世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 ウズベキスタン共和国(国際電話番号998)

2 公館の住所・電話番号

在ウズベキスタン日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Embassy of Japan, 1-28, Sadyk Azimov St., Tashkent, 100047, Republic of Uzbekistan
電話:(71)120-8060から63
ウェブサイト:在ウズベキスタン日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)休館日は暦年ごとに大使館のホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 ウズベキスタンは二重内陸国(国境を2回越えないと海に出られない国)で、国土は北西から東に細長く延びており、西側は比較的平坦ですが東側は起伏に富み、山地・丘陵・盆地があります。
首都タシケントは、北緯41度20分(青森県津軽半島付近)、標高420から500メートルに位置し、典型的な大陸性気候で1日の寒暖の気温差が激しく、夏は40℃前後の気温となり冬はマイナス10℃程度となることがあります。
ウズベキスタン政府は医療環境の改善に努めていますが、提供される医療の質は先進国と比較して低いのが現状です。日本人が安心して手術・出産などが行える入院可能な医療施設は少なく、重大な疾病、外傷の場合では医療先進国への緊急移送を考慮しなければなりません。したがって、旅行や滞在に際しては海外旅行傷害保険に加入し、万一の受傷・発病の際に受けられる医療(高額な緊急移送を含む)や手続き方法を予め確認しておくことが必要です。
市内の薬局では処方箋なしで医薬品の購入は可能ですが、流通している医薬品の15%が偽薬であり、また真性品の安定した供給には難があります。

5 かかり易い病気・怪我

 ウズベキスタン保健省あるいは各州保健局は、どの地域でどのような感染症が流行しているかなどの正確な医療情報を一般市民に提供していません。

(1)下痢症

 地方では上下水道設備が不十分であり、食品衛生管理が徹底されていないため、いわゆる「食あたり」の他、感染性(細菌性・ウイルス性あるいは寄生虫)胃腸炎には一年を通して十分に注意する必要があります。これらの感染症はヒトの糞便などで汚染された食物や水を媒介として感染します。食事はよく加熱したものを、調理後すぐに食べることを心がけるなど食中毒にご注意ください。また、水道水は歯磨き等を除いては煮沸してから飲用する方がよろしいでしょう。水害などの後、上水道が下水で汚染され、A型肝炎、E型肝炎が地域的に流行します。報道などに注意してください。また、A型肝炎、E型肝炎は比較的熱に強いので、飲用適になるまでは5分以上の煮沸が必要です。

(2)上気道炎

 冬期は暖房使用により室内が非常に乾燥するため、上気道炎などに罹ると咳などの症状が長引くことがあります。

(3)ウイルス性肝炎

 食べ物や水から感染するA型肝炎(潜伏期1から2か月)と血液や体液から感染するB型肝炎(潜伏期1から6か月)などがあり、発熱・全身倦怠感・食欲不振などの症状と黄疸が表れます。A・B型肝炎ともに予防接種があります。

(4)エキノコックス症

 ウズベキスタンの風土病です。虫卵を含む水や食物を経口摂取することで感染します。シャシリクの生焼きには注意してください。

(5)リーシュマニア症

 フェルガナ盆地では、蚊よりも小さなサシチョウバエの刺咬により原虫が体内に入り感染するリーシュマニア症が報告されています。長袖・長ズボンを着用するなど防虫対策の工夫をしてください。

(6)結核

 ウズベキスタン政府の報告によると、2019年の結核罹患率は人口10万人中42.9人です。近年、政府は結核診断能力の向上や感染予防対策の強化に努めています。遷延する咳症状がある場合には、早めに受診してください。

(7)クリミア・コンゴ熱

 クリミア・コンゴ出血熱ウイルスによる出血熱を特徴とする感染症で、おもにマダニを介して、ほ乳動物もしくは感染患者から感染します。死亡率の高い感染症で、中央アジアでは毎年夏期に発生します。マダニの生息する茂み等に入る場合には、長袖・長ズボンを着用し、マダニに咬まれないよう予防措置を講じる必要があります。

(8)その他の細菌感染

 ブルセラ症・炭疽など日本ではほとんどみられない感染症も報告されています。ブルセラ症や炭疽は、感染動物の肉・乳製品などを介して感染します。ブルセラ症は、1から3週間の潜伏期の後に発熱や全身の疼痛感などで発症します。

(9)狂犬病

 ウズベキスタンは狂犬病の発生国です。タシケント市内でも野良犬や野良猫を見かけますが、狂犬病ウイルスを保有している可能性があるため接触しないようにしてください。

(10)有害虫による刺咬傷

 南京虫(トコジラミ)は、吸血性の昆虫でウズベキスタンでは珍しくありません。夜間に室内に出没し、眠っているヒトの露出している肌を刺します。刺咬する際に唾液を体内に注入するため、激しいかゆみを伴う発疹などアレルギー反応を引き起こします。

(11)熱中症・日焼け

 夏季は日中の気温が40℃前後となり、雨は降らず湿度が低いため、炎天下に長時間いると熱中症にかかりやすい状況です。こまめに水分補給を行ってください。日焼けにも十分な対策と注意が必要です。

(12)交通事故

 道路整備および交通安全対策が不十分な上に、交通ルールを順守するという概念が希薄ですので、交通事故には十分注意する必要があります。なお、交通外傷、犯罪被害による外傷は、私立病院で治療を受けることはできません。

6 健康上心がけること

  1. 洗浄不十分な生野菜、調理不十分な魚介類・肉類の喫食は避けてください。不衛生な屋台での外食は避けてください。夏季においては宴会場などで食中毒が多発するようです。
  2. 水道水をそのまま飲用水として用いることは避け、煮沸して使用するか、市販のペットボトルを使用してください。
  3. 夏期には熱中症・日焼けなどに注意が必要です。日傘の使用、帽子の着用、水分の携帯を心がけてください。
  4. 冬期には室内の乾燥に気をつけ、呼吸器感染症に注意してください。
  5. 運転中、歩行中ともに交通事故にご注意ください。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国時に法的に求められる予防接種はありませんが、A型およびB型肝炎、破傷風トキソイドの(追加)接種は当地で生活していく上で最低限必要と思われます。狂犬病については、赴任者の職場環境や行動地域を考慮して、実施の要否を検討ください。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

  初回 2回目 3回目 4回目 5回目
BCG 生後2から5日        
ポリオ(経口) 2か月 3か月 4か月 16か月 7歳
ポリオ(不活化) 4か月        
DPT 2か月 3か月 4か月 16か月  
DT 7歳 16歳      
MMR(麻疹・ムンプス・風疹) 12か月 6歳      
ロタウイルス 2か月 3か月 4か月    
肺炎球菌 2か月 3か月   12か月  
B型肝炎 生後1日 2か月 3か月 4か月  
インフルエンザ菌b型(Hib) 2か月 3か月 4か月    
HPV 9から13歳        

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

インターナショナルスクールに入学・編入する時は、予防接種および接種証明書が求められますので、詳細については希望する学校に予め問い合わせてください。その上で、日本の母子手帳に記載されている接種済みのワクチン名と接種時年齢を確認し、必要があれば下記のTIC(タシケントインターナショナルクリニック)などで予防接種を受け、接種証明書を書いてもらうことになります。

 乳幼児健診については、外国人子弟に対し日本で行われているような健診はありません。下記のTICで通常の診療として乳幼児健診(有料)を受けることができます。

8 病気になった場合(医療機関等)

 受診時には必ずパスポートを持参してください。

 ウズベキスタンでは、夜間休日の時間帯には私立病院は外来対応をしていません。また、緊急かつ高度な処置が必要な重症患者への対応ができるのは公立病院に限定されています。

救急車を依頼する場合

 公的救急車「103」は、ロシア語又はウズベク語対応のみです。公立医療機関に搬送されます。

(首都)タシケント市

(1)Tashkent International Clinic (TIC)
Ташкентская международная клиника
所在地:38, Sarikul street, Tashkent 100105, Uzbekistan
所在地(ロシア語):ул. Сарыкуль 38, г. Ташкент, 100105, Республика Узбекистан
電話:8時30分から17時30分は(71)291-0142、291-0726、(78)120-1120、120-1144
時間外救急は(90)327-3378、(71)291-0142、291-0726
ホームページ:Tashkent International Clinic(英語)別ウィンドウで開く
診察時間:月曜日から土曜日08時30分から20時30分、日曜日休診(時間外受診サービスもあり)
概要:原則として外国人のみ利用できるクリニックで英語での受診が可能です。歯科もあります。入院施設はなく、出産・外科手術などは行っていません。日本の診療所程度で家庭医的な一次的検査治療が行えるのみですが、入院が必要な場合には他の病院への手配をしてくれる他、国外への緊急移送の実績もあります。レントゲン検査、超音波検査が可能で医療機器の多くは西欧製です。西欧製ワクチンや狂犬病ウイルス免疫グロブリンを常備していますが、事前に確認する必要があります。なお、査証が失効した場合は診療を受けることはできません。支払い方法はクレジットカードのみです。
(2)VITAMED Medical
所在地:109 A, Sh. Rustaveli street, Tashkent Uzbekistan
所在地(ロシア語):ул. Ш. Руставели, 109 А, Ташкент, Узбекистан
電話:(78)129-8181、129-8282
救急車依頼:(78)129-0003、1063(4桁番号)、24時間対応
ホームページ:VITAMED Medical(ロシア語)別ウィンドウで開く
診察時間:月曜日から土曜日8時30分から17時00分、日曜日休診
概要:私立総合病院。インドにあるMedanta病院のブランチです。医師はウズベク人でロシア語あるいはウズベク語対応ですが、事前に連絡して英語通訳を頼むことが可能です。診療科目は内科、神経内科、外科、小児科、産婦人科、歯科等です。重症患者や救急には対応していません。ドイツ製Ford社の高機能救急車を所有しており、依頼可能です。MRI、CT、超音波検査装置(ドイツ製)、消化管内視鏡(日本製)など高度検査医療器機が揃っています。ICU4床と一般病床18床があり入院可能です。支払いは現地通貨(スム)払いです。VITAMEDの救急車は24時間対応ですが、重症患者、脳卒中や心臓発作の人は入院不可です。また、現時点ではPCR検査陰性の人しか入院できません。入院治療は胆嚢炎、膵炎、胃十二指腸潰瘍、泌尿器科疾患が主となっています。
(3)AKFA Medline
所在地:5A, Kichilk Khalqa yuli Street, Almazar District, Tashkent
所在地(ロシア語):5А, ул. Кичик халка йули, Тошкент
電話:(71)203-3003
ホームページ:AKFA Medline(英語)別ウィンドウで開く
診察時間:月曜日から金曜日8時30分から17時00分、土曜日8時30分から14時00分、日曜日休診
概要:ウズベキスタン資本の私立病院で最新の医療機器がそろっています。外国人には高額な外国人料金の設定がありますが、診療レベルやサービスが特に優れているというわけではありません。政府要人等が入院することでも知られています。
(4)救急医療リサーチセンター(旧称第16番病院)
所在地:2 Kichik Halka yoli street
所在地(ロシア語):г. Ташкент, ул. Кичик халка йули, 2
電話:(71)150-4600
ホームページ:救急医療リサーチセンター(旧称第16番病院)(ロシア語)別ウィンドウで開く

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ(もしもの時のロシア語)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時のロシア語(PDF)別ウィンドウで開く)をご参照願います。

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