在外公館医務官情報

パプアニューギニア独立国

2010年10月

1.国名・都市名

 パプアニューギニア独立国(首都ポートモレスビー,ラバウル)(国際電話国番号675)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

 パプアニューギニア(以下PNG)は大洋州の島国でニューギニア島の東半分と周辺の島々から形成されています。ニューギニア島はグリーンランドに次ぐ、世界で2番目に大きい島で、赤道の南、オーストラリア大陸の北に位置しています。PNGにはニューギニア島のほかにも九州とほぼ同じ面積を持つニューブリテン島(世界第37位)、ブーゲンビル島(76位)、ニューアイルランド島(85位)、マヌス島などの島々があります。総面積は日本の約1.2倍で、2010年の推定人口は678万人と発表されています(WHO/DHS: Demographic and Health Survey)。

 PNGは中央高地と南岸の一部を除き高温多湿の熱帯雨林気候で1年は雨季(11~4月)とやや気温が下がる乾季(5~10月)に分かれます。年間を通じて湿度が高く細菌やカビが繁殖しやすい環境です。

 PNGの保健・衛生関係の指標は太平洋諸国中でも低位に留まっています。平均寿命は1970年40才、1980年50才でした。2008年の統計では61才です(UNICEF)。

 5才未満乳児死亡率(1000出生のうち5才までに死亡する推定人数)は1970年の134から1980年には72へと減少しましたが、2008年の統計では68で(UNICEF)、さほど改善していません。(ちなみに日本は4)

 南太平洋地域にはPNGとフィジーに医師養成機関があります。PNGのパプアニューギニア大学医学部は毎年50人の医師を養成しています。大学の付属病院も兼ねているポートモレスビー・ジェネラル・ホスピタルがPNGで最高水準の病院ですが、CTやMRIなどの高度な医療機器は設置されていません。

 PNG国内の総医師数は333人で(DHS 2006)、治安の悪さと低賃金を嫌い、英連邦内、ことに豪州に移住する医師が多いようです。人口当たりの医師数は、日本の六十分の一ほどにすぎません。

5.かかり易い病気・怪我

(1)マラリア: PNGはマラリアの流行地域です。標高2000メートル以上の山岳地帯を除き、1年中マラリアに感染する可能性があります。医療機関受診者の約三分の一がマラリアで、当地での死亡原因として肺炎に次ぐ第二位を占めています。

 首都ポートモレスビーでの滞在や、地方でもリゾートホテルを利用する場合、マラリア感染のリスクはさほど高くないため、予防内服は必要がないと考えられます。しかし旅行の目的地や種類によっては予防内服を行ったほうが良い場合があります。予防薬によってはマラリア流行地に入る前から内服を開始する必要がありますので、出発前に熱帯病や旅行医学に詳しい医師に相談してください。マラリアに対するワクチンはまだありません。

 PNGのマラリアの四分の三は悪性マラリアとも呼ばれる熱帯熱マラリアです。熱帯熱マラリアは重症化しやすく、生命にかかわる事があります。妊婦や乳児、脾臓の無い人はマラリアが重症化しやすいためPNGへの旅行は避けるべきです。

 マラリアを媒介する蚊は通常夜間に吸血行動をとりますので、日没後外出する場合は、皮膚の露出を避ける注意が必要です。蚊取り線香や防虫剤の使用、蚊帳の使用、長袖の着衣・靴下の使用など、蚊に刺されない工夫をすることが重要です。マラリアの症状は、まず悪寒・発熱ですが、頭痛や下痢で発症する事もありますので異常を感じた場合は、早めに血液検査を受けて下さい。検査が陰性の場合でも発熱が続く場合は繰り返し血液検査を受けてください。流行地を去っても、3ヶ月まではマラリアが発症する事がありますので、帰国後、異常があればPNGを訪問した旨を申し出てください。

(2)デング熱:デング熱の発生も報告されています。典型的な症状は、発熱、発疹、頭痛、関節の痛みです。蚊が媒介するウイルス病で、都市部でも少なくありません。命に係わる事は稀とされていますが重症化する場合もあります。ワクチンはまだ実用化されていません。マラリアと誤診される事もあります。

(3)A型肝炎:ウイルスが原因の経口感染症です。典型的な症状は、倦怠感、食欲不振、黄疸などで、劇症化し致命的となる事もあります。旅行前にワクチンを接種しておく事をお勧めします。

(4)コレラ:コレラ菌(Vibrio cholerae)に汚染された水、氷、食品などを経口摂取することによって起こる下痢を主症状とする病気です。潜伏期間は数時間から5日で、その後、下痢や嘔吐などの症状が見られます。腹痛や発熱はほとんどみられません。コレラでみられる下痢は軽い場合もあれば思い場合もありますが、重い下痢の場合は多量の水のような下痢(米のとぎ汁様)となり、脱水症状を起こして死亡する例もあります。

 治療としては、水と電解質の損失を補給するために、軽症の場合は経口補液(ORS)、重症の場合は入院して静脈内輸液及び抗菌剤を投与します。予防としてワクチンもありますが、効果は低く50%程度とされ、予防期間も6ヶ月以上は持続しません。

(5)腸チフス:汚染された飲食物から感染する細菌感染症です。症状は高熱、頭痛、下痢、便秘などで、抗生物質で治療する必要があります。治療開始が遅れ腸穿孔を起こすと致命的です。日本では未認可ですがチフスに対する経口及び注射による予防接種が利用可能です。

 高温・多湿であるため、チフス以外の病原体でも食中毒をおこしやすい環境にあります。生水や氷の摂取は控え、食物は冷蔵庫に保存してください。

(6)外傷:「ラスカル」と呼ばれる武装強盗集団による被害が多発しています。殴打されたり、ブッシュナイフなどの刃物で切りつけられたり、銃撃されることもあります。

 また街中には野良犬が多いため、噛まれ、受傷することもあります。

(7)皮膚感染症:当地では皮膚の細菌性感染症が頻発し、ボイルと呼ばれています。ささいな腫れ物が大きくなり、切開が必要となることがあります。治るまでに長期間かかることもあります。

(8)性感染症:HIV/AIDSの蔓延が危惧される状態です。正確な統計はまだ得られていませんが人口の2%ほどの感染者がいると推定され、増加傾向にあります。このまま推移すると深刻な状態になることが懸念されており、撲滅キャンペーンが行われています。

6.健康上心がける事

 生水は避けて下さい。氷も避けた方が無難です。

 日差しが強いので、脱水・熱中症に注意し充分に水分を補給してください。

 治安が悪いため、街中での行動が制限されます。スポーツ等で気分転換をしたほうがよいと思いますが、登山では高山病、ダイビングでは潜水病に注意してください。

 毒蛇よる被害が発生しています。山間部では特に注意が必要です。毒蛇に噛まれた場合は抗血清による治療を受ける必要があります。病院へ至急搬送してもらってください。

 毒を持った海蛇やクラゲもいますので注意が必要です。

7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)PDF

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 破傷風・A型肝炎・B型肝炎は多いので、予防接種をお薦めします。

 症例数は少ないものの日本脳炎の報告があります。

 狂犬病の報告はありません。

 黄熱病流行地域からの旅行者には黄熱病ワクチンの接種証明が必要です。それ以外は入国時に予防接種証明を要求されることはありません。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目
BCG 生直後      
ポリオ(経口生ワクチン) 生直後 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月
DPTHibHep 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月  
はしか 6ヶ月 9ヶ月    

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 当地のインターナショナルスクールに入学するにあたり、ワクチン接種証明書を要求されたことはありません。

8.乳児検診

 ワクチン接種時に無料で乳児健診が行われています。

 保健省は生後1才まで毎月乳児健診を受診することを薦めています。

9.病気になった場合(医療機関等)

 各州には公立の基幹病院が配置されていますが、外来は非常に混み合っています。病室は数十人が一部屋に収容されています。先進国とはプライバシーの概念が異なるため公立病院を日本人が利用することは難しいと思います。

 重症の疾患は豪州に移送のうえ治療するべきです。緊急移送には多額の費用がかかりますので、PNGを訪問される際には、旅行傷害保険に充分な保証額で加入しておいて下さい。

 潜水病の治療に用いる再加圧チャンバーはポートモレスビーに1台のみ設置されていますが、多額の費用がかかります。

◎ポートモレスビー市

(1) Pacific International Hospital

所在地:Boroko地区4 Mileのバス停横 電話:323-4400

 首都ポートモレスビー市にある外国人の利用に適した唯一の病院です。国内唯一のCTが稼動しています。インド・パキスタン系の医師を中心に運営されています。50床ほどの小規模な私立病院で、24時間救急にも対応しています。病室は比較的きれいで、邦人の入院実績もあり、病状が重篤でなければ入院治療は可能です。クレジットカードでの支払いが可能ですが、入院に際しては現金(現地通貨1500キナ、6万円程度)でのデポジットを要求されます。全身麻酔での手術も可能ですが、輸血はPNGでは避けるべきです。

○ラバウル(東ニューブリテン島北部)

(1) St. Mary's Hospital(Vunapope Health Centre)

所在地:ココポ 電話:982-8138

 ドイツ人医師が運営するミッション系の病院です。内科、外科、小児科を中心とした中規模病院で、X線撮影や血液検査も可能です。院内は良く整理され清潔感があり、在留邦人の入院事例があります。

10. その他の詳細情報入手先

 WHOのホームページで「 International Travel & Health 」の最新版が公開されており、無料でダウンロードできます。:http://www.who.int/ith/en/他のサイトヘ

 MDtravelhealth.comに、PNG旅行に関する具体的な注意事項が書かれています。米国と日本とは医療に関する考え方に違いがあり、全てを肯定できるわけではありませんが参考にしてください。http://www.mdtravelhealth.com/destinations/oceania/papua_new_guinea.php他のサイトヘ

 PNG大使館のホームページはまだ開設しておりません。

 健康上の問題で、お困りの時は以下にご連絡ください。

 大使館代表:電話 +675-321-1800、ファックス +675-320-0972

 医務官室直通:電話 +675-322-1508

11.現地語一口メモ

 PNGは旧英国植民地で豪州に統治された期間が長く、英語が公用語です。800もの部族が異なる言語を使用しており、共通言語として、英語を基本とするピジン語が話されています。

 ピジン語はソロモン諸島でも使われています。ソロモン諸島の『現地語一口メモ』の欄にポートモレスビー地区とガダルカナル島・ホニアラ地区のピジン語の対比を掲載しましたのでご参照ください。

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