よくある質問集 外務省ホームページ

令和5年7月21日

問1 最近広報文化外交に関連して「パブリック・ディプロマシー」や「ソフト・パワー」という言葉を聞きますが、これは何ですか。

 外務省が広報文化外交に力を入れる背景には、近年「パブリック・ディプロマシー」や「ソフト・パワー」の重要性が指摘されていることがあります。
 「パブリック・ディプロマシー」とは、伝統的な政府対政府の外交とは異なり、広報や文化交流を通じて、民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける外交活動のことで、日本語では「広報文化外交」と訳されることが多い言葉です。
 グローバル化の進展により、政府以外の多くの組織や個人が様々な形で外交に関与するようになり、政府として日本の外交政策やその背景にある考え方を自国民のみならず、各国の国民に説明し、理解を得る必要性が増してきています。こうしたことから、「パブリック・ディプロマシー」の考え方が注目されています。
 また「ソフト・パワー」という概念は、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授によって最初に定義づけられました。ナイ教授は、軍事力や経済力によって他国をその意に反して動かす力が「ハード・パワー」であるのに対し、その国が持つ価値観や文化の魅力で相手を魅了することによって自分の望む方向に動かす力が「ソフト・パワー」であると説明しています。近年、日本でも、平和主義や伝統文化・現代文化など、ソフト・パワーの潜在力を引き出すことで世界における日本の地位を高めようとの議論が行われています。
 外務省でもこれらの考え方に基づき、政策広報や一般広報を通して日本の外交政策や一般事情に関する様々な情報を積極的に発信するとともに、日本文化の紹介や人的交流といった文化交流を通して、親日派・知日派の育成に取り組んでいます。また、2012年8月に報道対策、国内・海外広報及び文化交流を有機的に連携させていくための新体制「外務報道官・広報文化組織」を発足させるとともに、当組織の総合調整を行う総括課として広報文化外交戦略課を新たに設置し、より体系的にパブリック・ディプロマシーを実施する体制をとっています。

問2 外務省が海外へポップカルチャーを発信する意義は何ですか。また、どのような事業を行っているのですか。

 外務省は、日本に対するより一層の理解や信頼を得るため広報文化外交を実施しています。従来から取り上げている伝統文化・芸術に加え、近年世界的に若者を中心に人気の高いアニメ・マンガ等のポップカルチャーも、日本に対するイメージや親近感を高めるのに大きく寄与すると考えられることから、広報文化外交の一環として積極的に活用しています。

 具体的には以下のような事業を実施しています。

(1)日本国際漫画賞別ウィンドウで開く
 海外での漫画普及に貢献する新進の外国人作家を顕彰するために、平成19年に創設されました。第10回の平成28年には世界55の国と地域から296作品の応募がありました。毎年、最優秀賞1作品、優秀賞3作品を表彰しています。
(2)海外の大型イベントへの参加
 近年、諸外国では、大型のマンガ・アニメ・フェアや日本祭りが現地の方々のイニシアティブで開催されることが増えています。外務省では、このような機会にインバウンド観光や留学を始めとする日本への関心の端緒とすべく、J-POPのコンサートやマンガ・アニメ関連のステージ・ワークショップ等を実施しています。

問3 「日本と○○○との交流年」や「日本における△△△年」などの記念事業にはどのようなものがありますか。また、どのように決められていますか。

 日本と諸外国との記念事業については、2017年「日デンマーク外交関係樹立150周年」や「日モルディブ外交関係樹立50周年」のように、特に日本政府と諸外国政府の主導の下で実施されるものを始めとして、多くの交流年事業が行われています。また、2009年の「日メコン交流年」、「日本・ドナウ交流年2009」のように日本とある地域との交流を深めるものもあれば、2013年の「日ASEAN交流40周年」や2016年の「日本の国連加盟60周年」のように、日本と国際機関との交流や加盟周年を記念して実施するものもあります。周年期間中には、周年実施国等における能楽公演やJ-POP公演等の文化紹介事業の実施をはじめ、経済や学問、スポーツ等幅広い分野における交流事業が実施されています。
 両国政府の主導で実施される「日本と○○○との交流年」記念事業については、国交樹立50周年等の節目の年を契機として、さらなる相互理解・文化交流などを促進するために、首脳会談等における二国間の合意によって開催が決定されます。一方で、首脳会談等での合意を経ていないものもありますし、政府が直接関与していないものもありますが、いずれにしろ、両国の相互理解促進に寄与するものであることには変わりはありません。

問4 ジャパン・ハウスとは何ですか。

 ジャパン・ハウス別ウィンドウで開くとは、戦略的対外発信の強化に向けた取組の一環として外務省が設置を進めている、「オールジャパン」の対外発信拠点です。平成29年4月にサンパウロ(ブラジル)のジャパン・ハウスが開館し、今後はロンドン(英国)及びロサンゼルス(米国)での開館を予定しています。
 ジャパン・ハウスは、専門家の知見を活用しつつ、日本に関する様々な情報をまとめて入手できるワンストップ・サービスを提供するとともに、カフェ、レストラン、ショップ等を設置し、民間の活力、地方の魅力なども積極的に活用したオールジャパンでの発信を実現し、現地の人々が「知りたい日本」を発信することを目指す新たな拠点です。
 このように日本の多様な魅力や日本の「正しい姿」を発信することによって、これまで日本への関心が必ずしも高くなかった人々を含めた幅広い層を惹きつけ、親日派・知日派の裾野を拡大していくことを目的としています。

問5 日本は開発途上国に対し文化分野での支援を行っているのですか。

 多くの開発途上国では経済・社会インフラ整備だけでなく文化の側面も含めた国づくりの努力がなされています。これらの国々における文化や高等教育の振興をはかるとともに、日本との相互理解及び友好親善を深めるため、外務省はODA(政府開発援助)の一環として文化に関する無償資金協力を行っています。文化に関する無償資金協力は、「一般文化無償資金協力」と「草の根文化無償資金協力」の二つのスキームがあります。
 一般文化無償資金協力では、途上国の政府機関に対して、文化施設の音響・照明機材等の購入、大学等高等教育機関の教育機材等の購入、文化遺産修復・保存・活用のための機材や博物館整備、柔道等日本武道を含むスポーツ器材の購入等を行うために必要な資金を供与しています。
 一方、草の根文化無償資金協力は、地方公共団体、NGO等開発途上国のいわゆる草の根レベルに、機材購入や、施設整備等に必要な資金を供与することにより、よりきめ細やかな援助の実施を目指すものとなっています。
 この他、ユネスコを通じ、有形・無形の文化遺産保護に対する支援を行っています。

問6 日本は、世界遺産に関してどのような活動・協力を行っているのでしょうか。

 日本は、文化遺産や自然遺産を人類全体のための世界遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存していくための枠組みである世界遺産条約(正式名称:世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約)を1992年に締結しました。この条約の締約国として、日本は、世界遺産の新規案件の審議など、世界遺産条約の実際の運用を担う世界遺産委員会委員国を3度務め、1998年には世界遺産委員会を京都で開催するなど、世界遺産の保護のために積極的な役割を果たしています。
 また、日本は、このような条約の枠組みを通じた協力だけでなく、世界遺産を含め、世界各地で保護が十分に行き届かない文化遺産を幅広く保護するため、ユネスコに信託基金を設置し、ユネスコと協力しながら、日本の専門知識を活用し、カンボジアのアンコール・ワット遺跡など、世界各地の遺跡や建造物などの文化遺産を保護する支援を行っています。
 2016年には、「ル・コルビュジェの建築作品 近代建築運動への顕著な貢献」、2017年には「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産に登録され、現在我が国の世界遺産は合計21件となりました。

問7 日本はユネスコの活動に対してどのような貢献を行っていますか。

 日本は195のユネスコ加盟国のうち、米国に次いで第2位の分担金拠出国(米国は2011年以降未払)としてユネスコ財政を支え、ユネスコの事業内容を決定する執行委員国としてユネスコ事業の管理運営に直接関与しています。
 また、日本は、文化遺産の保存、開発途上国における識字教育等の普及及び各分野での人材育成の他、海洋学、生態学等の科学的知識の増進・共有等の分野においても、ユネスコが行う諸事業のために拠出金を支出するなど、ユネスコの各種事業実施に直接貢献する形で支援を積極的に進めています。
 とりわけ文化の面では、日本は世界の文化遺産の保存協力に積極的に取り組んでおり、ユネスコに設置した文化遺産保存日本信託基金及び無形文化遺産保護日本信託基金を通じて開発途上国への協力を行っています。また、ユネスコを通じた開発途上国の人材育成への協力のため、2000年度には人的資源開発日本信託基金を設立しました。
 なお、1999年にアジア出身者として初めてユネスコ事務局長に就任した松浦晃一郎氏は、2005年10月に再選され2009年11月まで任期を務めました。日本は、機構や制度の改革や、プログラムの改革など、当時の松浦事務局長によるユネスコにおける取組を高く評価し、現在でも同事務局長が推進したユネスコ改革を積極的に支援しています。
 また、ユネスコは、地理的配分において日本人の職員数が望ましい水準に達している数少ない国際機関です。パリのユネスコ本部や世界各国にあるユネスコの地域事務所では49名の邦人職員(2016年末時点。)が活躍し、ユネスコの活動を支えています。

問8 日本への留学生に関し、外務省はどのようなことをしていますか。

 外務省では、在外公館を通じた留学広報、大使館推薦国費留学生の募集・選考や、帰国留学生会の活動支援等を実施しています。今後とも、日本と諸外国との相互理解・友好親善の促進(親日家・知日家の育成)、途上国の将来を担う人材の育成といった観点から、留学広報や帰国留学生のフォローアップに努めていきます。

問9 日本に留学するための情報はどこで手に入りますか。

 独立行政法人日本学生支援機構が運営する政府公認の「日本留学情報サイト別ウィンドウで開く」で基本的な情報が手に入ります。また、各国にある日本大使館・総領事館でも日本留学に関する各種照会に応じています。

問10 海外における日本語教育に対し、外務省はどのような支援を行っているのでしょうか。

 海外における日本語教育は、日本との交流の担い手を育てるものであり、日本理解を深め、諸外国との友好関係の基盤をつくるものとして重要です。海外では137の国と地域において、約366万人が日本語を学習しています(平成27年国際交流基金調べ)。日本語学習の目的も多様化し、就職・留学のような実利志向の強い目的だけでなく、異文化理解やアニメ・マンガなどポップカルチャーへの関心を動機とする学習者が増えています。
 外務省は、国際交流基金別ウィンドウで開くを通じて、日本語専門家の海外派遣、海外の日本語教師及び学習者の訪日研修、日本語教育機関に対する助成支援、日本語教材の開発等を行っているほか、各国にある在外公館においては日本語弁論大会を開催する等、日本語の普及に努めています。また、海外の73か国と地域、228都市で日本語能力試験を実施(平成28年は約50万人が受験)しているほか、日本語教育用の映像教材やeラーニング教材を開発し、日本語を学びたい海外の人々に学習の機会を提供しています。
 さらに、外務省は、海外で日本語の普及を効果的に行うため、各国・地域で日本語教育の中核を担う大学等を「JFにほんごネットワーク(通称:さくらネットワーク)」のメンバーに認定し、日本語普及活動の支援を行っています。

問11 JETプログラムとはどのような事業ですか。

 正式には「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)と呼ばれ、外国青年が日本全国の学校等で外国語を教えたり、各自治体における国際交流活動に従事することを通じて、日本と諸外国との相互理解を促進することを目的とした事業です。詳しくはJETプログラムのホームページをご参照ください。

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