数字で見る日本の対アフリカ協力
アフリカを理解するための用語解説

アフリカ開発のための
新パートナーシップ NEPAD
 国際社会の援助に従属するのではなく、アフリカ自身の責任においてアフリカにおける貧困撲滅、持続可能な成長と開発、世界経済への統合を目指す。アフリカの自助努力をサポートする形で、国際社会がアフリカ支援のための連携を強化することを提示。
 2001年7月のアフリカ統一機構(OAU)首脳会議にて採択された、アフリカ自身によるアフリカ開発のためのイニシアチブ(2001年7月に「新アフリカ・イニシアティブ(NAI)」として採択され、2001年10月にNEPADに改称)。NEPADの実施委員会、運営委員会、事務局を設置して活動を活発化している。

アフリカ連合 AU
 2002年7月、南アフリカのダーバンで開催されたOAU首脳会議において、1963年発足のアフリカ統一機構(OAU)が発展的に解消する形でAUに移行。本部は、エチオピアのアディスアベバに設置。EU(欧州連合)をモデルに、最高意思決定機関の首脳会議、閣僚執行理事会、AUを対外的に代表する委員会が設置されているほか、今後、全アフリカ議会、平和・安全保障理事会等の設立を目指す。
 53か国、地域が加盟、総人口約8億人にのぼる巨大国家連合だが、紛争予防・解決、経済社会問題等解決が急がれる課題は山積している。

オーナーシップとパートナーシップ
 アフリカ諸国民が、自らアフリカ開発の主役であることの自覚を意味する「オーナーシップ」は、アフリカの自助努力のうえに成り立つ精神であり、また「パートナーシップ」は、このようなアフリカの自立と自律を支援するため、国際社会の相互協力を高め、諸国間におけるアフリカ支援に向けた連携強化していく精神といえる。

開発援助委員会 DAC
Development Assistance Committee
 経済協力開発機構(OECD)三大委員会のうちの一つ。
 1960年に、米国の提唱により開発援助グループ(DAG)が設立され、1961年のOECD発足に伴い、右傘下の委員会の一つ(DAC)として改組された。2003年現在、先進諸国22か国と欧州委員会が加盟している(日本は、1964年のOECD加盟に先立ち、DAGに加盟)。
 援助情報の交換、政策の調整、加盟国の援助実績や政策の審査、援助額・条件に関する勧告の採択など、随時本会議を開催。「DAC議長報告」が公表されている。近年は、貧困削減の分野等において、さまざまなガイドライン等を策定している。

技術協力
 開発途上国にある海外の地域の人々に対する技術の普及やその水準の向上を目的として、技術の提供を行う経済協力の一つ。経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の分類によると、政府ベースの技術協力は政府開発援助(ODA)の二国間贈与に位置づけられている。
 わが国の政府ベースの二国間の技術協力は、国際協力事業団(JICA)が実施している。JICAが行う技術協力としては、専門家の派遣、研修員の受け入れ、技術移転に必要な機材の供与を組み合わせて行う「技術協力プロジェクト」と、途上国の社会や経済の発展に役立つ公共的な開発計画の策定を支援する「開発調査」、青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの派遣等のボランティア事業などが挙げられる。
 その他、政府間ベース以外の技術協力として、13の省庁にわたって研修員の受け入れ、専門家の派遣等の事業を行っている。

草の根無償資金協力
 開発途上国の多様な援助ニーズに応えるため、1989年度より導入された制度。開発途上国の地方政府、教育・医療機関、および途上国において活動しているNGO(非政府団体)等が現地において実施する比較的小規模なプロジェクトに対し、当該国の諸事情に精通しているわが国の在外公館が中心となって資金協力を行うもの。
 原則として一件当たり上限1,000万円と規模に限りはあるが、開発途上国の草の根レベルに直接裨益するきめ細かい援助として、各方面から高い評価を得ている。

国際協力事業団(JICA)
Japan International Cooperation Agency
 開発途上地域などの経済、社会の発展に寄与し、国際協力の促進を図るため、政府ベースの技術協力や無償資金協力の実施促進、青年海外協力隊員の派遣、移住事業など、多岐にわたる国際協力事業を一元的に実施する特殊法人として、1974年8月に発足。2003年10月に独立行政法人国際協力機構として、成果重視・効率性、透明性・説明責任、市民参加、平和構築支援を4つの改革の柱とし生まれ変わる。

サブ・サハラ・アフリカ
Sub-Saharan Africa
 アフリカ諸国のうち、サハラ砂漠以南の地域の名称。西サハラを除き、アフリカ53か国中でスーダンを含む48か国が属している。西欧諸国による植民地統治を経験した国が多く、1957年ガーナ独立を契機に、60年代に入って次々と各国が独立を果した。独立後の歩みは険しく、世界銀行が低所得国(LDC)と認める64か国のうち34か国がこの地域に集中。経済問題にとどまらず、植民地時代の影響で国境線による領土紛争、国内の民族問題など、取り組むべき問題はまだ山積している。

青年海外協力隊(JOCV)
Japan Overseas Cooperation Volunteers
 開発途上地域住民と生活を共にしつつ、当該地域の経済及び社会の発展に協力するために派遣されるボランティアで、農林水産、加工、保守操作、土木建築、保健衛生、教育文化、スポーツの分野で技術・技能を有する青年男女(20~39才)の公募により派遣される。青年海外協力隊派遣事業は国際協力事業団により実施される。
 相手国の政府関係機関等に配属され、当該機関等の一員として現地のカウンターパートとともに、原則として2年間の任期の間、協力活動を行う。1965年(昭和40年)のラオス派遣を皮切りに、累計で世界80か国へ24,718名(2003年7月末現在)の隊員を派遣した。現在は世界68か国に2,472名を派遣中であり、そのうち701名(28%)をアフリカ諸国19か国へ派遣中である。

政府開発援助 ODA
Official Development Assistance
 開発途上国の、経済や社会の発展、福祉向上、民生の安定を目指して、先進国の政府ベースですすめる経済協力の基幹となる活動のこと。
 開発援助委員会(DAC)によると
1.政府もしくは政府の実施機関によって供与される資金の流れであること
2.途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを目的とすること
3.資金協力の条件が途上国にとって重い負担とならないように、グラント・エレメント(贈与を100%とした際の援助の緩やかさを示す指標)が25%以上であることが基準になっている。

東京行動計画
 第2回アフリカ開発会議(TICAD II・1998年10月、東京)において採択。「東京宣言」に基づき、数値目標を含み、「アフリカの貧困削減と世界経済への統合」をテーマとして、アフリカと国際社会のパートナーのそれぞれの行動目標を具体的に提示した。さらに「東京行動計画」に即した370のプロジェクトを記載した「例示リスト」も作成した。

東京宣言
 第1回アフリカ開発会議(TICAD I・1993年10月、東京)において採択され、アフリカ諸国と国際社会が共同でアフリカ開発に取り組む決意を表明した宣言。アフリカの開発にはアフリカの自助努力が必要であるというオーナーシップとパートナーシップの考え方の根本を提示した他、アジア・アフリカ協力や民間セクターの活用の重要性などに言及した。

ドナー
 ドナー(「donor」)は、一般的には寄贈者、提供者を意味する。
 開発分野においては、貧困削減や経済開発が急務とされる諸国に対して、資金的・技術的支援を無償あるいは有償で提供する政府及び国際機関をドナーと呼んでいる。
 被援助国の負担軽減のためには、援助がお仕着せにならないよう、パートナーとしての被援助国側の意向を尊重し、開発に向けて連携することが重要。また効率的な成果を得るためにも、ドナー間による情報共有や連携の重要性が増しつつある。

南南協力
South-South cooperation
 開発が進行しつつある中進途上国が、自国での経験や人材、技術を活かして、後発開発途上国に対して協力する方法。TICADにおいては特に著しい成長を実現したアジア諸国の経験をアフリカに活用するアジア・アフリカ協力に重点を置いている。

ネリカ米
 病気・乾燥に強いアフリカ稲と高収量のアジア稲を交雑した、アフリカ陸稲の新しい有望品種。New Rice for Africa の略称として、ネリカ(NERICA)米と命名された。高収量、耐病性、耐雑草性に優れる、高たんぱく、収穫までの期間が短いといった特長を有し、ネリカ米の開発・普及によって深刻な飢餓問題が改善され、アフリカの食料安全保障に貢献することが期待されている。

無償資金協力
 被援助国(開発途上国)等に返済義務を課さないで資金を供与(贈与)する形態の援助を指す。資金供与の形態をとっており、わが国政府が資機材・設備などを調達してそれを供与するという現物供与の援助形態はとっていない。対象分野は、基本的には収益性が低く、借款で対応することが困難な医療・保健、衛生、水供給、初等・中等教育、農村・農業開発等の基礎生活分野(Basic Human Needs:
BHN)、環境および人造り分野。

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