世界の医療事情

イスラエル

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 イスラエル国(テルアビブ市)(国際電話国番号972)

2 公館の住所・電話番号

在イスラエル日本国大使館(毎週土日休館)
住所:Embassy of Japan, Museum Tower 19th & 20th Floor, 4 Berkowitz Street, Tel-Aviv 6423806
電話:03-695-7292
ホームページ:http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/nm_east/israel.html別ウィンドウで開く
対パレスチナ暫定自治政府日本国政府代表事務所(毎週金土休館)
住所:Representative Office of Japan to the Palestinian Authority, 3rd Floor of VIP2, 200 Yazour Street, Al-Bireh, Ramallah
電話:02-241-3120
ホームページ:http://www.ps.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

(注)定休日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

3 医務官駐在公館

 在イスラエル日本国大使館 医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 国土面積は四国と同程度ですが,北緯30度から33度にわたって南北に細長く,ビルが林立する都市部,岩だらけの土地が広がる地方,地中海や紅海に面した沿岸部,緑豊かな北部,砂漠地帯の南部など,地域によって様相が異なっています。ここでは日本などの各国大使館があり,経済の中心であるテルアビブ地域を中心に記載します。

 気候は地中海性気候で,夏季に乾燥しますが,全般に温暖で過ごしやすいといえます。夏季は日差しが強く最高気温が30℃を越え,冬季は最低気温が10℃前後となりますが,標高の高いエルサレムでは5℃以下まで下がり,寒暖の差が激しくなります。5月から9月はほとんど降雨がありませんが,12月から2月は10日から15日程度雨が降ります。

 上水道は,多くの地域で地下水を水源としており飲用可能ですが,細菌汚染が判明して保健省より煮沸するように警告が発せられることがあります。人口増による需要増加のため飲料水の40%以上は海水淡水化でまかなわれていますが,基本的には硬水に調整されて供給されています。石灰成分が多いため,飲用すると人によっては下痢傾向となるため,浄水器やミネラルウォーターの利用をお勧めします。

 テルアビブやエルサレムなどの都市部では医療水準が高く,外国からのメディカル・ツーリズムに対応しています。医療費は私立病院を中心に高額で,旅行者や短期滞在者は治療・救援費を補償する海外旅行傷害保険等に加入しておく必要があります。頚部痛での整形外科受診では,X線・CT撮影を含めて約1,500米ドル,胃内視鏡検査では,随伴する血液検査等を含めて約1,500米ドル,虫垂炎の腹腔鏡手術では,入院費を含めて約15,000米ドル請求された例がありました。一般外来は,各病院のメディカル・ツーリズム部門などを介して予約が必要ですが,金・土・祝日は休診です。休診日や予約できない場合は救急外来を受診するしかありません。救急医療体制は整備されており,24時間365日対応していますが,医師・医療従事者の人手不足が顕著で,救急外来では数時間以上待たされることがよくあります。電話の101番通報で救急車を呼べば,救急隊員が病状を判断して近隣の救急外来に搬送してくれます。通常の救急搬送料は100米ドル程度ですが,辺境にヘリコプターが出動した場合には10,000米ドルを越える搬送料が請求されます。ほとんどの医師は英語も話しますが,受付,技師,看護師はヘブライ語またはロシア語しか話さないことがあり,意思の疎通にしばしば苦労します。

 感染症については定点報告で集計されており,全数把握は困難ですが,日本同様百日咳や水痘の流行が認められています。また,暑気が続くにもかかわらず食品衛生管理が進んでいないので,加工食品へのサルモネラ菌やリステリア菌の混入がしばしば報告されています。

5 かかり易い病気・怪我

(1)日射病・熱中症

 夏場,特に6~8月は日射しが強く気温も高いので,保健省は午前10時~午後4時の間のスポーツや野外活動を控えるように勧告しています。乾燥しており発汗を感じにくいため,気付かないうちに脱水症が起こりやすい状況です。外出中は水分を携行し,こまめに水分(+塩分)補給を行ってください。また,特に子供や肌が弱い方は帽子や日焼け止めなどの紫外線対策も忘れずに行ってください。なお,日焼け止めの一般的な持続時間は2~3時間と短いため,繰り返し使用してください。

(2)交通事故

 無料の高速道路網が整備されていますが,当地の運転マナーは荒く,方向指示器どおりに自動車が曲がるとは限らず,急な車線変更もよくあります。通勤時間帯の幹線道路は特に渋滞しますが,割り込みや連節バスの幅寄せがあり脅威です。幸い,死亡事故は日本より少ないですが,運転時も歩行時も十分に注意してください。

(3)旅行者下痢

 飲料水の硬度の違いによる軽い下痢症以外にも,消化器感染症によるものが頻発しています。赤痢やジアルジア症は小児などに流行が散発しており,サルモネラ菌やカンピロバクターなどの食中毒も起こっています。夏は30℃を越える日が続くので、食品衛生には特に注意してください。なお,国内で流通している鶏卵を生で食べること勧められません。

(4)花粉症,結膜炎

 杉の自生は少ないですが,春にはオリーブ,秋にはブタクサの花粉が飛散し,結膜炎・鼻炎などの花粉症が発生します。乾燥する時期には細かい砂や埃が空中を舞い,2月~4月頃にはハムシーンと呼ばれる砂嵐が来襲することがあります。これらに加え,排気ガスなどの大気汚染もあり,コンタクトレンズ,特にソフトコンタクト使用者に結膜炎のトラブルが起こることがよくあります。1日使い捨てを必要な時間だけ使用することをお勧めします。

(5)頭シラミ

 当地では子供の75%以上が経験する頻度の高い疾患です。子供が頭皮を常に痒がっている場合は,頭部をよく観察して,髪の毛に付いた卵を探してください。確定診断は皮膚科で受け,また,治療のための漉き櫛と薬用シャンプーは当地の薬局で購入できます。

(6)毒蛇,サソリ

 毒蛇咬傷はIsrael viper,Black adder, Israel mole viperによるものが多く,毒サソリ咬傷についてはイエロースコーピオンがもっとも危険です。毒蛇や毒サソリはゴラン高原からネゲヴ砂漠のイスラエル全域に生息しており,初夏に活動性が高くなります。日中は岩陰や藪に潜んでいるので,不用意に手足を突っ込んだり,地面に座ったりしないようにしてください。咬まれたり,刺されたりした場合は,できるだけその部位を安静にしたまま,すぐに救急外来を受診してください。症状次第で,抗毒素などの投与を受ける必要があります。

6 健康上心がける事

(1)水難事故

 地中海沿岸および紅海沿岸では海水浴を楽しむことができます。しかし,海水浴場が下水等で汚染され遊泳禁止となるなどが起こり得ますので,ご注意ください。また,離岸流による事故だけでなく,死海では高濃度塩水の嚥下による事故が起こっています。監視員のいない所や,飲酒後は遊泳しないようにしてください。

(2)性感染症

 旅行中の身軽さや海外生活の寂しさが感染に繋がります。幸いHIVの感染は多くありませんが,梅毒,淋病,クラミジア感染症が問題になっています。性行為以外にも,刺青やピアス処置などでB型肝炎に感染することがあります。

(3)蚊媒介感染症

 夏には蚊が発生し,西ナイル熱が散発しています。通常は発熱のみで治癒しますが,脳炎を起こした場合には死亡することがあります。また,輸入感染症として,マラリア,デング熱,ジカ熱などの蚊媒介感染症が発生しているので,蚊に刺されないように殺虫剤やDEETなどの蚊忌避剤を使用してください。

(4)皮膚リーシュマニア症

 リーシュマニア症の原因である原虫L. Tropica(宿主:ハイラックスス)とL. Major(宿主:野ねずみ)を持ったサシチョウバエに刺されて感染し,数週間後に虫刺され部に難治性の潰瘍ができます。サシチョウバエの活動が活発な6月から10月の夕方以降は,十分に防虫対策をしてください。

(4)ブルセラ症,狂犬病

 ブルセラ症は細菌が原因の全身感染症で,羊やラクダなどの動物との濃厚な接触や,汚染したミルクやチーズの摂取などで感染します。症状は激しい発熱などの全身症状です。狂犬病に関しては,北部やゴラン高原付近で狂犬病を発症した動物(犬,牛,キツネなど)が報告されています。幸い,ヒトへの感染報告はありませんが,狂犬病は発症すればほぼ全例死亡するため,感染予防が大切です。むやみに哺乳類動物(唾液内にウイルスが含まれる)に触れないようにしてください。もし咬まれた場合はすぐに救急外来を受診し,発症予防のためワクチン接種などを受けてください。

(5)鳥インフルエンザ(H5N1),中東呼吸器症候群(MERS)

 H5N1型鳥インフルエンザの流行が隣国エジプトで報告されており,また,国内でも養鶏への感染が報告されています。現時点ではヒトへの感染報告はありませんが,感染の危険のある行為(ペットを含めた家禽への接触)は避けてください。また,MERS感染がヨルダン,レバノン,エジプトなどの周辺国で報告されています。病人(咳,発熱等の症状を有する)やラクダとの接触や,ラクダのミルクの食用は避けてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(成人,小児)

 入国に際して義務づけられた予防接種はありませんが,不要な医療機関の受診を減らすために,赴任前にはA型肝炎・B型肝炎・破傷風の予防接種を勧めます。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

現地の小児定期予防接種一覧
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
ポリオ(IPV)(注1) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 7歳  
ポリオ(OPV)(注1) 6ヶ月 18ヶ月        
DPT(注2) 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 12ヶ月 7歳 13歳
MMRV(注3) 12ヶ月 6歳
A型肝炎 18ヶ月 24ヶ月
B型肝炎 出生時 1ヶ月 6ヶ月
肺炎球菌 2ヶ月 4ヶ月 12ヶ月      
ロタウイルス 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月      
インフルエンザ菌b型 2ヶ月 4ヶ月 6ヶ月 12ヶ月
パピローマ 13歳 13歳        

(注1)ポリオ:不活化ワクチン(IPV)に加えて経口ワクチン(OPV)を接種します

(注2)DPT:ジフテリア+百日咳+破傷風

(注3)MMRV:麻疹+ムンプス(おたふく風邪)+風疹+水痘

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校の場合はワクチン接種証明の提出は不要ですが,インターナショナル・スクールでは,ワクチン接種証明書と健康診断書の提出が必要です。

(4)乳児健診

 予防接種と同時に,乳児検診が施行されており,発達診断,障害の早期発見,視聴覚検査が行われます。必要に応じ,新生児宅の家庭訪問,母乳指導が行われています。外国人も希望により受けることが可能です(有償)。

8 病気になった場合(医療機関等)

 救急外来以外は,金・土・祝日は休診です。病院受診の際は,身分証明のためにパスポートや,治療前の支払い保証のためのクレジットカードや現金が必要です。連絡手段を維持するために,救急外来や入院などでは,携帯電話だけでなく,その充電器もあると安心です。

テルアビブ地区 Tel-Aviv District

(1)Ichilov Hospital, Tel-Aviv Sourasky Medical Center(イヒロフ病院)
所在地:6 Weitzman Street, Tel-Aviv 64239
電話:(代表)03-697-4444 (救急外来)03-697-3686 / 03-697-3232
ホーページ:http://www.tasmc.org.il/sites/en/別ウィンドウで開く
概要:国内で2番目に規模が大きい公立病院(有床数1,300床)です。救急外来や院内薬局があります。救急外来はレベルIの外傷センターで,小児科,産科が別の場所に分かれています。CT,MRI,PET,核医学などの医療検査機器がそろっていますが,非常に混んでおり,CTは3日待ちで,頭部MRIは4週間待ちです。
(2)Assuta Hospital(アスータ病院)
所在地:20 Habarzel Street, Ramat Hachayal, Tel-Aviv 69710
電話:(旅行者部門)03-764-3247
ホームページ:http://en.assuta.co.il/別ウィンドウで開く
概要:国内最大の私立病院グループが運営する病院です。ただし,救急外来はありません。予約をとり,総合診療部を受診してください。
(3)Tel Hashomer Hospital, Chaim Sheba Medical Center(テル・ハショメール病院)
所在地:2 Sheba Road, Tel Hashomer, Ramat Gan 52621
電話:(代表)03-530-3030 (救急外来)03-530-3101 / 03-530-2251
ホームページ:http://eng.sheba.co.il/別ウィンドウで開く
概要:中東最大規模の1,900床の公立病院です。1948年の建国とともに軍病院として設立され,現在もその役割も果たしています。救急外来はレベルIの外傷センターです。
(4)Herzliya Medical Center(ヘルツェリア・メディカル・センター)
所在地:7 Ramat Yam Street, Herzliya 46851
電話:09-959-2555
ホームページ:http://www.hmc-ims.com別ウィンドウで開く
概要:私立病院。1983年設立で,2001年からメディカル・ツーリズム部門を設立し,外交官をはじめとした外国人の対応に慣れています。救急疾患には対応しませんが,VIPサービスや著名医の診察を受けることができます。CT,MRI,PET,核医学,内視鏡検査などの検査設備も整っています。病院は海岸沿いにあり,ヘルツェリア市内には診療所があります。
(5)Ben Gurion Airport Clinic(ベン・グリオン国際空港クリニック)
所在地:Terminal 3, Ben Gurion Airport
電話:03-9752625
ホームページ:http://www.iaa.gov.il/en-US/airports/bengurion/Pages/default.aspx別ウィンドウで開く
概要:主要国際空港からの国際便が発着するターミナル3にあります。外部からもアクセスできるレベル2の21番通路脇と,出国後の免税店ロビー右手前の2か所にあります。24時間,初期治療を受けることができます。
(6)Dr. Philip Kaplan
所在地:25 Zeitlen Street, Tel Aviv
電話:03-6956549
概要:私立歯科診療所で,成人の歯科治療一般を受けることができます。

エルサレム Jerusalem

(1)Hadassah Hospital, Ein Kerem(ハダッサ・エインケレム病院)
所在地:Ein Kerem, Jerusalem 91120
電話:(代表)02-677-7111 (救急外来)02-677-7222(予約)02-584-2111
ホームページ:http://www.hadassah-med.com/別ウィンドウで開く
概要:NPOが運営する800床の病院で,救急外来があります。所在地は市内からは車で20分程度離れています。Mt. Scopeにも350床の同系列病院があります。
(2)Shaare Zedek Hospital(シャーレ・ゼデック病院)
所在地:12 Shumuel Bait Street, Jerusalem
電話:(代表)02-655-6111 (救急外来)02-655-5509
ホームページ:http://www.szmc.org.il/eng/home/別ウィンドウで開く
概要:NPOが運営する1,000床の病院で,救急外来があります。小児の救急外来は分かれていますが,夜間は成人用救急外来で受付を行ってください。

ラマッラ Ramallah

(1)Palestinian Red Crescent Hospital Al-Bireh branch
所在地:5 Hillal Street, Al-Bireh, Ramallah
電話:(代表)02-240-0666
ホームページ:https://www.palestinercs.org/en/branches.php?bid=10別ウィンドウで開く
概要:パレスチナ赤新月社が運営する50床の病院で,救急外来と院内薬局があります。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在イスラエル日本国大使館(日本語):http://www.israel.emb-japan.go.jp/html/indexJP.html別ウィンドウで開く

(2)イスラエル保健省(英語):http://www.health.gov.il/English/別ウィンドウで開く

(3)在イスラエル米国大使館 医療情報(英語):https://il.usembassy.gov/u-s-citizen-services/local-resources-of-u-s-citizens/doctors/別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

もしもの時の医療ヘブライ語
日本語 英語 ヘブライ語
医師 Medical doctor ロフェ(רופא
看護師 Nurse アホト(אחות
のみ薬 Pill カドゥール(כדור
注射 Injection ズリカ(זריקה
頭痛 Headache ケェベイ・ローシュ(כאב ראש
腹痛 Stomachache ケェベイ・ベテン(כאב בטן
下痢 Diarrhea シルシュール(שלשול
発熱 Fever ホム(חום
吐き気 Nausea ブヒラ(בחילה
ケガ(傷) Wound ペツァ(פצע
病気 Illness マハラ(מחלה
病院 Hospital ベイト・ホリム(בית חולים
具合が悪い。 I don’t feel well. アニ・ロ・マルギッシュ・トーブ
病院へ連れて行って下さい。 Take me to hospital. ラカハット・オティ・レ・ベイト・ホリム

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