経済外交

平成25年4月25日
 グリアOECD事務総長は,4月22日から24日までの日程で訪日したところ,概要及び評価は以下のとおり。
  • 安倍総理及び岸田外務大臣からグリア事務総長に,我が国のOECD加盟50周年にあたる2014年の閣僚理事会議長国に立候補する旨の意思を伝達。
  • 対日経済審査報告書の発表がなされた(注)
  • 安倍政権の経済財政政策について,グリア事務総長から理解と支持が示された。関係閣僚との間で経済政策,規制改革等について意見交換が行われた。
(注)加盟国及び一部非加盟国を対象に,マクロ経済政策,構造問題等に関する国別審査を定期的にOECDが実施しているもの。同審査は約2年に1回の頻度で行われており,審査結果は「対日経済審査報告書」として公表される(前回の審査報告書は2011年4月に公表)。
 
1 日程

 22日に,岸田外務大臣主催夕食会を実施。22日から24日にかけて,国会日程が極めて厳しい中にもかかわらず,安倍総理,その他関係7閣僚,また,経済界,労働界の代表等との意見交換を実施。
 23日には,対日経済審査報告書のプレス発表が行われた。グリア事務総長は,同日開催された産業競争力会議に出席し短時間のスピーチを行った。更に同日,産業競争力会議評議員,規制改革会議議員,総合科学技術会議議員等の有識者をまじえた夕食会が行われた。
 

2 主な表敬・会談
(1)安倍総理表敬(24日午後)

 安倍総理より,「対日経済審査報告書」が発表されたが,貴事務総長が,安倍政権の経済政策に理解,支持を示してくれていることは大変心強い,産業競争力会議でも力強いメッセージをいただいた旨発言。
 グリア事務総長より,今回の対日経済審査報告書でも触れているとおり,安倍政権の経済政策をOECDとしても支持している,今後ともぜひOECDを活用してもらいたい旨発言。

(2)岸田外務大臣との会談・夕食会(22日夕)

 岸田大臣より,2014年は我が国がOECDに加盟して50周年となる節目の年である,加盟当時は国際社会への復帰のため国連加盟及びGATTとあわせOECD加盟が至上命題であった,OECDが今後も国際社会で存在感を示し続けられるよう協力していきたいと考えており,2014年閣僚理事会に議長国を務めたく,この場を借りて立候補表明をしたい旨発言。
 また,近年のアジアの著しい経済成長を踏まえれば,OECDとアジアとの関係強化は必要不可欠であり,東南アジア地域との関係を強化してもらいたい旨発言
 グリア事務総長より,日本が加盟50周年という記念すべき年に閣僚理事会議長を務めたいとの熱意を歓迎するとともに,加盟各国も貴国の熱意を歓迎するであろうと発言。
 また,今後の世界経済においてアジアの重要性については認識を共有する,OECDとしても一層アジアとの関係を強化していくつもりであるので,貴大臣をはじめ日本からの支援を引き続きお願いしたい旨発言。

3 評価

(1)2014年が我が国のOECD加盟50周年という節目の年であり,OECD閣僚理事会議長国に立候補する旨安倍総理及び岸田外務大臣から意思表示を行い,グリア事務総長から歓迎の意が示された(過去,我が国がOECD閣僚理事会の議長国を務めたのは,1978年の1度のみ)。
 
(2)グリア事務総長から,対日経済審査報告書のプレス発表や,関係閣僚との意見交換等において,安倍政権の経済政策につき楽観的なムードが早期の経済再生の兆しとともに見え始めているとしつつ,OECDとして注意深く見守り,成功を収められるよう支援していくとして,理解と支援の意が示された。また,同報告書等において,我が国の経済成長等の見通しを2013年及び2014年とも1.4%に上方修正したことは,各局及び各紙にて大きく報じられた。
 
(3)上記の安倍政権の経済政策への評価を含め,我が国の政策課題に対して,対日経済審査報告書を冊子として,安倍総理をはじめ関係閣僚に提示し,我が国がこれらの政策課題に取り組む上で,OECDとして様々に役立つ用意がある旨明確なメッセージが伝達された。行動するシンクタンクを標榜するOECDが,その専門性に基づいた分析や政策提言を冊子にして簡潔にわかりやすく示すことは,関係閣僚をはじめ関係者にとって役立つ有益なものと評価できる。
 
(4)グリア事務総長の産業競争力会議出席をはじめ,産業競争力会議議員,規制改革会議議員及び科学技術会議議員ら有識者との意見交換の機会を設け,規制改革等をはじめとした我が国が抱える課題とOECDの活用につき幅広く意見交換が行われた。


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