わが外交の近況

1978年版(第22号)

 外 務 省

昭和53年版「わが外交の近況」の刊行にあたって

わが国は,平和国家としての立場を堅持し,日米友好協力関係を基軸としつつ,広く世界の国々との間に相互信頼関係を築くことを外交政策の基本としています。しかしながら,これからの世界において,国の平和と国民生活の繁栄のために必要な良好な国際環境を確保していくためには,わが国としては更に進んで,国際社会全体の平和と繁栄のために積極的に貢献していくことが必要です。勿論これは一挙になしうるものではありません。しかし,こうした努力を一歩一歩積み重ねていくことが必要です。

私は,わが国がこのような「世界に役立つ日本」となるための努力を通じて,国際社会において名誉ある地位を築いていくことが,これからのわが国にとって最も重要な課題であると考えています。

今回刊行する昭和53年版「わが外交の近況」は,昭和52年における国際情勢を中心にして,世界の情勢を概観するとともに,この期間中にわが国が行った外交活動の概要について説明しています。特に,第1部第2章の「わが外交の基本的課題」においては,私が本年1月,国会における外交演説において述べたわが国外交のとるべき基本的方向を敷衍して,わが国外交の基本的課題について概述しました。

国民の皆様が,わが国の外交政策を理解される上での一助となることを衷心より期待します。

昭和53年8月

外務大臣 園 田  直

目     次

第1部 総   説

第1章 1977年の世界の主要な動き

第2章 わが外交の基本的課題

第3章 わが国の行った外交努力

 第1節 各国との関係の増進

 第2節 国際経済など多数国間問題解決への努力

 第3節 国際連合の諸活動に対する協力

 第4節 諸外国との相互理解の促進と文化交流

第2部 各   説

第1章 各国の情勢及びわが国とこれら諸国との関係

 第1節 アジア地域

 第2節 大洋州地域

 第3節 北米地域

 第4節 中南米地域

 第5節 西欧地域

 第6節 ソ連・東欧地域

 第7節 中近東地域

 第8節 アフリカ地域

第2章 国際経済関係

 第1節 総   説

 第2節 通商問題

 第3節 国際金融・通貨問題

 第4節 国際投資問題

 第5節 エネルギー・資源・食糧問題

 第6節 海をめぐる諸問題

 第7節 環境問題

第3章 経済協力の現況

 第1節 総  説

 第2節 技術協力

 第3節 資金協力

 第4節 国際機関を通ずる協力

第4章 国連における活動とその他の国際協力

 第1節 政治問題

 第2節 軍縮問題

 第3節 経済問題

 第4節 社会・人権・文化問題

 第5節 行政財政問題

 第6節 科学技術問題

 第7節 法律問題

 第8節 国連専門機関

第5章 情報文化活動

 第1節 わが国の主要な文化交流の現状

 第2節 報道・広報関係

第6章 邦人の渡航・移住及びその保護

 第1節 概   要

 第2節 海外における邦人の実態

 第3節 邦人の渡航・移住

 第4節 在外邦人に対する保護・援助

 第5節 外国人に対する査証

第7章 その他の活動

 第1節 外交体制の整備充実

 第2節 外交問題に関する記録の整理・刊行及び閲覧

第3部 資 料 編

I 資   料

II 付   表

III 年   表

本書の構成と内容

本書は,主として1977年1月から12月に至る期間における世界の情勢とわが国が行つた外交活動の概要を取りまとめたものである。但し,重要な出来事については,本年2月頃までの動きも織り込んである。本書は,第1部総説,第2部各説及び第3部資料編からなり,資料編には,資料,統計類及び年表を収録している。

第1部総説では,第1章において1976年を中心に世界の情勢を概観し,第2章ではこのような環境の中でのわが外交の基本的課題について述べ,さらに第3章ではわが国が行つた主要な外交努力を説明している。

第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及びわが国とこれらの諸地域・諸国との関係について述べ,次にわが国の関係する重要な国際的問題について事項別に具体的に説明している。