世界の医療事情

令和6年10月1日

1 国名・都市名(国際電話番号)

 カザフスタン共和国アスタナ市(国際電話番号7)

2 公館の住所・電話番号

在カザフスタン日本国大使館(毎週土日休館)
Посольство Японии в Республике Казахстан
010000, Республика Казахстан, Астана, микрорайон «Чубары», улица Космонавтов 62, 5-й этаж
住所:Embassy of Japan in Kazakhstan, 5th floor, Kosmonavtov Street 62, Chubary, Astana 010000, Kazakhstan
電話:+7(7172)977-843
ホームページ:在カザフスタン共和国日本国大使館別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候、地誌

 カザフスタン共和国は、西はカスピ海、東は天山山脈を隔て中国に接する世界第9位の面積を持つ大国です(日本の約7倍)。国土は北からツンドラ、ステップ、砂漠・土漠に覆われ、気候風土は地域により異なります。最大の都市アルマティはカザフスタンの南東の端、札幌とほぼ同緯度の北緯43度、アラタウ山脈(天山山脈の支脈)の麓の標高約800メートルに位置します。平均気温は夏が23℃、冬がマイナス6℃で他の中央アジアの諸都市と比べると比較的過ごしやすく人口(約180万人)が集中しています。

 首都のアスタナはカザフスタンの北部(北緯51度)に位置します。アスタナでは季節を問わず平均秒速7メートルの北西風が吹いており、冬季は寒さが厳しく気温はマイナス30℃以下になることがあります。夏の最高気温は40℃前後までに達することがありますが、低湿度と風のため体感気温は高く感じません。朝方はこの時でも20℃前後なので涼しく感じます。北東部州は一番寒く昼間でもマイナス40℃近くまで下がります。国土が広大なので地方により気候がかなり異なります。

(2)医療水準

 カザフスタンでは、強制医療保険(日本の国民皆保険に当たる)のシステムが2020年8月に導入され、新しい医療システムや医療水準を上げる取り組みが近年目立ってきています。しかし現在のところは、カザフスタンの医療水準は、日本や欧米と比べて低いといえます。医師、看護師、スタッフなど大半の医療関係者はロシア語、カザフ語を話し、都市部の病院でも英語を話す医師は少ないため、ロシア語ができない方の受診は困難です。

 病院を受診しても、医師の技術レベルの不均衡や、急な故障やトラブルで検査が受けられないなど、日本のような便利で的確な医療を受けることが難しい場合があります。一方で、都市部には、最新のCTやMRIを整えた医療施設が増えており、医療状況は改善する傾向も活発に見られます。

 なお、心筋梗塞、脳卒中などの緊急を要する疾患の初期治療は、都市部ではおおむね良いといえます。ただし、癌の診断や治療、外科手術、専門性の高い治療などは、日本で受けられることをお勧めします。特に持病がある方については、無治療のまま放置してしまうと、大病につながるリスクとなりますので、治療薬や定期検査を継続するためには、医療機関への受診をお勧めします。

(3)病院受診時のワンポイントアドバイス

 1991年に旧ソビエト連邦から独立したカザフスタンは、周辺の中央アジア諸国と同様に、特有の医療システムが残っています。一般病院内に小児科の併設は少なく、歯科はよく併設されています。診療科については、病院のホームページ等で予めご確認ください。なお救急車対応は、電話103です。

 実際に受診しようと決めた時には、まずは電話やSNSなどで予約を入れておくとスムーズです。当日受診できる場合もあります。クリニックの受付で、パスポートと納税者番号IIN(イイン)を持っている方は番号を提示しましょう。(IINはカザフスタンに銀行口座を持つ際に必要となる番号です。納税者番号とも言われ、個人識別番号として使われています。これがあると医療費が少し安くなる場合があり、受付で確認を求められることがあります。)

 歯科クリニックは衛生状態や技術レベルには差があります。可能であるならば日本で治療することをお勧めします。やむをえず現地で歯科治療を受ける場合には、滅菌装置やレントゲンがあるか、コミュニケーションが取りやすいかをポイントにクリニックを選ぶことが望ましいです。説明が不十分なままに抜歯とインプラントを一方的に勧める歯科もあるようですので、周囲から情報や評判を聞いておきましょう。当地へ渡航する前に、日本で歯科治療を終わらせ、一時帰国時には歯科検診を受けでおきましょう。

(4)水質

 カザフスタンの水道の水質検査では、細菌汚染がみられることは稀ですが、検査内容が不十分なため、飲水可能の評価に使えません。実際、老朽化した水道管から鉄錆がよく混入し、ひびの入った水道管から雨水や地下水が流入することがあります。飲料水は信頼できる市販のミネラルウォーターを利用しましょう。歯磨き、うがいはフィルターを付けた水道水でも可能です。洗濯・入浴・食器の洗浄は水道水で問題ありませんが、できれば熱湯を利用する自動食器洗い器の使用をお勧めします。

(5)食品衛生

 春から夏にかけては細菌性の食中毒、冬季にはノロウイルスによる食中毒が発生します。カザフ料理のシャシャリク(串焼き肉)などを食べる場合には中心まで十分に火が通っていることを確認しましょう。果物はカットフルーツを避け、自分で皮を剥いて食べましょう。品質に疑問がある時は火を通すか、迷わず捨てましょう。時折ですが家畜にブルセラ症(後述)の発生が報告されています。牛乳等の乳製品は牧場、バザールなどでの購入を避け、市販の大手企業製品をお勧めします。生肉、生卵は食べないようにしてください。

 また、バザールでの食肉売り場は、冷蔵することなく製品を扱っています。冷蔵設備のない売り場での食肉の購入は避けましょう。

(6)医療保険制度

 公的病院であっても、外国人は医療費を全額負担しなければなりません。医療費が高額になる可能性があるために旅行保険への加入が必要です。時に海外へ飛行機による緊急移送が必要な場合があります。医療先進国までの移送には数百万円から数千万円かかる場合がありますので可能な限り緊急移送の保険にも加入をご検討ください。

5 かかり易い病気・怪我

 カザフスタンでは、人畜共有感染症に注意する必要があります。狂犬病やダニ媒介脳炎、炭疽などです。野犬のような危険な動物だけでなく、羊やヤギやラクダ、馬などの家畜や鹿などの毛に触ったり、未検疫の乳製品や肉を食べたりするときには注意しましょう。キャンプなどで草むらに入るときには、ダニに咬まれないように対策をすることも大切です。また、カザフスタンではHIV感染症(AIDS)が増えています。セックスワーカーを介した性感染や注射器の使い回しなどによる血液感染が、その原因として無視できませんので、ご留意ください。

 カザフスタンの食環境は、肉や脂肪分、炭水化物が多く、野菜が少ないです。このため、高血圧、糖尿病、脂質異常になりやすく、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなりがちです。また、カザフスタン人の飲酒率は高く、日常の飲酒の機会は一般的に少なくありません。気づかないうちに肝機能異常やアルコール中毒、痛風(高尿酸血症)にならないように、毎日の飲酒する習慣はできるだけ避けましょう。

 また、心の健康の管理は大変大切です。娯楽の少ない地方や、長い冬があるアスタナでは、気持ちが落ち込みやすくなるケースが見られます。運動や音楽、バレエやオペラ鑑賞、趣味のアクティビティなど、生活の中に楽しみを意識して保ちましょう。

 交通事故の多さは、カザフスタンの大きな問題です。車の運転マナーは悪く、道に溝や穴が見られ、道路環境は良くありません。自転車の運転や徒歩時でも注意しましょう。

(1)感染性腸炎(食中毒) Infectious Colitis

 殺菌が十分でない乳製品や生肉、衛生的でない食材や包丁やまな板を介して病原菌が口から入ると、嘔吐や下痢、腹痛などを症状とする感染性腸炎を引き起こします。病原性大腸菌、サルモネラ菌、ノロウイルス、カンピロバクターや赤痢菌、A型肝炎などが原因となる病原菌の一部です。腸チフスとパラチフスは39℃以上の高熱を主な症状とする病気で、下痢や腹痛などの腹部症状を伴うとは限りませんが、重症になりやすいです。また、池や川での水泳の際、口や粘膜から病原菌が入ることがあります。下痢や嘔吐の症状があるときは、水分や適度な塩分を十分に摂取し、脱水にならないように早めの対処を心がけましょう。日本からスポーツ飲料の粉末製品を持参されると、便利です。なお、A型肝炎や腸チフスは、予防としてワクチン接種を受けることが可能です。

(2)花粉症・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎 Allergic disease

 アルマティや一部の都市では、冬に大気汚染が目立ち、アレルギー発作のきっかけになる可能性があります。アレルギー疾患と診断されている方は必要に応じて、予防薬や治療薬の準備をご検討ください。また、アルマティ山麓地域ではスギ・シラカバ・ブタクサなどの樹木が豊富で、春先には花粉症を発症する方がいます。必要に応じてマスクやゴーグル、常備薬で備えましょう。

(3)ウイルス性肝炎 Hepatitis A/B/C/D

 A型肝炎ウイルスは、汚染された食物や飲み物を介して経口感染します。生魚や貝がウイルスを仲介するだけでなく、感染者の糞便にいるA型肝炎ウイルスが、洗浄不足の手やまな板が仲介することで人の口に入ります。このため、悪い衛生状況ほど発生率が高まります。症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱、異常なだるさ、黄疸(眼球の白い部分や肌が黄色になる)などです。重症化することがあり、入院治療を要します。カザフスタンでは時々集団感染のニュースが聞かれます。衛生状態の悪い場所での生水、生乳、自家製ジュース、食物には注意が必要です。子供の集団感染も多いため、お子様もA型肝炎ワクチン接種をお勧めします。
 B型肝炎は基本的に、血液感染や性交渉で感染します。当地では輸血や不衛生な医療機器で感染する可能性や、交通事故に遭い輸血を受ける可能性もあるため、B型肝炎ワクチン接種を受けておいた方がいいでしょう。B型肝炎の症状は、倦怠感、疲労感、黄疸などで、入院治療を受けることが必要です。また肝臓がんのリスクが高くなります。カザフスタンでは、2019年に人口10万人当たり518人感染しました。
 C型肝炎も血液感染、性交渉によって感染します。衛生状態の悪い針でも感染するため、タトゥーや針治療の際にも注意は必要です。感染すると肝臓癌のリスクが高くなります。
 D型肝炎は稀な肝炎ですが、カザフスタンは比較的罹患率が高い国です。B型肝炎に感染している人にのみ、D型肝炎ウイルスは重複して感染し、急性の肝炎をおこします。血液感染と性交渉で感染します。

(4)HIV感染症/AIDS

 カザフスタンでは血液感染と性感染によるHIV感染者が年々増多しており、大きな問題となっています。2020年、15~49歳までのうち新規感染者は、人口10万人当たりカザフスタンは36人、世界平均は31人、日本は1人未満です。セックスワーカーを介しての性感染と、薬物中毒者の注射針の使いまわしによる血液感染が主な原因です。2006年には南部の都市シムケントで輸血器材の使い回しが原因で小児科患者約150人がHIVに感染するという悲劇が起きました。現在、カザフスタンの医療施設では、登録HIV患者情報の共有をし、献血に対するスクリーニング検査の強化などによって、輸血による感染はほぼゼロであるとしていますが、依然として輸血には若干のリスクがあるかもしれません。

(5)ブルセラ症 Brucellosis

 家畜が多く、野犬が見られるカザフスタンでは、動物から人へ感染する感染症への注意を要します。ブルセラ症は人畜共通感染症の一つで、中央アジアに多い感染症です。牛、ヤギ、羊、豚、犬そして人に感染します。動物との接触、非加工乳製品の摂取により、ブルセラ菌が人に感染します。2~3週間の潜伏期を経て、全身のあらゆる臓器が影響を受けるため症状に特徴的なものはなく、発熱、発汗、体重減少、うつ状態などをおこします。加工していない乳製品の摂取は控えましょう。

(6)炭疽 Anthrax

 炭疽菌はバイオテロで知られる致死性のある細菌です。中央アジアでは自然界の土壌中に存在し、当地では炭疽菌感染者がほぼ毎年報告されています。炭疽菌感染の症状は、1~7日の潜伏期間のあと、皮膚の異常(水疱、深い潰瘍)、肺の異常(熱、咳、息苦しさ)、腸の異常(嘔吐、熱、腹痛)を起こします。致死性が高いですが、早期に治療を受けることで改善することもあります。炭疽菌は、土壌中に芽胞(耐久性の高いカプセルの中で長期間休眠中の状態)で存在し、洪水や長雨後に土表面に現れると、泥の中で動物や人に感染しやすい細菌となって増殖します。芽胞状態の炭疽菌は、少なくとも数十年は無栄養で存在し続けるため、土壌から排除することは非常に困難です。
 地方では無検疫の肉を介した腸炭疽、毛皮を介した皮膚炭疽の発生が毎年報告されています。2016年には19人、2017年は1人、2018年は2人、2019年は12人の感染者の報告があります。

(7)ダニが媒介する病気 Tick-Borne diseases

 ダニは、動物を咬み、同じく人間の皮膚を咬みます。ダニが咬むことで、動物の持つ病原菌が人間の体に入り、それによって人は様々な感染症にかかることがありますが、時にはそれが重症の病気を引き起こします。キャンプなどで草むらに入るときや動物との接触があるときは、防虫スプレーを使い、長袖・長ズボンの着用などの対策をしましょう。
 ダニ媒介脳炎(Tick-Borne Encephalitis)はダニを介してフラビウイルスに感染することで発症します。発熱や筋肉痛などの症状の後、痙攣などの神経症状を引き起こします。致死率は2%、神経系の後遺症は10~20%に残ります。
 クリミア・コンゴ出血熱は感染しても無症状や軽症の方が80%ですが、発症すれば致死率が15~40%と高い、ダニを媒介するウイルス感染症です。発熱、倦怠感、筋肉痛から、重症になると皮下出血など出血症状が見られます。山間部よりもクズルオルダ州などのカザフステップ地域で多く発生しています。動物との接触を控え、ダニに噛まれないよう肌の露出を控えましょう。
 野兎病は、ダニやアブなどを介して、ウサギやげっ歯類から野兎病菌(Francisella tularensis)が人間に感染する急性の発熱疾患です。動物の皮を剥いだり、食肉処理時に血液が付着したりすることでも感染することがあります。
 ダニ媒介感染症はライム病など、ほかにも複数あります。草むらの中の散策や動物との接触のあった後には、皮膚に異常がないかをチェックしましょう。

(8)結核 Tuberculosis

 カザフスタンの結核感染患者数は年々減少傾向が見られていましたが、2019年、2020年には少し増え、現在の患者数は日本の約6倍(10万人あたり約69人)です。国内あらゆる場所で結核に感染する危険があります。3週間以上続く咳がある場合は医師の診察を受け、自覚症状がない場合でも、年1回は胸部X線撮影などの定期健康診断を受けましょう。カザフスタンでは生後1~4日にBCGの接種を行っていますが、これは結核感染率が高いためです。感染予防の観点から、中央アジアによくみられる水たばこを、店や集団で行うことはお控えください。マウスピースを変えるだけでは感染予防になりません。他人が使用した後の水たばこの容器は完全に消毒することは困難です。結核に限らず、ほかの病原菌による呼吸器感染症のリスクもあるため、店内やグループでの水たばこはお勧めできません。

(9)髄膜炎 Meningitis

 髄膜炎菌(Neisseria meningitis)は飛沫により、鼻・のどに感染し、高熱や頭痛、精神症状を発症する細菌性髄膜炎です。無治療ですと致死率は50%以上で、治療が遅れると後遺症を残すことがあります。症状が訴えられない小児は特に注意が必要です。有効な予防接種がありますので、ご検討ください。
 細菌性髄膜炎のほか、夏期に水場で感染するウイルス性髄膜炎があります。川や貯水池での水泳は感染のリスクとなるため、特にお子様には勧められません。

(10)旋毛虫症 Trichinosis

 1~2mmの旋毛虫の幼虫を、馬や豚や羊肉から経口摂取すると、発症することがあります。症状は、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢、その後に顔や目の周りの腫れ、筋肉痛などが起きます。肉を食べる時には、中まで火が通っていることを確認してください。

(11)エキノコックス症 Echinococcosis

 エキノコックスが寄生したキツネ、犬、野ネズミ、ブタなどの糞が人の手に付き、糞内の虫卵が口に入ったり、糞に汚染された水を飲んだりして感染します。エキノコックスは肝臓に寄生し、進行すると肝機能障害が出現し、倦怠感、不快感、黄疸などの症状が出現します。感染してから自覚症状が出るまでに数年から10数年かかるため、当地に滞在以後に肝機能に異常を認めた場合は、本症も念頭に入れた精密検査が必要なることがあります。

(12)狂犬病 Rabies

 狂犬病ウイルスを保有する動物に咬まれたり、引っ掻かれたりすることで、ウイルスが体内に侵入する人獣共通感染症です。カザフスタンでは年間数例の発症例が報告されており、2018年、2019年はともに6名の発症及び死亡数でした。狂犬病は発症すれば致死率はほぼ100%で、治療法はありません。そのため徹底した予防が重要です。野犬や猫、コウモリやキツネなどに咬まれたり、引っ掻かれたりした場合、すぐに傷口を石鹸と水でよく洗い流し医療機関を受診してください。24時間以内に狂犬病ワクチン(暴露後接種)を接種する必要があります。同時に抗狂犬病ガンマグロブリンを併用することが望ましいとされていますが、現地では入手困難です。カザフスタンでは、アルマティやアスタナでも野犬がいます。夜間の外出は治安面だけではなく、狂犬病の恐れがあることからも危険です。事前に本邦で狂犬病ワクチン(暴露前接種)を接種し、基礎免疫を付けておくことをお勧めします。

(13)交通事故 Traffic accident

 カザフスタンの2019年の交通事故死亡率は、人口10万人に対し約15人で、日本の約3倍にあたります。車の交通マナーが悪いため、乗車中はシートベルトを装着しましょう。道路の舗装が不良で穴が空いていることもあります。歩行時や自転車走行時にも注意が必要です。

(14)メンタルヘルス Mental Health

 カザフスタンでは自殺率が高いことが問題となっています。2019年は人口10万人当たり自殺死亡者17.6人と交通事故死数よりも多く、また世界で自殺率が高いとされる日本やアメリカよりも高い数値です。人口密度の低い当地の生活環境や極寒の冬がある北部では人の交流が薄くなりやすく、気持ちを不安定にさせる一因と言われます。アルコール摂取量が多いことも当地の問題です。また、当地の精神的な病気への無理解が、うつ病などの治療の遅れにつながっていると指摘されています。長期で渡航されるご予定の日本人の方は、娯楽が少なく不慣れな当地で生活を想定し、ストレスを発散する方法を十分ご検討ください。定期的に休暇を取り、スポーツや音楽、趣味などで心をリフレッシュさせましょう。必要時には、医療機関でご相談をご検討ください。

6 健康上心がける事

  1. 万一に備えて:海外旅行保険の加入検討・年一回の定期健康診断
  2. 飲食物への注意:生水や未検疫の乳製品、中心まで加熱されていない肉は口にしない
  3. 人獣共通感染症:動物の毛や糞の接触に注意。飲み水に注意し、手洗い励行
  4. 呼吸器感染症:混雑した場所ではマスクを常備。水たばこに注意
  5. ダニ媒介感染症:服装や虫よけスプレーでダニ予防
  6. ワクチン接種:狂犬病、A/B型肝炎、ダニ媒介脳炎、季節性インフルエンザなど
  7. B/C/D型肝炎やHIVなど:不特定多数の性交渉はしない、不潔な注射器は使わない
  8. アルコール依存症:週に2日は休肝日、過剰な飲酒を控える
  9. 交通事故・ケガ:車に注意。凍った歩道には安全な靴を用意
  10. 心の健康:自分なりのストレス発散の方法を準備する

7 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関などについてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(成人、小児)

 入国時に法的に接種を求められているワクチンはありません。長期に滞在される方や小児には、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病(特に動物と直接接触する機会のある方)、ダニ媒介脳炎(特にゴルフなどで山や草原に行く方)、腸チフス(特に地方へ行く方)のワクチン接種をお勧めします。当地で麻疹、風疹、百日咳、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)、水痘に罹患した場合、感染症病院に強制隔離となったり、所属している職場等が衛生当局から感染対策指導を受けたりする可能性があります。日本で抗体価(IgG)を検査し、必要に応じて、これらのワクチンも接種しておくことが推奨されます。

 冬季に滞在される方は季節性インフルエンザワクチンも接種しておいた方がよいでしょう。

 当地で接種可能なワクチンもありますが、良質のワクチンがいつでも入手できるとは限りません。また、当地の法令により、民間の医療機関で接種可能なワクチンは限られていますので、日本での接種をお勧めします。なお、ダニ媒介脳炎や腸チフスなどのワクチンは日本では一部のトラベルクリニック以外では接種できませんので、ご注意ください。

(2)現地の小児予防接種一覧

現地の小児予防接種一覧
初回 2回目 3回目 4回目 その後
BCG 生後1~4日 6歳      
A型肝炎 2歳        
B型肝炎 生後1~4日 2か月 4か月    
ポリオ 2か月 3か月 4か月 12~15か月 18か月
DTP 2か月 3か月 4か月 18か月 6歳
DT 16歳       10年毎
MMR 12~15か月 6歳      
Hib 2か月 3か月 4か月 18か月  
肺炎球菌 2か月 4か月 12~15か月    

(3)国際学校現地校入学・入園に必要な予防接種・接種証明

 国際学校、現地校に入学・編入する場合、予防接種証書(コピーで可)の提出が求められる場合があります。母子手帳のワクチン部分のコピーで代替可能です。ただし、翻訳が必要で、国際学校の場合は英文で、現地校の場合はロシア語(若しくはカザフ語)での記載が必要です。

 入学・入園に必要なワクチンは、原則的にはアメリカンスクールの場合は米国のワクチンスケジュールで求められるワクチン、それ以外の国際学校あるいは現地校は上記(2)の一覧表記載のワクチンとなります。いずれの場合も日本の予防接種だけでは不十分ですので、渡航前に母子手帳を持ってトラベルクリニックを受診し、追加ワクチンを接種し、母子手帳に記載してもらいましょう。当国にも母子手帳のようなものがあり、現地医師はそれに基づいて証明書を記載しています。日本の母子手帳を忘れずにご持参ください。

8 病気になった場合(医療機関)

(注)以下に紹介する医療機関情報については、大使館や大使館医務官は個々の医療機関の診療内容を保証いたしません。実際の受診にあたっては、予め病院のホームページ、電話、SNS等でご確認ください。その上で、皆様方ご自身の判断と責任に基づき、医療機関や医師・治療内容について十分に検討したのち、同意の上でご受診ください。

(注)救急対応・救急車が必要な場合は、電話103で救急隊へご連絡ください。

アスタナ市

(1)American Medical Centers(外国人を対象とする民間クリニック)
住所:14h Floor, BC Presidential Plaza, 62a Kosmonavtov St. Astana
Tel:+7(7172)91-97-77
E-mail:nur-sultan@amcenters.com
ホームページ:American Medical Centers(英語)別ウィンドウで開く
概要:民間の医療機関。主に外国人を診療。個人だけでなく、外国企業との契約での診療を行う。医療費はローカルな一般病院と比較し高価だが、英語が通じる。精神科・カウンセリングにも対応している。予約は電話だけでなく、ホームページからチャットなどでも可能である。アスタナ、アルマティ、アティラウにクリニックを持つ。
(2)Meyrim Multi-Field Medical CenterМногопрофильный медицинский центр «Мейрiм»
住所:1 Syganak St.AstanaАдрес:ул.Сыганаk 1
Tel:+7(701217-59-04;+7(7172)79-75-79(コールセンター)
E-mail:mmc-meirim@mail.ru
ホームページ:Meyrim Multi-Field Medical Center(カザフ語)別ウィンドウで開く
概要:カザフスタン国内に広く展開する、メイリムグループの外来クリニック。アスタナには複数の同系列クリニックがある。内科、小児科など複数の診療科を持っている。予約はホームページなどからできる。
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日9時~15時
(3)Interteach«Интертич»
概要:カザフスタン国内に広く展開する、インターティーチグループの外来クリニック。アスタナには複数の同系列クリニックがある。複数の診療科を持っている。ホームページから最寄りのクリニックを検索し、予約を入れることなどが可能。
ホームページ:Interteach(ロシア語)別ウィンドウで開く
ア Семейная врачебная амбулатория “Интертич”Interteach, Family Doctor’s Ambulatory、ファミリーメディカル外来)
住所:1 Kenesary St. AstanaАдрес:ул. Кенесары, 1
Tel:+7(7172)51-53-00
概要:受付は英語でも可能。また、診察にあたり英語通訳を希望する場合には、予約時に確認するとよい。
診療時間:月~金曜日8時~22時、土~日曜日9時~18時
イ Клиника“Интертич Нур-Султан”Clinic, Interteach Nur-Surtan
住所:Kabanbai batyr、48/6(LCD Vremena Goda)
診療時間:月~金曜日8時~20時、土~日曜日8時~18時
電話:+7(7010)26-94-60
ホームページ:Interteach(ロシア語)別ウィンドウで開く
(4)Республиканский диагностический центрRepublican Diagnostic Center、共和国診断学センター)
住所:г. Нур-Султан, ул. Сыганак, 46
Tel:+7(7750)07-84-91
E-mail:rdc@umc.org.kz
ホームページ:Республиканский диагностический центр(英語)別ウィンドウで開く
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日8時~13時
概要:最新CTやMRIなどの高度な診断機器を備えた外来を専門とする高機能医療機関。外来患者に特化して診断、外来治療を行う。歯科を含む複数診療科をもつ。
(5)Медицинский центр Управления делами Президента РКMedical Centre Hospital of President’s Affairs、大統領府病院)
住所:E495 street, building No.2, Yessil region, Astana
Tel:+7(7172)70-80-90
E-mail:gchimbayeva@mail.ru
ホームページ:Medical Centre Hospital of President’s Affairs(英語)別ウィンドウで開く
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日8時~14時
概要:国内のVIPの受診者が多い高機能病院。外国人や一般人も外来を受診できる。英語の対応ができないことがあり、電話やSNSで予約時に確認する必要がある。複数の診療科を持ち、MRIやCTなどの説病は充実している。歯科はあるが、小児科はない。
(6)Городская детская больница No. 2Municipal Children’s Hospital No. 2、市立こども第2病院)
住所:Raqymjan Qoshqarbayev Ave 64, Astana
Tel:受付:70-97-86、70-97-87
インフォメーション:+7(7172)70-97-35
Whatsappのみ:+7(7015)89-66-31
診療時間:月~金曜日9時~20時
E-mail:gdb2_astana@mail.ru
ホームページ:Городская детская больница No. 2(ロシア語)別ウィンドウで開く
概要:公立の小児病院。予防接種や小児科の外来に対応するだけでなく、小児外科などの専門診療科を有する。
(7)Клиника "Медикер-Педиатрия"Medicare Pediatrics、メディケア小児科クリニック)
住所:г. Нур-Султан, ул. Ташенова, д. 20
Tel:+7(7172)79-76-47、+7(7017)94-25-00
E-mail:registratura.pmc@mediker.kz
ホームページ:Клиника "Медикер-Педиатрия"(ロシア語)別ウィンドウで開く
診療時間:月~土曜日8時~20時、日曜日9時~17時
概要:カザフスタン国内に広く展開する、メディケアーグループの外来クリニック。アスタナには複数の同系列クリニックがある。複数の診療科を持っている。(ホームページ別ウィンドウで開く)から最寄りのクリニックを検索し、予約を入れることが可能。
(8)Национальный научный кардиохирургический центрNational Research Cardiac Surgery Centre、国立研究循環器センター)
住所:38 Prospect Turanпр. Туран, 38
Tel:外来予約+7(7750)07-33-80、コールセンター+7(7172)70-31-00
E-mail:cardiacurgery@heartcenter.kz
外国人心臓病患者用:bgnnkc@mail.ru
ホームページ:Национальный научный кардиохирургический центр(ロシア語)別ウィンドウで開く
診療時間:月~金曜日8時~18時、土曜日9時~15時
概要:循環器内科・循環器外科の専門病院。
(9)Республиканскийнаучныйцентр нейрохирургииRepublic Scientific Center of Neurosurgery、神経外科共和国科学センター)
住所:34/1 Turan St. Astana(Адрес:пр. Туран, 34/1)
Tel(8時~17時まで対応):+7(7172)62-11-00
Whatsappのみ:+7(7172)62-11-00
診療時間:月~金曜日9時~16時(医師やサービスにより時間変更有)
E-mail:neuroclinic_nursultan@mail.kz
ホームページ:Республиканскийнаучныйцентр нейрохирургии(カザフ語)別ウィンドウで開く
概要:脳神経内科、外科に関する専門病院。

アスタナ市内 歯科クリニック

(1)Арт ДентArt Dent、アルトデント)
住所:Qabanbay Batyr Ave 2, Astana 020000
Tel:+7(7172)-24-55-44
概要:大使館近くにある歯科クリニック。レントゲンは、パントモ撮影ができる。
(2)Dent Lux
Tel:+7(7172)69-63-33、+7(7473)12-33-30
診療時間:月~金曜日8時~20時、土~日曜日9時~20時
E-mail:zabota@dent-lux.kz
ホームページ:Арт Дент(ロシア語)別ウィンドウで開く
概要:カザフスタン国内に多数の歯科クリニックを持ち、アスタナにも複数の歯科クリニックがある。ホームページから最寄りのクリニックを選び、予約をすることが可能。

アルマティ市

(1)ИнтертичInterteach、インターティーチ)
ホームページ:Interteach(ロシア語)別ウィンドウで開く
概要:カザフスタン国内に広く展開する、インターティーチグループの外来クリニックである。複数の診療科を持っている。アルマティには複数の同系列クリニックがある。ホームページから最寄りのクリニックを検索し、予約を入れることなどが可能。
ア Международная клиника “Интертич”Interteach International Clinic、インターティーチ国際クリニック)
住所:275-E Nazarbayev Ave, Almatyпр. Назарбаева, 275-E уг. ул. Хаджи Мукана, Алматы
Tel:+7(7273)20-02-00、+7(7470)94-46-00
+7(7470)94-46-91(救急車対応24時間)
診療時間:月~金曜日8時~22時
土~日曜日9時~13時(当直医による対応のみ)
概要:英語の話せるスタッフがいる。複数の診療科がある。
イ Педиатрический центр “Интертич”No.1Interteach Pediatric Center No1、インターティーチ小児科センターNo1)
住所:49, Mendykulov St, Almatyул. Мендикулова 49, Алматы
Tel:+7(7273)44-11-44、+7(7273)44-11-45
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日9時~15時、日曜日9時~14時(当直の小児科医の対応のみ)
ウ Педиатрический центр “Интертич” No.2Interteach Pediatric Center No2、インターティーチ小児科センターNo2)
住所:122A Kabanbai Batyr St, Almatyул. Кабанбай батыра, 122А, Алматы)
Tel:+7(7272)25-12-12、+7(7272)25-12-38
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日9時~15時
(2)Клиника "ДОСТАР МЕД СЕРВИС"Dostar Med Service Clinic、ドスタールメッドセルヴィス)
住所:28 Sechenov St corner Gagarin Ave. Almagul m/d, Almatyмкр Алмагуль, ул. Сеченова, д. 28 уг. ул. Гагарина
Tel:+7(7273)44-03-03、+7(7273)44-03-05
診療時間:月~金曜日8時~18時、土曜日9時~14時
概要:MRI、CTの設備を有する外来・入院診療を行う病院。複数の診療科があり、妊婦、小児の診察も行っている。
(3)МЦ(Medical Center “Medical Assistance Group”)
住所:6 Abdullinyh St. corner Makatayev St.
Ул. Абдуллиных, 6 угол ул. Макатаева
Tel:+7(7272)59-60-56、+7(7272)59-97-90
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日9時~14時
ホームページ:МЦ(Medical Center “Medical Assistance Group”)(ロシア語)別ウィンドウで開く
概要:アルマティを中心に一般外来クリニックと歯科クリニックをもつ“Medical Assistance Group”の一つ。複数の診療科の外来がある。妊婦や小児の診療も行う。
(4)Клиника “Mediker Алматы”Mediker Almaty、メディケアアルマティ)
住所:18a Satpayev St between Zheltoksan and Nauryzbai Sts, Almaty
г. Алматы, ул. Сатпаева, 18а
Tel:+7(7273)11-51-16、8-800-080-76-76(24hr対応のコールセンター)
診療時間:月~土曜日8時~19時
ホームページ:Клиника “Mediker Алматы”(ロシア語)別ウィンドウで開く
概要:レントゲンとCTがある。外来診療を行う。複数の診療科を持ち、妊婦や小児の対応もしている。往診、歯科、オンライン診療を行っている。
Mediker Healthcareは、アルマティ以外にも、アスタナ、シムケント、アクタウの系列病院を持っている。
(5)Private Clinic АлматыPrivate Clinic Almaty Multi-field Medical Center、プライベートクリニック)
住所:45 Miras m/d, Almaty(мкр. Мирас, 45, г. Алматы)
Tel:+7(7272)75-99-00
診療時間:月~金曜日8時30分~17時、土曜日8時30分~13時
概要:レントゲンとMRI、CTを備え、外来と入院診療を行う。複数の診療科があり、妊婦と小児科の診療も行う。往診やオンライン相談、歯科がある。
(6)Городской Кардиологический Центр АлматыCity Cardiology Center Almaty、アルマティ循環器センター)
住所:Tole Bi Street, building 93Адрес:ул. Толе би, 93
Tel:+7(7273)00-01-03
ホームページ:Городской Кардиологический Центр Алматы(ロシア語)別ウィンドウで開く
(7)Городская клиническая больница No. 7Municipal Clinical Hospital No. 7、外傷専門病院)
住所:Kalkaman microrayonАдрес:микрорайон Калкаман
Tel:+7(7273)41-06-66
診療時間:救急は24時間対応。救急外傷以外は、確認のこと
ホームページ:Городская клиническая больница No. 7(ロシア語)別ウィンドウで開く
概要:複数の診療科を持つ。外傷患者に対応している。

アルマティ市内 歯科クリニック

(1)Medical Assistance Group
住所:ул. Жамбыла 97/57, угол ул. Амангельды
Tel:+7(7272)59-60-26、+7(7017)13-02-83
診療時間:月~金曜日8時~20時、土曜日9時~20時
(2)Eurodent
ホームページ:https://eurodent.kz/別ウィンドウで開く
ア Сеть стоматологических клиник “Eurodent”
住所:83 Zheltoksan St, AlmatyЖелтоксан, д. 83
Tel:+7(7272)78-54-54
概要:24時間対応
イ  Сеть стоматологических клиник “Eurodent”
住所:42 Zhandosov St, Almaty(Жандосова, 42)
Tel:+7(7272)74-03-65
概要:24時間対応

9 その他の情報入手先

10 一口メモ

 下記以外にも「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療ロシア語)を参照願います。

ロシア語 ロシア語 カタカナ表記
医師 врач ヴラーチ
飲み薬 лекарство レカールストヴァ
注射 укол ウコル
頭痛 голова болит ガラヴァ バリート
腹痛 живот болит ジヴォート バリート
下痢 понос パノス
発熱 есть температура エスチ テンペラトゥーラ
吐き気 тошнит タシュニート
рана ラーナ
具合が悪い。 Плохо чувствую. プローハ チューブストゥユ
病院へ連れて行って欲しい。 Отве3ите в больницу. アトヴジーチェ バリニッツ
カザフ語 カザフ語 カタカナ表記
医師 дәрігер ダリゲル
飲み薬 дәрі ダリ
注射 укол ウコル
頭痛 басым ауырып тұр バスム アウルップ トゥル
腹痛 ішім аурып тұр イシュイム アウルップ トゥル
下痢 понос パノス
発熱 қызуыи бар クズゥム バル
吐き気 жүрегім айнып тұр ジュレギム アイヌップ トゥル
жара ジャラ
具合が悪い。 нашар сезініп тұрмын. ナシャール セズィニップ トゥルムン
病院へ連れて行って欲しい。 больницаға апарңыз. バリニッツァガ アパルヌズ
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