ODA評価年次報告書2021 | 外務省

ODA評価年次報告書2021

コラム

ODA評価ワークショップ(開始から20年を経て)

外務省は、アジア大洋州地域におけるODA及びODA評価に関する理解増進や同地域の開発途上国の評価能力の向上、途上国側のオーナーシップ・透明性の向上や開発の効率化を目的として、2001年以降16回にわたりODA評価ワークショップを開催してきました。

その間、多くの国においてODAを含む国家開発計画の評価が何らかの形で実施されるようになり、2012年にはアジア太平洋評価学会(APEA)が始動するなど、アジア大洋州地域における評価の重要性に対する認識は高まり、実践も広がりつつあります。また、2030アジェンダのような国際的な政策課題にも変遷が見られる中、他国・機関による類似の評価関連セミナーや会合等も開催されるようになってきており、評価をめぐる環境やニーズも変化してきています。こうした中、ワークショップ開始後20年となる機会に、これまでのODA評価ワークショップ事業の意義と果たした役割を、ワークショップに参加した開発途上国政府の評価担当者や他ドナー・機関の有識者、本邦有識者への質問調査等を通じて振り返りました。

その結果、ワークショップは豊富な実践経験を持つ国内外の機関と効果的に連携して行われており、そこで取り上げられたテーマは、国際的課題や参加国のニーズと合致し、実用的で適用性が高く、アジア大洋州地域における評価文化の確立に大きく貢献したと評価されていることが分かりました。また、評価への関心が高まらない時期から、開発途上国の評価能力構築に向けた取り組みを先駆けて行い、これを継続的に支援してきた意義は大きく、ワークショップがアジア大洋州地域の評価プラットフォームとして認識されていることも分かりました。さらには、世界の他の地域に比べ、評価ネットワークの構築がやや遅れていたアジア大洋州地域において、APEAの設立を後押しし、その活動を側面支援してきたことも、ワークショップのインパクトの一つとして評価されています。

ワークショップが外交面で果たした役割についても振り返りました。アジアの一国である日本が、評価文化の重要性を説きつつ評価文化の醸成をリードし、アジア大洋州諸国の評価体制・制度へ影響を与えてきたことは、この地域における日本の外交的なリーダーシップの高揚に寄与したと評価されました。また、日本政府として評価を重視し、被援助国の能力強化を支援しているという姿勢、ODAを供与するだけではない責任を持った協力姿勢を被援助国及び国際社会に明確に示したことも、意義があったと評価されました。

一方、一般国民の興味を引きつけるより効果的な広報を検討する余地がある点、評価能力向上のニーズが高い大洋州諸国の参加が依然として限定的である点が、今後の課題とされました。

これまで対面形式で開催してきたワークショップは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、これまでと同じ形での開催は困難な状況にありますが、今回振り返った結果や課題を踏まえつつ、ワークショップのあり方を考えていきます。

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