報道発表
日・イラン受刑者移送条約の署名
1 「刑を言い渡された者の移送に関する日本国とイラン・イスラム共和国との間の条約」(日・イラン受刑者移送条約)は,1月9日,東京において岸田文雄外務大臣により,同10日,イランの首都テヘランにおいてモスタファー・プールモハンマディ法務大臣(H.E. Mr.Mostafa Pourmohammadi,Minister of Justice of the Islamic Republic of Iran)により,署名が行われました。
2 この条約は,我が国とイランとの間で,相手国の裁判所が拘禁刑を言い渡した者について,一定の条件を満たす場合その本国に移送する手続等について定めるものです。
3 この条約によって,イランにおいて刑に服している邦人受刑者及び我が国において刑に服しているイラン人受刑者に母国において刑に服する機会を与えることが可能になり,これらの受刑者の改善,更生及び社会復帰の促進に寄与することにつながるとともに,刑事分野における二国間協力の発展に寄与することが期待されます。
4 今後,締結について承認を得るべく国会に提出する予定です。この条約が締結されれば,両国で締結される二国間国会承認条約としては1958年の文化協定を含め2件目(1979年の共和制移行以後初めて)となります。
(参考1)主な規定は以下のとおり。
- 締約国は,この条約に従い,一定の条件(裁判国,執行国及び受刑者の同意等)の下で,受刑者を執行国に移送することができる。
- 受刑者を移送する手続(移送の同意に関する確認,関連する情報の提供等)を定める。
- 裁判国のみが再審を行うことができる。
- 移送後の刑の執行の継続は,裁判国が決定した刑の性質及び期間に基づき,執行国の法令により規律される。
(参考2)受刑者数
平成26年11月末現在,我が国の刑事施設に収容されているイラン人受刑者は178人。平成27年1月1日現在,イランにおける日本人受刑者は4人。
(参考3)我が国が締結した受刑者移送に係る条約
我が国は,2003年,欧州評議会が作成した「刑を言い渡された者の移送に関する条約」(以下「CE条約」という。)に加入し,CE条約の締約国(現在,我が国を含む64か国が締約国となっている。イラン・イスラム共和国はCE条約非加盟国。)との間では,外国人受刑者を一定の要件の下で母国に移送することが可能となっている。我が国がこれまでに締結した二国間の受刑者移送条約にはタイとのものがある(平成22年7月30日,公布及び公示,同年8月28日,効力発生。)。また,ブラジルとの条約は平成26年1月に署名,同年6月に国会承認。