在外公館医務官情報

マーシャル

2010年10月

1.国名・都市名

 マーシャル諸島共和国(マジュロ)(国際電話国番号692)

2.公館の住所・電話番号

3.医務官駐在公館

4.衛生・医療事情一般

(1)地誌:マーシャル諸島共和国は、赤道よりやや北に位置し、北緯4〜14度、東経160〜173度に広がる、約1,225の珊瑚島からなっております。

(2)人口:約6万人です。

(3)気候:海洋性熱帯気候です。平均気温は27度Cで、年間を通じほぼ一定です。 乾季は12月〜4月、雨季は10月〜11月です。降雨量は少なく、雨季で月平均約300ミリメートル、乾季は200ミリメートル未満です。

(4)医療水準:日本の診療所と小病院の中間位のレベルの医療施設です。自国に医師の養成機関はなく、パプア・ニューギニアまたはフィジーの大学に留学して帰ってきた医師またはフィリピンなどからの出稼ぎの医師らで診療が行われております。検査機器・治療施設も非常に限られており、医師も少なく、軽症以外はハワイ・グアム・フィリピンにて治療を受けることになります。

(5)医療制度:公的病院では、初診料としてUS15$を支払い、他は検査・治療に応じて、支払うことになります。

(6)海外旅行傷害保険など:マーシャルでは非常に限られた診療しか受けることは出来ませんので、中等度以上の病気(日本の診療所レベルで対応できる程度以上)では、近くの先進国に行くしかありません。(一番近いのは、ホノルルです。)先進国への航空賃・先進国での医療費の高さを考えると、万一の場合に備えて、十分な額の海外旅行傷害保険などに加入して来てください。

5.かかり易い病気・怪我

(1)消化器感染症:飲料水や十分に火の通っていない食事などが原因で、細菌性の消化器疾患(腸チフスや赤痢など)やウイルス感染性胃腸炎など、所謂旅行者下痢症やA型肝炎に罹ることがあります。アメーバ赤痢も見られます。 細菌性の消化器疾患には抗生物質・抗菌剤を使用します。ウイルス性の疾患には対症療法しかありません。アメーバ赤痢の治療にはフラジールという薬を使用します。

(2)デング熱:デング熱のウイルスを持つネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることによって発症します。潜伏期間は約1週間で、インフルエンザ様の症状(頭痛、高熱、関節・筋肉痛)に加えて赤い皮疹が出ます。重症化(デング出血熱:全身から出血し易くなります)することがありますので、必ず病院等を受診して下さい。治療は対症療法のみです。

(3)結膜炎:汚れた手で目を触ったりしていると結膜炎に罹りやすくなります。 治療には抗生物質(内服薬・点眼薬)を使います。

(4)中耳炎・外耳炎:耳の痛みや耳からの分泌物が増えたり耳が聞こえにくくなったりします。中耳炎に関しては、治療が遅れると聴力が回復しないことがありますから、気を付けて下さい。治療には抗生物質(内服薬・点耳薬)を使います。

(5)皮膚感染症:高温多湿なため、湿疹や真菌症(カンジダや糸状菌など)を起こし易く、湿疹や虫刺され部分を掻いて細菌感染を合併し、皮下膿瘍が出来易い環境にあります。治療は切開して排膿し、抗生物質(内服薬・外用薬)を使います。

(6)こむらがえり:高温多湿で水分や電解質のバランスが崩れるために「こむらがえり」を起こす人が多いようです。水分・電解質をスポーツ飲料などで、意識して多めに摂取するようにして下さい。

(7)犬咬傷:犬が放し飼いになっており、しばしば犬に噛まれるということが起こっております。現在のところ、マーシャルでは狂犬病の心配はありませんが、破傷風を発症する恐れはありますので、不用意に犬には近寄らないようにして下さい。破傷風の予防注射を受けておいて下さい。万一、犬に噛まれましたら、破傷風トキソイドの追加接種をすぐに受けて下さい。時には、破傷風免疫ヒトグロブリンの接種も必要となります。

(8)シガテラ中毒:珊瑚に共生している海藻に付くプランクトンの一種が作るシガトキシンなどの毒が食物連鎖で魚の肉や内臓に蓄積し、それを食べた人に起きる中毒です。このプランクトンは、珊瑚が死滅した後に大量に発生することが知られておりますので、海が荒れて珊瑚礁が破壊される雨季に多く発生します。症状は神経症状、胃腸症状、関節・筋肉痛や痒みなどです。死亡率は低いのですが、「ドライアイス・センセーション」と呼ばれる神経症状(冷たいものに触ったり、冷たいものを飲んだりすると感電したような痛みを感じます)に数ヶ月に渡り苦しめられることがあります。この毒素は加熱処理でも分解されません。治療も対症療法しかありません。

(9)エイズその他の感染症:エイズ、肺結核の感染者数が増加傾向にあります。

6.健康上心がける事

(1)飲料水には、水道水を煮沸したものか、ミネラルウォーターを利用して下さい。
  水道水は、海水を淡水化した物です。質は良くありませんので、飲料水はミネラルウォーターの方が良いです。

(2)高温多湿の気候なので、食べ物の管理には十分注意して下さい。

(3)気温が高く発汗しやすい気候なので、脱水症状には十分気を付け、水分や電解質をスポーツドリンク等で補給して下さい。

(4)デング熱が流行していなくても、蚊に刺されると、刺された所が化膿し、皮下膿瘍ができ、なかなか治らないことがあります。長袖・長ズボンなどを着用して、 素肌の露出を少なくし、虫除けスプレーなどを使用して、蚊に刺されないようにして下さい。傷が出来た時は、すぐに消毒薬等を使用して感染を防止して下さい。

(5)紫外線が非常に強いので日焼けに注意して下さい。また、目の保護のために、陽が強い時にはサングラスを着用するようにして下さい。

(6)マーシャルには、再圧装置がありません。潜水病発生時は、クワジェリンの米軍基地に搬送されます。ダイビングは十分に注意して、無理せず、お楽しみ下さい。

7.予防接種

(1)赴任者に必要な予防接種(任意)

成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風など。

小児:2003年7月〜11月に掛けて同国マジュロ環礁では麻疹が大流行し、人口2万5,000余名中650余名が罹患、3名が死亡しました。これはこの国の定期予防接種が機能していなかった可能性があり、他の環礁や島を含め生後6ヶ月から40歳までの98%が追加MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)を受けました。下表の予防接種を本邦ですべて済ませてくることをお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
ワクチン名 回数 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG 1 出生時          
ポリオ ※1 4 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 4〜5歳    
DPT ※2 5 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 1歳 4〜5歳  
MMR ※3 2 6ヶ月 13ヶ月        
B型肝炎 3 出生時 2ヶ月 6ヶ月      
インフルエンザb菌 3 2ヶ月 4ヶ月 1歳      

※1:ポリオは経口生ワクチン

※2:DPT(3種混合:ジフテリア・百日咳・破傷風)

※3:MMR(新3種混合:麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 上記(2)の予防接種すべての接種証明が必要です。

<なお当国にはワクチン接種による副作用に対する補償制度はありませんので、ワクチン接種は本邦で全て済ませてこられるのが賢明です。>

8.乳児検診

 健診の為の特別な日程は組まれておりません。予防注射を受ける際に、無料で健診がなされております。場所はマジュロ病院です。

9.病気になった場合(医療機関等)

 マジュロ病院がありますが、慢性的に医師が不足しています。救急車を呼ぶ場合はマジュロの場合625−9911です。

◎首都マジュロ

Majuro Hospital

住所:Majuro, MH, 96960

電話:625−3355、625−3399

概略:マーシャルの国立病院には再圧装置がなく、潜水病発生時にはクワジェリンにある米軍基地内の米軍病院に搬送されます。
 CTや単純X線撮影装置や超音波などの機器がありますが、治療は非常に限られた範囲の物しか出来ません。医師は、フィリピン・パプアニューギニア・マーシャル・他ボランティアなどによって構成されておりますが、少人数です。専門医とは言っても、十分な人員も設備もないので、ほとんど専門的な治療は出来ません。

10.その他の詳細情報入手先

 在マーシャル日本国大使館(他のサイトヘ)

11.現地語一口メモ

 マーシャルではマーシャル語と英語が話され、病院では英語が通じます。

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