2010年10月
ドイツ連邦共和国(フランクフルト)(国際電話国番号49)
ドイツの衛生状態はたいへん良好で、水道水もそのまま飲んでも問題なく、外食にも特に問題はありません。ただ、最近は消化器系のウイルス感染症が増えてきていますので、食事前や外出後は手洗い・うがいを励行するように心掛ける必要があります。
医療のレベルも進んでおり、病気の診断や治療に大きな不安はありませんが、医師以外の医療従事者とは英語での意思疎通が上手く行かない場合があります。このため入院生活などの医療サービスの面で不自由を感じるかもしれません。必要なときにはドイツ語で通訳できる方に同行していただくと安心です。
病院は機能分化がはっきりしていて、大学病院などの大きな病院では、救急外来を除いて行ってすぐ診てもらえる外来受付はありません。いわゆる開業医においても、あらかじめ電話をして予約をとってから行くのが普通です。日本人の多い都市部の開業医の中には日本語通訳をおいているところもありますから、日本語が通じるかどうかの情報を得てから受診すると良いでしょう。
医療機関を訪れると、最初に医療費の支払い方法を尋ねられます。ドイツに在住していて保険に入っている人はそのことを言いますが、旅行者は通常私費で全額払いになります。海外旅行傷害保険に入っている方は、そのことを言うと保険が使える場合があります。
また医薬分業が徹底しており、医薬品は、処方箋を持参して薬局で別途購入します。通常薬局では箱単位で購入します。薬の箱には、具体的な服用法が記載されていませんので、医師には1回の服用量、1日の服用回数、時刻等をしっかり尋ねておきましょう。
特にかかり易い病気や怪我はありませんが、注意すべきものとして、日本にはない感染症にダニ脳炎があります。これは中央ヨーロッパから、ロシア極東地域に分布する風土病で、ウイルス性の脳髄膜炎を引き起こします。ドイツではFSME(初夏脳髄膜炎)と呼ばれています。バイエルン州やバーデン・ビュルテンブルグ州などで、草原や森林地帯でダニに刺されて感染します。ドイツ全国で年間150名から300名程が発症しています。流行の時期は春から秋で、1週間から2週間程度の潜伏期の後に、夏風邪のような症状が数日続きます。続いて1週間程度の間隔を開けて、頭痛、意識障害、麻痺、感覚障害等の症状が出てきます。発症した場合は、死亡率が1%から5%程度あり、頚部から上腕の麻痺等が残りやすい厄介な病気です。
ダニはライム病という病気も媒介します。これは細菌感染症です。ライム病は日本の北海道などにもあります。感冒様症状や発赤などの皮膚症状ではじまり、ついで心血管系、中枢神経系の病変がみられ、その後関節、皮膚などに慢性病変がみられるようになります。感染してしまったら抗生物質での治療が有効です。
(1)水道水はかなりの硬水で、飲用して消化管に不具合がある場合には、硬度を下げるための市販フィルターを利用したり、ミネラルウォーターをお勧めします。
(2)ドイツ料理は、高カロリー、高タンパク、高脂質、高コレステロール、高塩分なので、食べ過ぎには十分注意し、生活習慣病を予防する意味に於いても、バランスの良い食事を心掛けて下さい。
(3)春から秋にかけて、草原や森林で野外活動を行う場合には、虫除けを用いる等して、ダニに刺されないように十分注意して下さい。ダニ脳炎の汚染地域は、ドイツ各地にありますので、あらかじめ病院や医院で汚染マップをみせてもらい、確認しておきましょう。万が一、ダニに刺された場合には、遅滞なく医師の診察を受けて下さい。野外活動愛好者は、ダニ脳炎の予防ワクチンを接種しておくと安心です。
入国に際して必要な予防接種は特にありませんが、以下のものをお勧めします。
成人:破傷風トキソイドの追加接種
小児:基本的に日本での定期予防接種を受けてきて下さい。日本の定期予防接種で不足するドイツで推奨されている予防接種については、現地の小児科医と個別に相談して下さい。
| 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| BCG | 実施せず | |||||
| DPT | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 11〜14月 | 5〜6歳(dT*) | 12〜17歳(dT*) |
| ポリオ (IPV) | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 11〜14月 | 12〜17歳 | |
| Hib | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 11〜14月 | ||
| B型肝炎 | (出生時) | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 11〜14月 | |
| MMR | 11〜14月 | 15〜23月 | ||||
| 水痘 | 11〜14月 | |||||
| 肺炎球菌 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 11〜14月 | ||
| 髄膜炎菌C型 | 2歳 | |||||
| HPV | 12〜17歳 | 12〜17歳 | 12〜17歳 |
1)ドイツでは6種混合ワクチンが使われています。6種とは、ジフテリア(D/d)、百日咳(aP/ap)、破傷風(T)、インフルエンザ菌(Hib)、ポリオ(経口ではなく注射IPVです)、B型肝炎(HB)の6つです。最初の3つを表内ではDPTと表しました。
2)B型肝炎ワクチンは、母親が感染者の場合、出生時にも接種します。
3)MMRは、麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹の3種混合ワクチンのことです。日本では行われていませんが、ドイツでは特に問題はないとされています。
4)HPVはヒトパピローマウイルスに対するもので、女児が対象です。
(3)ドイツでは予防接種は個人の責任で行うものですので、義務ではありません。
ただ、幼稚園や学校への入学に際して予防接種の証明書の提出を求められることが時にあります。このため、子供さんをお連れになる場合には、母子手帳や予防接種の記録を必ず持参して下さい。
乳児健診も義務ではありませんが、小児科医によって行われています。出生児に「成長の記録帳」が渡され、医師はこれに記録することになっています。 健診は、出生時(U1)、生後1週間(U2)、4〜6週間(U3)、3〜4ヶ月(U4)、6〜7ヶ月(U5)、10〜12ヶ月(U6)、<21〜24ヶ月(U7)、43〜48ヶ月(U8)、60〜64ヶ月(U9)>に行われます。それぞれの時期に何をみるかも記載されています。(Untersuchung(検診)の頭文字U の1〜6までが乳児健診に相当します。)
長期に滞在される場合は、かかりつけのホームドクターを見つけておきましょう。急病の時は時間内であればホームドクターに対応していただけますが、時間外の場合は地域の時間外診療所や救急サービスを利用することになります。ここではフランクフルトについてのみ記載しますが、自治体ごとにサービスが提供されていますのでそれぞれ滞在する都市についても、時間外診療所や救急サービスの所在地や受付時間について予め調べておけば安心です。
電話:112 (ドイツ語のみ)
概要:緊急の場合は、ためらわずに救急車を依頼します。現住所、電話番号等の最低限必要な情報と、症状の経過を簡潔に説明してください。真に緊急の場合はオペレーターの判断で、より高規格のドクターカーが出動する場合もありますので状況説明は非常に大切です。現場に到着した救急隊員が再度センターと連絡を取り合って搬送先を決めるので、適切な病院へ運んでもらうためには落ち着いて、状態を簡潔に伝える必要があります。搬送に際しては、家族であっても患者以外は救急車への同乗を許されないので、自家用車かタクシーで追いかけることになります。身分証明書、現金、クレジットカード、保険証書などを忘れず持参してください。
フランクフルト市は救急体制として、24時間コールセンターと時間外救急診療所を提供している。
○24時間コールセンター
電話(代表):069-19292
概要: 下記2つの救急診療所の受付も兼ねており、必要であれば当番医師の往診を仲介手配してくれる。緊急かどうか判断に迷う時は、医師の往診を依頼した上で、診察を受け適切な処置と救急搬送の要否を判断してもらえます。また大抵の医師は英語を理解しますので、言葉の上でも安心です。
○Burger病院内救急部(Ambulanz Burgerhospital)
所在地:Niebelungenalle 37-41, 60318 Frankfurt am Main
電話(代表):同上(069-19292)
○Galluswarte救急診療所(Ambulanz im Arztehaus Galluswarte)
所在地:Mainzer Landstraße 265, 60326 Frankfurt am Main
電話(代表):同上(069-19292)
概要:月曜・火曜・木曜 18時〜24時、水曜 13時〜24時、金曜 14時〜24時、土曜・日曜・祝日 0時〜24時
所在地:Haus 32, Theodoe-Stern-Kai 7, 60596 Frankfurt am Main
電話:069-63017170
概要:水曜 16時〜20時、金曜 18時〜22時、土曜・日曜・祝日 9時〜20時
所在地:Haus 29a, Theodoe-Stern-Kai 7, 60596 Frankfurt am Main
電話:069-63015877
概要:月曜〜金曜 17時ー23時30分、土曜・日曜・休日 8時ー23時30分
所在地:Tor 12, Terminal 1, Flughafen Frankfurt-Main
電話:(069)-69066767
概要:365日、24時間オープン。英語可。X線撮影可。デイルームあり。黄熱病を含め各種予防接種も可能です。予約は不要。より高度な治療や入院が必要な場合は、他の医療機関を紹介してくれます。
在フランクフルト総領事館のホームページでは現地の医療情報を掲載しています。
http://www.frankfurt.de.emb-japan.go.jp/jp/index.htm ![]()
医療機関を受診する際の語彙と単文を挙げてみます。
医師:Arzt(アルツト)
飲み薬:Medikament(メディカメント)
注射:Injektion(インイェクチオン)
頭痛:Kopfschmerz(コップフシュメルツ)
腹痛:Bauchschmerz(バウホシュメルツ)
下痢:Duruchfall(ドゥルヒファル)
発熱:Fieber(フィイベル)
吐気:Brechreiz(ブレヒライツ)
傷:Wunde(ブンデ)
具合が悪い:Ich fühle mich nicht gut.(イッヒ フュウレ ミッヒ ニヒット グウト)
病院へ連れて行って欲しい:Bringen Sie mich bitte ins Krankenhaus.(ブリンゲン ズイ ミッヒ ビッテ インス クランケンハウス)