世界の医療事情

ソロモン諸島

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ソロモン諸島(国際電話国番号677)

2 公館の住所・電話番号

在ソロモン日本国大使館(毎週土日休館)
住所:3rd Floor, NPF Building, Mendana Avenue, Honiara, Solomon Islands
電話:2-2953 / 2-0627(土日夜間)
ホームページ:http://www.sb.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在パプアニューギニア日本国大使館 医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 ソロモン諸島は,大洋州の島国で,メラネシアに属しています。 南緯5度~12度20分,東経155度30分~169度45分の広大な海域を占めており,日本よりも東に位置し,日本との時差は2時間です。熱帯海洋性気候のため高温多湿であり,季節は4月から11月のやや涼しく湿度の下がる貿易風期,11月から4月の雨の多いモンスーン期の2期に分かれています。

 最大の島は,ガダルカナル島(5,302平方キロ,世界第110番目の大きさの島,四国の4分の1程の大きさ)であり,首都ホニアラ市もこの島にあります。当国は,主要6島と周辺の1,000程の島々から形成されています。北西はパプアニューギニア独立国の島嶼部分(ブーゲンビル島,ニューアイルランド島等)に連続し,南東にはバヌアツやニューカレドニアがあります。太平洋プレートとオーストラリアプレートの境界である島弧帯に位置しているため,活火山も多く頻繁に地震が発生します。また,サイクロンも時折発生し,2014年のサイクロンでは,ホニアラ市内の河川が氾濫し,大きな被害をもたらしました。

 高温多湿の当地では,食品の衛生状態が悪くなりがちです。また,頻回に市内で停電が発生しますので,冷蔵品や冷凍品といえども品質が悪いことが多いので注意が必要です。ホニアラ市内には上水道が完備されていますが飲用には適しません。

 一般的にソロモン人は温和な人が多く,治安は隣国のパプアニューギニアよりもはるかに良好ですが,1999年,ガダルカナル島出身者とマライタ島出身者の間に部族抗争がおこりました。援助関係者が国外へ避難したためマラリア対策プログラムが途絶え,マラリア患者の増加をもたらしました。2006年の総選挙後にも暴動がおこりました。首相指名に華僑が介入したとして中国人排斥運動へと発展し,放火によりホニアラのチャイナタウンが炎上し壊滅しました。治安維持のために豪州・ニュージーランドなどの周辺諸国から派遣されたRAMSI(The Regional Assistance Mission to Solomon Islands ソロモン地域ミッション)と呼ばれる部隊が駐留し治安維持にあたりました。現在は,警察部門のみ駐留しています。このように過去の例から見て,選挙前後では治安が悪化する可能性があります。2015年の統計では,人口は約58万人です。平均寿命は,2015年の統計では69歳(男性;67歳 ・ 女性;70歳)であり,世界平均(71歳:男性68歳・女性73歳)と同じくらいです。幼児死亡率(出生1,000人あたりの5歳までの死亡)は,30.1です。(世界平均:45.6)

 しかし,約58万人の人口に対し医師数は200人も居らず,人口1万人当たりの医師数は2.2人であり,慢性的な医師不足の状態が続いています。(参考;日本:23人)ソロモン諸島には,医師教育機関が無いため,フィジーやパプアニューギニア,キューバなどの医学部を卒業した医師が医療を担っています。

 ソロモン諸島の医療環境は極めて脆弱で,1,000にも及ぶ有人諸島で構成されている国であるため,医療統計の信頼性が乏しいのが実情です。各州の主な都市には公立の基幹病院がありますが,いずれも第二次世界大戦後に米軍や豪軍が設立した病院を拡充しているに過ぎず,邦人が受診するには厳しい環境です。首都ホニアラのNational Referral Hospital(通称No9: 米軍駐留時の第9病院)がソロモン諸島で最高水準の病院とされていますが,同病院でさえCTやMRIなどの高度な医療機器はなく,通常の医療資材にも事欠く状況です。邦人の入院治療が必要になった場合に,入院可能な施設は現在のところ当国には皆無と言っても過言ではありません。軽症~中等症の入院の必要がない疾患の場合は,私立のクリニックで治療が可能ですが,入院を要する疾患の場合は,原則として国外で治療することになります。緊急移送には多額の費用がかかります。チャーター機を利用した場合,2,000万円程度を請求されることもありますので,ソロモン諸島を訪問される際には,事前に十分な保証額の海外旅行傷害保険に加入していることを今一度ご確認ください。

 ソロモンには,医療保険制度はありません。公立病院は無料ですが,邦人が公立病院を受診する機会は,地方でやむを得ず受診する以外に無いと思われます。ホニアラ市内には,数カ所の私立のクリニックがあり,発熱や下痢などの軽い症状の場合は,これらのクリニックを受診することになります。初診料は200~400ソロモンドル(3,000~6,000円)で,マラリアやデング熱の簡易検査も可能です。何れのクリニックも入院施設はありません。

5 かかり易い病気・怪我

(ア)マラリア

 ソロモン諸島は,マラリアの第一級汚染地域で,もっとも深刻な疾病です。国民の99%がマラリアに罹患したことがあり,国民病と言っても差し支えない状態です。歴史的には, 1970年代のWHOマラリア根絶計画(Malaria Eradication Program)がDDTの環境残留汚染問題などで頓挫したあと,ソロモン諸島のマラリア患者発生数(人口1,000人に対する年間マラリア発生数)は驚異的に跳ね上がり,300を越えてしまいました。1980年からのマラリア制圧計画(Malaria Control Program)が成果を見せ始めた頃に暴動がおこり,援助関係者が国外に退避せざるを得ませんでした。 このためマラリアの状況は再度悪化しました。その後,いろいろな取り組みが行われマラリア発生数は減少傾向となり,2013年の統計では人口1,000人当たり71です。当地への旅行の目的地や期間によっては,予防内服を行うことを考慮する必要があります。 予防薬によってはマラリア流行地に入る前から内服を開始することが必要ですので,出発4週前までには熱帯病や旅行医学に詳しい医師に相談して対策を講じてください。

 ソロモンのマラリアの約65%は悪性マラリアとも呼ばれる熱帯熱マラリアです。熱帯熱マラリアは重症化しやすく,生命にかかわる事があります。妊婦や乳児,脾臓の無い人はマラリアが重症化しやすいため十分な感染予防対策を講じてください。

 マラリアを媒介するハマダラカ(蚊)は,通常,夕刻から明け方にかけて屋内で吸血行動をとりますが,ソロモンの媒介蚊(Anopheles farauti)は,夕方屋外で吸血行動をとると言われています。夕方~日没後外出する場合は,皮膚の露出を避ける注意が必要です。蚊取り線香や防虫剤の使用,蚊帳の使用,長袖の着衣・靴下の使用など,蚊に刺されない工夫をすることが重要です。マラリアの症状は,まず悪寒・高熱ですが,頭痛や下痢といった感冒様症状で発症する事もありますので,異常を感じた場合は,早めに医療機関で血液検査を受けてください。検査が陰性の場合でも,発熱が続く場合は繰り返し血液検査を受けてください。流行地を去っても,数ヶ月後にマラリアが発症する事がありますので,帰国後に異常があれば受診時には必ずソロモン諸島に渡航したことがある旨を自ら申し出てください。

 当国においてはマラリアが歴史的に重大な病気であった背景もあり,発熱で受診した場合,かなりの確率で医師からマラリアといわれます。病院によっては,十分な検査を行うことなく投薬されるケースも見受けられます。(イ)のデング熱やチクングニア(いずれも蚊が媒介する病気)の検査体制が当地では整っていないこともありますが,マラリアの症状に類似した熱帯性疾患は多数ありますので,病院を受診される際は信頼できる医療機関を選択することが重要となります。

(イ)デング熱

  典型的な症状は,発熱,発疹,頭痛,関節の痛みなどです。日中屋外で吸血行動をする蚊が媒介するウイルス性疾患であり,都市部でよく見られます。命に係わる事は稀とされていますが,重症化する場合もあります。ワクチンはまだ実用化されていません。マラリアと誤診される症例が多かったため,その正確な症例数は把握されず,発表されていませんでしたが,診断技術の普及に伴い症例数は増加しています。2013年には,約1,500名の患者が発生し,うち8名が死亡したと報告されています。

(ウ)下痢症,食中毒,A型肝炎,腸チフス,赤痢アメーバなどの経口感染症

 汚染された食物や調理器具を介して経口的に感染します。腸チフスは,初期症状がマラリアと類似することもあります。当地では,便の培養検査や詳細な血液検査を行う医療機関がないため,確定診断ができない事が多く,症状が激烈な場合は,診断せずに,まず投薬治療を行うこともあります。体重が減少するほどの下痢,発熱を伴う下痢,血液を混じた下痢などの症状は,重篤な疾病である可能性がありますので,躊躇することなく医療機関を受診してください。これらの疾病は,口から入れる物に対して,常に注意を払うことで,大部分は予防可能です。当地を訪れる際には,A型肝炎,腸チフスの予防接種を受けておくことをお薦めします。

(エ)皮膚感染症

 ささいな傷から進入した細菌が繁殖し腫れ物が大きくなり,切開,排膿が必要となることがあり,当地ではボイルと呼ばれています。皮膚を清潔に保つとともに,蚊や昆虫類に刺されないようにすることが重要です。海岸近くでは小さなハエ(サンドフライ)や砂の中に存在する寄生虫(Hookworm)が存在しますので,なるべく皮膚が露出しないようにし,裸足で歩かないようにする事も重要です。

(オ)シガテラ毒素

 熱帯の珊瑚礁に生える有毒な藻を食する魚をさらに大きな肉食魚が食べることにより累積(生物濃縮)した毒素によって起こる中毒症状です。食後1~8時間後に発生し,吐き気,下痢,腹痛といった消化器症状の他,めまい,麻痺,ドライアイスセンセーションと呼ばれるドライアイスに触ったような感覚の異常などの神経症状が出現します。加熱しても解毒されませんので,現地の人が食べていないような熱帯の大型の魚を食べる事は避けるようにして下さい。

6 健康上心がける事

 当地の生活では,下の2点に気をつけることで,かなりの疾患の予防が可能になります。

(1)蚊に刺されないようにする(マラリア,デング熱,ボイルなど)。

(2)食物に注意する(A型肝炎,腸チフス,シガテラ中毒など)。

(1)の対策としては,外出時の着衣はなるべく露出部分が少ない物として下さい。女性の場合は,スカートの着用をなるべく避けてください。忌虫剤を使用する,蚊帳を使用する,網戸を整備する,室内はクーラーをかけ温度を下げる,扇風機や天井のファンを利用するなど,各自の住居環境と生活様式に合わせた防蚊対策を施されることが重要です。

(2)の対策としては,十分加熱処理したものを食し,生水や氷の摂取は避けてください。葉物野菜などは十分水道水で洗浄し,まな板や包丁などの調理道具の衛生状態に気をつけてください。食品の賞味期限や臭いに気をつけ,衛生状態が不良な信頼できないレストランでは,生ものの摂取を控えるなど,常に口から入れる物に対して気を配ることが大事です。また,外出後や食前の手洗いを十分に行うことも重要です。

その他

 当地は紫外線が強いため,日焼け・熱中症・脱水に注意が必要です。屋外では,十分に水分を補給するとともに,なるべく皮膚の露出を少なくするように心がけてください。また,当地は有数のダイビングスポットを有する国ですが, 国内移動が空路移動に限られており,国内に潜水病の治療施設も有していませんので,ダイビングをされる際には十分注意してください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(ア)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 破傷風・A型肝炎・B型肝炎・腸チフスの予防接種をお薦めします。

 狂犬病とコレラの報告はありません。

 黄熱流行地域からの旅行者には黄熱ワクチンの接種証明が必要です。それ以外は入国時に予防接種証明を要求されることはありません。

(イ)現地の小児定期予防接種一覧

ソロモン諸島の小児定期予防接種一覧
初回2回目3回目
BCG生直後
ポリオ(経口生ワクチン)2ヶ月4ヶ月6ヶ月
DPT(3種混合)(注1)2ヶ月4ヶ月6ヶ月
B型肝炎生直後2ヶ月4ヶ月
麻疹(はしか)9~12ヶ月
ムンプス実施されていない
風疹実施されていない

(注1)6才時に破傷風トキソイドを追加接種

(ウ)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 入学時にはワクチンの接種証明を必要とされるそうですが,日本人の入学実績が無いため,実情は不明です。

8 病気になった場合(医療機関等)

ホニアラ市

(1) 国立中央病院 (National Referral Hospital
所在地:Box 349, Honiara, Solomon Islands
(ホニアラ市,マタニコ橋東側,南太平洋大学(USP)隣,通称No,9
電話:2-3600
概要:診療時間は月~金曜日 8時30分-16時30分 。24時間体制の救急部門があります。診察料は無料ですが,プライベート診察については100ソロモンドル(1ソロモンドル=約15円)が必要です。邦人が利用できる施設環境ではありませんが,ホニアラ市内の唯一の入院施設であり,国外移送の際には受診せざるを得ません。
(2) East Medical Centre
所在地: P.O.box 1173, Honiara, Solomon Islands
(ホニアラ市, ゴルフ場そば)
電話:3-9220
概要:診療時間は月~金曜日 8時~16時30分,土曜日 8時~12時。小さなクリニックですが,医師は当地のマラリア専門家であり,日本への留学経験もあります。同医師はソロモン航空の顧問医でもあり,国外移送の際には同医師の診断書が必要となります。
(3) Honiara Private Medical Centre
所在地:Level1, Hyundai Mall, Mendana Ave., Honiara, Solomon Islands
(ホニアラ市, 中央市場・港の隣のモール;ヒュンダイモール内)
電話:2-4027
概要:診療時間は月~金曜日 8時30分-16時30分,土曜日 9時-13時。港の隣のモール1階のきれいなクリニックです。初診料は,400ソロモンドルとやや高めですが,簡単な血液検査やマラリア・デング熱の簡易診断も可能で,清潔さの面でも邦人が十分受診可能なクリニックです。状況により,ホテルへの往診も可能です。
(4) Family Medical Centre
所在地:ホニアラ市,チャイナタウン近く
電話:2-0619
概要:診療時間は月~金曜日 8時30分-16時30分,土曜日 9時-12時 。小児科医の他,内科,外科,産婦人科,眼科,歯科の専門医が施設を共同利用するシステムで診療をしています。眼科と歯科がある事が特徴です。血液検査不可,初診料300ソロモンドルです。施設内は比較的清潔で十分邦人が利用可能と思われます。
(5) Honiara International Medical Centre
所在地: Level1, Tongs Building, Maromaro. Prince Philip Highway, Honiara, Solomon Islands P.O.Box 2199
(ホニアラ市,ショッピングモールのパナティナ・プラザに隣接する建物)
電話:38-346 / 847-2739
概要:診療時間は月~金曜日 8時-17時,土曜日 8時-13時。内科,総合診療科のソロモン人医師が診療をしている外国人を対象としたクリニックです。各種血液検査,心電図の検査ができます。施設内は比較的清潔で邦人が利用可能と思われます。
(6) Natal Family Health Clinic
所在地: Goso Point. Kukum Highway, Honiara, Solomon Islands
(ホニアラ市,空港に近い郊外)
電話:27-166 / Fax: 27-177
概要:診療時間は月~金曜日 8時-17時30分。内科のソロモン人医師2人で診療をしているクリニックです。 各種血液検査ができます。施設内は比較的清潔で邦人が利用可能と思われます。

歯科

(1)Honiara Dental Center
所在地:ホニアラ市 大使館隣接ビル
電話:2-2746
診療時間:月~木曜日 8時 - 12時 / 13時 - 16時30分,金曜日 8時-12時

9 その他の詳細情報入手先

(1)在ソロモン日本国大使館 ホームページ:
http://www.sb.emb-japan.go.jp/j/別ウィンドウで開く

(2)厚生労働省検疫所 ホームページ:
http://www.forth.go.jp/destinations/country/melanesia.html別ウィンドウで開く

(3)米国疾病管理センター(CDC)のソロモン諸島に関するホームページ(英文)
http://wwwnc.cdc.gov/travel/destinations/traveler/none/solomon-islands別ウィンドウで開く

(4)世界保健機構(WHO)のソロモン諸島に関するページ(英文)
http://www.who.int/countries/slb/en/別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 ソロモン諸島は旧英国植民地で,公用語は英語ですので, 大部分の医療機関で英語による受診が可能です。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語)を参照ください。


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