世界の医療事情
イタリア
1 国名・都市名(国際電話番号)
イタリア共和国(国際電話番号39)
2 公館の住所・電話番号
- 在イタリア日本国大使館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Ambasciata del Giappone in Italia, Via Quintino Sella 60, 00187, Roma
- 電話:06-487991
- ホームページ:在イタリア日本国大使館
- 在ミラノ日本国総領事館(毎週土曜日、日曜日休館)
- 住所:Consolato Generale del Giappone a Milano, Via Privata Cesare Mangili 2/4, 20121, Milano
- 電話:02-6241141
- ホームページ:在ミラノ日本国総領事館
(注)イタリアでは、エリア内外にかかわらず国内どこからでも0ではじまる電話番号を使用します。また、海外からかける場合も、国際電話国番号39の後0を付けたままの番号をダイアルします。
(例)イタリア国内(ローマ含む)で在イタリア日本国大使館にかける場合:06-487991
海外から在ミラノ日本国総領事館にかける場合:+39-02-6241141
4 衛生・医療事情一般
イタリアは南北に長く地域差はあるものの、国土の大部分が地中海性気候に属しており、季節による気温の変化は東京とほぼ変わりませんが、春と秋に比較的雨が多い一方、夏季にはほとんど雨が降らない年も多くあります。
イタリアの医療には、国民皆保険制度による保険医療と、保険外の自費診療があり、前者保険医療は州の管轄であり、州によってシステムにも違いがあります。医療技術や医薬品、医療設備などは、日本と同等の高水準です。真に緊急で重篤な病気やけがの場合は、救急車等を利用して公立病院等の救急室(Pronto Soccorso)を受診してください。しかし、緊急性のない救急受診は待ち時間が非常に長くなります。また、英語を解する医療スタッフがいる病院も増えているものの、救急受診も含め、医療機関では一般的にイタリア語でのコミュニケーションが必要です。
在留外国人も国民健康保険(SSN)に加入すれば、かかりつけ医と公立病院での保険診療を受けることができますが、公立病院はいつも混雑しており、受診や検査予約がかなり先になることもあります。現在、主な公立病院では、午前に保険診療、午後に自費診療を行う体制が浸透しており、後者の場合は診察までの待ち時間は短縮されています。
私立病院やプライベートクリニックは、予約制の自費診療で、英語が通じることも多く医療環境も良好ですが、軽症から中等症までの疾患への対応に限られます。また、検査や処置が必要な場合は、別の日や別の施設で受けなければならないこともあります。
一般的に医療費は高額となるため、(死亡時だけでなく)治療費用も十分に補償された海外旅行保険への加入を強く勧めます。同保険ヘルプデスクを通じた医療機関や医療通訳の紹介もあります。
また、旅行者等のためのGuardia Medica Turistica(後述の9参照)が開設されている地域もあります。
5 かかり易い病気・怪我
当地特有のかかり易い疾病(風土病)はありません。
6 健康上心がけること
水道水は安全基準を満たしていますが、カルシウムなどの成分が多い硬水で、日本の軟水とは異なります。腎臓の機能が未発達な乳幼児や、硬水でおなかの調子を崩しやすい方は、ミネラルウォーターの購入をお勧めします。
夏季は日照時間が長く、雨がほとんど降らないため、高温・乾燥の状態となります。熱 中症や脱水の危険性が高くなるので、こまめに水分を摂り、気温が高い時間帯の外出を控えるなどの注意が必要です。
7 予防接種(ワクチン接種機関含む)
(1)赴任時に必要な予防接種
成人・小児とも、本邦からの入国に必要な予防接種はありません。
本邦以外を経由して入国する場合、経由地によっては検疫官から、国際保健規則による検疫伝染病の予防接種(黄熱ワクチンなど)証明の提示を求められることがあります。
(2)現地の小児定期予防接種一覧
接種義務のある小児定期予防接種(2024年)
3か月 | 4か月 | 5か月 | 6か月 | 11か月 | 13か月 | 6歳 | 12歳から | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Hexavalent ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、B型肝炎、インフルエンザ菌b型 |
○ | ○ | ○ | |||||
DTap IPV ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ |
○ | |||||||
dTap IPV ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ |
○ | |||||||
MMRV 麻疹(はしか)、おたふくかぜ、風疹、水痘(水ぼうそう) |
○ | ○ |
接種義務はないが、接種が勧奨されている予防接種(同上)
3か月 | 4か月 | 5か月 | 6か月 | 11か月 | 13か月 | 6歳 | 12歳から | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
肺炎球菌 | ○ | ○ | ○ | |||||
髄膜炎菌B型(注1) | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
髄膜炎菌C/ACWY型 | ○ | ○ | ||||||
ロタウイルス(注2) | ○ | ○ |
- (注1)他のワクチンと同時接種できないため、個別のスケジュールが必要(合計4回接種)。
- (注2)ワクチンの種類により、接種回数と接種間隔が異なる。
(3)現地校の入学・入園に必要な予防接種・接種証明書
入園や入学に際し、予防接種済証明書の提出が法律で定められています。必要な書類については、入学・入園予定の学校や幼稚園に事前に問い合わせて下さい。日本で接種した予防接種については、母子手帳等を基に、日本の主治医に証明書(伊語または英語)の作成を依頼し、持参されることを勧めます。
(4)予防接種が受けられる医療機関(要予約)
乳幼児の定期予防接種や就学時、転勤、出張、旅行等で必要な予防接種は、各州の保健所(主にイタリアの国民健康保険加入者)、または、保健省に認可された各地の病院や自費診療のクリニックで接種することが出来ます。渡航のための予防接種はいずれも有料です。
8 病気になった場合(医療機関等)
近年、主な都市には、24時間体制の緊急受付を行うプライベートクリニックも増えており、電話で相談の上、当日に予約外で医師の診察を受けることが可能な場合もあります。しかし、重篤な場合や救命救急は、直ちに公立病院のPronto Soccorso(救急室)へ行くことが必要です。
救急車(公営)は118番(またはEU共通の112番)の電話で呼ぶことができます。搬送先の病院を指定することはできません。ほかに、搬送先を選べる民間の救急車派遣会社や、独自の救急車を有する私立の総合病院もありますが、いずれも有料です。
(首都)ローマ
- (1)Policlinico Umberto I(ポリクリニコ・ウンベルト・プリモ病院)
- 所在地:Viale del Policlinico, 155(最寄駅:地下鉄B線、Policlinico)
- 電話:06-49971(自費診療予約:06-49977000)
- Policlinico Umberto I(イタリア語)
- 概要:サピエンツァローマ大学付属、高度先進医療の総合病院です。テルミニ駅近くにあります。
- (2)Policlinico Agostino Gemelli(アゴスティーノ・ジェメッリ病院)
- 所在地:Largo Agostino Gemelli, 8(最寄駅:FL3線、Gemelli)
- 電話:06-30151(自費診療予約:06-88818881)
- Policlinico Agostino Gemelli(イタリア語)
- 概要:バチカン・カトリック大学付属、高度先進医療の総合病院です。ローマの北西に位置し、市街中心部からはやや離れています。
- (3)Azienda Ospedaliera San Giovanni Addolorata(公立、サン・ジョバンニ病院)
- 所在地:Via dell'Amba Aradam, 8
- 電話代表:06-77051(自費診療予約:06-9939へダイヤル後2を選択)
- Azienda Ospedaliera San Giovanni Addolorata(イタリア語)
- 概要:サン・ジョバンニ大聖堂の裏手に位置する高度先進医療総合病院です。
- (4)Ospedale Pediatrico Bambino Gesù(バンビーノ・ジェズ小児科総合病院)
- 所在地:Piazza S. Onofrio, 4(Gianicolo/ジャニコロの丘)
- 注:バンビーノ・ジェズ小児科病院には、サン・パオロ寺院の隣等複数の分院があります。
- 電話:06-68591(自費診療予約:06-68593996)
- Ospedale Pediatrico Bambino Gesù(イタリア語)
- 概要:バチカン管轄の高度先進医療の研究施設、小児科総合病院として世界的に知られています。サンピエトロ寺院に近いジャニコロの丘に位置し、24時間対応の救急部もあります。
- (5)Mater Dei General Hospital(私立、マーテル・デイ病院)
- 所在地:Via Antonio Bertoloni, 34(パリオリ地区)
- 電話:06-802201
- Mater Dei General Hospital(英語サイトもあり)
- 概要:閑静な住宅地にある小規模な私立病院ですが、CTやMRI等の最新機器が装備され、入院施設もあります。また、24時間の電話受付により、予約なしでの受診も可能です。先ずは当直医(心臓内科、麻酔科、産婦人科)が対応し、必要であれば、専門医が呼び出されます。
- (6)FirstMed
- 所在地:Via Giovanni Battista Morgagni,30 H 棟2階(地下鉄B線:Policlinico)
- 電話:06-40061402
- FirstMed(英語)
- 概要:上記(1)のPoliclinico Umberto I病院に近く、地下鉄を出て直ぐの近代的建物の中にあります。小規模のクリニックですが、主に旅行者や駐在外国人等を対象として、英語を話すドクターによる診察を手配しており、電話応対も英語が可能です。
Guardia Medica Turistica(公立・旅行者Medical Guard)
州保健局(ASL)が運営する24時間オープンの診療所です。在留外国人や旅行者も利用可能です。主に若手医師が担当しており、英語が通じることが多いようです。基本的には診察と薬の処方箋発行のみ(薬は薬局で購入)で、風邪や下痢などの比較的軽症の患者が中心ですが、重症の場合は、救急車で最寄りの公立病院に搬送されます。ローマ市内には以下の2か所が開設されています。
- (1)Poliambulatorio Canova(スペイン広場近く)
- 所在地:Via Canova, 18
- 電話:06-77306.112/.113
- 概要:ポポロ広場から徒歩3分。最寄り駅は地下鉄A線のFlaminioかSpagna駅です。
- (2)Ambulatorio di Guardia Turistica
- 所在地:Via Emilio Morosini, 30(トラステベレ地区)
- 電話:06-77306.650
- 概要:テベレ川岸からViale di Trastevere大通りに入り徒歩約5分の右側にあるOspedale Nuovo Regina Margherita/ヌォーヴォ・レジナ・マルゲリータ病院内にあります。
- (3)ローマ県保健局Medical Guard(電話相談)06-58526811
- 夜間:20時-8時、土曜日:10時-20時、日曜日・祝日:8時-20時
救急車
- (1)公共救急車
- 電話:118(救急医療・全国共通)、112(医療を含む緊急全般:EU圏内共通、ローマ、フィレンツェ等で運用開始)
- (2)民間救急車(病院への送迎、有料)
- CROCE BIANCA ITALIANA(Roma)
- 電話:06-8181011
- CROCE BIANCA ITALIANA(イタリア語)
ミラノ
- (1)Ospedale Fatebenefratelli e Oftalmico(公立、ファーテベーネフラテッリ病院)
- 所在地:Piazza Principessa Clotilde, 3
- 電話:02-63631
- Ospedale Fatebenefratelli e Oftalmico(イタリア語)
- 概要:日本国総領事館からも徒歩数分の市街地にある総合病院で、眼科専門病院が併設されています。
- (2)Ospedale Niguarda(公立、ニグアルダ病院)
- 所在地:Piazza Ospedale Maggiore, 3
- 電話:02-64441(自費診療予約 02-64442409)
- Ospedale Niguarda(イタリア語)
- 概要:ミラノ中央駅北西方向、北公園(Parco Nord Milano)南端にある高度先進医療の州立総合病院です。広大な敷地内に多数の棟を有し、ベッド数、手術室数に於いても非常に大規模な病院です。ロンバルディア州各地からのドクターヘリも受け入れています。
- (3)Ospedale Maggiore Policlinico(公立、ポリクリニコ マジョーレ病院)
- 所在地:Via Francesco Sforza, 28
- 電話:02-55031
- Ospedale Maggiore Policlinico(イタリア語)
- 概要:市街地南東、ミラノ大学に隣接する高度先進医療の総合病院です。現在、近くに新築移転の大工事が進行中です。
ベネチア
- (1)Ospedale di Venezia(公立、ベネチア病院)
- 所在地:Ospedale SS. Giovanni e Paolo Castello , 6777, Venezia
- 電話:041 5294111
- Ospedale di Venezia(イタリア語)
- 概要:ベネチア本島(カステッロ地区)の歴史的な建物にある総合病院です。水上タクシーでのアクセスも可能です。
- (2)Ospedale di Mestre(公立、メストレ病院)
- 所在地:Via Paccagnella, 11, Mestre
- 電話:041 5294111
- Ospedale di Mestre(イタリア語)
- 概要:ベネチア本島の対岸・メストレに所在する近代的な総合病院です。
- (3)Punto di Primo Soccorso San Marco(サンマルコ広場応急診療所)
- San Marco広場を囲む建物の海側(63または65番)に位置するファーストエイド施設です。外国人旅行者も応急医療の相談が可能です。
フィレンツェ
- (1)Ospedale Santa Maria Nuova(公立、サンタ・マリア・ヌォーヴァ病院)
- 所在地:Piazza di Santa Maria Nuova, 1
- 電話:055-69381
- Ospedale Santa Maria Nuova(イタリア語)
- 概要:サンタマリア・デル・フィオレ大聖堂(ドゥオモ)から徒歩4、5分の市街中心部にあり、Pronto Soccorsoも有しています。
- (2)Azienda Ospedaliero Universitaria Careggi(公立、カレッジ大学病院)
- 所在地:Largo Brambilla, 3
- 電話:055- 794111(自費診療予約:055-7942000)
- Azienda Ospedaliero Universitaria Careggi(イタリア語)
- 概要:フィレンツェ市北部にある大学病院で、イタリア有数の規模を誇る高度先進医療の総合病院です。
ナポリ
- (1)Azienda Ospedaliera Universitaria Federico II(公立、フェデリーコ・セコンド大学病院)
- 所在地:Via Sergio Pansini, 5
- 電話:800.184715(予約フリーダイアル)
- Azienda Ospedaliera Universitaria Federico II(イタリア語)
- 概要:ナポリ大学の付属ポリクリニコ病院で、市中心部から北西の高台地区に位置します。高度先進医療研究も盛んな総合病院ですが、救急部は産婦人科のみで、Pronto Soccorso は隣接するカルダレッリ病院(下記)が有しています。
- (2)AORN Amtonio Cardarelli(公立、カルダレッリ病院)
- 所在地:Via Antonio Cardarelli, 6
- 電話:081-7471111
- AORN Amtonio Cardarelli(イタリア語)
- 概要:1920年代からナポリと近郊の公的医療を担ってきた高度先進医療の総合病院で、多くの歴史的建物で診療科が構成されています。
- (3)Ospedale del Mare(公立、デル・マーレ病院)
- 所在地:Via Enrico Russo, 11
- 電話:081-18775025(自費診療予約:081-18775490)
- Ospedale del Mare(イタリア語)
- 概要:市街地、海岸部にも近いナポリ市の東部に建設され、2016年から稼働する高度先進医療の大型総合病院です。ニ次救急のPronto Soccorsoを擁しており、市内観光地からの救急搬送の可能性も高い病院です。
9 その他の詳細情報入手先
- イタリア保健省(イタリア語)
Ministero della Salute:イタリア語のウェブサイトですが、一部英語による情報提供もあります。 - 欧州疾病予防管理センター(英語)
ECDC:European Centre for Disease Prevention and Control - 世界保健機関欧州地域事務所(英語)
World Health Organization Regional Office for Europe
10 一口メモ(もしもの時の医療イタリア語)
- 医師:medico(メディコ)
- 吐き気:nausea(ナウゼア)
- 嘔吐:vomito(ヴォミト)
- 下痢:diarrea(ディアレア)
- 頭痛:mal di testa(マルディテスタ)
- 腹痛:dolori addominali(ドローリィ アッドミナーリ)
- 息苦しい:difficoltà respiratorie(ディフィコルタ レスピラトーリエ)
- 医者/救急車を呼んでください:Può chiamare un medico(dottore)/un' ambulanza, per favore?(プォ キアマーレ ウン メディコ(ドットーレ)/ウナンブランツァ、ペル ファヴォーレ)
- 病院へ連れていってください:Può portarmi in ospedale, per favore?(プォ ポルタルミ イン オスペダーレ、ペル ファヴォーレ)
- 熱があります:Ho la febbre.(オ ラ フェッブレ)
- 薬をください:Posso avere delle medicine ?(ポッソ アヴェーレ デッレ メディチーネ)
- 薬局はどこですか:Può indicarmi una farmacia ?(プォ インディカルミ ウナ ファルマチーア)
- 処方箋:ricetta medica (リチェッタ メディカ)
- 診断結果を教えてください:Qual è la diagnosi ?(クワッレ ラ ディアニョージィ)