本9日(水曜日),午後6時10分から午後8時25分まで,菅直人内閣総理大臣は,公式実務訪問賓客として訪日中のイスラム・カリモフ・ウズベキタン大統領(H.E. Mr. Islam KARIMOV, President of the Republic of Uzbekistan)と首脳会談及び夕食会を行ったところ,概要は以下のとおりです。
会談後,両首脳により「日本・ウズベキスタン共和国共同声明」への署名が行われました。また,両首脳の同席の下,伴野豊外務副大臣とエリヨル・ガニエフ副首相兼外務大臣(H.E. Mr. Elyor GANIEV, Deputy Prime Minister, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Uzbekistan)により「日本国外務省とウズベキスタン共和国外務省との間の経済協力に関する覚書」への署名が行われました。
- 冒頭
(1)菅総理から,8年半ぶりとなるカリモフ大統領の訪日を歓迎するとともに,ウズベキスタンは我が国にとって戦略的に重要なパートナーであり,今回のカリモフ大統領の訪日が両国関係を新たな段階へと引き上げる契機となることを確信する旨述べました。
(2)これに対し,カリモフ大統領から,昨年5月,菅総理(当時は副総理兼財務大臣)がアジア開発銀行総会への出席のためタシケントを訪問した際以来となる再会を大変嬉しく思う旨述べるとともに,日本はウズベキスタンにとって強い信頼関係で結ばれた戦略的パートナーであり,両国関係の更なる発展を期待する旨述べました。 - 政治対話等
(1)菅総理から,本年,ウズベキスタンが独立から20周年を迎えることに対する祝意を表明するとともに,昨年来,両国の友好議員連盟を中心に議会間交流が活発化していることに触れ,近年,様々なレベルにおいて両国間の政治対話が進展していることは喜ばしい旨述べました。
(2)これに対し,カリモフ大統領から,日本との着実な関係を今後一層強化させることは,ウズベキスタンの主要政策の一つであり,そのためにも両国間の交流と友好関係の増進に新たな弾みをつけたい旨述べました。 - 二国間経済関係
(1)両首脳は,二国間関係の更なる発展のためには,経済関係の更なる強化が必要である点につき一致しました。
(2)菅総理から,日本が重視している鉱物資源分野での協力に関して,今回の大統領訪日に際し,石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との間で,ウラン鉱床の探査・開発,レアメタル,レアアースの共同調査,研究に関する覚書が署名されたことは,両国の経済関係の一層の発展に向けた大きな一歩として高く評価するとともに,今後のプロジェクトの円滑な進展に向けた協力を要請しました。
(3)カリモフ大統領から,戦略的パートナーの関係にある両国は,互いの強みを生かした互恵的な協力関係を構築すべきであり,鉱物資源の分野において協力関係の強化を図ることは相互利益に資するものである旨述べるとともに,近年,経済成長を続けるウズベキスタンが更なる発展を実現するためには日本からの投資を通じた技術の移転が重要であることを強調しました。
(4)これに対し,菅総理から,日本企業のウズベキスタンへの進出を後押しし,両国間の貿易・投資を一層活発化させるためにも,ビジネス・投資環境の整備に向けたウズベキスタン政府の一層の努力に対する期待を表明しました。 - 経済協力分野における協力
(1)菅総理から,「カルシ-テルメズ鉄道電化計画」の実施に向けた円借款の供与を決定した旨述べるとともに,日本は今後もウズベキスタンの民主化・市場経済化と持続的な経済発展に向けた努力を様々な分野で支援していく方針である旨述べました。
(2)カリモフ大統領から,これまで20年間に亘る日本からの経済協力に対して深い謝意を表明するとともに,本件鉄道電化計画について,ウズベキスタン国内のみならず,隣接するアフガニスタンの安定・復興にも大きく寄与するものである旨述べ,高く評価しました。 - 国連安保理改革
カリモフ大統領から,改めて日本の国連安保理常任理事国入りに対する支持が表明され,菅総理から,ウズベキスタンの一貫した支持に対する謝意を表しました。 - なお,夕食会では,菅総理より,ウズベキスタンにおける日本人抑留者墓地に対して払われている特別な配慮について謝意を述べた他,両首脳間でアフガニスタン情勢等について意見交換が行われました。