地球環境

ワシントン条約
(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)
CITES(サイテス): Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora

平成20年3月

1.経緯

 1972年の国連人間環境会議において「特定の種の野生動植物の輸出、輸入及び輸送に関する条約案を作成し、採択するために、適当な政府又は政府組織の主催による会議を出来るだけ速やかに召集する」ことが勧告された。これを受けて、米国政府及び国際自然保護連合(IUCN)(スイスに本部を置く非政府機関であるが、国家、政府機関及び民間団体が多数加入しており、我が国は1995年6月国家会員、環境庁は、1978年より政府機関として加盟、その他民間団体多数が加盟)が中心となって野生動植物の国際取引の規制のための条約作成作業を進めた結果、1973年3月3日にワシントンで本条約が採択された。

2.目的

 ワシントン条約(CITES)(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的とする。

3.締約国数、締約国会議、各種委員会

(1)締約国数

 172ヶ国(2008年3月現在、我が国は1980年11月4日に締約国となった。)

(2)締約国会議

 締約国会議は、2年に1回開催されることになっている(第11条)。
 これまで行われた締約国会議と主要議題・決議等については、次の通り。

主要議題・決議等
第1回 (1976年 スイス)
附属書掲載基準に関するベルン・クライテリアの採択
第2回 (1979年 コスタリカ)
ワシントン条約とIWCとの関係決議
第3回 (1981年 インド)
許可書・証明書の標準化、象牙の取引決議
第4回 (1983年 ボツワナ)
附属書 I 掲載種の飼育繁殖決議、「条約適用以前の取得」の解釈決議
第5回 (1985年 アルゼンチン)
「主として商業的目的」の定義決議
第6回 (1987年 カナダ)
常設委、動物委、植物委等の設置、象牙の取引に関する決議
第7回 (1989年 スイス)
アフリカゾウの附属書・移行(南部アフリカ諸国は反対した)
第8回 (1992年 日本)
南部アフリカ諸国のアフリカゾウ附属書 II への移行提案否決
第9回 (1994年 米国)
南部アフリカ諸国のアフリカゾウ附属書 II への移行提案否決、条約のレヴューの外部コンサルタントへの委託決定、附属書掲載基準に関する新クライテリア
第10回 (1997年 ジンバブエ)
ボツワナ、ナミビア、ジンバブエのアフリカゾウ附属書 II への移行提案採択、我が国等の鯨類附属書 II への移行提案に約半数の支持
第11回 (2000年、ケニア)
南アのアフリカゾウ附属書 II への移行提案採択、我が国等の鯨類附属書 II への移行提案に支持減少、サメ類の附属書掲載提案否決
第12回 (2002年、チリ)
ボツワナ、ナミビア、南アのアフリカゾウの象牙の在庫の1回限りの輸出の条件付承認。我が国の鯨類2種(ミンククジラ、ニタリクジラ)の附属書 II への移行提案否決。サメ類の附属書掲載提案可決。
第13回 (2004年、タイ)
我が国の鯨類1種(北半球ミンククジラ)の附属書 II への移行提案及びIWC関連決議提案いずれも否決なるも、過去最大の支持票を獲得。サメ類の附属書掲載提案可決。我が国常設委員会新アジア地域代表に選出。
第14回 (2007年、オランダ)
第12回締約国会議にて承認された象牙と併せ、南部アフリカ4ヶ国政府所有のアフリカゾウの象牙在庫の取引の追加承認及び右取引の日から9年間の象牙取引を停止決議。わが国による科学的調査に基づく附属書I掲載種の附属書掲載見直し提案否決。ヨーロッパウナギの附属書II掲載提案可決。遵守ガイドライン採択。

 第15回締約国会議は2010年にカタールで開催予定。

(3)各種委員会

 委員会の設置に関する締約国会議決議により、現在、以下の委員会が設置されている。

(イ)常設委員会

 締約国会議の間に条約の運営を行う。地域代表、前回及び次回の締約国会議ホスト国、寄託国(スイス)により構成される。我が国は、第9回締約国会議から第10回締約国会議までの間、議長国を務めた(議長は、赤尾寿府代大使(当時))。第11回締約国会議から議長国は、米国が務めている。

(ロ)動物委員会、植物委員会

 附属書掲載種に対する条約の運用等を検討する。かつて、技術委員会とされていたものが、第6回締約国会議で分離した。両委員会とも各地域からの専門家により構成される。

(ハ)学名委員会

 条約の附属書は、ラテン語により学名表記されているが、学説の進展等により学名が変更されることがあり、附属書の適正な学名表記に関する勧告を行う。

4.規制の方法

 以下の通り、野生動植物の種の絶滅のおそれの程度に応じて同条約附属書に掲載し、国際取引の規制を行う。

(1)附属書 I :

 絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるもの。商業取引を原則禁止する(商業目的でないと判断されるものは、個人的利用、学術的目的、教育・研修、飼育繁殖事業が決議5.10で挙げられている)。取引に際しては輸入国の輸入許可及び輸出国の輸出許可を必要とする。

(2)附属書 II :

 現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種となるおそれのある種又はこれらの種の標本の取引を効果的に取り締まるために規制しなければならない種。輸出国の許可を受けて商業取引を行うことが可能

(3)附属書 III :

 いずれかの締約国が、捕獲又は採取を防止し又は制限するための規制を自国の管轄内において行う必要があると認め、かつ、取引の取締のために他の締約国の協力が必要であると認める種。附属書 III に掲げる種の取引を、当該種を掲げた国と行う場合、許可を受けて行うことが可能

5.我が国の取り組み

(1)我が国の権利、義務

(2)我が国の基本的立場

 我が国は、野生動植物の保護については、科学的データに基づいた「持続可能な利用」(漁業資源等の再生可能資源等について、その収穫や利用は一定の量的限度の範囲内で許可される等、開発行為や資源の利用と生態系や環境の保全を調和させるとの考え方)の考えに立った措置がとられることが重要と考える。

(3)我が国の貢献

(4)我が国の留保

 我が国は、条約締結時に国内産業保護等の理由から、9種につき留保を付していた(べっこうの原料となるウミガメやタイマイ、薬効のあるジャコウジカ等)。留保を付した場合、その種については締約国としては扱われず、非締約国と取引を行うことが出来る。その後の国内産業保護を理由として留保を付していた種は、業界の努力等により受け入れる準備が出来たことから全て撤回した(最近の留保撤回は、1994年7月末のタイマイが最後)。

 現在、わが国は附属書 I 掲載種中7種(うちクジラ7種)(ナガスクジラ、イワシクジラ(北太平洋の個体群並びに東経0度から東経70度及び赤道から南極大陸に囲まれる範囲の個体群を除く)、マッコウクジラ、ミンククジラ2種、ニタリクジラ、ツチクジラ及びカワゴンドウ)、附属書 II 掲載種中4種(ジンベイザメ、ウバザメ、タツノオトシゴ、ホホジロザメ)につき留保を付している。このうち、附属書 I に掲載されている上記クジラ7種については、持続的利用が可能なだけの資源量があるとの客観的理由に基づき、従来より附属書 I に掲載されていること自体科学的根拠がないと判断しており、今後かかる状況が変化しない限り留保撤回の考えはない。

 また、これら以外の附属書掲載種についても、絶滅のおそれがあるとの科学的情報が不足していること等から留保を付した。

6.第14回締約国会議(2007年6月3〜15日、オランダ(ハーグ))の結果

(1)わが国は、附属書 I に掲載されているクジラ種の科学的根拠に基づく掲載見直し提案を行ったが、否決された。一方、豪州よりIWCモラトリアムが設定されている期間、動物委員会による附属書見直しを実施しないとする提案が可決された。

(2)第55回常設委員会(今次会合の前日に開催)において、第12回締約国会議で決定されたアフリカゾウの象牙取引に係るわが国の取引相手国としての地位が確定した。また今次会合では、右決定によって認められた分に加え、南ア、ナミビア、ボツワナ、ジンバブエ政府所有の一定の象牙についても併せて取引を行うこと、右取引から9年間象牙取引を実施しないことも併せて合意された。

(3)我が国が推薦していた石井信夫東京女子大学教授が、動物委員会アジア地域代表代理に再任された。

リンク:ワシントン条約事務局 http://www.cites.org/ 他のサイトヘ

このページのトップへ戻る
INDEXへ戻る