2010年10月
フィジー諸島共和国(スバ,ラウトカ,ランバサ)(国際電話国番号679)
(1)地誌:フィジーは、南緯約20度、東経・西経約180度に位置し、約330の島よりなる国です。
(2)人口:約84万人です。フィジー人が5割強、インド系の人が4割弱です。
(3)気候:熱帯性気候で、気温は最も涼しい7〜8月で、約18度C〜28度C。最も暑い1〜2月で、約23度C〜31度Cです。雨は概して暑い時期に多く降ります(雨季)。南東海上からの湿った貿易風が、中央の山にぶつかり雨を降らせるため、山間部では年間降雨量が8,000ミリメートル近くに達するところもあります。
首都スバは、ヴィティ・レヴ島の南東に位置し、年間降雨量が約3,000ミリメートルと多雨で、日本の梅雨のような気候が一年中続く高温多湿の気候です。
一方、国際空港や多くのリゾートホテルが集まるナンディ方面は、ヴィティ・レヴ島の西部にあり、年間降雨量は1,800ミリメートル以下で、比較的乾燥しています。
(4)医療水準:自国で医師や看護師を養成しているのですが、能力のある者たちは、海外に転出してしまい、慢性的に医療従事者が不足している状態です。医師数から言っても、専門医を養成するに十分ではなく、専門医のいない診療科もあります。やや高度な医療を要する時は、フィジー国内では対応出来ず、オーストラリアやニュージーランドなどの海外へ行かねばなりません。
(5)医療制度:公的医療機関では、基本的に無料で診療を受けることが出来ますが、無料であるが為に、多くの患者が集まり、雑多な環境で、長時間待たねばならなく、簡単な診療をしていただけるだけです。裕福な人々・外国人の多くは、多少医療費が掛かっても私立の医療機関を受診することが通常です。
(6)海外旅行傷害保険など:フィジー国内では、非常に限られた検査・治療しか受けられないため、近隣の医療先進国(主にニュージーランドやオーストラリア)へ行って、治療を受ける必要が出てきます。先進国の医療費は高額で、支払い保証がないと、診療を受けられない可能性があります。裕福なフィジー国民は海外で診療を受けることが出来る保険に加入されております。フィジーを訪問する時は、万一の場合に備えて十分な額の海外旅行傷害保険に加入して来て下さい。
(7)水質・食品など:水道水の水質は良いのですが、貯水場・浄水場・供給施設などに問題があり、生水を飲むことは避けるべきです。ミネラルウォーターか、水道水を煮沸して飲用してください。食品も、流通の過程で汚染されている可能性が高いので、生で食することは避けてください。野菜などをサラダで食べる場合は、流水で十分に洗うか、ミルトンなどを使用して消毒してから、食べてください。
(1)消化器感染症:飲料水・食事・空気を介して、ウイルス性感染性胃腸炎(発熱・嘔吐・下痢)や細菌性消化器伝染病(腸チフス・赤痢など:下痢・血便・腹痛・発熱など)や原虫・寄生虫(ランベル鞭毛虫・アメーバ赤痢など:下痢・腹痛など)等、年中感染する危険性があります。ウイルス感染症は脱水等の合併症を起こさないように注意していれば、大体数日で軽快します。細菌性感染症には抗生物質、原虫・寄生虫には駆虫剤などそれぞれ固有の治療薬を必要とします。
(2)感冒など呼吸器感染症:フィジーは、晴天の日の日中と夜間の気温差が、かなりあり、寝るときはタオルケット1枚でも暑い位なのに、朝方は寒さで眼が覚めます。この気温差のため、風邪を引く方が多く見られます。特に、季節の変わり目(雨季から乾季、乾季から雨季)に多い傾向が見られます。
合併症を起こさないように、身体を休めて下さい。
(3)デング熱:デング熱のウイルスを持つネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることによって発症します。数年に1度流行します。最近の大流行は1998年2月で1万人以上の患者が発生しました。2008年にも小規模の流行がありました。潜伏期間は約1週間で、インフルエンザ様の症状(頭痛、高熱、関節・筋肉痛)に加えて赤い皮疹が出ます。重症化すること(デング出血熱:全身から出血し易くなります)がありますので、 必ず病院等を受診して下さい。治療は対症療法のみです。
(4)レプトスピラ症:ネズミなどの野生動物、犬などのペット、豚・牛などの家畜(哺乳動物)の腎臓に保菌され、尿とともに排出され、淡水を汚染します。この汚染された淡水に接触することで、皮膚や粘膜を通して感染します。重症化した例では、黄疸や出血が見られ、フィジーでは毎年10人前後の方が亡くなっております。フィジーの人達は、淡水で水遊びを良くしておりますが、真似をしないで下さい。早期に、抗生物質による治療が必要です。
(5)フィラリア症:蚊によって伝搬され、リンパ系に寄生する寄生虫症です。感染するとしばらくして急性リンパ管炎(鼠径部や肘部)を起こします。局所の疼痛・腫れとともに悪寒・発熱を引き起こします。これらは約2週間で消えて無症状期に移行します。この急性症状は反復出現し、次第に慢性期(リンパ管腫・陰嚢水腫・乳び尿・象皮病)に移ります。急性期には駆虫剤が有効です。
(6)皮膚疾患:高温多湿なため、湿疹や真菌症(カンジダや糸状菌など)を起こし、さらに細菌感染を合併して、現地でboilと言われる皮下膿瘍を生じます。治療は切開して排膿し、抗生物質(内服薬・外用薬)を使います。また、陸上では、アリやムカデのような虫に噛まれて、発疹を生じることがあります。海では、動物性プランクトンに噛まれて非常に痒い発疹を生じることがあります。遊泳中に、痒いと思った時は、海からすぐに出て下さい。また、時にクラゲに刺されて、ひどい皮膚炎を起こすこともあります。これらには、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)・抗ヒスタミン剤などの内服薬や外用薬で対処します。現地の情報にご注意下さい。
(7)アレルギー性疾患:カビやダニの繁殖に適した気候であり、掃除の行き届かない空調設備を使用した密閉空間に居ることが多いため、喘息・アトピー・慢性鼻炎・結膜炎などが悪化する場合があります。
(8)シガテラ中毒:珊瑚に共生している海藻に付くプランクトンの一種が作るシガトキシンなどの毒が、食物連鎖で魚の肉や内臓に蓄積し、それを食べた人に起きる中毒です。このプランクトンは、珊瑚が死滅した後に大量に発生することが知られておりますので、海が荒れて珊瑚礁が破壊される雨季(10月〜4月)に多く発生します。症状は神経症状、胃腸症状、関節・筋肉痛や痒みなどです。死亡率は低いのですが、「ドライアイス・センセーション」と呼ばれる神経症状(冷たいものに触ったり、 冷たいものを飲んだりすると感電したような痛みを感じます)に数ヶ月に渡り苦しめられることがあります。この毒素は加熱処理でも分解されません。治療も対症療法しかありません。
(9)結膜炎:周囲に雑菌が多いためか、汚れた手で目を触ったりして細菌性結膜炎に罹りやすい傾向があります。治療には抗生物質(内服薬・点眼薬)を使います。 ウイルス性結膜炎には有効な抗生物質はありません。毎年当地の夏から冬にかけ各種結膜炎の小流行があり、2006年には急性出血性結膜炎が大流行しました。
(10)中耳炎・外耳炎:耳の痛みや耳からの分泌物が増えたり、耳が聞こえにくくなったりします。中耳炎に関しては、治療が遅れると聴力が回復しないことがありますから気を付けて下さい。治療には抗生物質(内服薬・点耳薬)を使います。
(11)こむらがえり:高温多湿で体内の水分喪失(脱水)や電解質のバランスが崩れるために「こむらがえり」を起こす人がみられます。
(12)犬咬傷:犬が放し飼いになっており、しばしば犬に噛まれるということが起こっております。現在のところ、フィジーでは狂犬病の心配はありませんが、破傷風を発症する恐れはありますので、不用意に犬には近寄らないようにして下さい。破傷風の予防注射を受けておいて下さい。万一、犬に噛まれましたら、破傷風トキソイドの追加接種をすぐに受けて下さい。時には、破傷風免疫ヒトグロブリンの接種も必要となります。
(13)交通事故:年間約80名が交通事故で亡くなっています。郊外は道が空いていてスピードを出しがちですが、見通しが悪いカーブが多く、夜は街灯がなく、悪路が多く、犬や家畜(牛・豚など)が道路を歩いていたり、マングースが突然飛び出したりしますので、注意が必要です。自動車に乗る時にはシートベルトを着用して下さい。
(14)粗暴犯による心身の外傷:離島やナンディのリゾート地以外では、旅行客を狙った強盗事件等も少なからず発生しています。突然、殴打されたりや羽交い絞めにされて襲われることもありますので、歩行中は周囲の人の動きに注意してください。荷物はひったくられた時に、引き倒されないような持ち方をして下さい。金品等を要求された時は、抵抗しても周囲の人の助けは期待できませんので、要求に素直に従い、隙を見て逃げるのが賢明です。
(15)エイズ:1989年からの累積患者数は2010年7月までに354人となりました。
(1)雨が降った後には、水道水が濁ることがよくあります。飲料水は、水道水を煮沸後飲用するか、ミネラルウォーターを飲用して下さい。
(2)高温多湿の気候なので、食べ物は腐りやすく、細菌が繁殖しやすいので、食中毒に十分注意して下さい。
(3)気温が高く発汗しやすい気候なので、水分や電解質をスポーツドリンク等で意識して多めに補給して脱水にならないように注意して下さい。
(4)デング熱・フィラリア症が流行していなくても、蚊に刺されると虫さされ跡がおできのようになってなかなか治らないことがあります(boil)。蚊に刺されないように肌を出来るだけ露出しないようにし、虫除けスプレーを使うようにして下さい。 シャワーを浴びて清潔を保ち、傷ができたらすぐに消毒して下さい。
(5)紫外線が非常に強いので、日焼け止めクリームを使用し、Tシャツなどを着用して、直射日光に素肌をさらさないようにして下さい。また、目の保護のためにサングラスなどを着用するようにして下さい。熱中症を避けるため、長時間炎天下で行動することは避けて下さい。
(6)犯罪に遭わないよう、日中で、男性であっても一人歩きは避け、夜間に外出する際は、近くに行く時にもタクシーなどを利用するようにして下さい。
(7)フィジーで再圧治療が出来るのはスバに1カ所のみです。ダイビングは無理をせず、十分に注意して楽しんで下さい。
成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風など。
小児:就学に必要なワクチン(3)参照。
| ワクチン名 | 回数 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
|---|---|---|---|---|---|
| BCG | 1 | 生直後 | |||
| ポリオ ※1 | 4 | 生直後 | 6週 | 10週 | 14週 |
| DPT(3種混合) ※2 +B型肝炎 +インフルエンザb菌 |
3 | 6週 | 10週 | 14週 | |
| MR ※3 | 1 | 1年 | |||
| B型肝炎(単独) | 1 | 生直後 |
※1:ポリオは経口生ワクチンです。(日本は2回のみです。)
※2:フィジーでは通常の3種混合DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)に、B型肝炎とインフルエンザb菌の2種を加えて、5種混合が行われております。
※3:MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹)は行われず、MR(麻疹・風疹)のワクチンを接種しています。
(2)の予防接種すべての接種証明が必要ですが、あまり厳密ではなく、未接種でも入学が許可されることがあります。しかしながら、当地の医療事情を考慮しますと、予防接種を受けることをお勧めいたします。
<なお当国にはワクチン接種による副作用に対する補償制度はありませんので、 ワクチン接種は本邦で全て済ませて来られる方が賢明です。>
地域のHealth Centreで施行されております。健診は無料です。
(1)生後4ヶ月までは2週間毎
(2)生後4ヶ月〜12ヶ月までは1ヶ月毎
(3)生後12ヶ月〜3才までは3ヶ月毎
(4)生後3才〜5才までは6ヶ月毎
フィジーには公立総合病院が3ヶ所、私立総合病院が1ヶ所あり、緊急の場合は基本的には24時間診療をしてくれることになっております。また、個人のクリニックもあります。救急車を呼ぶ電話番号は911で、消防と同じ番号です。呼んでから救急車が実際に患者を迎えに来るまでに時間が掛かる場合も多いので、直接病院に行かれた方が早い場合もあります。大抵のホテルには、指定のクリニックがあります。
標記上は、救急は24時間対応ですが、実際には稼働していないこともあります。 スバであれば、私立病院のSuva Private Hospitalの方が、対応が良いと思われます。
公立・私立病院どちらも、救急では専門医の診察・治療は期待できません。
公立病院では、基本的に無料で診察を受けられますが、いつも非常に混雑しており、 予算の関係上、十分な治療を受けられるとは限りません。
歯科は、基本的に救急には対応してくれません。予約が必要です。安全で人気のある歯科医の予約を取ることは非常に困難です。人気のない所は、衛生面・知識・技術の面で問題があります。
信頼の置ける歯科医の予約が取れるまで我慢するか?とりあえず応急処置をしてくれる歯科医を探し、後は日本に帰ってからにするか?の選択となります。
フィジー国内では日本語で受診できる医療機関はありません。
住所:Waimanu Rd.
電話:331−3444
概要:国立の総合病院で、当国で唯一のCT装置があります。
基本的には、無料で受診できるため、常に非常に混雑しており、医師・看護師不足からトリアージ(患者の重傷度に応じて分類)して、診療をしております。軽症と判断されると、24時間待ちということも起こり、問題となっております。
住所:120 Amy St.
電話:330−3404
概要:有料ですが、その分受診可能な層が限られ、落ち着いた感じがあります。主として一般医が診療に当たります。多くの場合、専門医は決められた曜日・時 間に病院内で診察をするか、必要時に外部から呼ばれます。
入院保証金は750フィジードル(FJD)、 手術保証金は1,500FJD、ICU保証金は1,500FJDが必要です。
主なクレジットカードが使用可能です。
住所:Amy St.
電話:330−5154 (時間外:999−3506・3500)
概要:フィジーで唯一、再圧治療が出来る施設です。
住所:62 Ratu Sukuna Rd.
電話:331−4450
概要:フィリピン人の医師を中心とした医師数人の診療所ですが、慢性疾患の治療や軽度の外傷などならば対応がスムーズで、料金もSuva Private Hospitalに比し 安いので、受診し易い医療機関です。JICAの顧問医です。
住所: Ratu Sukuna House
電話: 331-1423
住所:1F Suite 12 Epworth Arcade, Nina St.
電話: 331-3870
住所:Vino Patel Bld. 10 Steward St.
電話: 330-8882
いずれも、「すぐに治療をして欲しい」という予約は、取るのが非常に困難です。
住所:Hospital Rd.
電話:666−0399
住所:Hospital Rd.
電話:881−1444
大使館ホームページ:http://www.fj.emb-japan.go.jp![]()
フィジーでは英語が公用語で、病院でも英語が通じます。