在外公館医務官情報

ソロモン諸島

2008年8月

1.国名・都市名

 ソロモン諸島(首都ホニアラ)(国際電話国番号677)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 ソロモン諸島は大洋州の島国でメラネシアに属しています。南緯5度〜12度20分、東経155度30分〜169度45分の広大な海域を占めており、日本よりも東に位置し、時差は2時間です。
 熱帯海洋性気候で高温多湿です。季節は4月から11月の、やや涼しく湿度の下がる貿易風期、11月から4月の雨の多いモンスーン期の2期に分かれています。
 最大の島はガダルカナル島(5302平方キロ、世界第110番目の大きさの島、四国の4分の1程の大きさ)で、首都ホニアラ市もこの島にあります。主要6島と周辺の1000程の島々から形成されています。北西はパプアニューギニア独立国の島嶼部分(ブーゲンビル島、ニューアイルランド島等)に連続し、南東にはバヌアツやニューカレドニアがあります。太平洋プレートとオーストラリアプレートの境界の島弧帯に位置しているため頻繁に地震が発生します。2007年の地震による津波は、観光地として豪州人に人気の高いギゾ島に大きな被害をあたえました。
 一般的にソロモン人は温和な人が多く、治安はPNGよりもはるかに良好ですが、時に爆発的な暴動が起こります。1999年、ガダルカナル島出身者とマライタ島出身者の間に部族抗争がおこりました。援助関係者が国外へ避難したためマラリア対策プログラムが途絶え、マラリア患者の増加をもたらしました。2006年の総選挙後にも暴動がおこりました。首相指名に華僑が介入したとして中国人排斥運動へと発展し、放火によりホニアラのチャイナタウンが炎上、壊滅しました。現在も、治安維持のために豪州・ニュージーランドなどの周辺諸国から派遣されたRAMSI(The Regional Assistance Mission to Solomon Islands ソロモン地域ミッション)と呼ばれる部隊が駐留しています。

 ソロモン諸島の保健・衛生関係の指標は良くなってきています。平均寿命は、ここ10年ほどで目覚しく伸びており2006年の統計では男子68才、女子72才です。
 5才未満乳児死亡率(1000出生のうち5才までに死亡する推定人数)も1992年の43から、29に低下しています。(日本は4)
 しかし、47万8000人の人口に対し、医師数は80人前後で、人口当たりの医師数は、日本の十五分の一ほどにしかなりません。ソロモン諸島には医師教育機関はありません。
 ホニアラの National Referral Hospital がソロモン諸島で最高水準の病院ですが、CTやMRIなどの高度な医療機器はありません。各州には公立の基幹病院が配置されていますが、個室もなく、日本人の利用には難しい状況です。
 ソロモンで治療を受けても大丈夫な疾患は、全身状態の冒されていない程度のマラリア・腸炎、局所麻酔で済む簡単な外科処置(縫合・切開・排膿)などに限定され、入院が必要な疾患は豪州で治療したほうが良いと思います。緊急移送には多額の費用がかかります。チャーター機を利用した場合、2000万円程度を請求されます。ソロモン諸島を訪問される際には、十分な保証額の旅行傷害保険に加入して下さい。

5.かかり易い病気・怪我

(1)マラリア:ソロモン諸島はマラリアの第一級の汚染地域で、もっとも深刻な疾病です。1970年代のWHOマラリア根絶計画( Malaria Eradication Program )がDDTの環境残留汚染問題などで頓挫したあと、ソロモン諸島のマラリア患者発生数(人口1000人に対する年間マラリア発生数)は驚異的に跳ね上がり、300を越えてしまいました。1980年からのマラリア制圧計画( Malaria Control Program )が成果を見せ始めた頃暴動がおこり、援助関係者が国外に退避せざるを得ませんでした。このためマラリアの状況は再度悪化しました。現在、マラリア発生数は減少傾向にありますが、中央部の4州(セントラル州、ガダルカナル州、マライタ州、マキラ州)ではまだ100を越えています。その他の州では50を切るところもでてきました。ホニアラ市には日本の援助で『医学研修研究センター』が設置されており、マラリア対策に積極的に活動しています。
 ソロモン諸島のマラリアは、クロロキンに対する薬剤耐性の増加とともに予防薬選択が難しくなっています。予防効果も確実ではなく、薬剤による副作用もあることから、マラリア予防薬を使用するか否か、使うとすれば何が良いかはソロモンでの滞在期間、滞在場所、渡航目的、ソロモンでの訪問先などを総合的に判断する必要があります。

(2)デング熱:少数ですがデング熱の発生も報告されています。マラリアを媒介する蚊が夜間に活動するのと異なり、デング熱を媒介する蚊は日中に活動します。蚊にさされないための注意が必要です。

(3)下痢症、食中毒、A型肝炎などの経口感染症:高温・多湿であるため、食中毒をおこしやすい環境にあります。生水や氷の摂取を控え、食物は冷蔵保存してください。A型肝炎の予防接種を受けておくことをお薦めします。

(4)皮膚感染症:皮膚の感染症が頻発し、ボイラと呼ばれています。初期治療として抗生物質の内服が有効です。また創は消毒する必要があります。抗生物質や消毒薬はホニアラ市内の薬局で購入可能です。症状が進行し、切開・排膿処置が必要となることもあります。感染部位が自壊し治療に長期を必要とすることもあります。

(5)性感染症:HIV/AIDSはまだ社会的問題とはなっていません。統計も充分ではありません。ほかの太平洋諸国の状況をみると蔓延している可能性を否定できません。

6.健康上心がける事

 マラリアやデング熱の予防のためには蚊に刺されないように工夫することが初歩的かつ最も大切なことです。防虫剤の使用、長袖のシャツと靴下の着用、蚊帳の使用、蚊取り線香の使用を推奨しています。
 日差しが強いので、日焼けに注意してください。
 脱水・熱中症に注意し充分に水分を補給してください。ただし生水を飲むことは避けて下さい。氷も避けた方が無難です。

7.予防接種

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 破傷風・A型肝炎・B型肝炎の予防接種をお薦めします。
 狂犬病とコレラの報告はありません。日本脳炎に関しては不明です。
 黄熱病流行地域からの旅行者には黄熱病ワクチンの接種証明が必要です。それ以外は入国時に予防接種証明を要求されることはありません。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目
BCG 生直後    
ポリオ(経口生ワクチン) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月
DPT  2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月
B型肝炎 生直後 2ヶ月 4ヶ月
はしか 9ヶ月    

2008年からDTwPHibHepの5種混合に変更する予定
 6才時に破傷風トキソイドを追加接種

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 入学時にはワクチンの接種証明を必要とされるそうですが、日本人の入学実績が無いため、実情は不明です。

8.病気になった場合(医療機関等)

◎ホニアラ市

(1)National Referral Hospital 電話:23600

 24時間体制の救急部門があります。診察料は基本的に無料ですが、プライベート診察については100ソロモンドル(1ソロモンドル=17円)が必要です。

9.その他の詳細情報入手先

 WHOのホームページで「International Travel & Health」の最新の2008年版が公開されています:http://www.who.int/ith/en/ 他のサイトヘ

 米国のMDtravelhealth.com に、ソロモン諸島旅行に関する具体的な注意事項が書かれています:http://www.mdtravelhealth.com/destinations/oceania/solomon_islands.php 他のサイトヘ

10.一口メモ

 英国植民地だったので英語が通用します。
 部族ごとに言語が異なり、共通言語としてピジン語が使用されています。ピジン語は英語と現地語の混成語で、メラネシア地域で広く使われています。地域により多少の差異がありますが、隣国パプアニューギニア(PNG)の人々ともピジン語で会話できるようです。PNGのポートモレスビー地区とガダルカナル島・ホニアラ地区のピジン語の対比を掲載しましたのでご参照ください。

ピジン語の対比表
  ホニアラのPIDGIN語 ポートモレスビーのPIDGIN語
医師 dokta dokta / dota
飲み薬 merecin marasin / marasin
注射 nila sut
頭痛 het soa het pen / hatpan
腹痛 bele soa bel pen / belpan
下痢 bele ran pek pek wara / dirya
発熱 body hot skin hot
吐気 mi laek fo vomit filim traut
soa sua / cut
snek snake / sinek / snak
具合が悪い Mi filim siki. Mi fil sik. / Me pilim sick.
病院へ連れて行って Plis tekem mi long hospitol. Plis karim mi haus sik.
蛇に咬まれた Snek baetem mi. Sinek kaikaim mi.
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