2010年10月
ミクロネシア連邦(首都コロニア)(国際電話国番号691)
(1)地誌:ミクロネシア連邦は、赤道よりやや北に位置し、北緯0〜約10度、東経約140〜約170度の間に点在する、607の環礁と島からなっております。
ミクロネシアは東からコスラエ州、 ポンペイ州、 チューク州、 ヤップ州の4つの州からなります。
(2)人口:約13万人です。
(3)気候:いずれの州も海洋性熱帯気候です。首都パリキールのあるポンペイ州は、 年間平均気温が27度Cで、年間を通じほぼ一定です。年間平均湿度は80%と多湿です。乾季は1月〜3月、雨季は4月〜12月です。
(4)医療水準:劣悪です。自国に医師の養成機関はなく、パプア・ニューギニアまたはフィジーの大学に留学して帰ってきた医師またはフィリピンなどからの出稼ぎの医師らで診療が行われております。検査機器・治療施設も非常に限られており、医師も少なく、軽症以外はグアム・フィリピンなどにて治療を受けることになります。
(5)医療制度:公的保険制度あり。公的保険に加入していれば、医療費は基本的に無料です。しかし、検査・治療によっては有料になります。他に、フィリピン人の経営する私立病院や少数のクリニックがあり、有料です。
(6)海外旅行傷害保険など:ミクロネシアでは非常に限られた診療しか受けることは出来ませんので、中等度以上の病気(日本の診療所レベルで対応できる程度以上)では、近くの先進国に行くしかありません。(一番近いのは、グアムです。)先進国への航空賃・先進国での医療費の高さを考えると、万一の場合に備えて、十分な額の海外旅行傷害保険などに加入して来てください。
(1)消化器感染症:飲料水や十分に火の通っていない食事などが原因で、細菌性の消化器疾患(腸チフスや赤痢など)やウイルス感染性胃腸炎など、所謂旅行者下痢症やA型肝炎に罹ることがあります。アメーバ赤痢も見られます。 細菌性の消化器疾患には抗生物質・抗菌剤を使用します。ウイルス性の疾患には対症療法しかありません。アメーバ赤痢の治療にはフラジールという薬を使用します。
(2)デング熱:デング熱のウイルスを持つネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることによって発症します。潜伏期間は約1週間で、インフルエンザ様の症状(頭痛、高熱、関節・筋肉痛)に加えて赤い皮疹が出ます。重症化(デング出血熱:全身から出血し易くなります)することがありますので、必ず病院等を受診して下さい。治療は対症療法のみです。
(3)結膜炎:汚れた手で目を触ったりしていると結膜炎に罹りやすくなります。 治療には抗生物質(内服薬・点眼薬)を使います。
(4)中耳炎・外耳炎:耳の痛みや耳からの分泌物が増えたり耳が聞こえにくくなったりします。中耳炎に関しては、治療が遅れると聴力が回復しないことがありますから、気を付けて下さい。治療には抗生物質(内服薬・点耳薬)を使います。
(5)皮膚感染症:高温多湿なため、湿疹や真菌症(カンジダや糸状菌など)を起こし易く、湿疹や虫刺され部分を掻いて細菌感染を合併し、皮下膿瘍が出来易い環境にあります。治療は切開して排膿し、抗生物質(内服薬・外用薬)を使います。
(6)こむらがえり:高温多湿で水分や電解質のバランスが崩れるために「こむらがえり」を起こす人が多いようです。水分・電解質をスポーツ飲料などで、 意識して多めに摂取するようにして下さい。
(7)犬咬傷:犬が放し飼いになっており、しばしば犬に噛まれるということが起こっております。現在のところ、ミクロネシアでは狂犬病の心配はありませんが、破傷風を発症する恐れはありますので、不用意に犬には近寄らないようにして下さい。破傷風の予防注射を受けておいて下さい。万一、犬に噛まれましたら、破傷風トキソイドの追加接種をすぐに受けて下さい。時には、破傷風免疫ヒトグロブリンの接種も必要となります。
(8)シガテラ中毒:珊瑚に共生している海藻に付くプランクトンの一種が作るシガトキシンなどの毒が食物連鎖で魚の肉や内臓に蓄積し、それを食べた人に起きる中毒です。このプランクトンは、珊瑚が死滅した後に大量に発生することが知られておりますので、海が荒れて珊瑚礁が破壊される雨季に多く発生します。症状は神経症状、胃腸症状、関節・筋肉痛や痒みなどです。死亡率は低いのですが、「ドライアイス・センセーション」と呼ばれる神経症状(冷たいものに触ったり、冷たいものを飲んだりすると感電したような痛みを感じます)に数ヶ月に渡り苦しめられることがあります。この毒素は加熱処理でも分解されません。治療も対症療法しかありません。
(9)結核:肺結核の感染者数が増加傾向にあります。
(10)ツツガムシ病:野原や山に入り、ダニに噛まれることにより発症します。ダニに噛まれたことがはっきりしないと診断に苦労します。高熱・発疹・リンパ節腫大・肝機能障害などを起こします。治療が遅れると死に至ることもあります。不用意に野原や山に入らないでください。入るときは、肌を露出しないようにしてください。帰ってきたら、ダニに噛まれた痕がないか調べてください。テトラサイクリン系の抗生物質が効きます。
(1)飲料水には、水道水を煮沸したものか、ミネラルウォーターを利用して下さい。
ミネラルウォーターの方が良いです。
(2)高温多湿の気候なので、食べ物の管理には十分注意して下さい。
(3)気温が高く発汗しやすい気候なので、脱水症状には十分気を付け、水分や電解質をスポーツドリンク等で補給して下さい。
(4)デング熱が流行していなくても、蚊に刺されると、刺された所が化膿し、皮下膿瘍ができ、なかなか治らないことがあります。長袖・長ズボンなどを着用して、 素肌の露出を少なくし、虫除けスプレーなどを使用して、蚊に刺されないようにして下さい。傷が出来た時は、すぐに消毒薬等を使用して感染を防止して下さい。
(5)紫外線が非常に強いので日焼けに注意して下さい。また、目の保護のために、陽が強い時にはサングラスを着用するようにして下さい。
(6)ミクロネシア(ポンペイ)には、再圧装置がありますが、現在は操作できる技師がいないので運転を休止しております。ヤップ州以外で、潜水病が発生した場合は、グアムに搬送されます。ダイビングは十分に注意して、無理せず、お楽しみ下さい。
成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風など。
小児:就学に必要なワクチン(3)参照。
| ワクチン名 | 回数 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| BCG | 2 | 出生時 | 小学校入学前 | |||
| ポリオ ※1 | 5 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 12ヶ月 | 4〜6歳 |
| DPT ※2 | 5 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 12ヶ月 | 4〜6歳 |
| MMR ※3 | 2 | 12ヶ月 | 1回目の30日後 | |||
| B型肝炎 | 3 | 出生時 | 2ヶ月 | 6ヶ月 | ||
| ロタ・ウイルス | 3 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | ||
| インフルエンザb菌 | 4 | 2ヶ月 | 4ヶ月 | 6ヶ月 | 12ヶ月 |
※1:ポリオは経口生ワクチン(日本は2回のみ)
※2:DPT(3種混合:ジフテリア・百日咳・破傷風)
※3:MMR(新3種混合:麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)
Immunization Record (通称、イエローカード)の提出が必要です。
内容は、DPT5回、ポリオ5回、B型肝炎3回、MMR2回です。
<なお、当国にはワクチン接種による副作用に対する補償制度はありませんので、ワクチン接種は本邦で全て済ませられる方が賢明です。>
Public Health で施行されております。健診は無料です。
生後2週間、その後は最後の予防接種終了(4〜6才)まで毎月です。
4州全てに州立病院がありますが、慢性的に医師が不足しており、かつ診断・治療の為の諸施設・器具・薬などが不十分ですので、日本の診療所レベルで対応可能な位の簡単な治療以外は、先進国に移動し、治療を受けられる必要があります。救急車を呼ぶ場合は、ポンペイ州の場合320−2213で有料です。離島にいる場合も必要性に応じてボートで病院まで運んでくれます。
住所: Kolonia, Pohnpei State 96941
電話:320−2215
住所:Kolonia, Pohnpei State 96941
電話:320−2525
住所:Weno, Chuuk State 96942
電話:330−2214(320−2216)
住所:Colonia, Yap State 96943
電話:350−3444
住所:Tofol, Kosrae State 96944
電話:370−3199(370−3200)
ミクロネシア、特にチューク州はダイバーに人気があり、年間を通じてたくさんのダイバーが訪れます。しかしヤップ州以外には再圧治療する所がなく、重症潜水病ではグアムなどに移送されます。
在ミクロネシア日本国大使館 http://www.micronesia.emb-japan.go.jp/index_j.html![]()
ミクロネシアでは各州それぞれ特有の言語と英語が話され、病院では英語が通じます。