平成22年12月
ハンセン病は、1873年にノルウェーのアルマウェル・ハンセン医師により、らい菌という細菌による感染症であることが発見された病気です。らい菌は皮膚や末梢神経を侵す感染症で、皮膚に結節や斑紋などを生じさせたり、筋肉の萎縮をきたして、外形的に明らかな変形を生じさせるなどの障害を残す場合があります。
しかし、感染しても発病する可能性は極めて低く、化学療法が確立した現代において、外来治療によって確実に治癒する病気です。現在、WHO(世界保健機構)が主体となってハンセン病の撲滅に向けて国際的な取組が進められ、新規患者は激減しています。その一方、ハンセン病に関 する誤った認識や誤解に基づく偏見・差別により、ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する深刻な人権侵害が、今なお、世界各地で存在しています。
日本政府は、過去のハンセン病患者の強制隔離などの我が国のハンセン病政策の歴史を踏まえ、ハンセン病患者・回復者に対する偏見・差別の解消に向けた取組を実施しており(厚生労働省ホームページ
・法務省ホームページ
)、ハンセン病差別問題について、我が国の経験を活かして国際的なイニシアティブをとって活動しています。
その活動の一環として、2007年9月21日、本問題につき高い知名度・評価・知識を有している日本財団会長笹川陽平氏に「ハンセン病人権啓発大使」を委嘱し、国際場裡において本問題の広報・啓発活動を依頼しています。
2007年以降、国連総会や人権理事会の場においてハンセン病差別問題に国際的なイニシアティブをとって活動する旨のステートメントを累次実施しました。また、2008年6月の第8回人権理事会においては、我が国が主提案国となり、同理事会においてハンセン病差別問題を議論し、同月18日、差別を撲滅するための実効的な方法等を検討することを目的とした「ハンセン病差別撤廃決議(仮訳(PDF)
・英語正文(PDF)
)」が全会一致で採択されました。
2009年1月15日、スイス・ジュネーブにおいて、ハンセン病差別撤廃を目的とする原則ガイドライン策定のために関係者の意見を集約することを目的として国連主催の「ハンセン病差別撤廃に関する国際会議
」が開催され、我が国を含む各国代表部やハンセン病差別問題に取り組むNGOなど約90名が参加し、活発な議論が行われました。我が国からは、笹川ハンセン病人権啓発大使が開会式でステートメントを行ったほか、我が国の施策について発言を行うなど積極的に会議に参加しました。

「ハンセン病差別撤廃に関する国際会議」でステートメントを行う
笹川陽平ハンセン病人権啓発大使(写真中央)
2008年6月の「ハンセン病差別撤廃決議」に基づき、人権理事会諮問委員会において、ハンセン病差別撤廃を目的とする原則及びガイドライン(P&G)の作成が進められました。本件は同委員会委員の坂元茂樹神戸大学大学院法学研究科教授が担当し、2009年10月の第12回人権理事会において、P&G案をフォローアップするための決議が全会一致で採択されました。
同決議に基づき、2010年1月及び8月の人権理事会諮問委員会において、P&G案に対する各国、NGO等の意見を踏まえた議論が行われた結果、P&Gが一部修正の上採択され、同年9月30日、第15回人権理事会において、各国政府等に対してP&Gに十分配慮することを求める決議が全会一致で採択されました(仮訳(PDF)
・英語正文(PDF)
)。
P&Gの主な概要は以下のとおりです(英語正文:Annex to A/HRC/15/30(PDF)
)。
我が国は、引き続きハンセン病差別撤廃問題に積極的に取り組んでいく考えです。
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