとおり。
(イ)日米同盟は小泉総理の下で格段に強化された。特に米側において、あらゆる国際問題について先ずは日本と相談してみようという姿勢が定着してきたことを評価。小泉政権を代表して訪米する最後の政治レベルとして、これまでの協力に感謝。
(ロ)9月26日に発足する新政権に対し引き継ぐ課題としては、「2+2」最終合意の着実かつ迅速な実施、ミサイル防衛に係る協力の推進、テロ特措法の期限延長の問題への対応の3点が特に重要であること。
(ハ)東アジアにおける協力も推進し、中国に責任ある役割を果たすよう働きかけ、北朝鮮の核・ミサイル・拉致問題で引き続き連携と協力を伝達。(リーチ下院議員には4月の公聴会開催、イングランド副長官には被害者家族との面会に謝意を表明。)
(ニ)また、金田副大臣より、クラウチ大統領次席補佐官及びドブリアンスキー国務副長官代行に対し、我が国がWHO事務局長次期候補として尾身WHO西太平洋地域事務局長を、IEA事務局長次期候補として田中OECD科学技術産業局長を擁立する旨伝達し、米国の支持を要請した。
(2)これに対し、米側関係者は一様に、日米同盟の進捗と今後の課題に関する見方は完全に一致しているとして、政権の変わり目に戦略的方向性を再確認できたことは有意義であるとの評価が示された。
特に、クラウチ次席補佐官からは、北朝鮮問題、就中、拉致問題について引き続き全力で日本を支持し、連携していくとの発言が得られ、また、イングランド国防副長官からは、我が国のイラク・アフガニスタンでの貢献について高い評価と感謝が示され、引き続き中東における協力を推進していくことへの期待が示された。
また、ドブリアンスキー国務副長官代行とは、イラン、ミャンマー、キューバ等の問題について踏み込んだ議論を行った他、バティアUSTR次席代表との間でもWTO(金田副大臣より、進展のためには米国を含む全ての主要プレーヤーの歩み寄りが必要である旨強調。)、米国産牛肉輸入問題(金田副大臣より、先ずは日本の消費者の信頼回復が何より重要であることを強調。)等について有意義な意見交換を行った。
【今次訪米に際しての会談相手】
クラウチ国家安全保障問題担当大統領次席補佐官
ドブリアンスキー国務副長官代行
イングランド国防副長官
バティアUSTR次席代表
マカウスキー上院外交委員会東アジア太平洋小委員会委員長
リーチ下院国際関係委員会アジア太平洋小委員会委員長
アーミテージ元国務副長官
グリーンCSIS日本部長(前NSCアジア上級部長)
(ドブリアンスキー国務副長官代行との会談)
(イングランド国防副長官との会談)
(バティアUSTR次席代表との会談)
(リーチ委員長との会談)
(アーミテージ元国務副長官との会談)
(マカウスキー委員長との会談)
(グリーンCSIS日本部長との会談)