世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 リトアニア共和国(国際電話番号370)

2 公館の住所・電話番号

在リトアニア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
住所:Embassy of Japan in Lithuania, M.K. Ciurlionio st. 82b, LT-03100 Vilnius
電話:(85)-231-0462
FAX:(85)-231-0461
ホームページ:在リトアニア日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土曜日、日曜日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3 医務官駐在公館ではありません

 在スウェーデン日本国大使館医務官が担当

4 衛生・医療事情一般

 バルト3国の一つリトアニアの首都ビリニュスはベラルーシとの国境に近い内陸部に位置し、気温の年較差、日較差が大きく、気候も不安定です。そのため、風邪などに罹りやすく体調を崩しやすいので注意が必要です。水道水はそのままでは飲用には適さないこともあるので、ミネラルウォーターを使用してください。ビリニュス市内には近代的なスーパーが多数有り、生鮮食料品の衛生管理には問題はありません。

 リトアニアの主な医療施設は国公立であり、概ね医療機器や施設が古く未整備な事も多く、また多くの医師は英語が通じますが、それ以外の職員については英語を理解しないことが多く、リトアニア語あるいはロシア語が堪能でない場合は受診することが困難です。最近は医療機器・施設も比較的充実したプライベートクリニックが開院しており、これらの多くでは英語で受診することが可能なので、これらのクリニックを受診するのが無難です。精密検査や高度な治療が必要な場合は、西ヨーロッパや日本への移動・移送を要するため、海外旅行者保険への加入が強く勧められます。

5 かかり易い病気・怪我

(1)上気道炎

 気温の変動が激しく、特に冬場はマイナス20度以下になることもあります。また暖房で室内の空気が乾燥するため、風邪や呼吸器の感染症に罹りやすく、予防法として外出から帰った際のうがいや加湿器の使用も有用です。

(2)ダニ媒介性脳炎・ライム病

 日常生活でかかり易いということはありませんが、注意すべき風土病として、マダニが媒介するダニ媒介性脳炎やライム病があります。

 ダニ媒介性脳炎はウイルス性脳炎で、主に中央ヨーロッパから北欧、旧ソ連地域に広がる風土病です。首都ビリニュス市を含め国土の大部分で、感染が報告されています。予防法は、ワクチンの接種とマダニに咬まれないようにすることです。同地域で森林などに入る場合は、長袖・長ズボン・帽子を被るなど、肌を露出しないようにし、露出する部位には防虫剤を使用してください。ダニ媒介性脳炎は治療薬がなく、予防が大切です。ワクチンを3回接種(初回免疫)した後、必要に応じてその3年後に追加接種を行い、以降は5年ごとの追加接種を行います。感染の危険地域での山歩きやハイキングなど野外活動の好きな方・機会のある方には接種をお勧めします。このワクチンは当地や日本国内のクリニックで接種が可能です。ダニに刺された時は、速やかに医師にご相談ください。

 ライム病もマダニが媒介する感染症です。典型的にはマダニに咬まれた部位を中心に同心円状の紅斑がみられ、筋肉痛や関節痛、発熱症状が現れます。予防のためのワクチンはありませんが、抗生物質で治療は可能です。

(3)転倒・交通事故

 冬は雪や凍結で路面が滑りやすく、転倒には注意が必要です。靴底が滑りにくい加工のされた靴の着用をお勧めします。また、交通マナーも日本とは異なるため、交通事故に注意してください。

6 健康上心がけること

 風邪など上気道感染症の流行が多いので、外出から戻った際の手洗いとうがい、また入浴後にクリームやローションで保湿し、皮膚の乾燥を防ぐことが重要です。また、加湿器も有用です(車の運転マナーが悪いので、運転・歩行の際も交通事故には充分に気をつけてください。)。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

(1)赴任者に必要な予防接種

 入国に必要な予防接種はありませんが、一般に、A型肝炎、B型肝炎と破傷風の予防接種が勧められます。

 また、長期滞在者にはダニ媒介性脳炎ワクチンの接種をお勧めします。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

公的プログラム(2020年以降)
  初回 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
BCG(結核) 生後2、3日          
B型肝炎 生後24時間以内 1か月 6か月      
DTP三種混合
(ジフテリア、破傷風、百日咳)
2か月
(DTaP)
4か月
(DTaP)
6か月
(DTaP)
18か月
(DTaP)
6から7歳
(DTaP)
15から16歳
(Tdap)
Hib(Hib感染症) 2か月 4か月 6か月 18か月    
IPV(ポリオ)
(注1)
2か月 4か月 6か月 18か月 6から7歳  
Pnc(肺炎球菌) 2か月 4か月 12から15か月
(注2)
     
MMR(麻疹、おたふくかぜ、風疹) 15から16か月
(注2)
6から7歳        
HPV(ヒトパピローマウイルス)(注)女児のみ 11歳(HPV1) 初回後6か月以降(HPV2)        
MenB(B群髄膜炎菌) 3か月 5か月 12から15か月
(注2)
     
RV(ロタウイルス) 2か月 4か月 6か月
(注3)
     
  • (注1)当地では、ポリオの予防接種には不活化ワクチンが用いられています。
  • (注2)Pnc(3回目)、MMR(初回)、MenB(3回目)は同時接種が可能です。
  • (注3)ロタウイルスワクチンには、1価(2回接種)のものと5価(3回接種)のものがあります。5価のワクチンの接種を受けている場合にのみ、3回目の接種が行われます。

 ビリニュスのプライベートクリニックで、接種が可能です。

 子供への負担(注射回数)を減らすために、DTPだけでなくDTP+IPVの4種混合、それにHibやB型肝炎を加えた5種、6種など、様々な組み合わせの複合ワクチンが販売されており使用されています。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校に入学・入園する際に予防接種記録の提出を求められることがあります。場合によってはツベルクリン反応の結果を求められることもあります。その場合、ツベルクリン反応が陽性の場合は、胸部のレントゲン撮影で異常のないことを証明する必要があります。

 入学時や新学期(年1回)に指定の項目についての健康診断結果を求められることがあります。学校によって事情が異なりますので、事前に学校にお問い合わせください。

8 病気になった場合(医療機関等)

 タクシーで病院を受診する場合は住所を運転手に見せてください。通り名と番地で目的地に着くことが出来ます。

 リトアニアの地方からビリニュスにかけるには市外局番は「85」を、リトアニア国外からかける場合は国番号370を入れ、市外局番から8を取り、「3705」となります。ビリニュス市内通話では市外局番は不要です。

 公的救急車 電話:「112」

 当地に日本語で受診できる医療機関はありません。

プライベートクリニック

 ほとんどのプライベートクリニックは、時間外の外来診療は取り扱っていません。

(1)Medicinos Diagnostikos ir gydymo Centras(Medical Diagnostic and Treatment Centre)
所在地:V. Grybo g. 32A Vilnius
電話:+370-698-00-000
概要:総合クリニック。施設は近代的で清潔、医療機器も整っており、CTスキャンやMRIもあります。英語での受診が可能で、英語を話さない医師には、英語の通訳を頼むことも出来ます。
外来受付:月曜日から金曜日7時から20時、土曜日8時から15時、日曜・祝日(MRI検査のみ)9時から15時
ホームページ:Medicinos Diagnostikos ir gydymo Centras(リトアニア語)別ウィンドウで開く
(2)Kardiolitos klinikos(旧Heart Surgery Centre心臓外科センター)
所在地:Laisves pr. 64a, Vilnius
電話:+370-620-33383
概要:総合クリニック(心臓外科、循環器内科、整形外科、婦人科、小児科、内視鏡、形成外科等)。以前は心臓外科センターという名前の通り、心臓血管外科やカテーテル治療の専門病院でしたが、現在では上記の診療科にも対応しています。施設は近代的で清潔、医療機器も整っており、英語での受診が可能です。
外来受付:月曜日から金曜日7時から21時、土曜日8時から17時
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(3)Northway Medicinos Centras(Northway Medical Centre ノースウェイ・メディカルセンター)
所在地:S. Zukausko g.19, Vilnius
電話:(85)-264-4466、+370-633-30-303
概要:総合クリニック(消化器科、循環器科、小児科、耳鼻科、眼科、産婦人科、美容整形外科等)。施設は近代的で清潔、レントゲン検査設備はありますが、CTスキャンやMRIはありません。臨床検査室が大変充実しています。英語での受診が可能です。
外来受付:月曜日から金曜日7時30分から20時30分、土曜日9時から15時
ホームページ:Northway Medicinos Centras(リトアニア語)別ウィンドウで開く

公立病院

(1)Vilnius University Hospital "Santaros Klinikos"(ビリニュス大学付属サンタロス病院)
所在地:Santariskiu str. 2, Vilnius
電話:(85)-236-5000
FAX:(85)-236-5111
概要:多数の専門診療科より成り、主にビリニュスおよびリトアニア東部の第三次医療を扱っています。リトアニア国内で唯一コンピューター化された情報網を持ち、診療・治療に際して外部の専門家とも共同で仕事が行えるテレメディシン(遠隔医療)も鋭意導入中です。
中でも同病院では循環器科がリトアニア国内で最も充実しており、世界的知名度を持つ心臓血管学センターがあります。設備の整った集中治療部を持ち、不整脈診断・治療の専門部、核医学診断機器なども導入された最新の循環器診断・治療設備を有します。
ホームページ:Vilnius University Hospital(リトアニア語)別ウィンドウで開く
(2)Respublikine Vilniaus universitetine ligonine(ビリニュス大学付属救急病院)
所在地:Siltnamiu str.29, Vilnius
電話:(85)-216-9069
緊急受付:(85)-216-8939
概要:ビリニュス大学の救急医療を担う病院で、同国内の外科系診療の主要病院の一つであり、ビリニュス市周辺の救急医療の中心です。担当する分野は幅広く、同市一帯で唯一の(脳)神経外科が1998年に設立された他、外傷学科、腹部外科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科などがあります。毒物学的診断・治療も行われています。
外来受付:月曜日から木曜日8時から17時、金曜日8時から15時45分(昼休み:12時から12時45分)
ホームページ:Respublikine Vilniaus universitetine ligonine(リトアニア語)別ウィンドウで開く

9 その他の詳細情報入手先

10 一口メモ(もしもの時の現地語)

  • 病院(入院治療用病院):ligonine(リゴニネ)
  • 病院(外来患者用総合診療所):poliklinika(ポリクリニカ)
  • クリニック(診療所):klinika(クリニカ)
  • 薬局:vaistine(ヴァイスティネ)
  • 医者(男性):daktaras(ダクタラス)gydytojas(ギーディトヤス)
  • 医者(女性):daktare(ダクタレ)gydytoja(ギーディトヤ)
  • 救急車:greitoji pagalba(グレイトーイ パガルバ)
  • 内科:terapinis skyrius(テラピニス スキーリュス)
  • 外科:chirurgija(ヒルルギヤ)
  • 整形外科:ortopedija(オルトペディヤ)
  • 小児科:pediatrija(ペディアトリヤ)
  • 婦人科:ginekologija(ギネコロギヤ)
  • 歯科:stomatologija(ストマトロギヤ)/odontologija(オドントロギヤ)
  • 飲み薬:geriamieji vaistai(ゲリャミェイ ヴァイステイ)
  • 注射:injekcija(イニェクツィヤ)
  • 予防注射:skiepai(スキェペイ)
  • 頭痛:galvos skausmas(ガルヴォス スカウスマス)
  • 胸痛:krutines skausmas(クルティネス スカウスマス)
  • 胃痛:skrandzio skausmas(スクランジョ スカウスマス)
  • 腹痛:pilvo skausmas(ピルヴォ スカウスマス)
  • 下痢:viduriavimas(ヴィドゥリャヴィマス)
  • 発熱:karsciavimas(カルシャーヴィマス)
  • 吐き気:pykinimas(ピーキニマス)
  • 傷:zaizda(ジェイズダ)
  • 具合が悪い:As blogai jauciuosi.(アシュ ブロゲイ ヤウチュオシ)
  • 救急車を呼んで下さい:Prasom pakviesti greitaja pagalba.(プラショム パクヴィエスティ グレイタヤ パガルバ)
  • 病院へ連れて行って下さい:Prasom nuvezti mane i ligonine.(プラショム ヌヴャシュティ マニャ イ リゴニネ)
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