1988年版外交青書の刊行にあたって
外務大臣に就任以来,私は,多くの国々を訪問し,国際社会の現実をつぶさに観察するとともに,多くの人々との対話を通じ,現在の国際情勢や諸外国と我が国との関係等について考えて参りました。その中で,私は,我が国の国際的役割と責任が著しく増大していること,そして,我が国に対する諸外国の期待と関心が大きく高まっていることを肌で感じました。
我が国を取り巻く現下の国際環境には,政治面でも,あるいは経済面でも新しい動きが生じております。国際的な相互依存関係が益々深まっている今日,我が国の安全と発展は世界の平和と繁栄と強く結びついております。従って,我が国は,国際秩序の主要な担い手の一人としての自国の立場を認識し,責任ある国家として,世界の平和と繁栄に積極的に貢献していかねばなりません。その具体的施策として,我が国は本年春以来「国際協力構想」を提唱し,「世界に貢献する日本」を実現するための具体的努力を傾けて参りました。
私は,今後とも,我が国,ひいては世界の平和と繁栄を確保していくため努力を続けて参る考えでありますが,我が国がより積極的かつ効果的な外交を展開するためには,国民各位の御理解と御協力が不可欠であります。この外交青書が,日本外交に対する皆様方の御理解を深めるための一助となれば幸いです。
1988年11月
外務大臣 宇野 宗佑
本書は,世界の情勢と我が国が行った外交活動の概要について,1987年4月から88年7月に至る期間を中心に取りまとめたものである。本書は3章から成り,さらに資料,付表,年表等を収録している。
本文第1章においては,我が外交の基本課題,世界の主な動き及び我が国が行った主要な外交活動を概観している。第2章では,我が国と世界が直面している重要な問題をテーマ別に説明している。そして,第3章においては,世界の各地域毎に,その情勢と我が国の外交活動について述べている。
第1章 世界の動きと我が外交の基本
第2章 国際社会の主要課題と日本の役割
第3章 各地域情勢及び我が国との関係