地球環境

ワシントン条約第17回締約国会議

平成28年10月6日

 9月24日(土曜日)から10月4日(火曜日)にかけて,ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)第17回締約国会議(COP17)が開催されたところ,概要と評価は以下のとおり。

1 会議の概要

  • (1)9月24日(土曜日)から10月4日(火曜日)にかけて,南アフリカのヨハネスブルグで開催。(全体会合:9月24日,第一及び第二委員会:9月25日~10月3日,全体会合:10月4日)
  • (2)我が国より,西浦・外務省国際協力局地球環境課長,太田・水産庁資源管理部審議官,三田・経済産業省製造産業局審議官,中野・経済産業省貿易経済協力局野生動植物貿易審査室長他が出席。

2 議論の概要

 (注:附属書改正提案を除き,いずれの「決議」や「決定」についても法的拘束力はない。)

(1)象牙

(ア)象牙の国内取引市場の閉鎖を締約国に求める決議案(ゾウ標本の取引に係る既存の決議の改正を求める提案)

 米国及びケニアを始めとするアフリカ10か国から,それぞれ国内取引市場の閉鎖を求める提案。作業部会において,両決議案を一本化し,閉鎖を求める国内市場を,密猟や象牙の違法取引に寄与している国内市場に限定する修正を加え,コンセンサスにより採択された。

(イ)国別象牙行動計画(NIAPs)

 条約事務局から,ゾウ標本の取引に係る既存決議にNIAPsを明示的に盛り込むとともに,NIAPsプロセスのガイドラインの決定を求める提案。作業部会において,客観的データに基づきNIAPs対象国を決めていくプロセスをガイドラインにおいて明確化する修正案が作成され,コンセンサスにより採択された。

(ウ)象牙取引プロセスに関する意思決定メカニズム(DMM)

 事務局から,附属書II掲載国の輸出に係るDMMの策定作業を継続するかどうかの判断が求められた中で,ケニアを始めとするアフリカ8か国はこれを継続しない旨を提案,南部アフリカ3か国はこれを継続するための新しい草案の承認を提案。右提案は全て否決された。

(2)ウナギ及び宝石サンゴ

 資源や取引の状況に関する調査等を実施することを内容とする「決定」が採択された。

(3)EUの投票権の扱い

 今次COP限りの扱いとして,EUは全28加盟国が信任状を提出し,かつ,出席しているとの理解の下,EUが28票分の投票を一括行使しうることに合意。次回COPに向けて,EUによる28票分の投票の一括行使を今後も恒常的に認めるかどうかを含めた手続規則改正の議論を継続することとなった。

(4)主要附属書改正提案(全62提案種)

(ア)アフリカゾウ

 附属書IIから附属書Iに移行する提案(アフリカ12か国・スリランカによる提案)と,附属書IIに掲載されている個体群の注釈削除の提案2件(ナミビア・ジンバブエの提案。附属書II掲載の個体群の国際取引規制の緩和に道を開くもの)が提案され,いずれの提案も投票により否決された。

(イ)サメ・エイ類

 クロトガリザメ,オナガザメ3種,及びイトマキエイ類の附属書IIへの掲載が投票により決定した。

(ウ)ヨウム

 インコの1種であるヨウムの附属書IIから附属書Iへの移行が投票により決定した。

(5)その他の議題

 トレーサビリティについて,我が国より,各国及び各種の事情に応じて運用上実行可能なものであるべきと主張し,作業部会を立ち上げ引き続き検討することとなった。

3 我が国の対応

 ニホンウナギについては,昨年来,その保全のためには資源管理の取組が重要であり,これを附属書に掲載して国際取引を規制することは適切でないとの考えの下,EU等関係国に働きかけを実施していたところ,EUが資源の状況に関する調査の実施等を内容とする「決定」案を提案したため,これが我が国の意向も反映した文書となるようEU,米等との調整を行った。
 また,米国等により象牙の国内取引市場の閉鎖を求める決議案が提案されて以降,米国,EU,アジア諸国,南アフリカ等関係国と協議を行う中で,密猟や違法な国際取引を撲滅するためには,各国における合法的な取引市場を一律に閉鎖するよりも,水際規制や国内管理の徹底こそが重要であるといった我が国の考え方について,国際的な理解が得られるよう努めた。

4 評価

(1)象牙に関する決議案

(ア)象牙の国内取引市場の閉鎖を締約国に求める決議案

 我が国は,アフリカゾウの密猟や違法取引の撲滅は締約国が取り組むべき喫緊の課題との共通認識に立ちつつ,種の存続を脅かさない商業取引は,種や生態系の保全,地域社会の発展に貢献しうる(いわゆる,持続可能な利用)との考え方の下,作業部会での議論に建設的に参加。この結果,閉鎖されるべきは密猟や違法取引につながる国内市場であるといった,我が国のみならず米国を含む複数の締約国の意見が反映された修正案がとりまとめられるに至った。採択された決議が,厳格に管理されている我が国の国内象牙市場の閉鎖を求める内容ではないことは評価できるもの。
 我が国としては,象牙の国内取引に対してさらに厳格な管理を行っていく考え。

(イ)国別象牙行動計画(NIAPs)

 我が国は,NIAPsの推進を支持している立場から,これに関連する議論にも積極的に参加した。NIAPsの対象となる締約国の選定は,当該締約国との協議の上,客観的なデータに基づき行われるべきとの我が国の主張が,NIAPsガイドラインの策定の際に反映されたことは評価できるもの。

(ウ)象牙取引プロセスに関する意思決定メカニズム(DMM)

 我が国は,持続可能な利用の仕組みを構築するためにもDMMの議論を継続するべきとの考えからDMMの策定作業を継続することに賛成したが,DMMに係るすべての提案が投票により否決された結果,今後の象牙の国際取引に関する提案は,DMMが存在しない前提で審議されることとなった。
 今後,厳格な管理体制の下で,いかに象牙の合法的な国際取引の再開を実現するかについて,引き続き各国間の議論・検討をフォローしていく考え。

(2)海産種(サメ3件及びマンタ)の掲載提案

 我が国は,商業漁業対象種の管理は地域漁業管理機関(RFMO)で行うべきとの考えから,海産種のCITES附属書掲載に反対していたが,投票により附属書掲載が決定された。サメ類を始めとする商業漁業対象種を附属書に掲載する動きがますます強くなっていることから,今後ともCITESにおける商業漁業対象種に関する議論を注意深くフォローする必要がある。

(3)ウナギと宝石サンゴに関する決定

 我が国は,資源の状況に関する調査の実施等を内容とする「決定」自体は支持しうるものとして賛成したが,同決定の実施状況や結果によっては次回COPに附属書掲載提案が出される可能性もあることから,同決定に基づくプロセスに積極的に参加して我が国の主張を展開するとともに,資源管理を確実に進める必要がある。


このページのトップへ戻る
地球環境へ戻る