外務本省

OECD閣僚理事会伊藤外務副大臣、岡本内閣府大臣政務官の閣僚合同記者会見

平成21年6月25日
於:OECD閣僚理事会会議場メディアセンター

(写真)

1.伊藤副大臣冒頭発言・全体総括

 6月24日(水曜日)から25日(木曜日)にかけて、OECD閣僚理事会が開催され、自分(伊藤副大臣)も、中曽根大臣、二階経済産業大臣、岡本内閣府大臣政務官と共に出席した。

 今回の閣僚理事会は、「経済危機とその後、より強く、クリーンで、公平な世界経済の構築」をメインテーマに、1)OECDの戦略的方向性、2)回復への道、3)世界的な政策協力におけるOECDの役割、4)グリーン成長、及び5)貿易・投資のための市場開放維持、という5つの議題について例年以上に活発な議論が行われた。

 議論の成果は、結論文書及びグリーン成長に関する宣言として発表され、危機の克服とその後の持続的成長実現に向けた加盟国の強い決意が表明された。OECD閣僚理事会が包括的な合意文書を発出するのは7年ぶりであるが、加盟国のみならず非加盟国にとっても、危機とその後の政策対応を進めるための重要な指針となることが期待される。

2.各論

 引き続き、各セッションの議論の概要についてご紹介したい。

(1)24日、OECDの戦略的方向性を議論するワーキングランチから閣僚理事会が始まり、自分(=伊藤副大臣)及び岡本内閣府政務官が出席した。グリア事務総長より、1)主要新興国との関係、2)他の国際機関との協調、3)OECDの活動の広報の3点をどのように強化していくべきか問題提起があり、活発な議論が行われた。自分からは、OECDが、国際機関間の政策協調についての戦略策定に主導的な役割を果たすべきである旨等強調した。

(2)午後のセッションでは、回復への道について議論が行われた。世界経済の見通しについては、危機的情況から脱しつつあるが、引き続き注意が必要であることについては概ね意見の一致を見た。その他、出口戦略、財政再建、雇用問題等について幅広く議論が行われたが、この後、岡村政務官より詳しくご説明いただけると思う。

 自分からは更に一歩踏み込んで、1)資本主義の行き過ぎを是正し、多様な価値観を尊重し、より多くの人々を幸せにする仕組みを構築するためのパラダイムシフトの必要性、2)「人間の安全保障」の観点から、人間らしく生きるための基盤としての職業の重要性、3)量的な成長から質的な成長への移行、といった内容の発言を行った。

 なお、24日の夜にはワーキングディナーが開催され、自分以外にも各国から多数の閣僚が参加する中、世界的な政策協力におけるOECDの役割について自由な意見交換を行った。

(3)本25日の午前は、グリーン成長:危機の克服とその後について議論が行われた。中曽根大臣は、G8外相会合に向かわれる直前の限られた時間の中出席され、我が国の経済危機への対応や持続的成長のための構造改革について紹介するとともに、貿易・投資の自由化の促進を力強く訴えられた。更に、大臣は、わが国の温室効果ガス削減の中期目標の意義について明確な説明を行われた。二階大臣も、グリーン成長への取組について発言された。各国からも、自国のグリーン成長に向けた取組等の紹介があった。

(4)続いて、貿易・投資のための市場開放維持について議論が行われた。わが国からは、二階経産大臣とともに自分も出席した。二階大臣も含め、各国の出席者は、保護主義への対抗、ドーハ・ラウンドの早期妥結、貿易金融の重要性等について意見の一致を見た。

 自分からは、産業の立地について、コストの安さのみならず、資源・自然環境等の特色を生かしたより包括的な比較優位も考慮した国際分業のあり方を模索すべきであり、このような適地適産という考え方は環境負荷の低減やグリーン成長にもつながると指摘した。また、「貿易のための援助」、貿易金融、サービス制限指標策定、投資分野における保護主義的な措置のモニタリング等、各分野におけるOECDの積極的な取組を評価する旨あわせて申し上げた。

3.二国間会談

(1)全体

 OECD閣僚理事会の機会に併せ、中曽根大臣はアモリン・ブラジル外相と短時間の会談を行った。また、自分は、ハン・スンス韓国国務総理を表敬し、グリアOECD事務総長、ルー米国務副長官との会談を行い、有意義な意見交換を行うことができた。

 日ブラジル外相会談には自分も同席したが、本25日午後のWTO非公式閣僚会合をはじめとしてドーハ・ラウンドの早期妥結に向け、両国が緊密に連携していくことが確認された。なお自分のバイ会談に関しては、ハン・スンス総理表敬、グリア事務総長との会談については既にご紹介しており、ルー副長官との会談についてのみ簡単に申し上げる。

(2)ルー米国務副長官との会談

 ルー副長官との会談では、2010年~2011年にかけて、日米は順にAPEC議長を務めることから、両国の緊密な連携を確認した。

 また、国際保健における日米の協力の重要性について一致し、USAIDとわが国外務省及びJICAとの間で合意された、「日米保健パートナーシップ」推進のためのアクション・プランを歓迎した。

 アフガニスタンにおける日米の協力及びパキスタンに対する日本の支援に対しても米国より感謝の意が表され、一層の協力強化につき一致した。

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