平成21年2月12日
2月6日(金曜日)から8日(日曜日)まで、伊藤外務副大臣は、ドイツ・ミュンヘンで開催された第45回ミュンヘン安全保障会議に出席したところ、概要は以下のとおり。
(1)今回の会議は、3日間で合計5つのセッションに、米よりバイデン米副大統領という史上最高位の出席を得たほか、サルコジ仏大統領、メルケル独首相、カルザイ・アフガニスタン大統領等首脳の参加を得て、不拡散・軍備管理、欧州安全保障、アフガニスタン等のテーマについて活発な議論が行われた。
(2)特に、バイデン米副大統領のスピーチが注目されたが、テロ、核兵器及び大量不拡散兵器、貧困等の国境を越える安全保障上の新たな脅威に取り組むに当たり、米国は国際社会との協調と対話を重視することを訴え、イラン核問題については、現在米政権内で対イラン政策のレヴューをしているところであるとしつつ、対話の用意があると述べた。
(3)今次会議には、我が国からは、浜田防衛大臣及び伊藤外務副大臣が出席した。
「アフガニスタンにおける同盟の戦略と使命」のセッションにおいて、伊藤副大臣は、「核軍縮・軍備管理」のテーマにも触れ「世界唯一の被爆国である我が国にとって、核のない世界、戦争のない世界の実現は夢であり、意志である」と述べた上で、日本はその文脈の中で様々な国際貢献を長年にわたって行ってきており、特にアフガニスタンに対する人道・復興支援については、引き続き行っていく用意があること、さらにパキスタンへの支援も強化していく考えであることなど発言した。これに対し、カルザイ大統領から、これまで日本が行ってきた復興支援に対し謝意表明があった。
8日、ミュンヘン安全保障会議のアフガニスタンに関するセッションにおいて、軍縮の重要性について訴えるとともに、アフガニスタンやパキスタンへの支援を引き続き行うとの日本政府の立場を説明しました。カルザイ・アフガニスタン大統領からは、日本の支援に対する謝意の表明がありました。
伊藤副大臣は、滞在中、クレーシ・パキスタン外相、ナラヤナン・インド国家安全保障顧問、ド・ブリシャンボーOSCE事務総長、ソラナEU理事会事務総長兼共通外交安全保障政策上級代表、ナイ・ハーバード大学教授と会談したほか、カルザイ大統領、クシュネール仏外相などとも短時間立ち話を行った。各会談の概要は以下のとおり。
伊藤副大臣より、ムンバイでのテロ事件がこの地域を不安定にさせてはならないことが重要である旨指摘したほか、テロとの闘いの観点から国際社会がパキスタン支援を行うことは重要であり、日本としても支援を続けていきたいと考える旨述べた。クレーシ外相からは、日本はパキスタンの友人であり、経済協力に対して感謝する旨表明があった。
クレーシ・パキスタン外相との会談
両者は近年の両国関係が緊密かつ良好に発展していることを確認し、今後とも経済のみならず安全保障分野でも協力を強化していくことにつき意見の一致を見た。「ナ」顧問より、インド経済の底堅い状況について説明があった。
ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との会談
アフガニスタンにおいてOSCEが実施している国境管理強化プロジェクトへの我が国の協力や6月に東京で開催予定の日・OSCE共催会議などについて意見交換を行った。
ド・ブリシャンボーOSCE(欧州安全保障協力機構)事務総長との会談
日EUがいろいろな課題について緊密に連携を取り合っていくことにつき意見の一致を見た。また、伊藤副大臣より、ソマリア沖の海賊対策に我が国が海上自衛艦派遣を検討していることについて紹介した。
ソラナEU共通外交安全保障政策上級代表との会談
日米同盟、中国情勢、北朝鮮問題、ソマリア沖海賊対策など、幅広く意見交換を行った。拉致問題について、伊藤副大臣より、同問題は日本としての最重要課題であるのみならず、人権や人間の安全保障の問題であり国際社会の問題である旨述べたのに対し、ナイ教授からは、オバマ政権はブッシュ政権同様乃至それ以上にこの問題に真剣に取り組んでいくことになろうとの考えを述べた。
ナイ・ハーバード大学教授との会談
日付 | 内容 |
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2月6日 | 第45回ミュンヘン安全保障会議参加 |
2月7日 | 第45回ミュンヘン安全保障会議参加 クレーシ・パキスタン外相との会談 ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との会談 ド・ブリシャンボーOSCE事務総長との会談 ソラナEU共通外交安全保障政策上級代表 バイエルン州首相主催夕食会参加 |
2月8日 | 第45回ミュンヘン安全保障会議参加 ナイ教授との会談 |