※NGO:非政府組織(Non-Governmental Organizations)
第3回・千葉:持続可能な農業技術を学ぶ
土作りが農村を救う(ギニア共和国)- 有機肥料による農業活性化の取り組み サパ=西アフリカの人達を支援する会 事務局長 野澤眞次 ●はじめに 世界の途上国の殆どは熱帯地域に存在しています。これらの途上国の発展を妨げているのが「貧困」です。その貧困の遠因として、熱帯林の激減森林消失があります。熱帯林は地域住民に衣食住を供給するする機能とともに、雨水を貯え豊かな農業用水を田畑に提供しています。このように地域住民にとってかけがけのない森林の減少は、人々の生活基盤の崩壊をもたらし、貧困の遠因となっています。 一方、熱帯地域に住む人々の食糧生産の大半は焼畑栽培に依存していますが、これらの地域では「土地に有機物を戻す」「土をつくる」という発想はありませんでしたが、かつては一度、焼畑を行えば土地は5年以上休ませ、地力を回復させる知恵がありました。しかし、人口急増のためにローテーション期間が短縮され、土壌の劣化が進み、農作物の減収のために食糧不足が加速される構図になっています。これが貧困の近因です。遠因とあわせ、農村から都市のスラムへと移動する原因といわれています。 ●ギニア共和国 ギニアの国土面積は、24.6万平方キロメートルと日本の本州とほぼ同じで、国土の一部はギニア湾に面し、南の熱帯雨林型から北のサバンナ型と多様な気候帯に属しています。主食は米ですが北部はミレットやソルガムといった雑穀が占めます。南部では雨季が6ヶ月あり、年間の降雨量が3,000~4,000ミリに達しますが、灌漑設備が少ないため陸稲しか栽培できません。長年の酷使で土壌が痩せているため、1ヘクタール当たりの収量は700キロ前後しかなく、日本の平均収量5トンとは大きな開きがあります。また畑の3分の1ではピーナッツが栽培されていますが、中には小指の先ほどの大きさのものもあり概して小粒です。 ●三つのニーズ ギニアの農民のニーズは大きく次の三つです。第一は、腹いっぱい食べるための「食料確保」、第二はマラリアなどの「風土病予防」、第三は技術習得による「現金収入」です。この3点はギニアに限らず発展途上国共通のニーズです。これらが充足されれば、貧困が解消されるというのが私たちが活動体験から学んだ原則です。 ●現状 私たちは現在、ギニア共和国内でも最貧地域の一つであるモロタ村、サムレヤ村、サナワリア村の3村で活動しています。中でもモロタ、サムレヤの各村はかつて豊かな熱帯林がありましたが、もはやその面影はありません。モロタ村の70歳代の長老は「50年前までのモロタ村は鬱蒼とした熱帯林が村を取り囲み、森に行けば食べ物はすぐに手に入った。今のように1日2食しか食料がなく、ひもじい思いをすることはなかった。」と話しています。また森林伐採のために林地の貯水機能が激減し、本来なら優良農地である川沿いの農地が冠水し、上流では土壌浸食による表土流出が続いています。 ●森林再生のために こうした問題解決のための方策として考えたのが「森林の再生」と「農地の活性化」の二つです。私たちはまず森林再生をスタートさせました。植栽樹種は地域住民に役立つものとして、食料になると同時に換金性の高い果実をつけるカシューナッツ、マンゴー、ネレ(マメ科)などを選びました。過去3年で約200ヘクタールの伐採跡地に約4万5千本のこれらの苗木を植えました。伐採跡地には切り株が残っているため、そこから萌芽した稚樹との混交林に造成することを目的としています。新しく植えたものと、もともとあった樹種とのバランスを見ながら、将来的にはかつて存在した熱帯林の樹種構成に近づけることを目指しています。植栽樹種のなかにはカシューナッツほか、早くも一部結実し始めています。住民たちの食糧不足の緩和と現金収入になると期待しています。 ●「堆肥とボカシ肥」 森林再生活動と平行して地力の衰えた畑地の活性化に取組んでいます。そのために日本の伝統有機肥料である「堆肥とボカシ肥」を活用しています。 まず、堆肥といえば、日本では化学肥料の導入前、刈り取った草や樹木の枝葉を牛舎内に敷き牛の糞尿で発酵させ、田畑に主として元肥として鋤き込んで使用していました。ギニアでは以下を堆肥の原料として使用しています。1)落葉、枝葉、腐葉土 2)稲ワラ 3)カヤ草 4)家畜(主として羊、ヤギ、牛)モロタ村では草や葉を牛糞と混ぜ、さらに同地で盛んに栽培されているアブラヤシ(同地、原産で自生も多い)の実を搾った後のアブラの搾りカスの廃液を発酵促進剤として利用しています。2週間に1度切り返え、1ヶ月で完成します。モロタ村の多くの農家が生産を行い、畑に施用しています。 またボカシ肥は海外では勿論、日本国内でもあまり知られていませんが、日本の伝統的な有機肥料です。植物油の搾りカスや魚カス、米ヌカなどに山土などを混ぜ発酵させたものです。ボカシの名称は原料に山土を混ぜることにより、肥料から発生するアンモニアガスを吸着させ、速効性はなくなるものの効力を長続きさせることに由来しています。 ギニアでのボカシ肥の原料は、1)油ヤシの搾りカス 2)米ヌカ 3)骨紛を主体にこれらを攪拌して水を加えると、1~2日後に40~60度に発熱し発酵が始まります。毎日1回の切り返しを行い、5~6日後に同等量の山土(粘土)を加え、切り返しを継続すれば2~3日後に「ボカシ肥」が完成します。米ヌカや油カスなどの廃棄物を活用した「ボカシ肥」作りはコストもかからず、土づくりには最適です。 こうした有機肥料の効果を試すために、2002年に初めて村の試験圃場に4区画に分けてイネを植えました。1)は堆肥とボカシ、2)は堆肥だけ、3)はボカシだけ 4)は無肥料としました。写真をご覧いただくと一目瞭然で肥料効果のほどがわかります。堆肥とボカシの両方を与えたものほど、分株が無肥料の2倍以上、進みそれだけ穂の数が多くなることを意味します。また、有機肥料だけでなく、西アフリカになかったマルチング(土をビニールや藁などで覆うこと)の技術も指導しています。これは雨期には雨滴の衝撃を和らげ土砂の流失を防ぎ、乾期には土中の水分の放散を防ぐためのものです。 ●新種野菜の導入 私は企業マン時代東南アジアで新しい日本産の野菜種の導入に成功した経験を 持っています。東南アジアと同緯度のギニアでも成功するとの確信のもと、日本産の野菜種を導入し堆肥やボカシを使った栽培も始めています。ホクホクしたエビスカボチャの種子を日本から持ってきて栽培したところ「ケーキのようにおいしい」と市場で大変、好評を得ています。地元の水分の多いカボチャの5倍の値がついたり、ボカシを施肥した畑で収量が2倍になるなどの効果が現れています。 ●研修センター建設 2002年4月、有機肥料を専門に学ぶ、宿舎つきの研修センター(定員10名)をギニア国内のサナワリア村に建てました。施設は「研修生が寝泊りできる宿舎」(定員10名)と講義室(定員20名)と堆肥とぼかし肥の生産小屋及び肥効を確認する栽培試験場などです。 1~2ヶ月のコースでボカシ肥や堆肥づくりの技術を習得するものですが、既に1期生が巣立ち、今、2期生が学んでいます。年間60名の各村のリーダーを育てる予定です。お蔭様で評判がよく、定員の3倍の申し込みがあります。新聞もなく郵便事情も悪いため、研修生募集の呼びかけはラジオを使っています。今後各地にセンターを増やし、「堆肥とボカシ肥」の生産による「貧困解消」に寄与したいと念願しています。 このほか、村の子どもたちが学ぶための学校建設、川に多いギニア原虫の感染を防ぐために、飲料用の井戸掘りのプロジェクトも行っています。
ネパール・東パルパ地域における灌漑用水路の設置 世界の子どもと手をつなぐ会 代表 坂田喜子 ●はじめに 私たちの会は1980年に新聞に掲載されたオランダのNGOであるNOVIBの「食卓にもう一人お客様を招くつもりで貯金するー食卓の貯金箱」運動の趣旨に賛同し、日本で活動を開始したのが始まりです。 当初はNOVIBから貯金箱を送ってもらっていましたが、今では会独自の運動を行っています。会員は約500名います。年3回の貯金箱の回収は、「開発協力金」として6ヶ国、7つのプロジェクトに送られます。インド南部農村の栄養失調の子どもたちへの給食サービスやペルーのリマ郊外のスラムの子どもたちへの教育支援のほか、バングラデシュ、ネパール、フィリピン、ボリビアなどでも支援活動を行っています。 私たちの活動は一つのプロジェクトを10~15年と継続して支援するのが特徴です。そのうちの一つが現在、取り組んでいるネパールでの灌漑用水路建設のプロジェクトです。 ●OKバジとの出会い ネパールの首都カトマンズから南西3百キロの距離にあるのが東パルパ地域です。カトマンズから車で6時間行くとタンセンに着きます。タンセンからジープで4時間行くとドリマラ村に。さらにそこから山に分け入り5~6時間、歩いたところに私たちが支援している村があります。この地域の村に支援を開始したは現地でOKバジと呼ばれている垣見一雅さんとの出会いがあったからです。 彼は東京のある高校で20年以上、英語教師として勤めていました。ヒマラヤでのトレッキングの最中、雪崩に会い、九死に一生を得るという経験をしたことから「助かった命をネパールの人々に恩返ししたい」とネパールに住みついて9年になります。東パルパを中心に村から村を歩いて教育、保健医療、生活向上へ向けての経済活動など様々な分野で農村開発を行っています。私達の会とは1995年から彼を通して同地域の村との交流が始まりました。 ●灌漑プロジェクトに着手 灌漑用水路建設のプログラムは国際ボランティア貯金の助成金を受けてチース村とマダンプール村の2ヶ所で建設を行っています。チース村の用水路は村の上流3.2キロの所に取水口を設け、そこから用水路を作って村の田に水を引く。そのため水路をのみで一のみ一のみ打ち砕いて行きます。作業は、乾季の10月から3月までの6ヶ月。工事を開始したのが2001年9月ですから、ちょうど2年目に入ったばかりです。 ●全て手彫りで一のみ、一のみ 険しい山肌ですから機械を入れるわけにはいきません。手掘りでノミとハンマーを使って、こつこつと村人25人が1チームとなり、一日、5メートル岩場を掘り進んでいます。水源から村までの水路を見極めていくのが「神の手」と呼ばれる「手」を持つ74歳になる男性です。彼はアグリと呼ばれる岩掘り専門家で、これまでに29ヵ所の用水路を掘ってきたベテランです。2002年3月1日現在、水は取水口から500メートルまでのところに流れてきました。村に行き着くにはあと2年かかる予定です。村人たちは農地面積の割合によって無償労働をしますが、それを越えた場合には日当を払うことになっています。 ●コメは9ヶ月分だけ このあたりの村は急な山の斜面にへばりつくように点在し、畑は全て段々畑。水不足のためにコメは作れず、とうもろこしが主食です。ただその収穫量も充分でなく、9ヶ月分を賄うのが精一杯です。その不足を補うため、人々は商店で安いコメをつけで買い、乾期の10月~3月にかけて男性が町に出稼ぎに行って借金を返す生活をしています。その稼ぎが充分でなく、借金のかたに土地をとられるのも珍しくありません。 ●用水路で村が変わる こういった状況を一変させる可能性を秘めているのが用水路です。水さえくれば、水汲みから解放され、8月~11月にかけてコメが生産できます。そしてコメを収穫した後は小麦とナタネが栽培できます。遊休地も有効に使え、家族も出稼ぎに行かなくてすむでしょう。作物を売ったお金で子どもを学校へやることができるかもしれません。 東パルパ一帯の村々は、山岳地帯なので家畜用も含めた飲料水の問題は切実です。垣見さんの住むドリマラ村は、学校や簡易宿泊施設は日本からの支援でできました。しかし、最も望まれた簡易水道の設置には10年の歳月が必要でした。植林をして水源に貯水されるようになるまで10年かかったからです。 垣見さんが村人と用水路ができた時の話をすると、マダンプールとチースの村人の顔はほころび目はきらきらと輝くそうです。今、完成後の用水路の維持管理をどうするか、他の村の事例も研究中です。2年後の完成を誰もが心待ちにしています。
循環型農業を目指して かんらん車 代表 堀越 一仁 ●はじめに かんらん車は1998年に無農薬有機栽培をめざす若手農家10名が集まり、結成しました。2002年11月現在、仲間も15人に増えました。そのうち5人が20代です。またメンバー全員が千葉県のエコファーマー認定を受けています。一戸当たり約50アールで有機栽培を行い、学校給食用や市内のスーパーなどに出荷するほか、市内ショッピングセンターで専用の売り場でも販売しています。 会員の一人が有機農業をめざすようになったきっかけは30年ほど前に、恐らく化学農薬が原因と思われる病気にかかり1~2年の療養生活を余儀なくされたことから始まっています。その後、有機栽培を始め、アトピーや化学物質過敏症等の人たちと交流するなかで生まれてきました。 ●堆肥作り 事業としてはまず学校給食などの残りを使った堆肥づくりがあります。成田市の学校給食はセンター方式で、ここから排出される分別済みの食品残さを年200回くらい、毎回約1トンを収集しています。また、成田市内のショッピングセンターのスーパーや食堂などから排出される全ての食品残さ、年間約17トンは併設された処理施設内「生ごみ再資源化設備」で分別され、ぬかと混ぜ発酵菌による発酵を行った後、乾燥袋詰めし、「かんらん車」に引き渡されています。 こうした堆肥やボカシ肥料を作って土づくりを行い、化学肥料は一切、使っていません。最近、有機農業の認定制度を農水省で始めていますが、逆に化学肥料や農薬の使用基準の上限が定められたために、完全に有機農業を行っている農家と基準内の化学農薬や化学肥料などを使用している農家とが区別できないという、消費者にとっては紛らわしい状況になっています。そのため、私たちのグループではJASの有機農業認定は申請していません。 化学肥料を使用しないだけでなく、病害虫防除にも黒砂糖を発酵させたものやニンニク・トウガラシを原料にした防除液、木酢などを使い、化学農薬は基本的に使用しないのが特徴です。 また、学校給食残さやショッピングセンターのこのコンポストを使うに当たって有害物質の含有の有無を専門機関に委託して検査しました。その理由は有機農業の技術があまり進んでいない段階では、学校給食などの残さは食品添加物による重金属が多く、堆肥には適さないとの見方が一般的だったからです。私たちはこの問題をクリアするために、堆肥を熟成する段階で温度を上げたり、重金属を分解する「バイムフード菌」を注入、長期発酵させて完熟させるなどの工夫を行った結果、水銀は農林水産省基準の500分の1、カドニウムも自然界に存在するレベルしかなく、堆肥の原料として使用できることが確認できました。 こうして育てた野菜、ニンジン、ジャガイモや小松菜などを学校給食に提供しています。小規模ながら循環型の農業、地産地消が成立しています。また、市内3ヶ所のスーパーなどの「かんらん車」専用コーナーで販売されている野菜は、「通常のものより一回り大きく、味もよい」とお客様からも好評です。 ●堆肥土づくり実践館スタート こうした取り組みを成田市も積極的にサポートしてくれています。2002年5月には同市が進める循環型農業の中核施設となる「堆肥土づくり実践館」(野菜くずなどから堆肥を作る実験プラント)が成田空港近くに設置されました。成田市の外郭団体、成田市農業センターが建設し、運営はかんらん車のメンバーで構成する 「空港西部堆肥利用組合」(堀越一仁会長)が委託を受けて行っています。 JA成田市の野菜加工センターや市学校給食センターから出る野菜くず(日量一トン)にもみ殻、米ぬか、発酵金菌を交ぜて発酵。同館で三ヶ月、さらに農家で三ヶ月間、完熟させて年間百・程度の良好な堆肥を作る能力があります。オゾンを使った脱臭装置なども設置されています。 私たちが行っていた学校給食などの残さを集めた堆肥作りを市全域に本格的に広げようというもので、将来的には市内の事業所や家庭などから出る生ごみも堆肥の原料として回収、全市的な地域循環型農業の確立を目指したいと成田市なども思っています。 ●コスト低減などの課題 有機農業は化学肥料の10倍も手間がかかる上に、コストも通常の3~4割増しになるのが現状です。例えば、農産物10トンの収穫を得るためには、堆肥2トン、ぼかし300キロを投入しなければなりません。また収量そのものもジャガイモ、ニンジンなどの場合、慣行栽培の8~9割に留まるなど悩みもあります。このほか、「外見が見劣りすることへの消費者の理解」「品質のばらつき」などの問題をクリアすることが今後の課題です。こうした課題を一つ、一つクリアしながら、会員を増やして事業を拡大し、学校給食で使うジャガイモとニンジンを作るための堆肥は堆肥土づくり実践館で全て、賄えるようにしたいと思っています。環境にやさしく安全でおいしい野菜を地元でつくり、地元で生産する、地産地消をさらに広げていきたいと念願しています。 ◆かんらん車・連絡先 千葉県成田市大字大清水83-4 電話:0476-35-0699 堀越氏の講演の後、実際に「堆肥土づくり実践館」と堀越氏の畑を見学しました。隣とは有機農業を実行していない畑農家だが、最初は堀越さんの畑に向かって殺虫剤をまいていたほど、理解がなかったが、最近では自分の畑の内向きにまくようになった。但し、その後、虫という虫が堀越さんの畑に避難してくるという。その対策がまた悩みのためという。机の上だけで有機農業を唱えるのとは違って苦労のほどが実感できた。
●ネパールやギニアでは自給率はどうなっていますか。 ○ネパールの平均的な農家では最低限、おコメは8か月分ありますが、残りの4ヶ月をどうしのぐかが問題です。この間、都市に出稼ぎに行ったり、とうもろこしを食いつなぐという場合も多くみられます。 ギニアでは朝食と夕食の2食しか食べず、食糧が足りない場合には1日1.5食という場合もあります。収穫直後はコメを食べ、なくなればミレットやソルガムといった雑穀類を食べて我慢しています。 ●ギニアでの例で、村人に森づくりへの関心を持ってもらうためにどういう動機づけを行っていますか。 ○プロジェクトを開始してから1~3年の間、早期結実優良種が実をつける間、村人に参加を促すために、木への潅水(水やり)には苗木1本幾らという形で日当を支払っていました。 ●一般的に有機農業というと自己流で独善的になりがちという話もよく聞くが、かんらん車は成田市や千葉県農業総合センターの技師はじめ行政・地域と連携し自分たちの活動を点検しながら行っていることに感銘を受けました。 ●実際に堆肥をつくっている場所を見学できたことが収穫でした。このような有機農業の技術を是非、途上国に広げていただきたいと思いました。
特定非営利活動法人 国際開発フロンティア機構理事長 増見 国弘 ◆土づくりの重要性 今回の事例紹介で「堆肥とボカシ肥え」を使ったギニアの農村開発」(サパ=西アフリカの人達を支援する会)が現地では農業の生産性向上と地力維持にインパクトを与えております。また、国内でも「かんらん車」が示唆する土作りや堆肥作りの重要性は繰り返し強調されなければなりません。これらの技術こそ、東南アジアほか私たちのプロジェクト現場に積極的に紹介していくことが急務といえます。 またサパの成功は化学肥料や化学農薬を中心とした生産性指向の技術ではなく、農民が入手可能な素材の利用による環境保全と持続可能な農法を農民が求めていることを実証したものです。 ◆専門性の習得 開発途上国での農村・農業開発のための技術の開発・普及には現場からのアプローチが重要です。今回の研修会では土づくりの現場を見学する貴重な機会が得られました。今後の研究会ではこうした実践的な技術習得に踏み込んだ実習も含め、様々な現場で農村・農業開発に携わっている多くのNGOがそれぞれの環境、農民、地域社会に適正な農業や移転手法を身につけ、その専門性を高めていくことを期待しています。 |