地球環境

南極条約・環境保護に関する南極条約議定書
Antarctic Treaty / Protocol on Environmental Protection to the Antarctic Treaty

平成25年2月

1.南極条約

  1. (1)1959年に日、米、英、仏、ソ連(当時)等12か国により採択され、1961年に発効。2013年2月現在、締約国数は50。
  2. (2)南極条約は南緯60度以南の地域に適用され、以下を主な内容とする。
    • 南極地域の平和的利用(軍事基地の建設、軍事演習の実施等の禁止)(第1条)
    • 科学的調査の自由と国際協力の促進(第2、3条)
    • 南極地域における領土権主張の凍結(第4条)
    • 条約の遵守を確保するための監視員制度の設定(第7条)
    • 南極地域に関する共通の利害関係のある事項について協議し、条約の原則及び目的を助長するための措置を立案する会合の開催(第9条)
  3. (3)我が国は、南極条約の原署名国であり、1960年8月4日に南極条約を締結して以来、南極条約協議国の一員としての責務を果たしている。

2.環境保護に関する南極条約議定書

  1. (1)南極の環境と生態系を包括的に保護することを目的として、1991年に採択、1998年に発効。本体、付録、5つの附属書及び末文から構成されている。
  2. (2)わが国については、1997年12月15日に寄託国である米国政府に寄託を行い、1998年1月14日に効力を生じた。
  3. (3)1997年5月28日、この議定書を担保する国内法として我が国は「南極地域の環境保護に関する法律(南極環境保護法)」を制定。漁業など特定の活動を除き、南極での全ての活動について、計画の主宰者が環境大臣に確認申請書を提出し、確認を受けることが義務づけられた。

3.南極条約協議国会議及び南極条約体制

  1. (1)南極条約締約国の中でも、南極に基地を設ける等、積極的に科学的調査活動を実施してきている国(28か国)は、南極条約協議国と称され、南極条約に基づき定期的に南極条約協議国会議(以下「協議国会議」という。)を持ち、情報の交換、国際協力の促進等について協議を行っている。
  2. (2)協議国会議ではこれまで200以上の決議・勧告及び措置を採択してきた。これらの多くは南極の環境保護に関するもの、特別保護区域として南極の一定地域を保護するもの、又は南極観測に関する技術的な事柄を定めたものの他、南極条約事務局の運営、南極観光規制措置等に関わるものである。さらに、特定問題に関し特別会合を開催し、「南極の海洋生物資源の保存に関する条約」、「南極あざらし保存条約」等を採択してきている。南極条約の下で採択されたこれらの勧告・措置及び条約を総称して「南極条約体制」という。
  3. (3)協議国会議は協議国が持ち回りで主催しており、我が国もこれまで第6回(東京)及び第18回(京都)会合を開催している。2012年6月には第35回会議がホバート(オーストラリア)で開催された。

4.近年の南極条約協議国会議における主な論点

 (1)南極条約50周年

 南極条約は2009年に採択50周年を迎えた。50周年を記念する第32回会合は2009年に米(ボルチモア)で開催され、「平和と科学の50年」を基本テーマとして、外相レベルの特別会合が行われ、南極条約の次半世紀の意義と極地研究の重要性をうたう2本の政治宣言が採択された。また、2011年は南極条約発効50周年にあたり、アルゼンチンで開催された第34回協議国会議において記念式典が行われた。

 (2)観光問題

 近年、南極への観光客数は上昇しており(1990年代後半までは6,000~7,000人、以降10,000人を突破し、現在では年間約30,000人)、(1)観光が南極環境に与える影響、(2)南極地域における適切な観光の管理、(3)南極における観測活動等への障害等の観点から、より厳しい規制をかけるべきとの主張がある。

 (3)バイオロジカル・プロスペクティング

 南極におけるバイオロジカル・プロスペクティング(微生物などの生物資源の活用)に関わる活動の現状や法的諸問題について議論が行われている。生物探査活動の現状をどのように把握し、対処していくかという問題につき、南極条約体制としても検討を進めていく必要があるとの認識が高まっている。


(参考1)南極における領土権問題

 現在、南極地域で実質的な科学的研究活動を行っている国の中には、南極の一部に領土権を主張している7か国(クレイマント: 英国、ノルウェー、フランス、豪州、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン)と領土権を主張しないと同時に他国の主張も否認する国(ノン・クレイマント: 米国、ロシア、我が国、ベルギー、南アフリカ等)がある。また、ノン・クレイマントの中でも、米国、ロシアは現状では領土権を主張しないが、過去の活動を特別の権益として留保している。南極条約においてはクレイマント、ノンクレイマント双方の立場が認められ、基本的立場の違いはあるものの、対立を表面化させずに共通の関心事項について対処するよう努めている。

(参考2)南極条約締約国一覧(2013年2月現在)

 (1)南極条約協議国(28か国)

 アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、チリ、中国、エクアドル、フィンランド、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、韓国、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ペルー、ポーランド、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、英国、米国、ウルグアイ、ウクライナ

 (2)その他の締約国(22か国)

 オーストリア、カナダ、コロンビア、キューバ、チェコ、デンマーク、エストニア、ギリシア、グアテマラ、ハンガリー、北朝鮮、マレーシア、モナコ、パキスタン、パプアニューギニア、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スイス、トルコ、ベネズエラ、ベラルーシ

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