平成17年7月29日
7月28日、14時15分より約1時間45分間、ラオス(ビエンチャン)において標記リトリート会合(ASEAN10か国と域外10か国・機関(日、中、韓、印、豪、NZ、米、加、露、EU)による会合)が参加国の外相等により行われ、我が国より逢沢副大臣が出席したところ、概要以下のとおり。
(1)ラオス(議長国)より、2003年の第二ASEAN協和宣言(バリ・コンコード II )採択、2004年のビエンチャン行動計画(VAP)採択以来、ASEAN内で安全保障、経済及び社会・文化の3つの共同体形成に向けた作業が進んでおり、今次ASEAN外相会議でASEAN開発基金を創設することとなったとして対話国による資金面での協力要請があった。また、ベトナムよりCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)への特別な協力の要請及び日本を含む対話国等のこれまでの貢献への謝意の表明があり、タイよりASEAN共同体に向けASEAN憲章の起草準備を開始した旨発言。
(2)逢沢副大臣より次のとおり述べた。
(3)他の多くの参加国よりASEAN統合を支持する旨発言。EUやカナダより統合に関する経験に基づき協力する用意がある旨、印よりASEAN開発基金への貢献を検討している旨、米国よりASEAN統合は地域の内需型成長に寄与する、ASEANの課題として金融改革を引き続き行うことを希望する旨発言。
(1)逢沢副大臣より、地域協力を支える理念として、開放性、透明性、包含性に基づく開かれた地域協力を目指すべきであり、その意味からも第1回東アジア首脳会議(EAS)への豪、NZ及び印の参加を歓迎する、米国をはじめ他の対話パートナーとの関係を引き続き緊密にしたい旨発言。
(2)各国の主な発言は次のとおり。
(1)アジア・アフリカ協力
逢沢副大臣より、4月のアジア・アフリカ首脳会議を踏まえアジアの経験をアフリカ支援に活用していくことを呼びかけたい、特に同首脳会議で小泉総理が提唱したアジア青年協力隊の活用も一案であり、G8グレンイーグルス・サミットで合意されたアフリカ開発の理念にも沿うものである旨発言。
(2)ASEAN津波サミットのフォローアップ
ASEAN諸国よりスマトラ沖大地震及び津波災害への各国の協力への謝意を表明。逢沢副大臣より、同サミットで表明した5億ドル相当の無償支援を着実に実施していきたい、津波早期警戒システムにも協力している旨発言。米国より最大級(政府として10億ドル以上、民間で15億ドル)の支援を行った、特に空輸においてシンガポール、マレーシア、タイの支援に言及しつつタイのウタパオ空港利用の際の領空通過等様々な面での協力を評価する旨発言。
(3)FTA及びWTO
ラオスよりASEAN自由貿易地域(AFTA)の下で関税引き下げが進んでいる、他方ASEANとして世界各地のFTAとの競合にさらされていると感じている旨発言。EU、タイ、韓国、NZ等はFTAの重要性に言及しつつも、WTOドーハ・ラウンド成功の重要性を指摘。ロシアよりWTO加盟交渉中であり、加盟の暁にはASEANとのFTAを検討する用意がある旨紹介。米国よりFTAは名実双方が伴わねば意味がない、ドーハ・ラウンドのアクセスが問題であり途上国・先進国いずれも問題意識を持つべきである旨発言。
(4)インドネシア・アチェ和平交渉
EUより和平が実現した場合、監視団の派遣等ASEANと協力したい旨発言。インドネシアよりアチェ和平プロセスにつき包括的解決の努力を行い、EUをはじめASEANの一部諸国の支援等を得ながら8月15日までに和平暫定合意に署名予定である旨発言。米国よりインドネシアの努力を評価しEUの支援を感謝する旨発言。
(5)エネルギー
多くの参加国より石油価格高騰への懸念が示され、ASEANからは代替エネルギーや環境技術の廉価での移転等の要望が示された。逢沢副大臣より、エネルギー効率も重要である、日本は技術革新を進めており協力の用意がある旨発言、韓国、ロシア等よりもASEANとの協力の意向が示された。米国よりASEANとも協力したい、供給源の多様化や石油利用の効率化を目指すべき、エネルギー備蓄や石油輸送航路である海上の安全も重要である旨発言。
(6)気候変動
韓国より、28日に立ち上げられた「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」が京都議定書の補完的役割を担うべきである旨発言。
(7)感染症
多くの国(タイ、NZ、米国等)より、感染症、特に鳥インフルエンザへの強い危機感が示され、情報伝達の迅速化を含む協力の必要性が強調された。
(8)中国の人民元為替制度の改革
米国より、中国の為替切り上げを歓迎している、中国の対米輸出は大きくそのうち多くは東南アジアの部品も含んでいる、不均衡の原因はこれだけでないものの皆で考えて行かねばならない旨述べた。