平成30年2月28日
日本の基本的立場
- 国連憲章第1条は、人権及び基本的自由の尊重を国連の目的の1つとして掲げ、また、1948年に世界人権宣言が採択されるなど、国連は設立以来、世界の人権問題への対処、国際的枠組における人権保護・促進に取り組んでいました。日本は、アジアでの橋渡しや社会的弱者保護といった視点を掲げつつ、国連の主要人権フォーラムや二国間対話を通じて、国際的な人権規範の発展・促進をはじめ、世界の人権状況の改善に貢献してきています。
- 国際社会の人権問題に対処するにあたっては、我が国は以下の諸点が重要であると考えています。
- (1)すべての人権及び基本的自由は普遍的価値である。また、各国の人権状況は国際社会の正当な関心事項であって、かかる関心は内政干渉と捉えるべきではないこと。
- (2)人権保護の達成方法や速度に違いはあっても、文化や伝統、政治経済体制、社会経済的発展段階の如何に関わらず、人権は尊重されるべきものであり、その擁護は全ての国家の最も基本的な責務であること。
- (3)市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利等すべての人権は不可分、相互依存的かつ相互補完的であり、あらゆる人権・権利をバランス良く擁護・促進する必要があること。
- (4)我が国としては、「対話」と「協力」の姿勢に立って、国連等国際フォーラム及び二国間対話等において、我が国を含む国際社会が関心を有する人権問題等の改善を慫慂するとともに、技術協力等を通じて、必要かつ可能な協力を実施する。
人権の主流化
2005年3月、アナン事務総長の報告書(「より大きな自由を求めて」)が発出され、同報告書の中でアナン事務総長は、国連活動の柱である開発・安全・人権の密接な関連性を踏まえて、国連の全ての活動で人権の視点を強化する考え(「人権の主流化」)を提唱しました。同年9月に開催された国連特別首脳会合では、同報告書を基礎に成果文書がとりまとめられ、国連改革の一環でもある「人権の主流化」の重要性を再確認し、その後、2006年3月には、経済社会理事会の下部組織であったそれまでの人権委員会に替えて、国連が世界の人権問題により効果的に対処するために国連人権理事会が創設されたほか、国連人権高等弁務官事務所の機能強化、国連民主主義基金の設立等をはじめ、国連において様々な取組が進められています。
我が国の取組
1 我が国政府要人の国際会議等出席
(1)人権理事会ハイレベルセグメント(ジュネーブ)
- 2018年2月(第37回人権理事会ハイレベルセグメント) 堀井学外務大臣政務官の出張
- 2017年3月(第34回人権理事会ハイレベルセグメント) 滝沢外務大臣政務官の出張
- 2016年3月(第31回人権理事会ハイレベルセグメント) 濵地外務大臣政務官の出張
- 2015年3月(第28回人権理事会ハイレベルセグメント) 宇都外務大臣政務官の出張
- 2014年3月(第25回人権理事会ハイレベル会合) 石原外務大臣政務官の出張
- 2013年2月(第22回人権理事会ハイレベルセグメント) 阿部外務大臣政務官の出張
- 2012年2月(第19回人権理事会ハイレベルセグメント) 山根外務副大臣の出張
- 2011年3月(第16回人権理事会ハイレベルセグメント) 山花郁夫外務大臣政務官の出張
- 2010年3月(第13回人権理事会ハイレベルセグメント) 西村智奈美外務大臣政務官の出張
- 2009年3月(第10回人権理事会ハイレベルセグメント) 北島信一ジュネーブ代表部常駐代表の出席
- 2008年3月(第7回人権理事会ハイレベルセグメント) 中山泰秀外務大臣政務官の出張
- 2007年3月(第4回人権理事会ハイレベルセグメント) 浜田昌良外務大臣政務官の出張
- 2006年6月(第1回人権理事会ハイレベルセグメント) 山中燁子外務大臣政務官の出張
(2)その他の国際会議等
- 2018年2月 堀井学外務大臣政務官のスウェーデン出張(子どものための2030アジェンダ:ソリューションズ・サミット)
- 2014年3月 石原外務大臣政務官のニューヨーク出張(第58回国連婦人の地位委員会)
- 2010年10月 菊田真紀子外務大臣政務官のニューヨーク出張(女性・平和・安全に関する安保理閣僚級公開討論)
- 2010年3月 西村智奈美外務大臣政務官のニューヨーク出張(婦人の地位委員会「北京+15」記念会合)
- 2007年9月 高村正彦外務大臣のニューヨーク出張(障害者権利条約の署名)
- 2007年2月 浜田昌良外務大臣政務官のパリ出張(児童兵に関する国際会議、強制失踪条約の署名式出席)
2 シンポジウム及びセミナーの開催
主要国連文書
- 世界人権宣言
- ウィーン宣言及び行動計画
主要人権条約
国連における主な人権保護・促進メカニズム
難民条約
国際人道法
国連憲章の下においては、一般に、自衛権や安保理の決定に基づくもの以外の武力行使は禁止されており、この結果、伝統的な意味での戦争は認められなくなっています。その一方で、武力紛争は現実に発生しており、そうした場合に、紛争の被害を少なくし、犠牲者を保護する観点から国際人道法が適用されます。