ガーナ全10州のうち3州が対象となった「ガーナ母子保健医療サービス向上計画プロジェクト」。1997~2002年の5年間にわたり実施され、その後継プロジェクトが2002~2003年の予定で日本政府に要請されました。プロジェクトの具体的な内容は、保健師・看護師・助産師の現職研修システムの充実と管理で、現職に就いてから1年次、3年次、5年次といった階層別研修を徹底し“誰が、いつ、どんな研修を、どこで受けたか”という研修履歴データを蓄積することです。そのデータを活用して効率よく適材適所で保健医療関連人材を起用することが最大の目的で、「現職者研修のセミナーのプランニングと指導」および「膨大な研修履歴データを集積・管理するシステムソフトの開発」が日本の協力で実現し、実際にデータ管理・活用するのはガーナ保健省人材局になります。
現職の保健師・看護師・助産師、一人一人のスキルや技能レベル、向上状況などが一目瞭然で、緊急を要する医療サービスの向上に即応できる体制が、ケニア、タンザニア、セネガル、ナミビア、ガンビアなどからも注目されています。プロジェクト延長によって、対象が3州から全10州に広がり、さらに研修システム自体の改善も順調です。年次ごとのコース研修内容を再検討・整備し、研修報告書の徹底で研修者のフィードバックを重視、さらに研修履歴の管理は受け身でなく、研修者自身も管理できるよう、自己記入式の「自己管理研修システム手帳」の配布も実践しました。これは、研修者自身の自覚と意欲につながり好評を得ているようです。研修報告の提出率は回を重ねるごとにアップし、現場トレーニングとセミナートレーニングとのバランスを見直したり、再訓練計画の点検など、研修内容の改善に一役買っています。
|
|
数字で評価しにくく、目に見える形にもなりにくい、訓練研修システムとデータベース管理活用システムですが、プロジェクトの実施延長の要請を受けて成果が認知されたことは、実際、現職者たちの現場で評価され、ガーナの保健医療システムの構築に重要な役割を果たしている証拠と言えるでしょう。
|